1 / 28
そうだ、尾道にラーメンを食べに行こう
しおりを挟む
初めてのローカル電車の旅は鉄道の日の切符だった。1998年ころのことだったかな。昔過ぎてよく覚えていない。
2700円ほどで乗り放題と聞き、ふと尾道ラーメンが食べたいと思った。
朝、新大阪から7時30分くらいの電車ににる。平日の通勤時間帯はよく混んでいて何とか座る席を確保するとそこから姫路まで行くこととした。窓の外の景色は見慣れない町並みが続いており、姫路には20年近くいっておらず電車から眺める町並みはずいぶん変わったなと印象を受けた。
その後、相生行きに乗り換え、相生から岡山行へと乗り換える。岡山でトイレ休憩をしたのち10分ほど次の電車を待つ。そして岩国行にのり尾道へ向かった。
どこのラーメン店にいくなど目的はなくとりあえず町の中をうろついてみることにした。駅舎をでるとまっさきに目に飛び込んできたのは、穏やかな海面のきらめきである。
海につられてローターリーを突っ切り船着き場まで駆け寄る。穏やかな波が揺れ、太陽の光を反射している。瀬戸内海は波が穏やかで、また潮お香りもあまりきつくない。
しばらく海を眺めていたが、目的は尾道ラーメンを食べることというのを思い出し、尾道駅前の商店街をぶらついてみることとした。
果物屋さんや雑貨屋さんが並んでおり、観光地というイメージはない。うろうろしてみたが思うようなラーメン店は見つからず駅前に戻ってくると、駅のローターリーを渡ったところと、駅の左のミスタードーナッツの隣にラーメン店はあった。
こんな近場にあったのかと少し照れながら、両方の店を行ったり来たりして、結果、ミスタードーナッツの隣のラーメン店に入ることにした。
券売機でチケットを買い、カウンターに腰掛ける。正直ドキドキする。店主に促されるままチケットを渡す。店主「醤油一丁、背脂はお好みで入れてください」と言われ
その時初めて、尾道ラーメンは魚介ラーメンで背脂を入れて食べるのだと知った。何も知らずネーミングだけで食べてみたいと思っていたが、背脂が苦手な私にとって、この店を選んだのは大当たりであった。出てきたラーメンは香り高くさっぱりした中にうまみのあるスープ、おいしくてあっという間に食べきってしまった。替え玉をしようか迷ったが、他の人が注文している餃子が気になり、餃子を注文する。肉汁がたっぷりの餃子に満足し、帰りの時間を調べると、新大阪までの経路19時10分くらいの電車が最終となる。
時計は19時前。あぶなかった。大阪に帰れなくなるところであった。
ごちそうさまをし、尾道のホームで缶コーヒーを飲みながら帰りの電車を待つことにした。
帰りは、もう暗くなっているため車窓からの楽しみは夜景を見ながらぼんやりとした時間を過ごすことだった。瀬戸大橋を超え、明石大橋を超え、大阪に近づくにつけビルが増えてくる。窓からの景色もビルや人が増えていく。ああ、帰ってきたなぁとおもつつ新大阪につくと11時過ぎであった。最終電車ぎりぎりで家に帰ることができたが、とても楽しい一日なった。
知らない街にラーメンだけを食べに行く、旅行ではなく、観光目的でもなく、ただ知らない街でラーメンを食べるだけの贅沢。交通費、ラーメン代、缶コーヒー合わせると5000円弱のラーメンとなるのだが、その贅沢感が私の今の旅のスタイルとなった。この旅から私はローカル電車で日本中を旅することが楽しくてしかたがなくなるのだ。
2700円ほどで乗り放題と聞き、ふと尾道ラーメンが食べたいと思った。
朝、新大阪から7時30分くらいの電車ににる。平日の通勤時間帯はよく混んでいて何とか座る席を確保するとそこから姫路まで行くこととした。窓の外の景色は見慣れない町並みが続いており、姫路には20年近くいっておらず電車から眺める町並みはずいぶん変わったなと印象を受けた。
その後、相生行きに乗り換え、相生から岡山行へと乗り換える。岡山でトイレ休憩をしたのち10分ほど次の電車を待つ。そして岩国行にのり尾道へ向かった。
どこのラーメン店にいくなど目的はなくとりあえず町の中をうろついてみることにした。駅舎をでるとまっさきに目に飛び込んできたのは、穏やかな海面のきらめきである。
海につられてローターリーを突っ切り船着き場まで駆け寄る。穏やかな波が揺れ、太陽の光を反射している。瀬戸内海は波が穏やかで、また潮お香りもあまりきつくない。
しばらく海を眺めていたが、目的は尾道ラーメンを食べることというのを思い出し、尾道駅前の商店街をぶらついてみることとした。
果物屋さんや雑貨屋さんが並んでおり、観光地というイメージはない。うろうろしてみたが思うようなラーメン店は見つからず駅前に戻ってくると、駅のローターリーを渡ったところと、駅の左のミスタードーナッツの隣にラーメン店はあった。
こんな近場にあったのかと少し照れながら、両方の店を行ったり来たりして、結果、ミスタードーナッツの隣のラーメン店に入ることにした。
券売機でチケットを買い、カウンターに腰掛ける。正直ドキドキする。店主に促されるままチケットを渡す。店主「醤油一丁、背脂はお好みで入れてください」と言われ
その時初めて、尾道ラーメンは魚介ラーメンで背脂を入れて食べるのだと知った。何も知らずネーミングだけで食べてみたいと思っていたが、背脂が苦手な私にとって、この店を選んだのは大当たりであった。出てきたラーメンは香り高くさっぱりした中にうまみのあるスープ、おいしくてあっという間に食べきってしまった。替え玉をしようか迷ったが、他の人が注文している餃子が気になり、餃子を注文する。肉汁がたっぷりの餃子に満足し、帰りの時間を調べると、新大阪までの経路19時10分くらいの電車が最終となる。
時計は19時前。あぶなかった。大阪に帰れなくなるところであった。
ごちそうさまをし、尾道のホームで缶コーヒーを飲みながら帰りの電車を待つことにした。
帰りは、もう暗くなっているため車窓からの楽しみは夜景を見ながらぼんやりとした時間を過ごすことだった。瀬戸大橋を超え、明石大橋を超え、大阪に近づくにつけビルが増えてくる。窓からの景色もビルや人が増えていく。ああ、帰ってきたなぁとおもつつ新大阪につくと11時過ぎであった。最終電車ぎりぎりで家に帰ることができたが、とても楽しい一日なった。
知らない街にラーメンだけを食べに行く、旅行ではなく、観光目的でもなく、ただ知らない街でラーメンを食べるだけの贅沢。交通費、ラーメン代、缶コーヒー合わせると5000円弱のラーメンとなるのだが、その贅沢感が私の今の旅のスタイルとなった。この旅から私はローカル電車で日本中を旅することが楽しくてしかたがなくなるのだ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ポケっこの独り言
ポケっこ
エッセイ・ノンフィクション
ポケっこです。
ここでは日常の不満とかを書くだけのものです。しょーもないですね。
俺の思ってることをそのまま書いたものです。
気まぐれ更新ですが、是非どうぞ。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる