上 下
21 / 26

21.繋がる身体

しおりを挟む
もう何度目だろう?

こうやって、この男に脚を開くのは。

曝け出した裸体の上にその大きな身体で伸し掛かられ、首筋にちゅっと唇を寄せられると反射的に顔を背けた。

「そんなあからさまに拒絶したら、即刻夫に愛想尽かされるぞ」

そんなこと言われても、身体が勝手に動いてしまうのだから仕方がない。
嫌悪感を感じている訳じゃない。
ただ経験が明らかに浅過ぎて、今だに一々どんな反応をすればいいのか分からない。
本来なら好きな人と望んで結ばれて徐々に覚えていくことを、この短期間で、しかも出逢ってまもない彼氏でも夫でもない男にレクチャーされているのだ。
当然の成り行きである。

男がスッと太腿に分厚い手の平を這わせて、片脚を軽々と持ち上げた。

男は表情一つ壊さず、私のそこが濡れているのかを確かめるように、窪みに指を滑らせた後でその指を躊躇なく膣内なかに押し込める。

「…んっ…あっ…つッ…!」

思わず腰に力を入れて、ぎゅっと目を瞑った。

「そんなにりきむな」

膣内なかに入り込んだ、私の指よりもっとずっと太い男の指が奥の上壁をぐっと押し上げた。
 
「あっ、そこダメっ…」

急にぞわぞわと背筋が鳥肌立って腰が浮くと、きつく咥え込んでいた膣内がふっと緩んだ。

 「そうだ、そのまま力抜いてろ」

膣内なかで伸ばした指が、ゆっくりと出し入れを繰り返す。
入り口ギリギリのところまで指を引き抜かれては、またそのまま奥まで押し戻されてくる。
その度に指に絡んだ粘液が卑猥な音を立てた。

「あっ…はっ…ァ…あっ…」

言われた通り力が入ってしまいそうなのを堪えてはみたが、やっぱり勝手に膣内なかの指を締め付け咥え込んでしまう。

「もう少し身体の力を抜け、こっちの指が動かしづらい」

そんなこと言われても…

フワフワと浮いてしまいそうな甘い感覚に、段々と堪えきれずに身体をついつい捩ってしまいそうになる。

んーーーッ…もう、ダメっ…これ以上力抜いていられないっ…

もはや脱力するのを諦めて、ぎゅうと全身に力を込めると、男のはぁと呆れた溜め息が頭上で聞こえた。

「俺の言ったこと聞いてるか…?」

「…っだって身体が勝手にっ…」

「もういい。十分過ぎるほど濡れてる」

ズルリと指を抜かれて、その愛液にまみれた手を男が目の前に翳して見せた。

「やっ…見せなくていいっ…」

男のその手をグイと押し退けて、きゅっと下唇を噛み締めて目を背ける。

「素直に身体は欲しがってるって認めろよ」

「欲しがってなんかなっ…」

悪態をつこうとしたが、男の腰が不意に寄せられ熱く太いその尖端を入り口に充てがわれてしまうと、思わずビクッと身体を震わせた。

「いい加減、慣れろ」

「…慣れたいけどっ…」

男の唇が、溜め息混じりに私の口を塞いだ。

「んんっ…ふっ…ん…」

そのまま唇を抉じ開けられ、舌を強引に入れられるとやっぱり段々と程よく力が抜けていくのが分かる。
そのまま、充てがわれていた男のそれがぐぐぐっと根元まで突っ込まれては、呼吸を整えている余裕もない。

「そろそろキスがなくても、受け入れられるようになれよ」

口が離れると同時に彼が囁いた。

「…はっ…っあっ、そんなのムリっ!」

「慣れる気ないだろ、お前」

ぐいと私の両脚を持ち上げて、男が自らの腰に力を入れた。

「…あ…待ってっ!…まだ動かな…で…」

咄嗟に制止したが、もちろん意味を成さない。

「…それは聞いてやれないな」

敢えてゆっくりと動く、その何とも言い難い感覚に堪えきれず、苦し紛れに声を上げてしまう。

「うっぁ…」

顔の横にあるシーツをぎゅっと握り締めた。
そのまま絶え間なくその身を打ち続けられて、次第に甘い喘ぎが口から零れてしまう。

「あっ…んっ…ん……はっ…」

男が急に身体を起こした。
ズンと奥の上壁を強く突き上げられて、思わず大きな声を張り上げてしまいそうになって、咄嗟に口を両手で押さえた。

「声、我慢するな」

「だっ…て恥ずかしっ…」

「我慢したら余計ツラくなるぞ」

その忠告を無視して、声が出てしまわないようにきゅっと自分の指を噛んだ。

「ふっ…んんっ……」

「…知らないぞ」

そういつものように意地悪く冷たい声で言ったくせに、彼の動きはそれ以上速まることも激しくなることもなくて、私の呼吸を乱さない程度に、ゆっくりと突き動かされた。
その動きに擦れ合うその肌の合間から、私の意志とは関係なく熱い愛液が溢れ出す。
溢れた蜜がその下の窪みを伝って、シーツを濡らしているのを感じた。

私、いつの間にこんな身体になっちゃったんだろう…

これが気持ちいいのかなんてまだ分からない。

ただ苦しくて…
でも甘くて
言葉になんてできない。

そこに好きだなんていう感情はないけど、繋がった二つの身体がどうしようもなく愛しくて…

切なく感じてしまうのはなぜなんだろう…?

男が身体を離した後で、そっと布団の中で自らの秘部に触れてみるとぬるっと指が滑って濡れた。

こんなに濡れてる…

この身体は男の言う通り、確かに感じてるんだ…

自分本位にひどくしようと思えばいくらでもできるのに…
彼はきちんと、私がなるべく気持ちよく感じるように扱ってくれてるんだ。

それが私を思ってのことじゃないにしても、彼なりにこの身を大事に抱いてくれているのかと思うと、少し下腹部がじんと熱くなった。

女の身体って不思議…

窪みに這わせた指を少しだけ進めると、ついさっきまで男を受け入れて、柔らかく拡がっていた粘膜がくちっと音を立てた。
まだそこにはありありと男の熱が残っている。

ついこの間まで、触ったことすらなかったのに…

あんな大きなものを、やすやすとここで呑み込んでいるなんて、やっぱり不思議でならない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

鳴宮鶉子
恋愛
辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

冷徹義兄の密やかな熱愛

橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。 普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。 ※王道ヒーローではありません

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。

青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。 その肩書きに恐れをなして逃げた朝。 もう関わらない。そう決めたのに。 それから一ヶ月後。 「鮎原さん、ですよね?」 「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」 「僕と、結婚してくれませんか」 あの一夜から、溺愛が始まりました。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~

雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」 夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。 そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。 全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載

処理中です...