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29 秋海の巻
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29 秋海の巻
登場人物
仙身一馬 二十歳(セミ・カズマ 社会人)
先生 二十五歳(一馬の高校の時の担任教師)
十八時
僕の一歩的な身勝手な都合で別れた、元先生とメールでやり取りし、会うだけ、会ってくれる事になり、十字架大石の前で待ち合わせする事になった。
しばらくしたら先生が歩いて来るのが見えた……ドキドキした、先生は手を先に振ってくれた、僕も手を振りかえした。
そして……目の前に1ヶ月ぶりの先生が立っている。
表情は普通なのが、反対に怖い気がした。
「仙身君、元気だった?」
「はい……先生は?」
「……今は、元気よ」
「……」しまった事、聞いてしまった、僕が浮気して先生を振ったのだからそもそも元気なわけない……
「先生殴ってください、ケジメです」
《バッチッーー!》
と言ったと同時に平手が飛んできた!
目の前の次元がズレた!
効いた……目の前に星星がチラついた。
「これでチャラよ、おしまい」
と先生はニッコリし、安心したけど、クラッとした……
結構ダーメジがデカい。(先生、ビンタ強よ過ぎる、物事限度ちゅうもんが)
すぐに鼻血が垂れてきて……(先生は絶対怒らせてはいけない事を認識した)
「ゴメンちょっと、やり過ぎたわね」
と先生はポケットテッシュを取り出し鼻に詰めてくれた。
「やる前に一言、言ってもらった方が、防御してない状態でモロにビンタ入ったんで」
「予告すると反対に怖いかな~と思ったんだ」と先生は何か楽しそうだった。
(先生今のは半分ウソだね)
大石の近くの古い廃れた切り株ベンチに僕だけ座った、僕は後頭部を手で叩きながら、
「先生、今日はこれからどうしますか?」
「そうね~ 海でも行こうか、その前にもう一つ仙身君、2回目は無いから、先生だから一回だけ過ちは許します、そういうことです、当たり前に思わないで」
「はい、肝に命じます、心から反省します」
「ならよし」
夏は海水浴場に開放されている砂浜に行く事にした、先生は腕を組んできた、もう多分大丈夫かな~と思ったと同時に、
『僕はこんな良い人になんてことをしてしまったん、だと本当に思った、どうかしてた、物事の価値観は常に冷静に見つめ定めておかないと、いけないと思った、人間の感情なんか脱日した時の蝉の身体みたいに柔らかくモロイ物なんだと思った、そして人間は常に見えない心の脱皮を繰り返してる、見えない認識の無い脱皮は危険だ……本当に二度と手に入らない大事な物を無くすとこだった、先生と神様に感謝した……』
アレ? 僕は普段こんな深く物事は考えない方なんだけど……
やはり秋は人間を哲学的に考えさせる季節なのかな?
秋の砂浜は誰も居なく静かだった、ザーと波の音だけ静かに聞こえていた、夏の残り火はもう無いように思えたが砂浜に埋もれた大きめな蝉の殻を見つけた、この殻の主はもう生きていないだろう、さっき偶然にも蝉の脱皮の事を考えたので神の※啓示の様に思えた、その蝉の殻は足と鎌手は取れてしまって蝉の殻としては価値が無いけど何か尊い価値の有る物を感じた……。
正直、今先生と何を話して良いかわからなかった、先生も黙り込んでいる。
僕から先に口を開いた、当たり前だと思う、僕が先生を呼び出したのだ、
「あの、僕フラレちゃっいました、相手の子、元彼氏とヨリ戻したみたいで」
「可哀想に遊ばれちゃったのね」
「え!」
……まぁそうなるか、そうだな~と思った。
「仙身君、その話もういいわよ、飽きたわよ」
「あ、すみません」
横に居る先生を見たら目を閉じて口を少し窄めて閉じ、顎を上げて僕の方を向いていた。
とりあえず口を合わせた……
先生は僕にしがみついてきた、僕も強く抱きしめてみた……
「仙身君、行きましょうか」
「はい、えーっと先生の家でしますか」
(この頃はもう麻美は大陸に越して島には居ない)
「ううん」
横に首を振った先生の人差し指は海岸沿いの道、岬の先端に建つホテルを指した。
初めて行く、そのホテルに向かった。
この島はラブホテルが多い事に今気づいた、デートスポットになりつつある。
先生は途中、駅前のスーパーに買い物に寄った、最近、タチの悪い風邪が世界的に流行ってきている、その予防の為、先生は僕をスーパーの外で待たせた。ガラス越しに見える店の中は外から見ても混雑していた、スーパーの中で先生はマスクをしていた。
