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第2節 畑 賢太郎
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ー 定食屋 ー
12時12分
畑と足立は、昨日来た古びた定食屋のカウンター席で、今日の日替わりを待っていた。
「あ、オジさんニュース見ました?」
カウンター内で、日替わりのメインである刺身を盛り付けている店主に足立が聞いた。
「おう、あの呪い裁判の奴だろ?ありゃどういうことなんだ?呪いってのが認められたってことなんかな。」
「有罪だから、そういう意味じゃないかな。…ねぇ、畑くん。」
「え?あ、あぁ、多分。……なんか未だに信じられませんよね。」
畑がお茶を啜りながら答えると、足立も頷きながら、店内のテレビに目を向けた。昼間のニュースは勿論、呪い裁判の判決一色だった。
テレビ画面の中では、怒り出すコメンテーターや、面白がっているように見える芸人など、様々な言葉が飛び交っていた。
足立は、お茶を啜りながらテレビを見ていたが、ふと思い出し、畑に質問した。
「あっ、ねぇ、例のメールには返信きたの?」
足立に言われて、暫く確認を怠っていたことを思い出した畑は、慌てて鞄からノートパソコンを取り出して、メールボックスの画面を開いた。
「…あっ!来てる!!」
畑の言葉が、まばらな客数の店内にこだました。足立たちは気が付かなかったが、店主は突然の大声に驚いて、刺身をひと切れ床に落としていた。
ー 出版社 ー
13時05分
昼休憩終了後に会議が再開すると、早速、畑が自分から話し出した。
「先ほど、一回返事が来たんですけど、インタビューの企画の話をしたら、また返事が来なくなっちゃいました。時間も余り余裕がないので、あと半日待って来なかったら班長の言う通り新しい人を捜します。」
荒木が手を挙げながら話し出した。
「時間が無いのは始めから分かってんだろ?何人かに同時に連絡とってないのか?」
荒木が畑を責めそうな雰囲気の中、足立が割って入った。
「あ、それは私が止めた方がいいってアドバイスしたんです。何人かに声掛けてるのが知られちゃったら心象悪いかなって思いまして。掲示板に書き込みしてるような人たちの気持ちの掴み方がわからなくて、慎重にって思いまして。」
「慎重に物事進めるのは重要だ。あとは、また返事をくれるといいんだがね。」
山本もフォローした。
「もう少し時間いただいていいですか?絶対に取材できるようにするんで。」
「なんだその自信は。」
荒木が強めの口調で言った。
「主担当なんで、初めての大仕事なんで。やるべきことはしっかりやり抜きます。」
「フンッ。」
荒木は鼻で笑ったが、他の三人は優しく微笑んだ。
「じゃあ編集長、後は畑に任せましょうかね。」
「そうだな。進展があったらすぐに報告してくれ。あと、期限は守ってくれよ。」
「はい、責任を持ってやり遂げます。」
畑の言葉で会議はお開きとなり、稗田、荒木はトイレに行くため廊下に通じる扉から、山本は執務室に通じる扉から部屋を出て行き、会議室内は畑と足立の二人きりになった。
畑は足立の正面に立つと、頭を下げた。
「足立さん、ありがとうございました。フォローいただいて。」
「やめてよ、そんなこと。ほら頭上げて。ね、一緒に頑張って面白い記事作ろう!」
畑が頭を上げて足立の顔を見ると、癒しを与えてくれる優しい笑顔だった。
二人も部屋を出ると、フレックス出勤の村上が山本と何か話をしていた。畑は時間がないため、早速自席に戻って、もう一度コンタクトをとることにした。
<先程は急に失礼しました。今回の裁判での有罪判決により、呪いというものが事実として認められたということになります。
今まで我々テレビや新聞などのメディアでは呪いの存在を全く信じずに、この裁判の結末については無罪ばかりを支持していました。
これは私の真意じゃありませんでした。
更に、有罪判決前に、呪いのメカニズムについての報道もありましたが、その内容は馬鹿にしたような物ばかりで私は憤っていました。
何故なら私は呪いの存在を信じているからです。
有罪判決が出ても呪いの詳細は明かされることはなく、これでは世間は呪いの存在を信じないでしょう。
今回お願いしたい取材は実際に多くの経験をされているkiriさんの生の言葉を掲載することにより、呪いの存在をしっかりと世間に知らしめるのが一番の目的です。
どうか力を貸してください。>
畑は、もう一度文章を読み返し、大きく深呼吸すると送信ボタンをクリックし、後は返事が来ることをひたすら願った。
とはいえ、万が一返事が来なかったことも想定して、他の候補者を探すためkiriが書き込みを一切していない掲示板を覗いてみた。
すると、さっき送ってから5分も経ってないうちに一通のメールを受信したコメントがパソコン画面上に出た。
