綿パンを失くした

りんごちゃん

文字の大きさ
上 下
11 / 26

08*

しおりを挟む
 御岳くんはずっと無言。私の手を逃さないとでもいうように、握り締めてどこかへと向かう。
 怖くて逃げ出したい。いつもの御岳くんじゃない気がする。

「御岳く……」
「……今の俺、なにするかわからないから黙ってくれる? この場で犯すよ」

 逃げ出したい。いや、逃げよう。
 手を振り払って、逃げて仕舞えばいい。
 嫌なことからは目を背ければいい。

 試しに御岳くんの掴んでる私の手を引き抜く。
 ……あれ? ん? あれ? 抜けない。
 自由であるもう片手を使って御岳くんの手を自分の手から引き剥がそうとするけど、抜けない。あれ?

「あっそう。わかった」
「ひ、んっ」
「依ちゃん、体調悪いみたいだね。トイレ行こっか~」

 グイッと御岳くんが私の身体を引っ張って、バランスが崩れる。拒否の声を出そうとしたら、口を押さえられて、御岳くんがにこやかにそういった。
 トイレで犯されたときのことが脳裏によぎる。
 ずっと口を押さえて、誰か来るかもしれない恐怖に早く終わってと願う。冷たい便器の上で脚を広げて、みっともないのに自分が感じてしまう恐怖。
 もうトイレではやりたくない。

「ゃ、ぁ……」
「だめー。心配でしょ」

 ふるふると首を振る。けど、にんまりと笑った御岳くんは嫌がる私を引きずってトイレに向かう。
 そこで迷いなく障害者用のトイレに入って鍵を閉めた。

「ご、ごめんなさ、ここではやだぁ……」
「ふ、やらないから安心してよ」

 ふんわりと御岳くんが優しく笑う。
 その普段とはあまりにも違う笑みに背筋が凍る。
 違う、これは違う。御岳くんはすごく、すごく怒ってる。
 御岳くんから距離を取るように後ずさる。

「逃げたら犯すよ」
「っ、」

 ピタッと動きを止める。

「うん、そう。それでいい」

 御岳くんが満足気に笑う。
 なにが、いけなかった? どうして普段は怒らない御岳くんがこんなに怒ってる?
 お母さんが出張でいないことを言わなかったから? でも、だってそんなこと伝える義理なんてない。

「脱いで」
「……え?」
「パンツ脱げよ」

 いつもとは違う御岳くんが怖い。
 こんな高圧的な御岳くんは知らない。
 恐怖で泣きそうになりながら固まってると、御岳くんが一歩踏み出して私に近付く。

「早く脱がないとこの場で犯すけど」
「っ、」

 その言葉に心を決めて、震える手でワンピースの中に手を伸ばしてパンツに手をかける。
 いつもと同じ名前入りの綿パンツ。
 大声を出すって選択肢はなかった。だって、そしたら御岳くんは捕まっちゃう。それは嫌だから。
 パンツを脱ぐと、それを御岳くんに奪われる。

「よくできました」

 いつもは撫でてくれる暖かい手が私に触れられることはなかった。




 ノーパンでデパートを出る。来た時と同じように電車で帰るのかと思うと、御岳くんはタクシーを捕まえて私の手を繋いだままそれに乗り込む。
 ノーパンだったから電車じゃなくて少し安心した。
 タクシーに乗って三十分ほどで御岳くんのマンションに着く。

 今の御岳くんがなにを考えてるのかわからなくて怖い。
 どうしよう。どうしよう。
 そんな私の思いなんて知らない御岳くんは運転手さんにカードを差し出して支払いを終えると、私の手を握ってタクシーを降りる。

 気がついた時には御岳くんの玄関だった。

「ゃ、やだ、なんか怖いよ、御岳くん」

 そのまま御岳くんはいつもの寝室に入ろうとする。
 無言のままの御岳くんが怖くて、私は足に体重をかけて寝室の前で立ち止まって御岳くんを見上げた。

「……なんで、だろうねぇ? 俺もさ、わかんないけどすっげえ腹立ってて。なぁ、なんで依ちゃんのパンツ濡れてたの? いつから?」
「っ、そんなの、わかんないよっ」

 本当はわかってる。きっと御岳くんに太ももを触られた時には濡れてた。
 御岳くんに触れられただけで身体が熱くなってエッチな気分になる。
 全部全部御岳くんのせいだから。

