おや? 婚約者の様子が……

りんごちゃん

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「どうして僕がソフィーが外に出る許可をあげると思ったの?」

 にこやかな笑顔のまま首をかしげるオスカー様に悪寒が走った。
 いつものように深夜に私の部屋に来たオスカー様に「城下に行きたいのですけど、いいですか?」と訊ねたら、こう返答をもらった。
 逆に「どうしてオスカー様から許可を貰わなければいけないの?」と思ったけど、墓穴は掘らない。そんなことを言えば、『監禁生活再び~今度は鎖で繋がれるだけじゃ止まらない~』が始まってしまう。
 想像できるところがオスカー様の怖いところです。どうしてこうなったんだろう……。

「で、でも、こんな生活は身体に悪影響だと思うんです」
「昼には起きれるように手加減してあげてると思うけどなぁ」

 衝撃で固まってしまった。
 自覚してヤッてたんですか、オスカー様……! というかあれで手加減? 手加減してるつもりなんですか? 手加減とはなんぞや。
 たぶんオスカー様は手加減って言葉を知らないと思う。

「ねぇ、ソフィー。この世には僕とソフィーだけがいればいいと思わない?」

 甘く耳元で囁かれる。ねっとりと執着心を含んだ甘い声は確かに愛されているのだとわかるのに、内容が内容だけにうっとりとできない。
 思わない。全く思いません。
 なんて恐ろしいことを考えるんだ。王子様というより、魔王様寄りの考えです、それは。
 だけど、悲しいかな。そんなこと考えてはいけませんと諌めるはずの私は言葉が出てこない。

「ねぇ、思わない?」
「思います」

 そして私は屈した。満足そうに頷くオスカー様はゆっくりと私の肩に手を伸ばし、そのままベッドへと押し倒す。
 長い指先に首筋を擽られて身動ぎをすると、オスカー様は楽しそうにそのまま擽るくせに、私がオスカー様の元から逃げ出すことを許してはくれない。

「おすかーさま、やめてぇ……」

 半泣きになりながら懇願する。擽ったいのは苦手。情事を連想させるようなオスカー様の指に翻弄される私。でも誘惑に負けちゃいけないと思って、オスカー様を見つめる。
 それなのに、オスカー様は私の夜着に手をかけた。
 待って。どうしてそうなるの。
 困った顔をした私に気がついたオスカー様が唇を舐めながら、私の胸に爪を立てる。

「ソフィーのその顔を見てるとすごく興奮する」

 やっぱりオスカー様は王子様という名の魔王様なのでは。
 月明かりに照らされたオスカー様の笑みは美しいのに、美しすぎて人外に見えてしまう。もしも悪魔です、と言われても全然全く違和感がない。怖い。

「オスカーさま、今日は話し合いを、んんっ!」
「話し合いなら終わったじゃない。これ以上なにか話し合うことがあった?」

 にこにこと有無を言わさない笑顔で、オスカー様は私の夜着を剥ぎ取る。それでなくても薄くて心許なかった夜着は簡単に私の肌を丸見えにさせた。
 そもそもどうして私の夜着は脱がせやすいようにされてるの? どうして防寒の役割を果たしてないの? どうしてと思いながらも答えが見えちゃう自分が憎い。公爵家になんらかの圧力がかかってますよね、絶対に。
 笑顔で私を脅してくるオスカー様怖い。
 話し合うっていうか、オスカー様が却下して終わっただけだよね? 話し合いとかなかったよね?
 結果的にこの世に私とオスカー様以外いなくなればいいのにっていう魔王寄りの考えに頷かされただけだと思います。

「あっ……、ひぃうっ!」
「ソフィーはココ、すごく弱いよね」

 くすくすと笑いながら、オスカー様は長くてゴツゴツとした指で私の胸の飾りを摘む。すぐにゾクゾクとした快感がそこを中心に広がったことがわかった。
 泣きそうになりながら、私を見下ろすオスカー様を見つめる。
 もうやめてほしい。そんな願いを込めてみるけど、たぶん伝わっててもオスカー様はやめてくれない。それがわかってしまうのがなんかいやだ。

