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第3節 震撼
(4)
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ー 横浜市内杉崎宅 ー
10時20分
ピンポーン。
妻と子どもは出掛けており、杉崎が一人リビングで寛いでいると、呼び鈴が鳴った。杉崎は、面倒くさそうに、インターホンの画面も確認せずに、玄関に向かった。
「はいはーい。どなた?」
杉崎はそう言いながら扉を開けると、目の前の人物に固唾を飲み、固まった。
「久しぶりだな、雄ちゃん。」
「鬼塚(おにづか)…。」
にこやかな表情の鬼塚は、杉崎と大学の同級生で、“少し前まで”検事をしていた。
「お前…生きてたのか…。」
杉崎は、まるで死人を見るかのように、驚いていた。鬼塚は、ニヤリと笑った。
「入っていいか?」
「…あ、あぁ。」
杉崎は、鬼塚をリビングへ通し、ソファに座るように促し、自分は対面に座った。杉崎は、お茶も出さずに、恐る恐る質問をした。
「…桐生朱美裁判の判決後に姿を眩ましたお前が、俺に何の用だ?…由比裁判長は死んだ。俺はてっきりお前も…。」
「ははは、嫌だなぁ、雄ちゃん。マスコミから逃げるために雲隠れしてただけで、死んでなんかないよ。それに、俺は裁判長とは違い、自発的に桐生朱美の検事になったんだ。桐生朱美の呪いは本物…世の中を変えるべきだとね。」
鬼塚は、変わらずニヤニヤしながら流暢に答えた。
「…そうか。良かったな、お前の望む通りの判決になって。…今、茶を出すよ。」
杉崎はそう言うと、立ちあがりリビングと繋がっているキッチンへと向かった。
「お構いなく。いやぁ、由比裁判長には感謝しているよ。桐生朱美の裁判が始まった当初は、気違いな検事って、マスコミは俺ばかりを取り上げてたが、彼のお陰で、すっかりマスコミは彼に狙いを変えてくれた。その隙に、綺麗に雲隠れ出来たってわけだ。」
「…お前、検事は辞めたのか?」
杉崎が湯飲みに茶を注ぎながら聞いた。
「辞めたっていうか、辞めざるを得ないというか…まぁ、歴史に残る裁判に参加できたんだ、本望だよ。」
「…どうやったんだ?」
杉崎が湯飲みを両手にリビングへ戻りながら聞いた。杉崎は、鬼塚の前に湯飲みを置き、ソファに座って、鬼塚の顔を伺った。
「さんきゅ。…で、どうやった?って、何がだ?」
「桐生朱美をどうやって起訴したんだ?って話さ。お前、裁判中一回も俺に会おうとはしなかった。ずっと聞きたかったんだ。検察官の上の連中をどうやって説得したんだ?呪殺で起訴だなんて。」
杉崎の質問に、今まで笑顔を絶やさなかった鬼塚の表情が曇り始めた。鬼塚は、お茶を一口啜り、湯飲みを両手で握りながら、杉崎の目を見て答えた。
「…一番上だけ。そいつだけを俺側に付ければ事は上手くいくのさ。」
鬼塚はそう言うと、またニヤリと笑みを浮かべた。
「…どうやったんだ?」
杉崎は、焦点を鬼塚の目からずらすことなく、質問を続けた。鬼塚は、杉崎の真剣な眼に少し悪寒を感じた。
「…そんなに気になるか…。…ある男の協力あってこそだ。…今はそれしか言えないな。」
答えになっていない答えに、杉崎は納得など出来るわけがなく、睨む目線は反らすことはなかった。
「…まぁ、この話はいいじゃないか。今日は一つ報告に来たんだ。」
「ちゃんと答えろよ!!」
話を反らそうとした鬼塚に、杉崎が大声を上げた。鬼塚はビクッと身体を反応させたが、怒りの表情を浮かべている杉崎を見て、またニヤリと笑った。
「雄ちゃん。その話はお宅にも当てはまるだろ?」
「………。」
杉崎は、鬼塚の言っている意味をしっかり理解していた。鬼塚が続けた。
「そもそも、桐生朱美がいくら自供してるからとは言え、よく逮捕状の請求から、裁判所の逮捕状の許可、そして送検まで順調に行ったな。俺の出番はその後からだろ?…お宅ら警察や、裁判所の連中だってイカれてたんじゃないか?」
「…私の知らないとこで話が勝手に進んでいた。…異常だったよ、知らぬ間に送検まで事が進んでいた。」
杉崎は、下を向きながら答えた。
