ソーサリー・魔法使いの少女

仙 岳美

文字の大きさ
上 下
17 / 26

17 帰宅した俺

しおりを挟む
 王子様と王女様は、ミュージカルをひと段落させて、王様たちの近くに戻ってきて、握手する。
 王妃さま、王子さまたちも笑顔で握手をすると、王女さまたちにも握手。

 さっきほどじゃないけど、鼻にかかった声で、んっぬって入るからちょっと笑えちゃう。

『ナギのお方達のおかげで久方ぶりにレイドラアースの地を訪ねることが出来て、嬉しく存じます』
 外交のお偉いさんは歌劇調じゃなかった。

 改めて、王子様たちを、カイサル・ラクサンヌ・グリーンリバー第一王子とシャリアンヌ・アーリィン・グリーンリバー第三王女と言う名前だとお偉いさんなジョエル・ダンタル侯爵、外務卿が教えてくれた。
 一番面倒と聞いていたドラム公爵じゃなくってホッとした。
 同じ方向の面倒なのかは謎だけど、わざわざ面倒な場面に遭遇したくないしね。

『こちらこそ、我が国にお出まし頂き、光栄至極です』
 ガルフ侯爵が愛想良くダンタル侯爵と握手。

 カイサル殿下とシャリアンヌ殿下が、ファリン殿下とルアラン殿下に直で話しかけてきた。うぉう。通訳必要なさそうだし離れたい。

『んっぬ。すまないっんね!公用語だっとぅ、わたぁーしの良さんっがっ伝わらないっんなっ』
 ゲ。母国語だともっとすごい可能性を秘めているの!!??

『おっほうほぅ!おっにいしゃっまぁはぁ、ゴッガックゥからぁおっ逃げぇにィなっるぅからぁぁん』
(お兄さまは語学からお逃げになるから)
 シャリアンヌ殿下も大差ない気がするんだけど。

 独特なアクセント?訛りとは違うみたいだけど、私に移っちゃったらどうしよう。

 ちなみにお二人ともわりと美形なのに言動とカボチャパンツで台無しなの。
 王子様が二十五才くらいで、王女様が十九才くらいらしい。マジっすか。

 王妃さまにこっそり聞いたら、グリーンリバーの女性も通常はドレスだそうなので、王女様は趣味か旅装か。
 以前、お見えになった時は膝丈パンツだったそうなので、ドレスがお嫌いなのかも。

『そっなぁーたぁはぁ、陛ぃ下ぁのぉ、ほっごぉーうぉおぅ、うっけったぁむっすーめかぁ?』
(そなたは、陛下の保護を受けた娘か?)
 めっっっんどくせぇな!!あ、お口が悪くなっちゃいました。

『グリーンリバーの尊きお方にご挨拶をする事をお許しください。私はジュリアス・グレーデン辺境伯が妻、リーシャ・グレーデンと申します。我が王より、ナギ国のファリン殿下、ルアラン殿下の通訳としてお側につかせて頂いております』

 カーテシーの状態で停止して返事を待つ。

「ほぉほー、言葉にこっまればぁ、まっかせることぐぁ、でっきるなぁ?」
(ほほぅ、言葉に困れば、任せることができるかな?)

 え。グリーンリバー語はレイドラアース語とちょっと違うけど、これは公用語の時よりちょっとマシなだけでは。

「おんにさまぁ!出っ来ぃるどぅあけ、こうよっぉうぐぉがぁよっろうしゅいぃわぁ」
(お兄さま、出来るだけ公用語がよろしいわ)

 ぬー!これは、ちょっと難しいぞ。二カ国通訳になちゃう感じに頭使うぞ。

『っんむ!そっぉうかぁあっんぬっ』
(ぬ?そうか?)

 始終こんな感じなの?

