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時空超えたコレクションの意味
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時空超えたコレクションの意味
序
押し入れの奥に蝉の殻が落ちていた
それを見て子供の頃を思い出した……
登場人物
是北 魂 十一歳
温下川 従理 十二歳
僕は学校が終わった後、友達だと思っているクラスメイトの女の子といつも同じ公園で遊んでいる。夏休み中の今日も、その子と一緒にいつもの公園にいる。その日はせっせっと、その彼女と蝉の抜け殻を拾っていた。その途中、ふと思った、殻集めて何になる?
虚しくなって彼女に聞いて見た。
「そんなに集めてどうするの」
「どうにもしないよ」
「どうにもしないなら、もういいじゃ他の事しようよ」
「もう少し」
と結局、彼女と2人で、行きにスーパーから貰ってきたロールビニール袋いっぱいに抜け殻を集めた。
帰り駄菓子屋で彼女が三十円の棒アイス奢ってくれた。彼女は口にアイスを咥えたながら袋の中の抜け殻を眺めてニヤニヤしている。
本当に当時、蝉の殻を集めて何が楽しいのか、わからなかった。
五年後の今、俺の彼女になった彼女に聞いて見た、
「多分所有欲を満たすためだったのかな~」
と答えてくれた。
「所有欲?」
「そう、子供の時って、お金ないから物に対して興味が湧くけど大抵の物は親にねだらないと手に入らないじゃない」
「確かに」
「そこで生き物として完璧な造形の蝉の抜け殻は私に魅力的だったのかな」
「今はまだ持ってるの? あの時の殻」
「持ってるわけないじゃない、持ってたら怖いでしよ」
押し入れの奥で見つけた、壊れない様に注意して持って来た、その時の蝉の殻を彼女に見せて見た。
「こっわ! マジ?……でも大切に持っててくれたんだ嬉しい」
「あ、ごめん実は偶然押し入れの奥に落ちてたの見つけたんだ」
「なるほど、君は一つ忘れてる事あるわね」
「忘れてる事?」
「そう、その殻、君が見つけた時、脱皮前で動いてたのよ」
「え!」
「私し始めて見る動く殻に興奮して、欲しいって何回も君にお願いしても、君は決して譲ってくれなかったわ」
「そうだったかな」
「機嫌取ろうと、帰りにアイス奢ってあげてもくれなかったわ、でもその時の思い出が残ってたから、君と付き合う事にしたんのよ、顔はイマイチだけど優しい人かな~とか」
「全然覚えてないな」
「私はしっかり覚えてるよ、当時は結構悔しかったから、家に帰っても諦めきれずに夜また君の家に行ったの、そうしたら家の壁に君がその蛹を引っ掛けてるのを見て諦らめたの、その後二人で脱皮するところを見たじゃない」
……その時に意味が無い行動に感じる事でも時が経つと意味を持ち始める事もあるんだと感じた。
ついでに気になったので聞いて見た……
「仮にその時、その蛹をあげてたらどうしてたかな?」
「そうねー 君とは付き合ってなかったかもね、蛹は湧き上がる子供の好奇心で我慢できずにブリット殻、剥いちゃってたかも、今はそんな事、絶対しないけど……でもその代わりに最近別の物の殻、あ、皮剥いたからいいけどね」と俺に妖しい眼差しを向けた。
その見覚えがある視線に俺は少し前の夜の事を思い出して股間がゾーっとした。
半真性の俺が痛がっても彼女は譲らず結構強引に剥かれた、お陰で脱皮出来て仮性には成れたけど……
あの責めは蛹を譲らずに更にアイスをただ食いした当時の俺に対しての彼女のお返しだったのか?
それとも蝉の恩返しか?
