3 / 23
03
しおりを挟む
オスカー様と初めて会ったとき、天使様かと思った。
プラチナブロンドの髪は光に反射して天使の輪を作り出していて、綺麗な碧い瞳は気弱そうにおどおどとしていて愛らしい。
それと同時に思い浮かんだのは、好きな子をいじめちゃう男の子のように、私がオスカー様をいじめる姿。そしてそれは連鎖のように次々と頭の中にスチルが浮かんでは消えた。
好きだからっていじめちゃダメ。
私、いつかこの天使様に罰さられちゃうんだ。
「ぼく、オスカー。きみは?」
そう言って手を伸ばす王子様。いつか私を断罪する人。光に照らされた天使様の手を取って、私は微笑む。
「ソフィア・ロマンスです、オスカーさま」
そう。私はソフィア・ロマンス。悪役令嬢だ。
しゅるりという布擦れの音と、解放感で目が覚めた。
「な、に……?」
「おはよう、ソフィー。ずいぶん気持ち良さそうに寝てたんだね」
私のドレスを落としたオスカー様が笑ってる。そこでやっと自分の状況を思い出した。
私、絶頂して気絶しちゃったんだ。
きょろきょろと辺りを見渡して気付く。ここ、外じゃない。城の中だ。それも、きっとオスカー様の寝室。
しかも脱がされてる。私、全裸になってる。そしてオスカー様も上半身裸だ。
「やだっ!」
驚いて腕で胸を隠す。自分の腕が自由になってることにホッとして、身体を動かそうとする。
「な、んで?」
足を持ち上げようと気付いた。じゃらりと重たい音を立てた、自分の足首に繋がれたもの。
「くさりって、え? オスカー様……?」
オスカー様を見ると、にっこりと微笑んでる。いつもと変わらない笑みだからこそ、それが恐ろしい。
「本当はね、僕もこんなことしたくなかったんだよ? でも、僕のソフィーは一人にすると、男を誘うみたいだからねぇ。仕方ないよね」
「そんなこと……!」
「しないって? 実際アルドルフに迫ってたじゃない」
その通りだけど、それには訳があって、というか私って婚約破棄されるんじゃないの? なんで監禁されようとしてるの?
ああ、どうしよう。訳が分からなくなってきた。
いったん話を整理したい。
「さて、始めようか」
「え、あっ……」
ゆっくりと肩を押されて倒れ込む。
馬乗りになったオスカー様は、今度は笑ってない。ただ優しい碧い瞳をギラギラとさせてる。本気だとわかるその目から逃げ出したい。
でもこんな、訳の分からないまま犯されて、捨てられるなんてイヤだ。
「まっ、てくだ……あっ、」
「待たない」
「ひっ!」
オスカー様の唇が私の耳に触れる。くすぐったさにピクンと身体を揺らすと、舌が私の耳を入ってきた。
なに、これ。なんなの、やだ、なんかやだっ!
「ゃあ"っ、ふっ、ふーっ、ふーっ!」
「……は、息が荒いね、ソフィー。耳を舐められるのが好き?」
尖った舌が耳をほじくる。ゾクゾクとした快感が登ってくる。やだ、この身体耳が弱いんだ。
声を出さないように口を手で抑えるけど、そうすると息が荒くなって仕方ない。
ぴちゃぴちゃと耳を舐められる音と、私の荒い息が空間を支配する。
「ゃ、ぁ"っ、ふーっ、まっ、いっちゃ、ゔ、んぅ~~ッッ!」
オスカー様の肩に爪を立てながら、びくびくっと身体が跳ねる。うそ、うそ。ただ耳を舐められただけなのに。
イッてる間にオスカー様は私の耳にチュッとキスをして、顔を上げた。
「敏感な身体だねぇ。淫乱」
「ぁ"あっ!」
剥き出しの乳首を指で弾かれる。快感の上に快感。本能的に涙が溢れて、シーツへと落ちた。
淫乱じゃない、って言いたいけど、私の身体はたしかに敏感過ぎる。ひどい。いらない、こんなの。
わけわかんなすぎてぶわっと大粒の涙が溢れた。
「ふっ、も、ゃらぁあ~~っ! ど、してオスカーさま、ひどいぃっ!」
声に出して大泣きする。ほんきでもうやだ。なんなの、これ。私悪くないし。悪いのオスカー様だし。悪役令嬢の淫乱な身体とか私のせいじゃないしぃいっ! どうして私がこんなことされなくちゃいけないのぉっ!
「……泣いてるソフィーかわいい」
ポツリと言ったの聞こえたからぁっ!
かわいいって言われて嬉しくなっちゃう自分が恨めしい。でも、だって、好きな人にかわいいとか言われたら嬉しいんだもの……。
結局オスカー様が好きなんだもの……。チョロい悪役令嬢とかまじ需要ない……。
「もう家に帰らせてくださいぃっ!」
「それは無理だよ」
「なんでですかぁっ!」
「孕ませるから」
……は?