「…え、まさか。」
畑はすぐにメールボックスを開いた。kiriからだった。
<同士とみた。歓迎する。報酬は出るのか?>
「報酬………あ、取材のか。」
<ご返信ありがとうございます。取材の謝礼は勿論払わせていただきます。>
すると今度は1分経たないうちに返事が来た。以後このペースでメールのやり取りが続いた。
<取材を受ける。明日の10時に前橋駅で待っている。>
<ありがとうございます。前橋駅とは群馬県でよろしいですか?>
<そうだ。>
<わかりました、ありがとうございます。明日よろしくお願いいたします。>
畑は小さくガッツポーズをし、会議メンバーの4人に聞こえる声で報告した。
「へぇやるじゃん。良かったな企画案がおじゃんにならなくてよ。」
相変わらず口調がキツイ荒木だが、畑は嬉しさで気にならなかった。
「良かったね。取材明日かぁ。一緒に行ってあげたいけど、来客があって私は行けないな、ごめんね。」
足立に続き、他のメンバーも全員都合が悪く同行できないことがわかった。
とはいえ、取材日を変更するのは、さっきのメールの文章から察するに困難だと考え、畑は一人で行くことを決めた。
「大丈夫です、俺一人で行ってきますよ。」
「大丈夫か?相手が相手だからなぁ。」
「そうだぞ、変な言動したら呪いで殺されるぞ。」
「確かに、可能性はあるわね。」
皆の言葉で一気にテンションが下がりそうな畑だったが、そんな畑を見て荒木が言った。
「皆冗談で言ってるだけだ、真に受けるな。皆、こいつ馬鹿で信じやすいからやめてやってくれ。」
「ハハハ、悪い悪い。荒木の言う通り冗談だ。でも、相手を傷つけないように気をつけて取材してくれよ。」
山本が優しく微笑んだ。
21時20分
畑は一人残業していた。明日の取材の質問事項とページ構成を考えなくてはならなかったからだ。
しかし、一時間ほど前に、村上が奥さんの親友が急に亡くなったということで帰ったが、その出来事が衝撃すぎて畑はあまり考え事が進まなかった。
「はぁー、何にも思い付かない!!…自分にイライラする…。…よし、ページ構成は明日でもいいか。質問事項も風呂入ってスッキリしてから考えるか。」
畑はデータを上書き保存し、パソコンの電源をオフにすると自席上の明かりを消して執務室を出た。
正面玄関に向かって歩いているとスマホのバイブレーションが鳴った。
「ん?足立さんからメッセージ?」
<畑くん。呪いの実験がどうしてもしたいの。今から畑くんに呪い掛けてもいい?。>
「え?」
畑は一瞬時が止まった気がした。
12時12分
畑と足立は、昨日来た古びた定食屋のカウンター席で、今日の日替わりを待っていた。
「あ、オジさんニュース見ました?」
カウンター内で、日替わりのメインである刺身を盛り付けている店主に足立が聞いた。
「おう、あの呪い裁判の奴だろ?ありゃどういうことなんだ?呪いってのが認められたってことなんかな。」
「有罪だから、そういう意味じゃないかな。…ねぇ、畑くん。」
「え?あ、あぁ、多分。……なんか未だに信じられませんよね。」
畑がお茶を啜りながら答えると、足立も頷きながら、店内のテレビに目を向けた。昼間のニュースは勿論、呪い裁判の判決一色だった。
テレビ画面の中では、怒り出すコメンテーターや、面白がっているように見える芸人など、様々な言葉が飛び交っていた。
足立は、お茶を啜りながらテレビを見ていたが、ふと思い出し、畑に質問した。
「あっ、ねぇ、例のメールには返信きたの?」
足立に言われて、暫く確認を怠っていたことを思い出した畑は、慌てて鞄からノートパソコンを取り出して、メールボックスの画面を開いた。
「…あっ!来てる!!」
畑の言葉が、まばらな客数の店内にこだました。足立たちは気が付かなかったが、店主は突然の大声に驚いて、刺身をひと切れ床に落としていた。
ー 出版社 ー
13時05分
昼休憩終了後に会議が再開すると、早速、畑が自分から話し出した。
「先ほど、一回返事が来たんですけど、インタビューの企画の話をしたら、また返事が来なくなっちゃいました。時間も余り余裕がないので、あと半日待って来なかったら班長の言う通り新しい人を捜します。」
荒木が手を挙げながら話し出した。
「時間が無いのは始めから分かってんだろ?何人かに同時に連絡とってないのか?」
荒木が畑を責めそうな雰囲気の中、足立が割って入った。
「あ、それは私が止めた方がいいってアドバイスしたんです。何人かに声掛けてるのが知られちゃったら心象悪いかなって思いまして。掲示板に書き込みしてるような人たちの気持ちの掴み方がわからなくて、慎重にって思いまして。」
「慎重に物事進めるのは重要だ。あとは、また返事をくれるといいんだがね。」
山本もフォローした。
「もう少し時間いただいていいですか?絶対に取材できるようにするんで。」
「なんだその自信は。」
荒木が強めの口調で言った。
