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⑨モザイクと後の合図への巻
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⑨モザイクと後の合図への巻
放課後…僕は校舎、目の前にある、数台の蛇口が壁に横並びに設置されている水飲み場で鉄バケツに水を8割程注いだら、そのバケツを両手で手前にぶら下げる様に持ち、ガニ股で校舎下に広がるグランドへと続く急な長さ25メートルくらいのコンクリの坂道を降り、そこからグランドの一番奥、野球のホームベースと得点表示板が設置されている所まで50メートル程進んで、その得点板裏側から、そのまた更に先、25メートル程伸びる狭い畦道の先にある簡素な地削り階段を降った所に増設された小さい予備グランドへと向かう。
何故かと言うと……
最近、買ったゲームソフトを早く帰ってやりたいだけの理由で理性に負け、昨日の放課後の掃除をまたしてもサボって帰った(えーと確か五回目)その罰に先生に命じられたからであります、はい!
今回のお仕置きの内容の詳細を説明すると……その予備グラは出入り口を除いて囲む様に紫陽花が植えられていて、その紫陽花に水をあげる事であります。
ここまでの話しだけを聞くと大したお仕置きにはなってないと感じますよね。
なのでもう少し詳しく説明しますと、この予備グラの近くに蛇口がない事から花に水をあげる為には先に説明した通り、遠い校舎前の水飲み場で水を汲んで、その重いバケツを運んでこないといけない訳でして、いつもは担当の野球部の生徒達が大勢でやっているこの作業を一人で全ての紫陽花に満遍なく水を与える為に定められた回数をこなすとなると当然ながら蛇口と予備グラの区間を何往復もしないといけない事となり、即ち、その花の水あげ作業は罰として成立する物にその姿をおぞましくも恐ろしい非人道的な刑罰に変化するのであります。
ついでにそれを見る野球部の生徒達の『何かして悪さして罰を受けてる奴』と小馬鹿に見られる視線にも晒され恥ずかし気持ちになります。
はい! こんな事を普通に思い付く先生は怖いです。
普段からこんな事ばっかり考えてるんでしょ……
今日中に先生から命令された水を撒くノルマの回数は、なんと十回!(バケツ十杯)
一回はなんとか水を溢しながら苦労して運びその水を撒く事はできた。
今は二回目のバケツに注がれる水を見ている……
一回行っただけで疲れた、腰はガタガタ、手もバケツの細い持ち手が水の重みで食い込んだ跡がまだ痛い!
『もうやだー 帰るー』
もう終わったと嘘を言いに先生がいる職員室に向かった。
職員室に入り、机に座る先生の前に立った僕はそこで信じられない光景を目にした……
先生はなんと!
麦茶を飲みながら饅頭を食べていた!
僕が苦労して悩んでいる時!
「終わりました」
「ずいぶん早いわね、バケツ何杯あげたのかな?」
「……言われた通り十回あげました」
「はい、嘘」
「え」
「まだ一時間も経ってないでしょ! 一往復するには二十分はかかるわね、君の体力だと良くて二回かしらね、本当は一回だと先生は思うけど(とクスリと笑いやがった、当たりだけど……)、後三回は水を撒きなさい、残りは七回は明日で勘弁してあげる、ハムット!」
と言って先生は饅頭を口に放り込んで麦茶を飲み、俺を見て少しニヤけた……(悪魔だ! 先生はネオナチだ! 総回数サラッと一回増えてるし)
職員室を出る時に振り返り先生を見たら僕の事を気にもかけずに横の男の先生と笑顔で話して笑っていた……クソー。
諦めて再びバケツに水を汲んでいたら、後ろから声をかけられた。
「なにしてるの?」
振り向いたら麻美だった。
「まだ帰ってなかったの?」
「忘れ物取りに来たのよ、で?」
「うん、僕は今拷問されてるの」
「拷問? なにそれw楽しそうw」
腹を抑えて笑う麻美に訳を話した。
「それは大変ね、手伝ってあげよっか」
(麻美とは前に一悶着あってそれからは少し避けていたけど、心持ち先生も今は冷たいので、不安な気持ちもあり、つい頼ってしまった)
「……タダでか?」
「タダはダメかな」
「何が望みだ」
「帰り、よろず屋で」
(はいはい、なんか食い物をおごれね)
「いいよ、手伝って」
「よし」
と麻美はバケツを両手に持ち、
「これであんたの一回と私のニ回で今日は終われるね」
とニッコリしてきた、
(こう見ると優しくて可愛いだけど、時たま燃え上がる性格がね……)
下の公園に水を撒いて、
「焼きそばパンでいいかな?」
「え、焼きそばパン?」
「よろず屋でおごるんだろ」
麻美は落ちている、枝付きの紫陽花を拾って花を僕に向けてクルクル回しながら、
「紫陽花ってさー文字をバラバラに読むとなんて読めるかな?」
「むらさき・よう・はな」
「うーと 外れ」
「紫を『し』・花を『か』で読んで見て」
「し・よう・か」
「当たり、紫陽花に隠された真の花言葉」
「しようか…なにを」
「アレ」
「アレって?」
「鈍いわね、ヒントあげる」
と麻美は片膝を地に着き、戦隊物の様に両腕を胸元前で交差させ紫陽花を持っていない方の手の人差し指を咥え妖しく鋭い視線を僕に向けながらもう片方の手に持つ紫陽花で口元を隠し一言。
「モザイク!」と言い放った!
