何度繰り返しても愛してる

りんごちゃん

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言えない「愛してる」

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「いやっ、も、ゆるして……っ!」

 なにを許すのだというのだろう。もう、全てを許してる。今度はこちらが赦しを乞う番であって、彼女の愛を恋い焦がう番だ。
 けれど彼女への愛を綴っても、彼女を婚姻という形で縛っても、彼女は泣きながら赦しを乞う。
 こちらの言葉など否定するように首を振って、ただただ逃げ出そうと考えてる。
 もう逃さない。もう、手放せない。
 自分がどれだけ酷いことをしてるのか、どれだけ酷いことをしてきたのかわかってる。
 それでももう止められない。

 泣き叫ぶ彼女を組み敷いて、彼女の身体を暴く。
 いやっ、いやっ、と彼女は泣くけれど、男の力に敵うはずもない。
「たすけて、たすけてっ、──っ!」
 彼女がいつも助けを求めるのは自分であって、自分ではない男。彼女はそれを知ってるはずなのに、名前を呼ぶ。目の前にいる男が、そうなのに。
 彼女の記憶では最低である男に助けを求めながら、彼女は乱れる。

「も、ゆるして……っ!」

 愛してる。
 そう口にすると、彼女はいつだって大粒の涙を流して、「残酷なことをしないで」「私が悪かったから」と泣いて謝る。
 たぶん、おそらく、きっと。この関係はもう修復不可能なのだ。
 なにか奇跡でも起きない限り、二人の関係が穏やかなものになることはない。

 二人が向き合って、愛し合えることはない。


▼△▼

 1度目の俺は浅はかで、愚かな男だった。
 家族の復讐のために全てを注ぎ、なにが大切なのかわからなくなった。
 愛しい恋人と別れ、復讐相手の娘と婚姻した。それが正しいと信じていた。
 憎い男の娘である彼女は、少し我儘なところもあったが素直で優しい娘だった。いつの間にか復讐を忘れるくらいに惹かれていた。
 復讐を思い出しのは恋人だった女が、義父に貞操を奪われたことを知ったからだ。
 愛した恋人まで不幸にした男に、家族の恨みを思い出した。
 彼女は俺を愛してた。盲目なまでに、愛してくれていた。あの男の娘とは思えぬほどに純真な娘だった。
 男を陥れるために、俺は人を殺した。それが、その時は最善だと思った。
 義理とはいえ息子がそんなことをしていたのが世間に知られれば男は世間から信用をなくす。男を陥れるためなら、自分の罪さえも利用した。
 復讐の最後はあっけないものだった。
 彼女が、俺が背負うべき全ての罪を背負い海へと身投げした。
 俺に「嘘でもいいから愛してると言って欲しかった」と、そう遺して。
 義父は世間から爪弾きにされた。
 復讐は遂げられた。けれど、嬉しくない。

 虚しさだけが心を締めていた。
 俺は、彼女と最期に会ったとき、なんと言った? 「愛してると言って」と縋る彼女になんと言い放った? 

 俺は、彼女を、

 1度目の俺は事故によって死んだ。彼女が死んで、ちょうど一年後のことだった。

 それが、罪の始まりだ。


 2度目の俺がそれを思い出したのは全てが終わったときだった。
 腕の中で温かい血を流して、冷たくなっていく彼女の身体を抱きしめながら過去が蘇る。

 そう、俺は幼馴染に恋していた。
 幼馴染が他の男に嫁いでからも、幼馴染と連絡を取り合っていた。諦めなければならないとわかってはいても、連絡が来れば返してしまう。
 幼馴染が夫と離縁し、家に戻ることになった。
 幼馴染は今度は俺とともになりたいと願ってくれた。
 だが、幼馴染は1度は他の男と結婚した女。俺が良くても、周りが許さなかった。だから仕方なく他の妻を娶ることにした。
 その家には多額の借金があった。
 それを返金することを約束すると、相手の親は俺に女がいると知っていながら、この婚姻に了承した。
 妻になったのは、まだあどけなさの残る少女だった。
 俺が選びさえしなければ、愛らしいその少女は白い結婚を強要されずに済んだだろう。
 金で売られた少女。彼女の俺を見る純粋な瞳が嫌で「愛しい恋人がいるのだ」と、早々に幼馴染のことを打ち明けた。彼女は目を見開き、なにかを我慢するように微笑んだ。
 胸がずきりと痛んだことは無視をした。

 彼女を顧みることはなかった。彼女と向き合ってしまえばなにかが決定的に変わってしまう。それを恐れた。
 俺は恋人の住む敷地内の別宅に帰り、彼女の住む本宅にはめったに帰らなかった。
 彼女には手を出さなかった。
 手を出してしまえば今までと同じようにはいられない。彼女があどけない少女から美しい女へと変わるのを側で見ながら、決して彼女には触れなかった。
 触れるのは夜会の時だけだ。その時でさえ、彼女に触れるときは手袋をはめていなければ彼女を穢してしまいそうで怖かった。
 幼馴染との間に子どもができたときはホッとした。
 彼女との間に子がいなくても、幼馴染との子を養子にすればいい。
 そう考えた。
 俺を慕う、彼女の気持ちなど考えたことがなかった。いや、彼女が俺を慕ってるとさえ、考えたことがなかった。