「雄ちゃん。警察の上の連中と、裁判所の上の連中は、ある男の手中さ。雄ちゃんみたいな下の連中には、成す術はない。だから、雄ちゃんが気を病む話じゃないさ。」
鬼塚は、全てを知っているかのように流暢に話した。
「今日本の司法で何が起きてるんだ?」
杉崎は、一回深呼吸して気持ちを落ち着かせてから聞いた。鬼塚は、少し間を置いて、ぼそりと答えた。
「…ある男のワンマンショーの舞台。…まぁ、それも桐生朱美の処刑と共に終わりを告げるさ。」
「それはどういう…」
「この話はおしまい!今はこんな話してる場合じゃないのさ。君の部下、池畑刑事が今、何をしようとしてるか知ってるかい?」
「………。」
杉崎は、話を反らそうとする鬼塚の戯言だと思い、何も答えなかった。
「君の部下は、神の領域に手を出そうとしてるよ。リム…知ってるだろ?」
思いも寄らない単語に杉崎は動揺した。
「………リム?まさか…。」
杉崎は、リムという存在を聞いたことがあった。ただ、国家機密ということと、死んだ人間を生き返らせることができるもの、知っていたのはその二点だけだった。だが、池畑とリムという組み合わせから、すぐに佐倉の存在が頭に浮かんだ。
「どんな結果が出るか…楽しみだな。」
鬼塚はそう言うとソファから立ち上がり、玄関に向かってゆっくり歩き出した。
「ちょ、ちょっと待て。帰るのか!?」
まだ確信を聞けてない杉崎は、慌てて鬼塚を止めようとした。鬼塚は、振り向いてまたニヤリと笑みを浮かべながら言った。
「何があっても部下は大切にしろよ。俺は海外に消える。最後に雄ちゃんの顔を見たかったからよ。…お茶ご馳走さま。」
そう言うと鬼塚は、また玄関に向かい靴を履き始めた。
「鬼塚。日本の司法はまた元に戻るのか?」
杉崎が、鬼塚を止めることなく、落ち着いた口調で聞いた。
「…呪いに負けなければな。呪いにちゃんと恐怖を感じれれば、この国から呪いは消えていくさ。あ、そうそう、最後に一つだけ。さっき言ったお宅やうちの上の連中の命は、ある男の手中だが、無下にはしないよ。写真は大切に持ってるから。じゃな!」
鬼塚は、言いたいことを言うと、杉崎の反応を見ることなく、玄関を開けて出ていった。
鬼塚の言葉の五割も理解できなかった杉崎は、慌てて閉まりかけた玄関のドアを開け追い掛けたが、鬼塚の姿が再び視界に入ることはなかった。
10時20分
ピンポーン。
妻と子どもは出掛けており、杉崎が一人リビングで寛いでいると、呼び鈴が鳴った。杉崎は、面倒くさそうに、インターホンの画面も確認せずに、玄関に向かった。
「はいはーい。どなた?」
杉崎はそう言いながら扉を開けると、目の前の人物に固唾を飲み、固まった。
「久しぶりだな、雄ちゃん。」
「鬼塚(おにづか)…。」
にこやかな表情の鬼塚は、杉崎と大学の同級生で、“少し前まで”検事をしていた。
「お前…生きてたのか…。」
杉崎は、まるで死人を見るかのように、驚いていた。鬼塚は、ニヤリと笑った。
「入っていいか?」
「…あ、あぁ。」
杉崎は、鬼塚をリビングへ通し、ソファに座るように促し、自分は対面に座った。杉崎は、お茶も出さずに、恐る恐る質問をした。
「…桐生朱美裁判の判決後に姿を眩ましたお前が、俺に何の用だ?…由比裁判長は死んだ。俺はてっきりお前も…。」
「ははは、嫌だなぁ、雄ちゃん。マスコミから逃げるために雲隠れしてただけで、死んでなんかないよ。それに、俺は裁判長とは違い、自発的に桐生朱美の検事になったんだ。桐生朱美の呪いは本物…世の中を変えるべきだとね。」
鬼塚は、変わらずニヤニヤしながら流暢に答えた。
「…そうか。良かったな、お前の望む通りの判決になって。…今、茶を出すよ。」
杉崎はそう言うと、立ちあがりリビングと繋がっているキッチンへと向かった。
「お構いなく。いやぁ、由比裁判長には感謝しているよ。桐生朱美の裁判が始まった当初は、気違いな検事って、マスコミは俺ばかりを取り上げてたが、彼のお陰で、すっかりマスコミは彼に狙いを変えてくれた。その隙に、綺麗に雲隠れ出来たってわけだ。」
「…お前、検事は辞めたのか?」
杉崎が湯飲みに茶を注ぎながら聞いた。
「辞めたっていうか、辞めざるを得ないというか…まぁ、歴史に残る裁判に参加できたんだ、本望だよ。」
「…どうやったんだ?」
杉崎が湯飲みを両手にリビングへ戻りながら聞いた。杉崎は、鬼塚の前に湯飲みを置き、ソファに座って、鬼塚の顔を伺った。
「さんきゅ。…で、どうやった?って、何がだ?」
「桐生朱美をどうやって起訴したんだ?って話さ。お前、裁判中一回も俺に会おうとはしなかった。ずっと聞きたかったんだ。検察官の上の連中をどうやって説得したんだ?呪殺で起訴だなんて。」
杉崎の質問に、今まで笑顔を絶やさなかった鬼塚の表情が曇り始めた。鬼塚は、お茶を一口啜り、湯飲みを両手で握りながら、杉崎の目を見て答えた。
「…一番上だけ。そいつだけを俺側に付ければ事は上手くいくのさ。」
鬼塚はそう言うと、またニヤリと笑みを浮かべた。
「…どうやったんだ?」
杉崎は、焦点を鬼塚の目からずらすことなく、質問を続けた。鬼塚は、杉崎の真剣な眼に少し悪寒を感じた。
「…そんなに気になるか…。…ある男の協力あってこそだ。…今はそれしか言えないな。」
答えになっていない答えに、杉崎は納得など出来るわけがなく、睨む目線は反らすことはなかった。
「…まぁ、この話はいいじゃないか。今日は一つ報告に来たんだ。」
「ちゃんと答えろよ!!」
話を反らそうとした鬼塚に、杉崎が大声を上げた。鬼塚はビクッと身体を反応させたが、怒りの表情を浮かべている杉崎を見て、またニヤリと笑った。
「雄ちゃん。その話はお宅にも当てはまるだろ?」
「………。」
杉崎は、鬼塚の言っている意味をしっかり理解していた。鬼塚が続けた。
「そもそも、桐生朱美がいくら自供してるからとは言え、よく逮捕状の請求から、裁判所の逮捕状の許可、そして送検まで順調に行ったな。俺の出番はその後からだろ?…お宅ら警察や、裁判所の連中だってイカれてたんじゃないか?」
「…私の知らないとこで話が勝手に進んでいた。…異常だったよ、知らぬ間に送検まで事が進んでいた。」
杉崎は、下を向きながら答えた。
「雄ちゃん。警察の上の連中と、裁判所の上の連中は、ある男の手中さ。雄ちゃんみたいな下の連中には、成す術はない。だから、雄ちゃんが気を病む話じゃないさ。」
鬼塚は、全てを知っているかのように流暢に話した。
「今日本の司法で何が起きてるんだ?」
杉崎は、一回深呼吸して気持ちを落ち着かせてから聞いた。鬼塚は、少し間を置いて、ぼそりと答えた。
「…ある男のワンマンショーの舞台。…まぁ、それも桐生朱美の処刑と共に終わりを告げるさ。」
「それはどういう…」
「この話はおしまい!今はこんな話してる場合じゃないのさ。君の部下、池畑刑事が今、何をしようとしてるか知ってるかい?」
「………。」
杉崎は、話を反らそうとする鬼塚の戯言だと思い、何も答えなかった。
「君の部下は、神の領域に手を出そうとしてるよ。リム…知ってるだろ?」
思いも寄らない単語に杉崎は動揺した。
「………リム?まさか…。」
杉崎は、リムという存在を聞いたことがあった。ただ、国家機密ということと、死んだ人間を生き返らせることができるもの、知っていたのはその二点だけだった。だが、池畑とリムという組み合わせから、すぐに佐倉の存在が頭に浮かんだ。
「どんな結果が出るか…楽しみだな。」
鬼塚はそう言うとソファから立ち上がり、玄関に向かってゆっくり歩き出した。
「ちょ、ちょっと待て。帰るのか!?」
まだ確信を聞けてない杉崎は、慌てて鬼塚を止めようとした。鬼塚は、振り向いてまたニヤリと笑みを浮かべながら言った。
「何があっても部下は大切にしろよ。俺は海外に消える。最後に雄ちゃんの顔を見たかったからよ。…お茶ご馳走さま。」
そう言うと鬼塚は、また玄関に向かい靴を履き始めた。
「鬼塚。日本の司法はまた元に戻るのか?」
杉崎が、鬼塚を止めることなく、落ち着いた口調で聞いた。
「…呪いに負けなければな。呪いにちゃんと恐怖を感じれれば、この国から呪いは消えていくさ。あ、そうそう、最後に一つだけ。さっき言ったお宅やうちの上の連中の命は、ある男の手中だが、無下にはしないよ。写真は大切に持ってるから。じゃな!」
鬼塚は、言いたいことを言うと、杉崎の反応を見ることなく、玄関を開けて出ていった。
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