「ソフィーが僕の子どもを孕むまで、この部屋から出さないから」
………………は?
にこにこと笑いながらのオスカー様の言葉に、びっくりしすぎて思わず涙も引っ込む。
え、腹ボテエンドなの? オスカー様のお部屋で輪姦レイプされるの? まさか。一応王太子の寝室だよ。そんなわけないよ。
なにか言わなくちゃ、なにか、なにか。
「いっ、いやですっ!」
「──は?」
「ひっ!」
真顔。笑顔からの真顔。オスカー様から表情が消えた。
「ちがっ、ちがくてっ、話を、はなしをしたいんですっ!」
まずい。まずいまずい。なんかよくわからないけどオスカー様の瞳孔が開いてる。
話をしなくちゃ。そう、話し合い。とっても建設的な話し合い。このままじゃお互いによくないと思う。
あとどうでもいいけど震えが止まらない。
「あんまり聞きたくないなぁ。話をして、それ、僕になんの利益があるの? 僕はこのままソフィーを逃がさないようにするだけなんだけど」
「そ、それがよくわからないんですっ!」
「はぁ?」
私の言葉にオスカー様はめんどくさそうに首をかしげる。
でも、よくわからないんだもの。本当にわからないんだもの。
「どうしてオスカー様がわたくしを逃がさないようにするんですか? だって、オスカー様は……」
ああ、いやだ。言葉にしたくない。でも、しなくちゃ始まらない。
「アステルと、お付き合いを始めたんでしょう?」
私の言葉にオスカー様がベッドから落ちた。
プラチナブロンドの髪は光に反射して天使の輪を作り出していて、綺麗な碧い瞳は気弱そうにおどおどとしていて愛らしい。
それと同時に思い浮かんだのは、好きな子をいじめちゃう男の子のように、私がオスカー様をいじめる姿。そしてそれは連鎖のように次々と頭の中にスチルが浮かんでは消えた。
好きだからっていじめちゃダメ。
私、いつかこの天使様に罰さられちゃうんだ。
「ぼく、オスカー。きみは?」
そう言って手を伸ばす王子様。いつか私を断罪する人。光に照らされた天使様の手を取って、私は微笑む。
「ソフィア・ロマンスです、オスカーさま」
そう。私はソフィア・ロマンス。悪役令嬢だ。
しゅるりという布擦れの音と、解放感で目が覚めた。
「な、に……?」
「おはよう、ソフィー。ずいぶん気持ち良さそうに寝てたんだね」
私のドレスを落としたオスカー様が笑ってる。そこでやっと自分の状況を思い出した。
私、絶頂して気絶しちゃったんだ。
きょろきょろと辺りを見渡して気付く。ここ、外じゃない。城の中だ。それも、きっとオスカー様の寝室。
しかも脱がされてる。私、全裸になってる。そしてオスカー様も上半身裸だ。
「やだっ!」
驚いて腕で胸を隠す。自分の腕が自由になってることにホッとして、身体を動かそうとする。
「な、んで?」
足を持ち上げようと気付いた。じゃらりと重たい音を立てた、自分の足首に繋がれたもの。
「くさりって、え? オスカー様……?」
オスカー様を見ると、にっこりと微笑んでる。いつもと変わらない笑みだからこそ、それが恐ろしい。
「本当はね、僕もこんなことしたくなかったんだよ? でも、僕のソフィーは一人にすると、男を誘うみたいだからねぇ。仕方ないよね」
「そんなこと……!」
「しないって? 実際アルドルフに迫ってたじゃない」
その通りだけど、それには訳があって、というか私って婚約破棄されるんじゃないの? なんで監禁されようとしてるの?
ああ、どうしよう。訳が分からなくなってきた。
いったん話を整理したい。
「さて、始めようか」
「え、あっ……」
ゆっくりと肩を押されて倒れ込む。
馬乗りになったオスカー様は、今度は笑ってない。ただ優しい碧い瞳をギラギラとさせてる。本気だとわかるその目から逃げ出したい。
でもこんな、訳の分からないまま犯されて、捨てられるなんてイヤだ。
「まっ、てくだ……あっ、」
「待たない」
「ひっ!」
オスカー様の唇が私の耳に触れる。くすぐったさにピクンと身体を揺らすと、舌が私の耳を入ってきた。
なに、これ。なんなの、やだ、なんかやだっ!