「じゃああの眼鏡男誰。依ちゃんのなに」
「めがね……? なんで寿一くんが出て……きゃあっ!」

 さっきから御岳くんの質問の意図がわからない。

 きょとんと首を傾げると、御岳くんが突然私の腕を掴んでそのままベッドに投げ飛ばすように押し倒された。
 わけがわからない。こんな乱暴なこと今までされたことない。初めての時でさえ、もっと優しかった。
 服を破くんじゃないかってくらい乱暴に脱がされて、すぐに下着一枚になる。

「ゃ、こわいっ……!」
「なんだよ、そのじゅいちくんって……。依ちゃんは、俺のものでしょ? なのに、なんで……っ」
「やだっ、やだっ! なんかこわいよっ! 今の御岳くんこわ、い──っ!」

 ガブッと勢いよく御岳くんが私の肩に噛み付く。噛み切られるんじゃないかって思うくらいに痛くて、瞳から涙が溢れてくる。
 それでも私の身体は御岳くんにされたことで濡れ始めて、御岳くんを受け入れる準備を始める。

 御岳くんに初めて無理矢理された時でさえなかった強い恐怖から、御岳くんを否定する。

「ゃ、だっ、ねぇっ! やだっ、おまんこにゆびいれないでよぉっ!」
「うるさい。淫乱のくせに。気持ち良くしてくれるなら誰でもいいんでしょ」
「ちが、やぁあうっ!」

 普段なら頭が狂うくらいイカせられるのに、それもなく指をただ機械的に入れられて、濡れたのを確認するとすぐに御岳くんのおちんちんが入ってくる。
 嫌なのに、こんなの怖いのに、御岳くんのおちんちんが挿れられて快感を感じる身体はこんなのでもイッてしまう。

 なんで、なんで? なんでえ?
 ボロボロと涙が溢れて止まらない。

「やだ、やだっ、こわいよぉ、やだあっ」
「っ、男に会ったからかよ…….ッ」
「ひっ、」

 くるんと身体をうつ伏せにされる。
 必然的に私の目の前には枕が、御岳くんの顔が見えない。
 こんなの今までしたことない。いつも御岳くんの顔が見えてた。いつもは楽しそうで、優しくて、汗を掻きながら蕩けるような笑みを浮かべる御岳くんの顔が。

「ゃ、ぶっ、ふっ、」
「依、依は、俺のものだから、今さら、無理、」

 枕を抱き締めながら、それに顔を押し付ける。
 こわい。いつもは御岳くんの肩に回す腕の行き場がなくて、枕を抱き締めるけど温かくない。体温を感じない。
 やだ、こんなのやだ。御岳くんが見えない。御岳くんがわかんない。

「ひっ、ゃんンッ!」
「依は俺の、だからッ、今さら他の男に股開くとか許さないッ」
「ふっ、ぅうっ、」

 普段とは違う。今日は御岳くんのおちんちんが存在を大きく主張して、いつもとは違う場所まで突いてくる。
 御岳くんに強く奥を突かれるたびに、頭を真っ白にさせて絶頂してしまう。
 だけど、怖くて。声を出さないように枕に顔を埋めてどうにかやり過ごそうとする。

「ッ、ちゃんと、受精しろ……ッ!」
「~~~~~~~ッッ!!」

 私のナカで御岳くんのおちんちんが膨らんで、爆ぜる。いつもと同じ。だけどいつもとは違うのは、熱い熱いものが私の奥へと入り込んできたこと。
 今さらながらに考える。

 御岳くん、コンドーム、つけてた……?

