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15 少女を腕の中に
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双頭竜は首と尻尾をダランともたげた……
そして二つの首の生え際の中央の辺りからゆっくりと身体が裂けっていた、唯、翼はまだユックリと羽ばたいている……
そしてバリバリと音を鳴らして右首の方の部分が剥がれ落ち下に落下していた、当然、残った半身の方も直ぐ全ての生命活動を停止して落下すると思いきや!
裂けた断面から手、足、翼が瞬間的に生え! もたげていた首と頭が再び上がり出した。
そして目も再び光を取り戻した。
それは脱皮の様だった……
双頭竜から頭も尻尾も単一になり普通の竜にその姿は変わった。唯、体の鱗は全て落下した半身に持っていかれ全体は皮を剥がれた生き物の様になっていた。
そのゾンビの様な竜は上空から睨みつけてきた。
何かその目は双頭の時とは違い知性を帯びた様に感じた。
口元はニヤリと笑った様に思えた……
その時、ピッキーっと耳鳴りを急に感じた。
耳鳴りは俺だけではなかった、横でマロンも耳を塞いでいた。
頭の中で何者かの声が響いてきた……
《おい、やってくれたな、何百年ぶりに半身を捨てたわ》
…俺は頭の中で竜と会話を始めた。
「お前は何故? 死なない」
《……ここまで俺を追い込んだお前に敬意を称し教えてやる、お前はどうせもう死ぬしな! …たしかに死んだよ、半身はな、我を完全に殺すには首を二つ切らなければ殺せない、再生を繰り返えす、我を亡き者にしようと昔は大勢の戦士が王国から差し向けられて来たがどいつも首一つすら切れないで灰になったわ! 一人だけお前と同じやり方で半身は潰す事に成功した者もいたが、その後、結局は絶望して炭になった、そう言う事だ》
トカゲの尻尾切りかよ、まいったぜ……
刃は、もうガタガタだった…弾も使い果たした、竜を舐めていた…
勝手に相手の弱点を都合のいいように決めつけていた……
俺は馬鹿だ……
ダメ元で交渉をした。
「もうこの辺で引いてくれないか! 頼む、今後は絶対にお前には手を出さない」
《それはできない、お前らはガーゴイルを三体も殺した、それも王をだ! 同盟関係にある種族を殺した相手は殺さないといけない》
「じゃあなぜ、今から殺す相手にわざわざ話しかけて来た?」
《聞きたい事がある》
「……」
《お前は、我々が昔、国ごと滅ぼした竜騎兵の生き残りなのか? お前が羽織っているそのマントと武器は間違いなく竜騎兵の物だ、お前は竜騎兵だろ》
「知らない! このマントは人から貰った物だ、武器は先祖から引き継いだ物だ」
《……嘘は言ってない様だな……マントをお前が手にしたのは偶然でもその武器は……お前は竜騎兵の子孫だ! そして我が一族の宿敵、まだ未熟だが脅威は十分に感じる、育つ前にここで死んでもらう! ハッハハハハ》
耳鳴りが強くなって来た!
『頭が割れそうに痛くなり始めた』
マロンはうずくまり動かなくなってしまった、痛みで気絶した様だ……
俺は頭が割れそうな中、頼んだ!
「頼む! 彼女は見逃してくれ、俺が金で雇った唯の案内人だ、関係は無い!」
《その女の槍捌き捨ててはおけんな》
竜は口を開いた、その口の中は輝き出した、もう話しを聞く気はない様だ……
俺は彼女をマントで覆い目を閉じ観念したが彼女は助けたかった最後にできる俺の事は奇跡を信じ神に祈る事だけだった……
ドン! ドン! ドン!
イキナリ爆音が周辺に響いた!
そして耳鳴りが急に止んだ!
見上げたら竜の頭は無くなっており、身体は火を吹いて燃えていた…
どうやら竜の半身が街に落下した事で上空の異変に気づいた、城塞都市防衛軍が砲台で援護射撃をしてくれた様だ……
俺はその時、安堵の余り脱力し膝を着き涙を流した……
その涙は腕に抱くマロンの頬に落ちた……
彼女は目を覚まし震えて俺に縋る様にしがみついて来た、俺は彼女を抱きしめた……
脱皮した直後は身体が柔らかく、
一番危険な事は竜でも変わりは無かった……
そんな事も長く生き過ぎたせいなのか? 忘れ、油断し、死んだ哀れな竜の死体は落下しっていった……
急に訪れたあっけない死闘の幕切れだった……
案外戦いとはこ言う物なのかも知れない……
そして歴戦の強者でも戦いに身を置いているのならば弱い強い例外なく死は突然に訪れるのは自然な事なのかもしれない……
《16へ続く》
双頭竜は首と尻尾をダランともたげた……
そして二つの首の生え際の中央の辺りからゆっくりと身体が裂けっていた、唯、翼はまだユックリと羽ばたいている……
そしてバリバリと音を鳴らして右首の方の部分が剥がれ落ち下に落下していた、当然、残った半身の方も直ぐ全ての生命活動を停止して落下すると思いきや!