「ねぇ、気づいてる?」

 意地悪くオスカー様が笑って口を開く。

「これ、手加減なく摘んでるから普通の人だったら痛いんだよ。それに気持ちよくなっちゃうなんて、ソフィーは変態だよねぇ」

 は、と息が漏れた。一瞬私の時間が止まった気がする。
 ふるふると首を振る。何度も何度も首を振る。現実と向き合いたくない。私がドMだなんて認めたくない……!
 でも、もしも、仮に、私がドMだとして、それは絶対オスカー様のせいだと思うの。絶対に。絶対にだ。

「も、ゃあ……、あッ!」
「嘘つき。もうどろどろに蕩けてるよ。──舐めたらすごく美味しそう」
「ひっ!」
「想像したの? きゅうきゅう締め付けてくるね」

 オスカー様の指が膣内に入ってきた。濡れているそこは簡単にオスカー様の指を飲み込んで、膣壁を擦られて自然と腰が動いてしまう。
 それだけでも大変なのに、舐められたらきっと死ぬ。死んでしまう。
 そう思うのに、何故かお腹の奥がきゅっと熱くなる。自分の身体なのに自分の身体じゃないみたい。
 うう、やだぁ。私はドMじゃないぃ。そう思うのに、身体はどんどん切なくなってきた。オスカー様の指は私のナカを味わうように、時折動くだけで決定的な快感には程遠い。

「ソフィーのまんこは熱くてどろどろで、はぁ……、ずっと僕ので塞いでおきたいなぁ」
「やっ、おすかーさまぁ……」
「どうしたの、ソフィー」

 わかっているはずなのに、オスカー様は意地悪だ。ドSだ。サドだ。悪魔だ。頭の中でオスカー様を罵るけど、それを現実に言葉にできるはずもない。
 現実に言ったらどうなるか、想像するだけでも泣けるのだけど。

「おねがい……」

 媚びるようにオスカー様を見つめる。
 もう挿れてほしい。オスカー様に毎日のように慣らされた身体はオスカー様を欲してて、切なくてたまらない。

「ソフィー、欲しいならわかってるでしょう?」
「ぁ……」
「真っ赤に腫れ上がったさくらんぼみたいに美味しそうなところを先に可愛がってもいいならそれでもいいけど」
「んあっ! ゃああっ」

 ぴん、と胸の中心を指で弾かれた。
 オスカー様の言いたいことはわかってる。わかってるんだけど! 言いたくない!
 でも、オスカー様の捕食者のような瞳がそれを許さない。たぶん、言うまでオスカー様は胸責めする。言うまで胸でイかせるつもりだ。たぶん言ってもすぐに言わなかったお仕置きとか言って限界まで胸でイかされる。そんなことになったら私は死ぬ。

「どうする?」

 選択肢を選ばせているようで、選ばせていないオスカー様が晴れやかな笑顔で訊ねる。
 私は半泣きになりながら足を開いて口を開いた。

「おすかーさまの、おっきなおちんぽ、くださいぃ……」

 最近は「オスカー様のおちんぽください」だと挿れてもらえない。曰く「ソフィーの自主性を重んじないとね」らしい。そんなのいらない。
 どんどん私がエッチな子になってくぅ……。

「やだ」

 とっても輝かしい笑顔だった。まるで天使様のように美しかった。
 悪魔みたいな返事だったけど。

「あぅ、あうぅ……!」
「はは、言葉喋れてないよ、ソフィー」
「だって、だって、どうしてオスカーさまぁ……!」

 恥ずかしい格好もして、恥ずかしい言葉も言ったのに。
 泣きながらオスカー様を見つめると、オスカー様がちゅうっと私の涙を吸う。違う。そうじゃない。
 わかってるくせに。
 そういう思いを込めて睨みつけるようにオスカー様を見つめると、オスカー様は晴れやかな笑顔を崩さずにうっとりと私の頬を撫でながら口を開く。

「だって、ソフィーはどこに欲しいのか言ってないよ? 誰のどこに、誰のなにが欲しいのか。ちゃんと言わなくちゃあげられないよねぇ?」

 鬼がいた。
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