買い物を済ませ、スーパーから出てきた先生は、僕と道路を挟んだ歩道で何処にスマホで電話をしている。
先生が下げているスーパーの袋を見るとワインとツマミを買ったみたいだった、ホテルでご馳走様してくれるみたいだ。
『予約した部屋、今から使用します、頼んだ道具、部屋の隅にでも置いといて下さい、あ、はいはい、ではこれで』
「?」
島国の夕方の駅前は晩御飯の食材の買い出しや大陸から勤めで帰ってきた人達で人が多くなってきた、電話中の先生も、左右から歩いて来た、人の波に飲まれていった……
僕は先生を二度と見失わない様に見続けた、先生以外の人が残像の様にボヤてゆき視界が何やらスローモーションに感じた、電話を終えた先生は僕をジーと少し見つめた後、髪をかき上げニッコリした……先生は両手を口に添え、僕の方に声が届くように少し大きめの声で、
「電話終わったよー 仙君ー 先生と行こうー」
と声をかけてきた、その時、心が現実感に戻り、安心した。
今日、僕は20歳の誕生日だった、責任は自分で取る年齢になった、それは先生も知っている。
日はすぐに暮れ、夜になった……
今日の夜は何か聖なる魔を感じた……【続】30へ続く。
登場人物
仙身一馬 二十歳(セミ・カズマ 社会人)
先生 二十五歳(一馬の高校の時の担任教師)
十八時
僕の一歩的な身勝手な都合で別れた、元先生とメールでやり取りし、会うだけ、会ってくれる事になり、十字架大石の前で待ち合わせする事になった。
しばらくしたら先生が歩いて来るのが見えた……ドキドキした、先生は手を先に振ってくれた、僕も手を振りかえした。
そして……目の前に1ヶ月ぶりの先生が立っている。
表情は普通なのが、反対に怖い気がした。
「仙身君、元気だった?」
「はい……先生は?」
「……今は、元気よ」
「……」しまった事、聞いてしまった、僕が浮気して先生を振ったのだからそもそも元気なわけない……
「先生殴ってください、ケジメです」
《バッチッーー!》
と言ったと同時に平手が飛んできた!
目の前の次元がズレた!
効いた……目の前に星星がチラついた。
「これでチャラよ、おしまい」
と先生はニッコリし、安心したけど、クラッとした……
結構ダーメジがデカい。(先生、ビンタ強よ過ぎる、物事限度ちゅうもんが)
すぐに鼻血が垂れてきて……(先生は絶対怒らせてはいけない事を認識した)
「ゴメンちょっと、やり過ぎたわね」
と先生はポケットテッシュを取り出し鼻に詰めてくれた。
「やる前に一言、言ってもらった方が、防御してない状態でモロにビンタ入ったんで」
「予告すると反対に怖いかな~と思ったんだ」と先生は何か楽しそうだった。
(先生今のは半分ウソだね)
大石の近くの古い廃れた切り株ベンチに僕だけ座った、僕は後頭部を手で叩きながら、
「先生、今日はこれからどうしますか?」
「そうね~ 海でも行こうか、その前にもう一つ仙身君、2回目は無いから、先生だから一回だけ過ちは許します、そういうことです、当たり前に思わないで」
「はい、肝に命じます、心から反省します」
「ならよし」
夏は海水浴場に開放されている砂浜に行く事にした、先生は腕を組んできた、もう多分大丈夫かな~と思ったと同時に、
『僕はこんな良い人になんてことをしてしまったん、だと本当に思った、どうかしてた、物事の価値観は常に冷静に見つめ定めておかないと、いけないと思った、人間の感情なんか脱日した時の蝉の身体みたいに柔らかくモロイ物なんだと思った、そして人間は常に見えない心の脱皮を繰り返してる、見えない認識の無い脱皮は危険だ……本当に二度と手に入らない大事な物を無くすとこだった、先生と神様に感謝した……』
アレ? 僕は普段こんな深く物事は考えない方なんだけど……
やはり秋は人間を哲学的に考えさせる季節なのかな?
秋の砂浜は誰も居なく静かだった、ザーと波の音だけ静かに聞こえていた、夏の残り火はもう無いように思えたが砂浜に埋もれた大きめな蝉の殻を見つけた、この殻の主はもう生きていないだろう、さっき偶然にも蝉の脱皮の事を考えたので神の※啓示の様に思えた、その蝉の殻は足と鎌手は取れてしまって蝉の殻としては価値が無いけど何か尊い価値の有る物を感じた……。
正直、今先生と何を話して良いかわからなかった、先生も黙り込んでいる。
僕から先に口を開いた、当たり前だと思う、僕が先生を呼び出したのだ、
「あの、僕フラレちゃっいました、相手の子、元彼氏とヨリ戻したみたいで」
「可哀想に遊ばれちