【R18】師の教えと狼少年〈前章〉〜《本編》

仙 岳美

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19 美月先輩の巻

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19 美月先輩の巻

ここから二部

登場人物
主人公 語り
 滝 伯兎 (たき はくと)
       16歳 高一 身長一五八cm

 鷹山 美月(たかやま みつき)
       17歳 高二 身長一七五cm

※本編から少し時間と季節は戻り夏。
 
 剣道、夏の県大会が見知らぬ山奥の他校で行われた、僕は予想通り初戦で負けてしまい、後は見学応援だったけど別にどうでもいい、辞める事に決めてるから、そんな僕は帰りのバス停でバスを待ってる時に竹刀をトイレ出口に立て掛け忘れて来た事に気付き取りに戻った。竹刀は無事手元に戻ったけどバスは行ってしまった、時刻表を見たら……『えー』今日はもう来るバスは無かった……
僕は見知らぬ土地に一人置いて行かれたと思ったら、急に不安になりドキドキして頭もボーとして来た時、
「滝君!」
と後ろから声をかけられた、振り向いたら二年生で主将の鷹山美月先輩だった。
(先輩の姿を見てかなり安心した)
僕は先輩に寄って行った。
先輩はニッコリとし、
「先生は試合で怪我した子の家に早く報告に行かないといけなくて、私が代わりに残る様に言われたの、そんな訳で待ってたよ」
「すみません、僕のせいで、バスもう来ない見たいですよ」
「歩けばいいのよ、道は私に任せて」
「駅までどの位かかるのかな」
「三十分くらいかな」
夕方の山奥でひぐらしが鳴いた…カナカナカナ……
「行くよ」
僕は美月先輩の後を付いて歩いた、僕の身長は158先輩は170は超えている、足が長い、イコール、歩幅が広い、イコール、歩くペース早い。
僕は付いて行くのがキツく感じ、
「先輩ーい、早いよ」
先輩は振り向き、
「ごめんね」
とユックリペースにしてくれた、けど、それでも重い防具を持っての歩きはカッタルイ、ドンドン先輩と距離が開いて行った…
先輩は途中の神社前で待っていてくれた。先輩の目の前には前後にクーラボックスを積んだ自転車のハンドル握り、立っている、お爺さんがいた。その自転車の後ろの、クーラーボックスの脇にはラムネと表記された旗が取り付けられ風になびいていた。
そのお爺さんの前に立つ先輩の手にラムネの瓶が! 一本だけ……
「喉乾いたから誘惑に負けて買っちゃた、涼しげな旗にやられたわ、そこの境内のベンチに座って飲みましょ」
「僕、交通費ギリギリなんで買えないです…」
先輩は頷き、
「私も一本ギリギリ、でも交代で飲めば良いのよ」
え! 僕は耳を疑った。
『それは間接キスでしょーーー先輩!』
「悪いから僕はいらないです、先輩だけどうぞ」
「あら、遠慮しなくてもいいわよ」
「本当にいいので」
「あっそう」
と先輩はベンチに腰掛けラムネを飲み始めた、
『あー飲みて』
先輩は二口飲んだら瓶を僕に差し出して来た…けど初キッスがこのままでは先輩になってしまう…僕は最初は好きな人とと乙女みたいに決めている…
「いらないの? 美味しいよ、冷えてて」
ゴックリ…
「飲まないと熱射病になるよ」
(熱射病は命に関わる、特例として飲むのも有りなのかもしれない……)
「我慢は身体に悪いよ~ ストレス溜まるよ」
先輩が甘く誘惑して来る……
うーん……僕は瓶を受け取り、口を付けてしまった、やってしまった間接キス……そして瓶を傾け飲んだ……
くそーキンキンに冷えてやがるーもう一口飲んで先輩に渡した。
「美味しいでしょ」
と先輩はまた一口飲んで僕に差し出して来た、少し躊躇した、その時、
「一回も二回も同じだよ」
「え! 何が?」
先輩キョトンと、した顔で、
「間接キッス」と僕に向けてウインクをして来た。
改めて言われると生々しいくヤラシイ…

 負けた僕を嘲笑う様にカラカラとひぐらしが鳴いた。

 もう諦めて飲もうと瓶を傾けたら中に入っているビー玉が詰まってラムネが出ない。
「詰まっちゃたのね、貸して見て」
と先輩は僕から瓶を取り、小指を舐めてその指を瓶口に突っ込んだ!
カラン!と玉が抜け落ちた音がし、
「ほら、玉抜けたよ、はい、どうぞ」と瓶を僕に返して来た、僕は此処まで唾液交換してしまったらどうでも良くなった。
後はスムーズに先輩と交互に回し飲みをした、飲み終えたら一つ疑問点を聞いた、
「美月先輩」
「なーに」
「どうやって、この玉を瓶の中に入れたんですかね」
「知らないかな~ 無理矢理突っ込んだりしてたりして」
「無理矢理は不可能でしょガラス出し」
「ふふふ、そうねガラスは無理ね」
「後、ビー玉 入ってるから飲みにくいですよね」
「それはね、回し飲みする時に一口の量がお互いに均等に渡る様にだよ、回せる回数も増えるしね」
「先輩、適当に言ってるでしょ」
「バレたー でも仕掛けは知らない方がいいよ、知っちゃたらつまんなくなるもんだよ、さあ、もう行こう」
と先輩は立ち上がった、
「あ、お爺さん帰っちゃたね、瓶返せば五十円帰って来たのに」
僕と先輩があんな、やらしい飲み方してたから、帰えっちゃたのかも?(汗)
程なくして薄暗くなって来た頃に駅に着けた、そこで先輩は、
「あー 思い出した、先生にタクシー代預かってたんだ」
「え!」
「まあ、山分けでいいよね」と僕を見てニヤッとした……先輩……態とでしょ。
先輩は僕に人差し指と中指で挟んだ五千円札をチラつかせ、
「ねえ、滝君もう遅いから何処か泊まってかない? 明日から夏休みだし」
先輩の後ろには、ご宿泊四千円の文字が光る入り口看板が!
「先輩此処からはもう1人で帰れます」
「あら、釣れないわね、私はもう用無しなの」
「ありがとうございました!」(はい! 先輩の役目は終わりました!)
「またね」
「……」

 こうして僕の初キスは間接的とは言え先輩に奪われた……[終]

20へ続く。
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