僕は、その全てが凝縮された一言に察した…
「えー セックスー 無理」
「断る権利はないわよ、もう水、運んじゃたし」
「だって、よろず屋って言うから、つい何かをおごるのかと」
「よろず屋で今の事、ゆっくり話そうとしたのよ」
「えー それ詐欺だよ」
「バケツ二杯も運んで見返りがパン一個で済むわけないでしょー 一馬君よー」
と悪い顔でニヤリとしてきた。
(え、僕の身体の値段って、バケツ二杯だったの?)
「な! お、おまえはチンピラか! おまけに何、その悪顔は」
「なら、ズルしたの、おねいちゃんに言うよ(先生)」
『う!、それはかなり困る』
「付き合ってて言ってるわけじゃないじゃん、もっと気楽に考えなよ、人生一回しかないよ、みんなチャンスがあればやってるんだよ」
みんなチャンスがあればやってる……
その時、先生が男の先生と話して笑っていた姿を思い出し、目の前の麻美の方が現実的な気がたまらなくした……
「私ブスじゃないでしょ」
「確かに……」
僕は、制服を下から弾け飛ばしそうな豊満な麻美の胸の膨らみ見つめてしまった。
麻美の目は僕の心を見透かす水晶の様に光っていた、その麻美の目を光らしていると思われる陽の照り返しを放つ足元のバケツに、麻美は手を突っ込み、底に残った水を手で救ってニヤけながら自分の胸元に垂らした……当然のながらシャツが透けゆき、紫陽花の様な麻美のブラジャーの柄が下から透けて浮き出てきた……
透けたその下着の色も同じ淡い青だった……
気づいたら股間が盛り上がって来てしまった。
僕は気づかれると恥ずかしいので反射的に両手でその膨らみを抑えた、その行為が反対に麻美に気づかせてしまった。
「勃ってるね」
と呟き、僕の顎先を折り曲げた人差し指の第二関節の辺りと親指で挟み、僕の顔を左右に少し傾けたりし、ジーと観察する様に見てきた、
「本当可愛い、恥ずかしよね、ほら、隠してあげるわよ」
と僕の股下にしゃがみ込み、手に持つ紫陽花を僕の膨れた股間に押し当ててきた。
「……」
「突いたらドンドン膨らんで来たー 仙身、喜んでるー」
そして僕を見上げて、
「今からホテルでじっくりコレ観察させてよ、もっと恥ずかしがる顔、見たいなー、お返しに私のも奥迄好きに見ていいから」
その麻美の言葉にボーとする僕の手首を麻美は掴み、
「行こう」
「……」
と本グランドに上がる小さい階段を上がろうとし見上げたら、階段上に先生が腕を組んで口を一文字にして立っている姿が見えた。
《ゴゴゴゴゴ》
「麻美、余計な事しないで! これは教育なの」
「は! これが教育、なにそれ? ただのイビリでしょ」
その場の空気が張り詰め、僕は正気に戻った!