裂けた断面から手、足、翼が瞬間的に生え! もたげていた首と頭が再び上がり出した。
そして目も再び光を取り戻した。
それは脱皮の様だった……
双頭竜から頭も尻尾も単一になり普通の竜にその姿は変わった。唯、体の鱗は全て落下した半身に持っていかれ全体は皮を剥がれた生き物の様になっていた。
そのゾンビの様な竜は上空から睨みつけてきた。
何かその目は双頭の時とは違い知性を帯びた様に感じた。
口元はニヤリと笑った様に思えた……
その時、ピッキーっと耳鳴りを急に感じた。
耳鳴りは俺だけではなかった、横でマロンも耳を塞いでいた。
頭の中で何者かの声が響いてきた……
《おい、やってくれたな、何百年ぶりに半身を捨てたわ》
…俺は頭の中で竜と会話を始めた。
「お前は何故? 死なない」
《……ここまで俺を追い込んだお前に敬意を称し教えてやる、お前はどうせもう死ぬしな! …たしかに死んだよ、半身はな、我を完全に殺すには首を二つ切らなければ殺せない、再生を繰り返えす、我を亡き者にしようと昔は大勢の戦士が王国から差し向けられて来たがどいつも首一つすら切れないで灰になったわ! 一人だけお前と同じやり方で半身は潰す事に成功した者もいたが、その後、結局は絶望して炭になった、そう言う事だ》
トカゲの尻尾切りかよ、まいったぜ……
刃は、もうガタガタだった…弾も使い果たした、竜を舐めていた…
勝手に相手の弱点を都合のいいように決めつけていた……
俺は馬鹿だ……
ダメ元で交渉をした。
「もうこの辺で引いてくれないか! 頼む、今後は絶対にお前には手を出さない」
《それはできない、お前らはガーゴイルを三体も殺した、それも王をだ! 同盟関係にある種族を殺した相手は殺さないといけない》
「じゃあなぜ、今から殺す相手にわざわざ話しかけて来た?」
《聞きたい事がある》
「……」
《お前は、我々が昔、国ごと滅ぼした竜騎兵の生き残りなのか? お前が羽織っているそのマントと武器は間違いなく竜騎兵の物だ、お前は竜騎兵だろ》
「知らない! このマントは人から貰った物だ、武器は先祖から引き継いだ物だ」
《……嘘は言ってない様だな……マントをお前が手にしたのは偶然でもその武器は……お前は竜騎兵の子孫だ! そして我が一族の宿敵、まだ未熟だが脅威は十分に感じる、育つ前にここで死んでもらう! ハッハハハハ》
耳鳴りが強くなって来た!
『頭が割れそうに痛くなり始めた』
マロンはうずくまり動かなくなってしまった、痛みで気絶した様だ……
俺は頭が割れそうな中、頼んだ!
「頼む! 彼女は見逃してくれ、俺が金で雇った唯の案内人だ、関係は無い!」
《その女の槍捌き捨ててはおけんな》
竜は口を開いた、その口の中は輝き出した、もう話しを聞く気はない様だ……
俺は彼女をマントで覆い目を閉じ観念したが彼女は助けたかった最後にできる俺の事は奇跡を信じ神に祈る事だけだった……
ドン! ドン! ドン!
イキナリ爆音が周辺に響いた!
そして耳鳴りが急に止んだ!
見上げたら竜の頭は無くなっており、身体は火を吹いて燃えていた…
どうやら竜の半身が街に落下した事で上空の異変に気づいた、城塞都市防衛軍が砲台で援護射撃をしてくれた様だ……
俺はその時、安堵の余り脱力し膝を着き涙を流した……
その涙は腕に抱くマロンの頬に落ちた……
彼女は目を覚まし震えて俺に縋る様にしがみついて来た、俺は彼女を抱きしめた……
脱皮した直後は身体が柔らかく、
一番危険な事は竜でも変わりは無かった……
そんな事も長く生き過ぎたせいなのか? 忘れ、油断し、死んだ哀れな竜の死体は落下しっていった……
急に訪れたあっけない死闘の幕切れだった……
案外戦いとはこ言う物なのかも知れない……
そして歴戦の強者でも戦いに身を置いているのならば弱い強い例外なく死は突然に訪れるのは自然な事なのかもしれない……
《16へ続く》
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