『グッゥレェデェンッのにはぁ、会った事ぐぁあっるまっす!!ヨッメをぉもらわぁんぬっとぅおっもってぇいっましタァがっおっ好みぬぉンっ、すぇいでぇしーったのんっねぇっ』
(グレーデンのには、会った事があります!嫁を貰わぬと思っていましたが、お好みのせいでしたのね)
 
 おおぅ、ロリコン扱いぃ!王女様が酷い事言うって文句言いたいけど、この口調で話しを聞くの面倒だから泣き寝入りで良いかな?
 横にいたセリウスさまが「流せー」って顔してるし、ルルゥは笑顔で顔を固めてるし、ガルフ侯爵は「スルーせよ」って顔。
 うちの王子さまたちはすでに飽きてる。

 ナギの人たちが笑顔のまま、凍りついてるよ。

『『彼女はこう見えて成人していて、嫁ぎ先のグレーデンで商業を発展させている敏腕な夫人だ』』

 なぜか、ファリン殿下とルアラン殿下が庇ってくれた。話が長くなるし、もう良いんですよー。
 王子様とダンタス侯爵が『ほう?』ってなっちゃった。

『見た目はレイドラアースの王子方とナギの王女方と大差なく見えるのに・・・』

 グリーンリバーの皆さんの方からそんな言葉が聞こえてきた。

 なんだとぉ!!!!

 いくらなんでも私は十才には見えんだろうがぁい!!!

 ふんぬー!

「ちゃんとリーシャちゃんの方が大人っぽいからねぇ」
 後ろからルルゥにそっと肩を抑えられて慰められた。

 グレーデンやホーンで小さく見えるのは仕方ないけど、王子さまたちよりは背丈もあるし、顔つきも子供じゃないもん。

『まぁあん!我っが国ぃにぃはぁ、こっこっまでぇペッタンこぉおーっぬあぁフッジィンはぁいらっしゃるっぅくぁしらぁ?』
(まあ!我が国には、ここまでペッタンコの夫人はいらっしゃらるかしら?)

 私のお胸を見て、盛大に首を傾げるシャリアンヌ!!!絶許!!
 敬称なんか排除だ。

 全世界貧乳教会員を敵に回したな!?
 そんな会はないけど、ツルペタ仲間を敵に回したよ!

 シャリアンヌのお胸は大きくも小さくもない程よい丘に見える。が、王子様と同じベストの上にジャケットなのでハッキリはわからない。ちくせう!!でもお義母さまくらいあったら隠せないボリュームだから、多分人のこと言えるほど、大した事ないよ!!

『シャリゥアァンッンッヌッ!じょっせいぃうぁ、ムッネッっじゃぬぁいんっどぅあっんぬ!くぉっしぃだっよんっぬ!わったぁしぃぬぉツッマぬぉ、ん、ふぉっぉすぉくぅくっびぃれったぁ!くぉっし!よっぉいよっぅんぬ!』
(シャリアンヌ!女性は胸じゃないんだ!腰だよ!私の妻の、ん、細く括れた!腰!良いんだよ!)

 細く括れた腰!それも私にはナッシング!

 兄妹がしょうもない喧嘩してる。
 その内容に私は連続して攻撃を受けてるんだけど。

『『リーシャはリーシャのままで良い。うるさいよりよほど良い事だしな』』
 十二歳の王女さまたちに小声で励まされた。

 国中の重鎮が集まり、ナギとグリーンリバーのお客様のいる前で子供体型だと周知されたんだけど、もうお家帰りたい。


___________________




グリーンリバーの面倒な二人は大した事を言ってないので、深く考えなくて良いかと訳を付けてなかったんですが、訳した方がいいとのことで訳を追加しました。

改めて打ち直すとくだらなさに精神が病みそうですw

自分にダメージが大きいので、面倒なキャラを考えたことに後悔中です。

イラっとさせてしまっていたら申し訳ない。

とっとと国へ追い出したいです⭐︎
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?

つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです! 文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか! 結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。 目を覚ましたら幼い自分の姿が……。 何故か十二歳に巻き戻っていたのです。 最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。 そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか? 他サイトにも公開中。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

処理中です...