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「それにしても」
ひとしきり女性同士のお話しをて、ミスティア様が少しだけ怒ったように話を変えた。
「ひどいのはエドガー様よね」
先ほどまでは私の着ている服のことで盛り上がっていた。
聖世祭の開会の挨拶の時とは違って、今着ているのはカムイ様の黄金の瞳を薄くしたような淡い黄色のドレスというよりワンピース仕様。後ろが紐で背中が見えるようになっているのが少しだけ気恥ずかしい。けれどカムイ様に「綺麗な背中だ」と褒めてもらえてとても嬉しかった。
やっぱりこの服もなめらかでツヤツヤ光沢を放っているような材料でできていて、ミスティア様はそれがとても気になっていた様子だった。
その話が突然終わり、ミスティア様は思い出しようにムッとしたような表情を浮かべる。
「あんなにローズは彼に尽くしていたのに。婚約破棄だなんて。その上他の女性を選ぶだなんて信じられない」
「でも、私にも悪いところがあったのだわ」
途中でお互い気兼ねなく話しましょう、ということで丁寧に話すことはやめた。
私の言葉を聞いて、ミスティア様は「違うわ」と首を振る。
「どう考えても悪いのはあちらよ」
「でも」
「そもそも婚約したものを破棄することが信じられないわ。それに他の女性を選んだって……。エドガー様に選ぶ権利はなかったのに」
たしかにミスティア様の言う通りだった。
エドガー様が第二王子としての矜持をそのままにしていたいのなら、私と婚姻するほかなかった。
王族に次いで発言権を持つアウレリア公爵家の一人娘と婚姻することで、次期アウレリア公爵として表舞台に立つことができるのだから。
エドガー様が私と婚約することができたのは私の恋心と陛下の御力のおかげ。
本来であれば私の婚約者には幼馴染であった侯爵家の次男だった。
それを陛下がアウレリア公爵家に頼み込み、私にエドガー様へのお気持ちがあったから、この婚約は成り立ったのだ。
エドガー様が臣下として王族以外に頭を下げられるのであれば、私を選ばずとも済んだのだけど、プライドの高いエドガー様にそんなことはできないと判断して、陛下は愛する息子のために王族に近しい権力を持つアウレリア公爵家に婚約を厳命させた。
でも、こうして私ではなくアリーゼ様を選んだということはプライドの高いエドガー様は一貴族として生きることを決めたのだろう。
愛の力は偉大だと思う。
「私はこうして白龍様とお逢いできて幸せだから……」
「ローズ」
「だから、もういいの」
どうでもいい。カムイ様以外、どうでもいいの。
カムイ様がいれば私は幸せになれるってもうわかったもの。
そう言って笑うと、どうしてかミスティア様は不安そうに瞳を揺らす。どうしてこんなに幸せなのに、ミスティア様はそれを疑うような瞳をするのだろう。
「カムイ様はとてもお優しくて、私を甘やかしてくれるの。すごくね、幸せで……」
「ローズ、でも、あなた、叔父様と叔母様はどうするの?」
「お父様とお母様?」
どうしてその二人の名前が出るのだろう?
「きっとおふたりともローズのことを心配しているわ。一度、叔父様たちに挨拶はできないの?」
ミスティア様の言葉はたしかに正論だった。
お父様とお母様はこんな私でも大切に育てくれていた。両親の愛情を疑ったことはない。
けれど、肉親よりも今はカムイ様のほうが大事。カムイ様と離れたくない。カムイ様とずっと一緒にいたい。
それでなくても私の命は短くて、カムイ様と生きる時間が少ないのだから、私が生きてる間はもうカムイ様と離れたくない。
「お父様とお母様には申し訳ないけれど、私はもうカムイ様と離れたくないの。ずっとずっと一緒にいたいの。離れたくないの……」
ほんの少しの時間でも。この時間さえ、少しだけ疎ましく思ってる。
離れているとはいえ、カムイ様はこの部屋にいる。だけどそれじゃ足りないの。ずっと近くにいて、ずっと触れていたい。
いやらしい考えなのかな。そんなこと考えちゃダメかな。でも、不安で怖くなる。カムイ様が私を捨ててしまったら、って思うと不安で不安で胸を掻きむしりたい気持ちに駆られる。
「情熱的なのね」
「情熱的……なのかしら?」
「そうよ。白龍様のこと、愛しているのね」
あいしてる、なんて。
そんな言葉じゃ足りない。カムイ様への気持ちは狂おしいほどで、カムイ様の私への気持ちが消えてしまうくらいなら死んでしまうことを望んでる。
きっと愛してる以上の言葉があればそれを使って、いつかその言葉でも足りなくなると思う。
でも、面と向かって言えないだろう。愛してる、なんて、いえない。
だって、私が愛してると言った人はみんな私を捨てた。みんな、みんなみんな。前世も今世も。
カムイ様に愛してると伝えたらどうなるの? カムイ様も私を捨てるの? 他の女を選ぶの?
──そんなの、耐えられない。
そう思ってしまう自分が一番嫌。
「そう、ね。白龍様のこと、だいすきなの」
すき、すきすきだいすき。──あいしてる。
けど、それは言っちゃいけないのだわ。絶対に。
言ったら終わり。捨てられちゃう。
「ローズ……?」
訝しげな表情を浮かべるミスティア様に向かってにっこりと笑みを浮かべる。
「ベル」
「カムイ様」
カムイ様に呼ばれて振り返ると、カムイ様がすぐ後ろに立っていた。
ふにゃりと、先ほどまでの作り笑いが本当の笑みに変わる。カムイ様を前にすると、顔が崩れちゃう。
「一度国に帰るか」
「……え?」
けれどカムイ様から発せられた言葉に固まった。
国? 国って、そういうことなの? カムイ様はここにきて、素敵な人を見つけてしまった? 同じ時間を生きる、素敵な人を。だから私は捨てられてしまうの? 私はもう用済みなの?
いや、いや。そんなのいや。
「安心せよ。そなた一人にはさせぬ。無論、我と共に、だ」
「カムイ様と、ですか……」
カムイ様が私を安心させるように顎を長い指で撫でてくる。簡単な私はカムイ様の言葉に心底ホッとして、カムイ様を見上げた。
カムイ様と一緒に国へ帰る。カムイ様と、カムイ様と?
私の生まれ育った街を、屋敷をカムイ様に見ていただく……。
「んむ。嬉しいか?」
「はい、カムイ様……。少し恥ずかしいけど、カムイ様にわたくしを知っていただけるなんて嬉しくて嬉しくてたまりません」
私の全てを暴かれるのは、恥ずかしくて、照れくさくて、けどたまらなく嬉しい。
カムイ様にすべてを捧げたい。カムイ様が望むならこの命だって惜しくはない。
「愛いやつめ。我にそなたの生まれ故郷を見せておくれ」
「はい、カムイ様。あなたが望むのなら」
ずっとずっとあなたとともにいられるなら、それはどこだっていいの。
ひとしきり女性同士のお話しをて、ミスティア様が少しだけ怒ったように話を変えた。
「ひどいのはエドガー様よね」
先ほどまでは私の着ている服のことで盛り上がっていた。
聖世祭の開会の挨拶の時とは違って、今着ているのはカムイ様の黄金の瞳を薄くしたような淡い黄色のドレスというよりワンピース仕様。後ろが紐で背中が見えるようになっているのが少しだけ気恥ずかしい。けれどカムイ様に「綺麗な背中だ」と褒めてもらえてとても嬉しかった。
やっぱりこの服もなめらかでツヤツヤ光沢を放っているような材料でできていて、ミスティア様はそれがとても気になっていた様子だった。
その話が突然終わり、ミスティア様は思い出しようにムッとしたような表情を浮かべる。
「あんなにローズは彼に尽くしていたのに。婚約破棄だなんて。その上他の女性を選ぶだなんて信じられない」
「でも、私にも悪いところがあったのだわ」
途中でお互い気兼ねなく話しましょう、ということで丁寧に話すことはやめた。
私の言葉を聞いて、ミスティア様は「違うわ」と首を振る。
「どう考えても悪いのはあちらよ」
「でも」
「そもそも婚約したものを破棄することが信じられないわ。それに他の女性を選んだって……。エドガー様に選ぶ権利はなかったのに」
たしかにミスティア様の言う通りだった。
エドガー様が第二王子としての矜持をそのままにしていたいのなら、私と婚姻するほかなかった。
王族に次いで発言権を持つアウレリア公爵家の一人娘と婚姻することで、次期アウレリア公爵として表舞台に立つことができるのだから。
エドガー様が私と婚約することができたのは私の恋心と陛下の御力のおかげ。
本来であれば私の婚約者には幼馴染であった侯爵家の次男だった。
それを陛下がアウレリア公爵家に頼み込み、私にエドガー様へのお気持ちがあったから、この婚約は成り立ったのだ。
エドガー様が臣下として王族以外に頭を下げられるのであれば、私を選ばずとも済んだのだけど、プライドの高いエドガー様にそんなことはできないと判断して、陛下は愛する息子のために王族に近しい権力を持つアウレリア公爵家に婚約を厳命させた。
でも、こうして私ではなくアリーゼ様を選んだということはプライドの高いエドガー様は一貴族として生きることを決めたのだろう。
愛の力は偉大だと思う。
「私はこうして白龍様とお逢いできて幸せだから……」
「ローズ」
「だから、もういいの」
どうでもいい。カムイ様以外、どうでもいいの。
カムイ様がいれば私は幸せになれるってもうわかったもの。
そう言って笑うと、どうしてかミスティア様は不安そうに瞳を揺らす。どうしてこんなに幸せなのに、ミスティア様はそれを疑うような瞳をするのだろう。
「カムイ様はとてもお優しくて、私を甘やかしてくれるの。すごくね、幸せで……」
「ローズ、でも、あなた、叔父様と叔母様はどうするの?」
「お父様とお母様?」
どうしてその二人の名前が出るのだろう?
「きっとおふたりともローズのことを心配しているわ。一度、叔父様たちに挨拶はできないの?」
ミスティア様の言葉はたしかに正論だった。
お父様とお母様はこんな私でも大切に育てくれていた。両親の愛情を疑ったことはない。
けれど、肉親よりも今はカムイ様のほうが大事。カムイ様と離れたくない。カムイ様とずっと一緒にいたい。
それでなくても私の命は短くて、カムイ様と生きる時間が少ないのだから、私が生きてる間はもうカムイ様と離れたくない。
「お父様とお母様には申し訳ないけれど、私はもうカムイ様と離れたくないの。ずっとずっと一緒にいたいの。離れたくないの……」
ほんの少しの時間でも。この時間さえ、少しだけ疎ましく思ってる。
離れているとはいえ、カムイ様はこの部屋にいる。だけどそれじゃ足りないの。ずっと近くにいて、ずっと触れていたい。
いやらしい考えなのかな。そんなこと考えちゃダメかな。でも、不安で怖くなる。カムイ様が私を捨ててしまったら、って思うと不安で不安で胸を掻きむしりたい気持ちに駆られる。
「情熱的なのね」
「情熱的……なのかしら?」
「そうよ。白龍様のこと、愛しているのね」
あいしてる、なんて。
そんな言葉じゃ足りない。カムイ様への気持ちは狂おしいほどで、カムイ様の私への気持ちが消えてしまうくらいなら死んでしまうことを望んでる。
きっと愛してる以上の言葉があればそれを使って、いつかその言葉でも足りなくなると思う。
でも、面と向かって言えないだろう。愛してる、なんて、いえない。
だって、私が愛してると言った人はみんな私を捨てた。みんな、みんなみんな。前世も今世も。
カムイ様に愛してると伝えたらどうなるの? カムイ様も私を捨てるの? 他の女を選ぶの?
──そんなの、耐えられない。
そう思ってしまう自分が一番嫌。
「そう、ね。白龍様のこと、だいすきなの」
すき、すきすきだいすき。──あいしてる。
けど、それは言っちゃいけないのだわ。絶対に。
言ったら終わり。捨てられちゃう。
「ローズ……?」
訝しげな表情を浮かべるミスティア様に向かってにっこりと笑みを浮かべる。
「ベル」
「カムイ様」
カムイ様に呼ばれて振り返ると、カムイ様がすぐ後ろに立っていた。
ふにゃりと、先ほどまでの作り笑いが本当の笑みに変わる。カムイ様を前にすると、顔が崩れちゃう。
「一度国に帰るか」
「……え?」
けれどカムイ様から発せられた言葉に固まった。
国? 国って、そういうことなの? カムイ様はここにきて、素敵な人を見つけてしまった? 同じ時間を生きる、素敵な人を。だから私は捨てられてしまうの? 私はもう用済みなの?
いや、いや。そんなのいや。
「安心せよ。そなた一人にはさせぬ。無論、我と共に、だ」
「カムイ様と、ですか……」
カムイ様が私を安心させるように顎を長い指で撫でてくる。簡単な私はカムイ様の言葉に心底ホッとして、カムイ様を見上げた。
カムイ様と一緒に国へ帰る。カムイ様と、カムイ様と?
私の生まれ育った街を、屋敷をカムイ様に見ていただく……。
「んむ。嬉しいか?」
「はい、カムイ様……。少し恥ずかしいけど、カムイ様にわたくしを知っていただけるなんて嬉しくて嬉しくてたまりません」
私の全てを暴かれるのは、恥ずかしくて、照れくさくて、けどたまらなく嬉しい。
カムイ様にすべてを捧げたい。カムイ様が望むならこの命だって惜しくはない。
「愛いやつめ。我にそなたの生まれ故郷を見せておくれ」
「はい、カムイ様。あなたが望むのなら」
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退会済ユーザのコメントです
この作品本当に大好きで、定期的に読み返しにきてしまいます。
長らく更新されていないのがとても残念ですが、いつかまた戻ってきてくださると信じて、またたくさん読み返しておきます☺️
すごく私好みのお話で一気に読んでしまいました!
続きがすごく気になります。ぜひお願いしますm(__)m