「主担当なんで、初めての大仕事なんで。やるべきことはしっかりやり抜きます。」
「フンッ。」
荒木は鼻で笑ったが、他の三人は優しく微笑んだ。
「じゃあ編集長、後は畑に任せましょうかね。」
「そうだな。進展があったらすぐに報告してくれ。あと、期限は守ってくれよ。」
「はい、責任を持ってやり遂げます。」
畑の言葉で会議はお開きとなり、稗田、荒木はトイレに行くため廊下に通じる扉から、山本は執務室に通じる扉から部屋を出て行き、会議室内は畑と足立の二人きりになった。
畑は足立の正面に立つと、頭を下げた。
「足立さん、ありがとうございました。フォローいただいて。」
「やめてよ、そんなこと。ほら頭上げて。ね、一緒に頑張って面白い記事作ろう!」
畑が頭を上げて足立の顔を見ると、癒しを与えてくれる優しい笑顔だった。
二人も部屋を出ると、フレックス出勤の村上が山本と何か話をしていた。畑は時間がないため、早速自席に戻って、もう一度コンタクトをとることにした。
<先程は急に失礼しました。今回の裁判での有罪判決により、呪いというものが事実として認められたということになります。
今まで我々テレビや新聞などのメディアでは呪いの存在を全く信じずに、この裁判の結末については無罪ばかりを支持していました。
これは私の真意じゃありませんでした。
更に、有罪判決前に、呪いのメカニズムについての報道もありましたが、その内容は馬鹿にしたような物ばかりで私は憤っていました。
何故なら私は呪いの存在を信じているからです。
有罪判決が出ても呪いの詳細は明かされることはなく、これでは世間は呪いの存在を信じないでしょう。
今回お願いしたい取材は実際に多くの経験をされているkiriさんの生の言葉を掲載することにより、呪いの存在をしっかりと世間に知らしめるのが一番の目的です。
どうか力を貸してください。>
畑は、もう一度文章を読み返し、大きく深呼吸すると送信ボタンをクリックし、後は返事が来ることをひたすら願った。
とはいえ、万が一返事が来なかったことも想定して、他の候補者を探すためkiriが書き込みを一切していない掲示板を覗いてみた。
すると、さっき送ってから5分も経ってないうちに一通のメールを受信したコメントがパソコン画面上に出た。
「…え、まさか。」
畑はすぐにメールボックスを開いた。kiriからだった。
<同士とみた。歓迎する。報酬は出るのか?>
「報酬………あ、取材のか。」
<ご返信ありがとうございます。取材の謝礼は勿論払わせていただきます。>
すると今度は1分経たないうちに返事が来た。以後このペースでメールのやり取りが続いた。
<取材を受ける。明日の10時に前橋駅で待っている。>
<ありがとうございます。前橋駅とは群馬県でよろしいですか?>
<そうだ。>
<わかりました、ありがとうございます。明日よろしくお願いいたします。>
畑は小さくガッツポーズをし、会議メンバーの4人に聞こえる声で報告した。
「へぇやるじゃん。良かったな企画案がおじゃんにならなくてよ。」
相変わらず口調がキツイ荒木だが、畑は嬉しさで気にならなかった。
「良かったね。取材明日かぁ。一緒に行ってあげたいけど、来客があって私は行けないな、ごめんね。」
足立に続き、他のメンバーも全員都合が悪く同行できないことがわかった。
とはいえ、取材日を変更するのは、さっきのメールの文章から察するに困難だと考え、畑は一人で行くことを決めた。
「大丈夫です、俺一人で行ってきますよ。」
「大丈夫か?相手が相手だからなぁ。」
「そうだぞ、変な言動したら呪いで殺されるぞ。」
「確かに、可能性はあるわね。」
皆の言葉で一気にテンションが下がりそうな畑だったが、そんな畑を見て荒木が言った。
「皆冗談で言ってるだけだ、真に受けるな。皆、こいつ馬鹿で信じやすいからやめてやってくれ。」
「ハハハ、悪い悪い。荒木の言う通り冗談だ。でも、相手を傷つけないように気をつけて取材してくれよ。」
山本が優しく微笑んだ。
21時20分
畑は一人残業していた。明日の取材の質問事項とページ構成を考えなくてはならなかったからだ。
しかし、一時間ほど前に、村上が奥さんの親友が急に亡くなったということで帰ったが、その出来事が衝撃すぎて畑はあまり考え事が進まなかった。
「はぁー、何にも思い付かない!!…自分にイライラする…。…よし、ページ構成は明日でもいいか。質問事項も風呂入ってスッキリしてから考えるか。」
畑はデータを上書き保存し、パソコンの電源をオフにすると自席上の明かりを消して執務室を出た。
正面玄関に向かって歩いているとスマホのバイブレーションが鳴った。
「ん?足立さんからメッセージ?」
<畑くん。呪いの実験がどうしてもしたいの。今から畑くんに呪い掛けてもいい?。>
「え?」
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