「ゃあ"っ、ふっ、ふーっ、ふーっ!」
「……は、息が荒いね、ソフィー。耳を舐められるのが好き?」
尖った舌が耳をほじくる。ゾクゾクとした快感が登ってくる。やだ、この身体耳が弱いんだ。
声を出さないように口を手で抑えるけど、そうすると息が荒くなって仕方ない。
ぴちゃぴちゃと耳を舐められる音と、私の荒い息が空間を支配する。
「ゃ、ぁ"っ、ふーっ、まっ、いっちゃ、ゔ、んぅ~~ッッ!」
オスカー様の肩に爪を立てながら、びくびくっと身体が跳ねる。うそ、うそ。ただ耳を舐められただけなのに。
イッてる間にオスカー様は私の耳にチュッとキスをして、顔を上げた。
「敏感な身体だねぇ。淫乱」
「ぁ"あっ!」
剥き出しの乳首を指で弾かれる。快感の上に快感。本能的に涙が溢れて、シーツへと落ちた。
淫乱じゃない、って言いたいけど、私の身体はたしかに敏感過ぎる。ひどい。いらない、こんなの。
わけわかんなすぎてぶわっと大粒の涙が溢れた。
「ふっ、も、ゃらぁあ~~っ! ど、してオスカーさま、ひどいぃっ!」
声に出して大泣きする。ほんきでもうやだ。なんなの、これ。私悪くないし。悪いのオスカー様だし。悪役令嬢の淫乱な身体とか私のせいじゃないしぃいっ! どうして私がこんなことされなくちゃいけないのぉっ!
「……泣いてるソフィーかわいい」
ポツリと言ったの聞こえたからぁっ!
かわいいって言われて嬉しくなっちゃう自分が恨めしい。でも、だって、好きな人にかわいいとか言われたら嬉しいんだもの……。
結局オスカー様が好きなんだもの……。チョロい悪役令嬢とかまじ需要ない……。
「もう家に帰らせてくださいぃっ!」
「それは無理だよ」
「なんでですかぁっ!」
「孕ませるから」
……は?
「ソフィーが僕の子どもを孕むまで、この部屋から出さないから」
………………は?
にこにこと笑いながらのオスカー様の言葉に、びっくりしすぎて思わず涙も引っ込む。
え、腹ボテエンドなの? オスカー様のお部屋で輪姦レイプされるの? まさか。一応王太子の寝室だよ。そんなわけないよ。
なにか言わなくちゃ、なにか、なにか。
「いっ、いやですっ!」
「──は?」
「ひっ!」
真顔。笑顔からの真顔。オスカー様から表情が消えた。
「ちがっ、ちがくてっ、話を、はなしをしたいんですっ!」
まずい。まずいまずい。なんかよくわからないけどオスカー様の瞳孔が開いてる。
話をしなくちゃ。そう、話し合い。とっても建設的な話し合い。このままじゃお互いによくないと思う。
あとどうでもいいけど震えが止まらない。
「あんまり聞きたくないなぁ。話をして、それ、僕になんの利益があるの? 僕はこのままソフィーを逃がさないようにするだけなんだけど」
「そ、それがよくわからないんですっ!」
「はぁ?」
私の言葉にオスカー様はめんどくさそうに首をかしげる。
でも、よくわからないんだもの。本当にわからないんだもの。
「どうしてオスカー様がわたくしを逃がさないようにするんですか? だって、オスカー様は……」
ああ、いやだ。言葉にしたくない。でも、しなくちゃ始まらない。
「アステルと、お付き合いを始めたんでしょう?」
私の言葉にオスカー様がベッドから落ちた。
18
お気に入りに追加
6,170
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜
茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。
☆他サイトにも投稿しています
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
婚約破棄したい悪役令嬢と呪われたヤンデレ王子
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「フレデリック殿下、私が十七歳になったときに殿下の運命の方が現れるので安心して下さい」と婚約者は嬉々として自分の婚約破棄を語る。
それを阻止すべくフレデリックは婚約者のレティシアに愛を囁き、退路を断っていく。
そしてレティシアが十七歳に、フレデリックは真実を語る。
※王子目線です。
※一途で健全?なヤンデレ
※ざまああり。
※なろう、カクヨムにも掲載
王太子殿下が好きすぎてつきまとっていたら嫌われてしまったようなので、聖女もいることだし悪役令嬢の私は退散することにしました。
みゅー
恋愛
王太子殿下が好きすぎるキャロライン。好きだけど嫌われたくはない。そんな彼女の日課は、王太子殿下を見つめること。
いつも王太子殿下の行く先々に出没して王太子殿下を見つめていたが、ついにそんな生活が終わるときが来る。
聖女が現れたのだ。そして、さらにショックなことに、自分が乙女ゲームの世界に転生していてそこで悪役令嬢だったことを思い出す。
王太子殿下に嫌われたくはないキャロラインは、王太子殿下の前から姿を消すことにした。そんなお話です。
ちょっと切ないお話です。
悪役令嬢の生産ライフ
星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。
女神『はい、あなた、転生ね』
雪『へっ?』
これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。
雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』
無事に完結しました!
続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。
よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる