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気がついたら死んでいた
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…あれ?あれは私?
私は今、私を真上から見ている。
地上数メートル、鳥はこんな視界なんだろうか。
いや、違う。今はそんな事を考えている場合ではない。
真下にいるのが私なら、私は何なんだ?
と、いうか真下にいるのは、本当に私なのか?
…あれ?ちょっと待てよ。私確かさっき…。
あ、そうだ!学校終わってカズくんとのデートの待ち合わせ場所の駅に向かって歩いてて…それで……あれ?……それで…今の私…?
真下の私は何で歩道にうつ伏せで寝そべってるんだろ?
あ、周りに人が集まり出した。何人かの人が寝そべっている私に話しかけている。
私は…動かない?
あ、男の人が私を起こそうと身体を持ちあげた。…え!?何か皆騒ぎ出したよ!
…あっ!血!?何か私を持ち上げたら地面には血の水溜まりが出来てる。
男の人が私を仰向けに……え!?
私の胸に……ナイフ…?
男の人も驚いて身を引いてる。
…え…私…死んだの…?
今からカズくんと夏休みにどこに旅行に行くか話し合うのに?
今日の夕飯は、私の大好物のすき焼きなのに?
明日はバイトがあって先輩に迷惑かけられないのに?
将来アパレル関係に就職したい夢があったのに?
明後日はパパの誕生日で、ママとサプライズ考えてたのに?
あの遊園地の新しい乗り物乗りたかったのに?
来週始まるあの映画楽しみにしていたのに?
あの漫画の続き、すごい気になってたのに?
それから……まだまだやりたいこと、やらなきゃいけないこと、山ほどあったのに?
…あれ?…涙…?
私…死を理解したの…かな?
…え?…目の前が真っ白に…。
このまま…天国?地獄?
私悪いことしてないよね。家族も大事にしてきたし、学校だって真面目に通って。
…あ、もう何も見えない…意識も…ぼーっとしてきた。
眠るみたい…。
…あ。また視界が開けてきた。
ん?ここは…?どっかの建物の中?
あ!ママ!!
泣いてる。…黒い服。
そうか私のお葬式か…。
身体、意識した方向にふわっと動く。このままお葬式を見ろってことかな。
…あ、パパ。椅子に座り込んで…目が真っ赤。
あ、親戚のおじちゃん、おばちゃん。
…皆、顔が暗い、…そうか、悲しんでくれてるんだよね。
…ん?入口から声が。あ!学校の皆だ。
あんなにいっぱい。
ヒロミ、ミユ、ユキ、シュウジ、トモミ、カエデ、アキラ…皆来てくれたんだ。
…カズくん…あれ?カズくんがいない。凄い落ち込んでるのかな?大丈夫かな…。
家族、親戚、学校の友達や先生、友達の親、バイトの先輩や仲間、ご近所の人たち、パパの会社の人たち、あとよく知らない人も…皆、私の死を悲しんで、こんなにたくさんの人たちが私のために集まってきてくれてる。
私の人生、生き方、間違っていなかったんだろうな。こんなにたくさんの人たちに囲まれて、支えられて生きていたんだ。
人は、生きていくためには、たくさんの人たちの支えが必要なんだな。
…変だな。死んでるはずなのに、胸が熱いや。
昔、何かの本で、有名人の人としての価値は、死んだときの新聞記事の面積で決まるっていうのを見たことがある。
酷い話だと思う反面、納得している自分もいた。確かにテレビとかで大御所と言われていたような有名人の方が、例えばドラマの脇役や昔少しだけ売れたミュージシャンよりも実際に記事の面積が大きい気がしていたからだ。
でも、今思えば、それは有名人だからであって、記事の面積も人としての価値ではなく、有名人としての価値に過ぎないと思う。人としての価値ってのは、掛け替えのないもの、その一言に尽きるわけで平等な価値である。
でも、その本を読んだ当時、こうも思っていた。
もし今、私が死んだら、私の価値ってどんなものなんだろう?
そして、こうも考えた。
もし今、私が死んだら、一体何人の人が泣いて悲しんでくれるのだろう?
そう考えると、泣いてくれる人の数が、私の価値のような気がしていた。
私は今、私のために集まって、私のために泣いてくれている皆を見ている。
変な話だが、嬉しい。
死んでいるのに、嬉しいと素直に思えている。
誰が私の意識を操作しているのかはわからないが、私にそう思わせるために、お葬式の場面を見させているのだろうか?
…あ、また目の前が白くなってきた。
また別の場所に行くのかな?