「ひっ、いやいやいやっ! やだあっ! 抜いてッッ!」
「ふ、は……」
「やだぁあああっ! にんしんしちゃ、あかちゃんできちゃうよおっ!」

 長い長い射精が続く。私が暴れると、一纏めに両手首を掴まれて頭の上で固定される。御岳くんが私の身体を押し潰すように上に乗ってるせいで逃げられない。
 どくどくと私の子宮に入ってくる御岳くんの精液。
 私は血の気を失って、御岳くんの行動に拒否の言葉を叫ぶけど、そのくせ身体は絶頂し続ける。

「やだっ、やだよっ、たすけてよおっ!」

 射精が終わる。御岳くんのおちんちんが抜けると思って安堵してる私を裏切って、私のナカで御岳くんのおちんちんは硬くなっていく。

 うそ、こんなのうそだ。
 やだ。やだよ。

「ま、ひろ、まひろ、まひろぉ! こんなのやだあっ!」
「だめ、ぜったい、ゆるさない」

 夢を見てるようなぼーっとしたまひろの声が耳元でリフレインする。

 なんで、なんでこんな強引なことするの? 最初したときでさえ避妊してくれた。コンドームをつけずにエッチなんてしなかったのに。
 なんで、なにが悪かったの?

「ごめんなさ、あやまるからやだあっ、あかちゃん、やだよおっ! もうイキたくにゃいぃいっ!」

 ボロボロと泣きながらまひろに奥を突かれて絶頂する。
 ゴポッとまひろが出した精液がまひろのおちんちんで掻き出されて変な音が聞こえる。

 まひろ、まひろまひろ。見えない。顔が見えない。あったかくない。冷たいの。寒いよ。

「も、たすけて、まひろぉ……ッ!」

 抱き締めて。あっためて。
 お願いだから顔を見せてよ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

愛娘(JS5)とのエッチな習慣に俺の我慢は限界

レディX
恋愛
娘の美奈は(JS5)本当に可愛い。そしてファザコンだと思う。 毎朝毎晩のトイレに一緒に入り、 お風呂の後には乾燥肌の娘の体に保湿クリームを塗ってあげる。特にお尻とお股には念入りに。ここ最近はバックからお尻の肉を鷲掴みにしてお尻の穴もオマンコの穴もオシッコ穴も丸見えにして閉じたり開いたり。 そうしてたらお股からクチュクチュ水音がするようになってきた。 お風呂上がりのいい匂いと共にさっきしたばかりのオシッコの匂い、そこに別の濃厚な匂いが漂うようになってきている。 でも俺は娘にイタズラしまくってるくせに最後の一線だけは超えない事を自分に誓っていた。 でも大丈夫かなぁ。頑張れ、俺の理性。

【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。

雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。 ——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない) ※完結直後のものです。

【完結】Mにされた女はドS上司セックスに翻弄される

Lynx🐈‍⬛
恋愛
OLの小山内羽美は26歳の平凡な女だった。恋愛も多くはないが人並に経験を重ね、そろそろ落ち着きたいと思い始めた頃、支社から異動して来た森本律也と出会った。 律也は、支社での営業成績が良く、本社勤務に抜擢され係長として赴任して来た期待された逸材だった。そんな将来性のある律也を狙うOLは後を絶たない。羽美もその律也へ思いを寄せていたのだが………。 ✱♡はHシーンです。 ✱続編とは違いますが(主人公変わるので)、次回作にこの話のキャラ達を出す予定です。 ✱これはシリーズ化してますが、他を読んでなくても分かる様には書いてあると思います。

男友達を家に入れたら催眠術とおもちゃで責められ調教されちゃう話

mian
恋愛
気づいたら両手両足を固定されている。 クリトリスにはローター、膣には20センチ弱はある薄ピンクの鉤型が入っている。 友達だと思ってたのに、催眠術をかけられ体が敏感になって容赦なく何度もイかされる。気づけば彼なしではイけない体に作り変えられる。SM調教物語。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

下品な男に下品に調教される清楚だった図書委員の話

神谷 愛
恋愛
クラスで目立つこともない彼女。半ば押し付けれられる形でなった図書委員の仕事のなかで出会った体育教師に堕とされる話。 つまらない学校、つまらない日常の中の唯一のスパイスである体育教師に身も心も墜ちていくハートフルストーリー。ある時は図書室で、ある時は職員室で、様々な場所で繰り広げられる終わりのない蜜月の軌跡。 歪んだ愛と実らぬ恋の衝突 ノクターンノベルズにもある ☆とブックマークをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

処理中です...