 地獄のような記憶が蘇ってきた。
 まるで悪夢のような記憶だ。
 俺は彼女に初めて会ったとき、なにを言った? 今世でもまたこんな俺を愛してくれていた彼女にどんな仕打ちをした!?
 絶望が俺の中を駆け巡る。後悔と絶望が俺を壊していく。
「起きろ、起きろ! 頼むから死なないでくれっ! ああああああッッやめろッやめろォォオオオ!!」
 愛していたはずの恋人になにも感じられなくなった。感情が彼女とともに次々と死んでいくような気がした。
 死ななくてはならないと、そう直感した。
 彼女を刺した銀のナイフを手に取り、自分の首にソレを突き刺した。

 ──こんなものじゃ、まだ足りない。

 決まって、前世の記憶が蘇るのは彼女が死んでからだった。
 それも、俺は彼女ではない女に彼女の前で愛を囁く。
 生まれ変わるたびに彼女は俺を愛してくれるのに、愚かな俺はそれに決して気がつかない。
 心の奥底では彼女を想ってるくせに、それには気がつかずに違う女と腕を組み、肩を並べ、寝食を共にする。
 彼女が死んでから、後悔する。
 前世を思い出し、狂っていく。どうして忘れていた、どうして自分の心に気がつかない、どうして、どうして!!

 彼女の死の原因は俺だった。最初から最後まで、全てが俺の原因だ。
 俺の罪を庇って自害したこともあった。俺が殺されるところを庇って死んだこともあった。俺と恋人を夫婦にさせるために自害することもあった。俺のせいで攫われ、そのために殺されたこともあった。俺の恋人に嫉妬され殺されたこともあった。狂ったように笑い、俺を愛してると叫んで自害したこともあった。

 彼女の死は全て俺のせいだった。
 そして前世を思い出すのは決まって彼女が死んだあと。
 そして俺は恋をする。決して報われない、後悔しか生まれない恋を。

 これは、どちらの罰なんだろうか。
 きっと、彼女は憶えていた。前世の数々を。それでもなお、彼女は俺を慕ってくれていた。
 彼女はどれだけ苦しんだのだろう。どれだけ泣き明かしたのだろう。
 憶えていたせいで彼女は不幸だったのに、それなのに俺は彼女の記憶があってよかったと狂った頭の中で思ったのを憶えてる。
 だって、そうだろう?
 そうでなければ彼女は俺を愛してくれなかっただろう。彼女は俺なんかを見てはくれなかっただろう。
 心優しい彼女は他の男と共にあっただろう。

 醜い自分に吐き気がする。
 それでも、仄かに湧き上がる暗く淀んだ気持ちを誤魔化すことなどできなかった。
 彼女が死んだあと記憶を思い出し発狂する俺と、記憶を持ち続けながらも俺なんかを愛してしまう彼女。

 最悪な、すれ違いだ。


 そうして二十八回目。俺の目の前で27人の彼女が死んで、27人の俺が絶望のなか恋をし、発狂して死んだ。
 二十八回目の俺は記憶を受け継いだまま生まれた。
 絶望した。何度も何度も愛する彼女をあんな目に合わせたのだから。

 それでも、俺は彼女に逢いたかった。
 酷いだろう。醜いだろう。あんな目に合わせたのに、俺は彼女に執着してるのだから。
 最期の最期まで、俺なんかを愛してくれた彼女に。

 国の第三王子という比較的自由で、どんな人物だろうと娶れる最適な環境に生まれた俺は、幼い頃から王城を飛び出して各地を飛び回っていた。
 すべては彼女を探すため。年に一度は王都に戻り、貴族内に彼女が生まれてないかを確認する。もしも兄の婚約者となれば、少々ややこしいことになってしまう。
 彼女の顔が変わっても、見つけ出す自信があった。
 例え彼女が男でも、獣でも、愛せる自信があった。
 今までのことを彼女が憶えていても、憶えていなくても、彼女に報いたかった。
 彼女に「愛している」、そう言いたかった。

 でも、その一方で、彼女に拒絶されたとき、俺はきっと。


 もうあらかた自国の土地を探し回り、隣国へ行く途中に泊まることになった山奥の村で彼女を見つけた。
 頬に泥をつけ、俺を見て固まる姿に泣きそうになる。
 彼女に触れ、彼女の身体を引き寄せ、自分の腕の中に閉じ込める。