「すみません、僕から麻美に頼んだです」
「麻美! そうなの? 頼まれたの」
「私から、可哀想だと思って持ちかけたのよ」
「もう麻美は帰って! 仙身君と話しがあります」
『僕と話がある……終わった……』
「帰らないわよ、私は此処にいるわよ 仙身の彼女だし、この後、仙身と遊ぶし」
「彼女ー! 遊ぶー なにしてよ?」
「それは先生である、おねいちゃんには言えないわ、もう仙身と決めた事だし」
「麻美! 仙身君は私が担当する生徒ですよ、貴方の担任を今から呼びます」
「担任呼んでも何も変わらないわよ、まだしてないし、してから怒ってよ、先生おねいちゃん!」
先生の顔が鬼の形相に変わり階段から麻美に向けて飛びかかった! 麻美は直ぐに持っている紫陽花を空に垂直に投げ、鷹の様に飛びかかって来る先生をそのまま空いた両手で受け止めた、二人は両腕を伸ばしお互いの肩を掴み不動立ちの姿勢で組み合った体勢になった! その時、偶然吹いた突風が二人からは放たれた衝撃波に感じ、二人を中心として地面が円形に凹み地割れが起きる映像が頭に浮かんだ!
麻美の持っていた紫陽花は突風で更に上空に跳ね上がり少し遅れて花びら散らしながら落下して来て二人の間に落ちて行った、二人の周りにその散った花びらが乱れ飛び周りに回っていた。
凄い迫力を感じた!
これは映画だ!
「私の生徒に手は出させないわ!」
「生徒! 何それ、邪魔しないでよ! この嫉妬女!」
「だまりなさーい!」
僕は自分がこの揉め事の一番の原因であり諸悪の根源である事は自覚している…近衛君風に言うと、故に…故にの…その収拾がつかなくなった、その場から逃げた!
次の日、先生はものもらいとの理由で眼帯を着けていた……
そして放課後、何事も無かった様に僕に向かって、
「水やりは一日一回、一週間は続けてね」
と言って後は特に何もなかった。
麻美は一月停学になってしまった。
僕はこの出来事を期に掃除をサボる事はもう決してしない事を心に誓った……
紫陽花に隠された真の花言葉・私と性交しましょう……[⑩へ続く]
登場した人物
仙身一馬(セミ・カズマ18歳 主人公、学級委員長 高3)
先生 (23歳 本名・大神雅子 オオガミ・マサコ
主人公の担任兼国語の先生 麻美の姉)
麻美 (アサミ18歳 生徒会長 高3)
放課後…僕は校舎、目の前にある、数台の蛇口が壁に横並びに設置されている水飲み場で鉄バケツに水を8割程注いだら、そのバケツを両手で手前にぶら下げる様に持ち、ガニ股で校舎下に広がるグランドへと続く急な長さ25メートルくらいのコンクリの坂道を降り、そこからグランドの一番奥、野球のホームベースと得点表示板が設置されている所まで50メートル程進んで、その得点板裏側から、そのまた更に先、25メートル程伸びる狭い畦道の先にある簡素な地削り階段を降った所に増設された小さい予備グランドへと向かう。
何故かと言うと……
最近、買ったゲームソフトを早く帰ってやりたいだけの理由で理性に負け、昨日の放課後の掃除をまたしてもサボって帰った(えーと確か五回目)その罰に先生に命じられたからであります、はい!
今回のお仕置きの内容の詳細を説明すると……その予備グラは出入り口を除いて囲む様に紫陽花が植えられていて、その紫陽花に水をあげる事であります。
ここまでの話しだけを聞くと大したお仕置きにはなってないと感じますよね。
なのでもう少し詳しく説明しますと、この予備グラの近くに蛇口がない事から花に水をあげる為には先に説明した通り、遠い校舎前の水飲み場で水を汲んで、その重いバケツを運んでこないといけない訳でして、いつもは担当の野球部の生徒達が大勢でやっているこの作業を一人で全ての紫陽花に満遍なく水を与える為に定められた回数をこなすとなると当然ながら蛇口と予備グラの区間を何往復もしないといけない事となり、即ち、その花の水あげ作業は罰として成立する物にその姿をおぞましくも恐ろしい非人道的な刑罰に変化するのであります。
ついでにそれを見る野球部の生徒達の『何かして悪さして罰を受けてる奴』と小馬鹿に見られる視線にも晒され恥ずかし気持ちになります。
はい! こんな事を普通に思い付く先生は怖いです。
普段からこんな事ばっかり考えてるんでしょ……
今日中に先生から命令された水を撒くノルマの回数は、なんと十回!(バケツ十杯)
一回はなんとか水を溢しながら苦労して運びその水を撒く事はできた。
今は二回目のバケツに注がれる水を見ている……
一回行っただけで疲れた、腰はガタガタ、手もバケツの細い持ち手が水の重みで食い込んだ跡がまだ痛い!