それとも、これで本当に天国か地獄?
…怖い。
…あ、もう何も見えない…意識も…ぼーっとしてきた。
眠るみたい…。
…ん?また視界が開けてきたぞ。
あれ?私の部屋だ。
誰もいないのに、テレビが付いている。ニュースか。
あれ?私の写真…。さつ…じん?…そうか、私は誰かに殺されたんだ。
…え?交際相手を逮捕…?って、カズくん?…嘘…嘘でしょ!?
どうして!?
あれ…また目の前が真っ白に。
まだダメ。まだ天国にも地獄にも行けない!カズくんに聞きたいの!
…あ、もう何も見えない…意識も…ぼーっとしてきた。
眠るみたい…。
…また視界が開けてきた。
…ここは…どこ?薄暗い…。
…あ、カズくん!?
こんな部屋の隅で丸まって何してるの?
それより、私を殺したって本当なの!?
ねぇ、答えて!!
……………ダメか、私の声なんて聞こえないよね。
…あれ?カズくん、どうしたの?キョロキョロし出して。
あ、目が合った!
私見えてる?声聞こえる?
どうしたの?そんなに驚いて。
どうしたの?そんなに怯えて。
どうしたの?そんなに慌てて。
私見えてる?声聞こえる?
私、カズくんのこと愛してたのに。
私、カズくんとずっと一緒にいたかったのに。
…カズくんは私が好きじゃなかったの?
どうしたの?そんなに驚いて。
どうしたの?そんなに怯えて。
どうしたの?そんなに慌てて。
…カズくん、逃げないで。私を見て。
……………憎い。
私の人生を終わらせた。
私の幸せを終わらせた。
私を終わらせた。
…憎いと好きは紙一重。憎いは愛情の裏返し。
私にはカズくんが必要。
ずっと一緒にいて。…ずっと。
どうしたの?そんなに驚いて。
どうしたの?そんなに怯えて。
どうしたの?そんなに慌てて。
私の両手を掴んで。
…あ、また意識がぼーっとしてきた。
だめ、目の前がもう見えない。
…ここは…?原っぱ?…天国?
…あれ?カズくん?
その笑顔、いつものカズくんだ。
「今日未明、殺人容疑で勾留中だった交際相手の男性が留置所内で首を吊っている状態で発見されました。警察は自殺と見て………」
私は今、私を真上から見ている。
地上数メートル、鳥はこんな視界なんだろうか。
いや、違う。今はそんな事を考えている場合ではない。
真下にいるのが私なら、私は何なんだ?
と、いうか真下にいるのは、本当に私なのか?
…あれ?ちょっと待てよ。私確かさっき…。
あ、そうだ!学校終わってカズくんとのデートの待ち合わせ場所の駅に向かって歩いてて…それで……あれ?……それで…今の私…?
真下の私は何で歩道にうつ伏せで寝そべってるんだろ?
あ、周りに人が集まり出した。何人かの人が寝そべっている私に話しかけている。
私は…動かない?
あ、男の人が私を起こそうと身体を持ちあげた。…え!?何か皆騒ぎ出したよ!
…あっ!血!?何か私を持ち上げたら地面には血の水溜まりが出来てる。
男の人が私を仰向けに……え!?
私の胸に……ナイフ…?
男の人も驚いて身を引いてる。
…え…私…死んだの…?
今からカズくんと夏休みにどこに旅行に行くか話し合うのに?
今日の夕飯は、私の大好物のすき焼きなのに?
明日はバイトがあって先輩に迷惑かけられないのに?
将来アパレル関係に就職したい夢があったのに?
明後日はパパの誕生日で、ママとサプライズ考えてたのに?
あの遊園地の新しい乗り物乗りたかったのに?
来週始まるあの映画楽しみにしていたのに?
あの漫画の続き、すごい気になってたのに?
それから……まだまだやりたいこと、やらなきゃいけないこと、山ほどあったのに?
…あれ?…涙…?
私…死を理解したの…かな?
…え?…目の前が真っ白に…。
このまま…天国?地獄?
私悪いことしてないよね。家族も大事にしてきたし、学校だって真面目に通って。
…あ、もう何も見えない…意識も…ぼーっとしてきた。
眠るみたい…。
…あ。また視界が開けてきた。
ん?ここは…?どっかの建物の中?
あ!ママ!!