目の前の蚊取り線香の煙は渦を巻いて炊き上がっていた……。[終]※フィックション。
リンク作品
①今は昔と違い、横に誰もいない……
②【R15】夏の日の君に。
③彼女の小さい竜
序
押し入れの奥に蝉の殻が落ちていた
それを見て子供の頃を思い出した……
登場人物
是北 魂 十一歳
温下川 従理 十二歳
僕は学校が終わった後、友達だと思っているクラスメイトの女の子といつも同じ公園で遊んでいる。夏休み中の今日も、その子と一緒にいつもの公園にいる。その日はせっせっと、その彼女と蝉の抜け殻を拾っていた。その途中、ふと思った、殻集めて何になる?
虚しくなって彼女に聞いて見た。
「そんなに集めてどうするの」
「どうにもしないよ」
「どうにもしないなら、もういいじゃ他の事しようよ」
「もう少し」
と結局、彼女と2人で、行きにスーパーから貰ってきたロールビニール袋いっぱいに抜け殻を集めた。
帰り駄菓子屋で彼女が三十円の棒アイス奢ってくれた。彼女は口にアイスを咥えたながら袋の中の抜け殻を眺めてニヤニヤしている。
本当に当時、蝉の殻を集めて何が楽しいのか、わからなかった。
五年後の今、俺の彼女になった彼女に聞いて見た、
「多分所有欲を満たすためだったのかな~」
と答えてくれた。
「所有欲?」
「そう、子供の時って、お金ないから物に対して興味が湧くけど大抵の物は親にねだらないと手に入らないじゃない」
「確かに」
「そこで生き物として完璧な造形の蝉の抜け殻は私に魅力的だったのかな」
「今はまだ持ってるの? あの時の殻」
「持ってるわけないじゃない、持ってたら怖いでしよ」
押し入れの奥で見つけた、壊れない様に注意して持って来た、その時の蝉の殻を彼女に見せて見た。
「こっわ! マジ?……でも大切に持っててくれたんだ嬉しい」
「あ、ごめん実は偶然押し入れの奥に落ちてたの見つけたんだ」
「なるほど、君は一つ忘れてる事あるわね」
「忘れてる事?」
「そう、その殻、君が見つけた時、脱皮前で動いてたのよ」
「え!」
「私し始めて見る動く殻に興奮して、欲しいって何回も君にお願いしても、君は決して譲ってくれなかったわ」
「そうだったかな」
「機嫌取ろうと、帰りにアイス奢ってあげてもくれなかったわ、でもその時の思い出が残ってたから、君と付き合う事にしたんのよ、顔はイマイチだけど優しい人かな~とか」
「全然覚えてないな」
「私はしっかり覚えてるよ、当時は結構悔しかったから、家に帰っても諦めきれずに夜また君の家に行ったの、そうしたら家の壁に君がその蛹を引っ掛けてるのを見て諦らめたの、その後二人で脱皮するところを見たじゃない」
……その時に意味が無い行動に感じる事でも時が経つと意味を持ち始める事もあるんだと感じた。
ついでに気になったので聞いて見た……
「仮にその時、その蛹をあげてたらどうしてたかな?」
「そうねー 君とは付き合ってなかったかもね、蛹は湧き上がる子供の好奇心で我慢できずにブリット殻、剥いちゃってたかも、今はそんな事、絶対しないけど……でもその代わりに最近別の物の殻、あ、皮剥いたからいいけどね」と俺に妖しい眼差しを向けた。
その見覚えがある視線に俺は少し前の夜の事を思い出して股間がゾーっとした。
半真性の俺が痛がっても彼女は譲らず結構強引に剥かれた、お陰で脱皮出来て仮性には成れたけど……
あの責めは蛹を譲らずに更にアイスをただ食いした当時の俺に対しての彼女のお返しだったのか?
それとも蝉の恩返しか?
目の前の蚊取り線香の煙は渦を巻いて炊き上がっていた……。[終]※フィックション。
リンク作品
①今は昔と違い、横に誰もいない……
②【R15】夏の日の君に。
③彼女の小さい竜
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