『もうやだー 帰るー』
もう終わったと嘘を言いに先生がいる職員室に向かった。
職員室に入り、机に座る先生の前に立った僕はそこで信じられない光景を目にした……
先生はなんと!
麦茶を飲みながら饅頭を食べていた!
僕が苦労して悩んでいる時!
「終わりました」
「ずいぶん早いわね、バケツ何杯あげたのかな?」
「……言われた通り十回あげました」
「はい、嘘」
「え」
「まだ一時間も経ってないでしょ! 一往復するには二十分はかかるわね、君の体力だと良くて二回かしらね、本当は一回だと先生は思うけど(とクスリと笑いやがった、当たりだけど……)、後三回は水を撒きなさい、残りは七回は明日で勘弁してあげる、ハムット!」
と言って先生は饅頭を口に放り込んで麦茶を飲み、俺を見て少しニヤけた……(悪魔だ! 先生はネオナチだ! 総回数サラッと一回増えてるし)
職員室を出る時に振り返り先生を見たら僕の事を気にもかけずに横の男の先生と笑顔で話して笑っていた……クソー。
諦めて再びバケツに水を汲んでいたら、後ろから声をかけられた。
「なにしてるの?」
振り向いたら麻美だった。
「まだ帰ってなかったの?」
「忘れ物取りに来たのよ、で?」
「うん、僕は今拷問されてるの」
「拷問? なにそれw楽しそうw」
腹を抑えて笑う麻美に訳を話した。
「それは大変ね、手伝ってあげよっか」
(麻美とは前に一悶着あってそれからは少し避けていたけど、心持ち先生も今は冷たいので、不安な気持ちもあり、つい頼ってしまった)
「……タダでか?」
「タダはダメかな」
「何が望みだ」
「帰り、よろず屋で」
(はいはい、なんか食い物をおごれね)
「いいよ、手伝って」
「よし」
と麻美はバケツを両手に持ち、
「これであんたの一回と私のニ回で今日は終われるね」
とニッコリしてきた、
(こう見ると優しくて可愛いだけど、時たま燃え上がる性格がね……)
下の公園に水を撒いて、
「焼きそばパンでいいかな?」
「え、焼きそばパン?」
「よろず屋でおごるんだろ」
麻美は落ちている、枝付きの紫陽花を拾って花を僕に向けてクルクル回しながら、
「紫陽花ってさー文字をバラバラに読むとなんて読めるかな?」
「むらさき・よう・はな」
「うーと 外れ」
「紫を『し』・花を『か』で読んで見て」
「し・よう・か」
「当たり、紫陽花に隠された真の花言葉」
「しようか…なにを」
「アレ」
「アレって?」
「鈍いわね、ヒントあげる」
と麻美は片膝を地に着き、戦隊物の様に両腕を胸元前で交差させ紫陽花を持っていない方の手の人差し指を咥え妖しく鋭い視線を僕に向けながらもう片方の手に持つ紫陽花で口元を隠し一言。
「モザイク!」と言い放った!
僕は、その全てが凝縮された一言に察した…
「えー セックスー 無理」
「断る権利はないわよ、もう水、運んじゃたし」
「だって、よろず屋って言うから、つい何かをおごるのかと」
「よろず屋で今の事、ゆっくり話そうとしたのよ」
「えー それ詐欺だよ」
「バケツ二杯も運んで見返りがパン一個で済むわけないでしょー 一馬君よー」
と悪い顔でニヤリとしてきた。
(え、僕の身体の値段って、バケツ二杯だったの?)