「あぁ……やっと見つけた……」

 心臓が早鐘を打ち、彼女が彼女だと教えてくれる。彼女のぬくもりが俺の体温と混ざり合う。
 彼女の力が抜け、足から崩れ落ちそうになるのを腰を支えて、無理矢理立たせた。
 小さく震える声で彼女が「も、もうしわけありま、せん」と呟く。
 耳に届く彼女の声に泣きたいほど安堵する。

 ああ、彼女は憶えている、と。

「何故、謝る。謝るのは私のほうだ。何度も君に不誠実なことをした。何度も君を忘れて、何度も君に冷たく当たった」

 だから安心させるように微笑んだ。
 過去の彼女の死を決定づけた男。彼女からの愛は疑っていない。けれど、今の彼女がどう思うかはわからない。
 だから、少しでも彼女が安心できるように。
 そして、俺が今までのこと全てを思い出していると伝わるように。

 彼女から出た言葉は、拒絶だった。

「っ、わすれてっ!」
「………なに?」

 息が止まる。彼女はそんな俺の様子など気付かずにそのまま叫んだ。

「もう、いやなのっ! 醜くなるのはいやっ! 愛されないのはいやっ! 迷惑をかけたくない、嫉妬に狂いたくないっ! 帰って! 帰れッ帰れ帰れ帰れッ!」

 俺を突き飛ばし、ぶんぶんと耳を塞いで、全てを拒絶するように首を振る。
 彼女が俺を拒絶するのは俺のせいだ。彼女が俺を否定するのは俺のせいだ。彼女が俺を愛する自分自身を拒絶し、否定するのは俺のせいだ。
 ああ、わかっている。わかっているさ。
 彼女が跪いて、頭を下げ「私を忘れてください」と懇願するのは全て俺のせいだ。過去の俺の行いのせい。

「君の気持ちは理解した。そう言うだろうとも思った。──家に火を」
「「はっ!」」

 それでも、狂った心は耐えられなかった。
 ならば全てを壊してしまえと思った。
 彼女の家に火がつけられる。近くに家がなくてよかったと心の片隅で思う。

「いや、いやっ……いやぁぁぁぁああっ!」

 燃え広がる家に向かって走り出そうとする彼女を後ろから抱き締め、俺は小さな彼女を見下ろす。
 彼女は必死で手を伸ばす。それでも俺のせいで彼女はその身体を動かせない。
 すべてを、壊してしまえばいい。
 過去も未来も俺のもとだけにあるように。今世の思い出など消し去り、俺を見てくれるよう。

「なん、で? どうして……」
「君の帰る場所はもうない」

 なんて、醜いんだろうな、俺は。

「さぁ、帰ろう」

 彼女の耳元で、彼女を絡め取るように俺は囁く。
 彼女が泣いてる。俺が、俺自身が、彼女を不幸にしている。泣かせている。俺の意思で。

 ああ、最低だ。狂ってる。

「ごめん、なさい」

 だって、泣きたいほどそれが嬉しいんだから。
 不幸にしたいわけじゃない。幸せにしたい気持ちもある。けれど、もう知らない自分が彼女を不幸にすることだけはしたくなかった。
 彼女のことをなにも知らずに、彼女の心を引き裂くような俺でいたくない。
 どうせ彼女の心を壊すことしかできないのなら、俺も彼女とともに壊れてやろう。


 彼女を無理矢理連れ去り、無理矢理に自分の妻とした。他の高位貴族に養子として取らせ、彼女を名実とともに妻に。

「ご、めんな、さぁ……ふっ、」

 彼女は謝り続けるだけだ。
 俺が「愛してる」と囁くと、彼女は「残酷だ」「うそつき」と泣く。
 二十八回の結果がこれだ。
 彼女の心はもう壊れてる。俺が彼女を愛さないと信じ切ってる。
 それでも俺は彼女を手離さない。彼女に「愛してる」を囁き続ける。
 それで彼女が不幸になっても。自分の心が擦り切れ悲鳴をあげても。
 二十七回の記憶の中で、確かに俺も狂っていった。いつも気付くのは彼女が死んだあと。
 後悔と絶望の渦の中で俺は何度も血の涙を流した。
 これが誰かのせいならいい。でも、すべて俺のせいなのだ。他の誰でもない、自分の。

 狂わずにいられるだろうか。

 幸せになりたい。彼女とともに。
 けれどそれが叶わないのなら、彼女とともに壊れていきたい。
 俺は彼女を他の男と幸せになれなどと言って手放せないから。

「愛してる」

 醜く、最低な男だが、俺は君を愛してる。
 涙を流し、囁いても彼女は俺に謝り続ける。否定する。ああ、もうそれでいい。
 ともに、壊れよう。
 すまない。すべては俺が原因なのに、君にだけ謝らせてる。けれど俺は君が謝らないでいられるようになる方法を知らない。俺の「愛してる」を信じてくれるようになる術を持たない。君のいない世界で呼吸をすることができないから手放せない。

 愚かな俺を一生許さないで欲しい。
 そうすれば君を一生俺に縛り付けることができるから。
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