泣いてる。…黒い服。
そうか私のお葬式か…。
身体、意識した方向にふわっと動く。このままお葬式を見ろってことかな。
…あ、パパ。椅子に座り込んで…目が真っ赤。
あ、親戚のおじちゃん、おばちゃん。
…皆、顔が暗い、…そうか、悲しんでくれてるんだよね。
…ん?入口から声が。あ!学校の皆だ。
あんなにいっぱい。
ヒロミ、ミユ、ユキ、シュウジ、トモミ、カエデ、アキラ…皆来てくれたんだ。
…カズくん…あれ?カズくんがいない。凄い落ち込んでるのかな?大丈夫かな…。
家族、親戚、学校の友達や先生、友達の親、バイトの先輩や仲間、ご近所の人たち、パパの会社の人たち、あとよく知らない人も…皆、私の死を悲しんで、こんなにたくさんの人たちが私のために集まってきてくれてる。
私の人生、生き方、間違っていなかったんだろうな。こんなにたくさんの人たちに囲まれて、支えられて生きていたんだ。
人は、生きていくためには、たくさんの人たちの支えが必要なんだな。
…変だな。死んでるはずなのに、胸が熱いや。
昔、何かの本で、有名人の人としての価値は、死んだときの新聞記事の面積で決まるっていうのを見たことがある。
酷い話だと思う反面、納得している自分もいた。確かにテレビとかで大御所と言われていたような有名人の方が、例えばドラマの脇役や昔少しだけ売れたミュージシャンよりも実際に記事の面積が大きい気がしていたからだ。
でも、今思えば、それは有名人だからであって、記事の面積も人としての価値ではなく、有名人としての価値に過ぎないと思う。人としての価値ってのは、掛け替えのないもの、その一言に尽きるわけで平等な価値である。
でも、その本を読んだ当時、こうも思っていた。
もし今、私が死んだら、私の価値ってどんなものなんだろう?
そして、こうも考えた。
もし今、私が死んだら、一体何人の人が泣いて悲しんでくれるのだろう?
そう考えると、泣いてくれる人の数が、私の価値のような気がしていた。
私は今、私のために集まって、私のために泣いてくれている皆を見ている。
変な話だが、嬉しい。
死んでいるのに、嬉しいと素直に思えている。
誰が私の意識を操作しているのかはわからないが、私にそう思わせるために、お葬式の場面を見させているのだろうか?
…あ、また目の前が白くなってきた。
また別の場所に行くのかな?
それとも、これで本当に天国か地獄?
…怖い。
…あ、もう何も見えない…意識も…ぼーっとしてきた。
眠るみたい…。
…ん?また視界が開けてきたぞ。
あれ?私の部屋だ。
誰もいないのに、テレビが付いている。ニュースか。
あれ?私の写真…。さつ…じん?…そうか、私は誰かに殺されたんだ。
…え?交際相手を逮捕…?って、カズくん?…嘘…嘘でしょ!?
どうして!?
あれ…また目の前が真っ白に。
まだダメ。まだ天国にも地獄にも行けない!カズくんに聞きたいの!
…あ、もう何も見えない…意識も…ぼーっとしてきた。
眠るみたい…。
…また視界が開けてきた。
…ここは…どこ?薄暗い…。
…あ、カズくん!?
こんな部屋の隅で丸まって何してるの?
それより、私を殺したって本当なの!?
ねぇ、答えて!!
……………ダメか、私の声なんて聞こえないよね。
…あれ?カズくん、どうしたの?キョロキョロし出して。
あ、目が合った!
私見えてる?声聞こえる?
どうしたの?そんなに驚いて。
どうしたの?そんなに怯えて。
どうしたの?そんなに慌てて。
私見えてる?声聞こえる?
私、カズくんのこと愛してたのに。
私、カズくんとずっと一緒にいたかったのに。
…カズくんは私が好きじゃなかったの?
どうしたの?そんなに驚いて。
どうしたの?そんなに怯えて。
どうしたの?そんなに慌てて。
…カズくん、逃げないで。私を見て。
……………憎い。
私の人生を終わらせた。
私の幸せを終わらせた。
私を終わらせた。
…憎いと好きは紙一重。憎いは愛情の裏返し。
私にはカズくんが必要。
ずっと一緒にいて。…ずっと。
どうしたの?そんなに驚いて。
どうしたの?そんなに怯えて。
どうしたの?そんなに慌てて。
私の両手を掴んで。
…あ、また意識がぼーっとしてきた。
だめ、目の前がもう見えない。
…ここは…?原っぱ?…天国?
…あれ?カズくん?
その笑顔、いつものカズくんだ。
「今日未明、殺人容疑で勾留中だった交際相手の男性が留置所内で首を吊っている状態で発見されました。警察は自殺と見て………」
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