「な! お、おまえはチンピラか! おまけに何、その悪顔は」
「なら、ズルしたの、おねいちゃんに言うよ(先生)」
『う!、それはかなり困る』
「付き合ってて言ってるわけじゃないじゃん、もっと気楽に考えなよ、人生一回しかないよ、みんなチャンスがあればやってるんだよ」
みんなチャンスがあればやってる……
その時、先生が男の先生と話して笑っていた姿を思い出し、目の前の麻美の方が現実的な気がたまらなくした……
「私ブスじゃないでしょ」
「確かに……」
僕は、制服を下から弾け飛ばしそうな豊満な麻美の胸の膨らみ見つめてしまった。
麻美の目は僕の心を見透かす水晶の様に光っていた、その麻美の目を光らしていると思われる陽の照り返しを放つ足元のバケツに、麻美は手を突っ込み、底に残った水を手で救ってニヤけながら自分の胸元に垂らした……当然のながらシャツが透けゆき、紫陽花の様な麻美のブラジャーの柄が下から透けて浮き出てきた……
透けたその下着の色も同じ淡い青だった……
気づいたら股間が盛り上がって来てしまった。
僕は気づかれると恥ずかしいので反射的に両手でその膨らみを抑えた、その行為が反対に麻美に気づかせてしまった。
「勃ってるね」
と呟き、僕の顎先を折り曲げた人差し指の第二関節の辺りと親指で挟み、僕の顔を左右に少し傾けたりし、ジーと観察する様に見てきた、
「本当可愛い、恥ずかしよね、ほら、隠してあげるわよ」
と僕の股下にしゃがみ込み、手に持つ紫陽花を僕の膨れた股間に押し当ててきた。
「……」
「突いたらドンドン膨らんで来たー 仙身、喜んでるー」
そして僕を見上げて、
「今からホテルでじっくりコレ観察させてよ、もっと恥ずかしがる顔、見たいなー、お返しに私のも奥迄好きに見ていいから」
その麻美の言葉にボーとする僕の手首を麻美は掴み、
「行こう」
「……」
と本グランドに上がる小さい階段を上がろうとし見上げたら、階段上に先生が腕を組んで口を一文字にして立っている姿が見えた。
《ゴゴゴゴゴ》
「麻美、余計な事しないで! これは教育なの」
「は! これが教育、なにそれ? ただのイビリでしょ」
その場の空気が張り詰め、僕は正気に戻った!
「すみません、僕から麻美に頼んだです」
「麻美! そうなの? 頼まれたの」
「私から、可哀想だと思って持ちかけたのよ」
「もう麻美は帰って! 仙身君と話しがあります」
『僕と話がある……終わった……』
「帰らないわよ、私は此処にいるわよ 仙身の彼女だし、この後、仙身と遊ぶし」
「彼女ー! 遊ぶー なにしてよ?」
「それは先生である、おねいちゃんには言えないわ、もう仙身と決めた事だし」
「麻美! 仙身君は私が担当する生徒ですよ、貴方の担任を今から呼びます」
「担任呼んでも何も変わらないわよ、まだしてないし、してから怒ってよ、先生おねいちゃん!」
先生の顔が鬼の形相に変わり階段から麻美に向けて飛びかかった! 麻美は直ぐに持っている紫陽花を空に垂直に投げ、鷹の様に飛びかかって来る先生をそのまま空いた両手で受け止めた、二人は両腕を伸ばしお互いの肩を掴み不動立ちの姿勢で組み合った体勢になった! その時、偶然吹いた突風が二人からは放たれた衝撃波に感じ、二人を中心として地面が円形に凹み地割れが起きる映像が頭に浮かんだ!
麻美の持っていた紫陽花は突風で更に上空に跳ね上がり少し遅れて花びら散らしながら落下して来て二人の間に落ちて行った、二人の周りにその散った花びらが乱れ飛び周りに回っていた。
凄い迫力を感じた!
これは映画だ!
「私の生徒に手は出させないわ!」
「生徒! 何それ、邪魔しないでよ! この嫉妬女!」
「だまりなさーい!」
僕は自分がこの揉め事の一番の原因であり諸悪の根源である事は自覚している…近衛君風に言うと、故に…故にの…その収拾がつかなくなった、その場から逃げた!
次の日、先生はものもらいとの理由で眼帯を着けていた……
そして放課後、何事も無かった様に僕に向かって、
「水やりは一日一回、一週間は続けてね」
と言って後は特に何もなかった。
麻美は一月停学になってしまった。
僕はこの出来事を期に掃除をサボる事はもう決してしない事を心に誓った……
紫陽花に隠された真の花言葉・私と性交しましょう……[⑩へ続く]
登場した人物
仙身一馬(セミ・カズマ18歳 主人公、学級委員長 高3)
先生 (23歳 本名・大神雅子 オオガミ・マサコ
主人公の担任兼国語の先生 麻美の姉)
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