上 下
22 / 49

22 マロンの死生観

しおりを挟む
22 そーさりー・マロンの死生観

 少しすると絨毯の操作に慣れてきて心にも余裕が生まれてきたのか空の旅はゆっくりした時間に変わっていった、その時、武器を持ってこなかった事に気づいた、と言うよりまだ鍛冶屋に預けたままだった。
「俺さー 何も持ってこなかったけど大丈夫かな」
と、さっきから俺の肩に顎を乗っけてまどろんでるマロンに聞いてみた……
彼女は昨夜の性交の疲れが出て来たみたいで怠そうに、
「うん? なーにー 武器を持ってこなかったからどうしようってこと……」風も穏やかなせいもあってか彼女は俺と背合わせな体勢になり俺に寄りかかる様にして「ンー」と背伸びし天に伸ばした両手を背合わせの体勢のまま折り俺の頭を軽く両サイドから包む様に掴み、まどろんだ感じに話し始めた……
「襲われてダメなら一緒に死ねばいいじゃない、一緒に死ねばいつまでも一緒よ、神様の生まれ変わりのお願いを拒否しつ続ければ、ズーっとね、一人で死ぬから皆んな向こうに行っても一人で結局は寂しさに耐えられずに出会いを求めてまたこんな殺し合いしている地獄の世界に生まれ変わって来てまた苦労するはめになるのよ、だから誰かと一緒に死ねばいいのよ、そう考えると今、死ぬのも怖く無くなって今が気楽になってこんな世界でも楽しくも感じるでしょ、あなたは幸せ者よ絶対に裏切らないで一緒に死んでくれる私を手に入れたんだから」と少し怖い宗教的な事を言い、また俺の背に胸を押し付ける感じで腰に手を回し俺の肩に顎を乗せながらzzz子供みたいに寝てしまった。俺は自分が死んで彼女に後を追って来ては来てもらいたくないと思った、また逆に俺は彼女の後を追えるのか
考えて見たら本当に死後の世界が存在する保証が得られば追える気もした。  

死は解らない物だから怖いのだ……

……こんな事は考えるのやめよう、今を一生懸命に生きるんだ。
彼女と俺の世界は始まったばかりだ。

俺は少し彼女の目を覚そうと思い、鼻を摘んで見た、
「うー……ぷっはっ!」
「生き返ってくれたかな、真面目な話しをしよう」
「私はまじめよ」
「じゃシャキッと頼むよ! ガーゴイルを倒した時のマロンはどこにいったの?」
「はい、ゴメンなさい、……私も槍、忘れちゃった、今は腰に付けてるダガーだけです、昨夜のマー君の激しい責めで私、少し頭イカれちゃったかもしれないです、最中に頭の中で何か弾けた音しましたし」

(マー君って……この子はしばらくはダメだな、現状に満足してしまって覇気が無くなってしまった、そのうち恋熱も冷めれば元に戻るだろう……)

「モンスターが来たら来たで逃げれば良いと思います、この絨毯は知っての通りかなり早いので大抵のモンスターなら余裕で振り切れます」

「まあそうだね、ところでマロンの師匠はお爺さんって言ってたけど、お爺さんの方が今も強いの?」

続けて、俺にとってもは謎の多い、マロンの祖父の事を淡々と語ってくれた。[23へ続く]
しおりを挟む

処理中です...