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夏の日の君に
しおりを挟む[お題・祈り]※コメディ作品
序
高校生の俺は学校帰り自転車に乗り川沿いの道を通る、その帰り道、少し遠くに近所の大型スーパーが見えて来ると、たまぁーに数年前の小学校時代の終焉が迫った夏休みの思い出を思い出す……
登場人物
是北 魂 (これきた・こん 主役 十一歳)
温下川 従理(ぬかがわ・じゅり 助っ人 十二歳)
少しトロいが、最近転向して来た、ある能力が有るクラスメイトの少しデッカい女の子と僕は開店前のパチンコ、いや間違えた、スーパーに並んでいる……と言っても並んでるのは、その子と僕だけである、更に正確に言うとしゃがんでいる。後五分で開店という所で彼女が、「私トイレ」と言い出した。
「えっ! 後は五分でお店開くから我慢してよ」
「うーん無理出っちゃいそう、ちっと行って来るー」
と立ち上がって土手側の方に走り出した。
「終わったら、すぐに戻って来てよー」
と僕は彼女の背に向けて大声出す、
「うん! わかったー」
と彼女の姿は小さくなって見えなくなった。
その子は授業中もちょくちょくとトイレに行く、先生も呆れて、いちいち聞かないで、もう勝手行きなさいと言ってる始末だ……まぁそんな事は僕に関係ない、ただ戻って来るかが心配になった。ある理由があって彼女をここに連れて来たから。
そして彼女が戻らずして十時の開店時間を迎え、店のシャターが開く! 僕はカゴを取り、お菓子売り場に走る、あった! 一箱丸々。
僕は昨日の夕方、お母さんのお使いでこのスーパーにネギを一本買いに来た時に店裏から、この大人気で棚に並んでもすぐに売り切れてしまうお菓子が搬入されるのを目にした。そしてチャンスと思い今日朝から並んだのだ、ところでなんでそのお菓子が人気なのか? それは中に入っているおまけのキャラクターシールが人気なのである、特に当たりと言われるキラキラ光るシールは一箱に二枚しか入っていないと言われている、それが欲しい、ただ今回の様に上手く多量に買える事が出来てもある問題が生じる、それはメインのお菓子であるチョコレートを挟んだウェハース菓子が多量に余る事である、説明はハブクが家にその多量のお菓子を持って帰ると色々と都合が悪い、だからと言ってそこの辺に捨てるのも道徳的に気が引ける。
そこで今日連れてきた女子の出番だ、このクラスメイトの子は給食を食べるのが早い、更にお代わりをしてもペースが落ちずに何回もお代わりできる特殊能力がある。昨日もお使い帰り彼女の家に寄りお菓子いっぱい食べさせてあげるといったら今日は朝から簡単にホイホイ付いて来たw
使わずに取って置いた、お年玉を全て使い果たし四十個のお菓子を買い、スーパー出ようとしたら、そのクラスメイトの子の姿が見当たらない? 野糞からは、時間的に、もう戻ってるはずだ。『どこへ行ったー』と思ってスーパーの中を探したらフードコーナーでホットドッグを食べていた、今からお菓子をたらふく食べさせるのに勝手に他の物を食べられたらお菓子が食べ切れなくなる、それは困る! 彼女のバレっちゃったって感じのキョトンとした顔に僕はイラっとし思わず髪を引っ張り、
「なにしてるの早く来て」
「痛ってて、魂ちゃん髪、引っ張らないでよー」
「もっと真面目にやって!」
「言われた通り、朝お代わりしなかったから我慢できなかったのー 大丈夫だよー 私し食べれるから」
彼女がホットドックを口の中に全部入れたら、
「もう行くよ」
「あっ!」
「なーにー」
「その前に……」
と彼女が落ち着かない感じで目をパチパチした。
「またー ウンコー」
彼女は恥ずかしそうに頷いた……
僕は呆れ渋々許可して彼女がトイレから帰って来てから、菓子を開封するため、目星を付けた普段から人影を余り見る事の無い寂れた公園へと向かった。
十一時、南第二鳩っぽぽ公園に到着。
ベンチに座り、
「よし、お前も開けるの手伝え」
「うん、出ると良いねキラ」
僕は頷き、菓子の封を切りシールをドンドン取り出す、彼女は側からドンドン菓子を口に運びほうばる。
中々キラ(当たりシール)が出ない、その時、
半分程お菓子を彼女が食べたところで、
「うっ! 私お腹いっぱいかも」
「何! だからさっき言ったじゃないかー」
「ごっめーん」
「水飲んで来て、水で流し込んで」
「ふっええー 無理ー」
「全部食べないと僕は怒るよ、明日からお前をイジメる」
「えっー、わかったよ~」
水を飲み戻って来たらまたお菓子を彼女に食べさせる、彼女はうーうー唸りながらお菓子を食べている。
しかし一向にキラは出ない、噂だと箱買いしても稀に一枚もキラが入ってない事もあると聞いた……
〈祈り〉を込めてラスト残り2個を開ける!
「おっ! おっおおー!」
立て続けに当たりシールであるキラキラが出た!
僕は興奮し嬉しさの余り、
彼女の顔にシールを近づけ、
「ほら! 見ろ見ろ」
「うんうん……うっ!」
一瞬彼女の口が横に一文字に閉じほっぺたかパンパンに膨らんだ……そして、
「うっ! ゲェー ゲロゲロゲロブッパー」
僕は片手に持つ2枚の当たりシールと共に彼女の吐いた、元お菓子だったゲロを頭から被ってしまった! もちろんシールは台無し……
彼女は、「はぁー ごめんなさーい」と言いながら走って逃げて行ってしまった……
ゲロを頭から被り帰宅した僕は原因を親に追求され今日の出来事を全て吐き、夜中迄こっぴどく叱られ、翌日、無理を言って付き合わせた彼女の家へ親に連れられ誤りに行った……
……! そんな思いでを土手に座り、浸っていたら横面に突風が当たりハッとし我に帰った、その帰り彼女の家の前も数年ぶりに通って見たら玄関前で彼女はプランターを洗っていた、そんな彼女は大人っぽくなっていて水の乱反射でキラキラと光って見えた。
夏の日の思い出がまた一つ増えた……
それは彼女に恋をした夏の日だった。[終]
※フィックション
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