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不意に口寄せした黒電話
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週末、仲良しの男子高校生の二人がファミレスで食事をしている。
不意に片方のスマホが鳴る。
「もしもし」
スマホが、不意になる事は当たり前である、ただその着信音に違和感を感じた片方の生徒は、会話を終え、スマホを切った友人にたずねる。
「あれ、音、変えた?」
「あ、うぅん」
「前の黒電話の音だったけ、おじいさんの家に遊びに行った昔を思い出して、癒される~とか言ってなかったけ」
「うん、少し事情があってね、代えたんだ」
「事情?」
「うん、聞くかい?」
「是非」
「先週の事さ、家族で夕食時にスマホが鳴ったのさ、そこまで良かったんだけど……聞こえてしまったんだ」
「何が聞こえたの?」
「『おーい電話鳴ってるぞ』ってね」
「まさか」
「そう、そのまさかさ、その声は亡くなったじいちゃんの声とソックリだったんだ」
「君以外の家族も聞こえたのかい?」
「それがね~、親や弟も反応が無くてね、どうやら聞こえたのは、僕だけみたいなんだよ」
「………でもそれは、良い事なんじゃないかな、おじさんが見守ってくれてるとか」
「僕もそう思うよ、でもいざ当事者になると、やはりなんか薄気味悪っくてね……」
「……」
[終]
題材・口寄せ
能力者がおこなう死者の声を聞き取る術。その能力の無い、一般の人が不意に、聞こえるはずの無いのに聞こえてしまった声は、呼び起こした記憶を脳で誤認知し、聞こえた気がした幻聴なのかも知れない。
不意に片方のスマホが鳴る。
「もしもし」
スマホが、不意になる事は当たり前である、ただその着信音に違和感を感じた片方の生徒は、会話を終え、スマホを切った友人にたずねる。
「あれ、音、変えた?」
「あ、うぅん」
「前の黒電話の音だったけ、おじいさんの家に遊びに行った昔を思い出して、癒される~とか言ってなかったけ」
「うん、少し事情があってね、代えたんだ」
「事情?」
「うん、聞くかい?」
「是非」
「先週の事さ、家族で夕食時にスマホが鳴ったのさ、そこまで良かったんだけど……聞こえてしまったんだ」
「何が聞こえたの?」
「『おーい電話鳴ってるぞ』ってね」
「まさか」
「そう、そのまさかさ、その声は亡くなったじいちゃんの声とソックリだったんだ」
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「………でもそれは、良い事なんじゃないかな、おじさんが見守ってくれてるとか」
「僕もそう思うよ、でもいざ当事者になると、やはりなんか薄気味悪っくてね……」
「……」
[終]
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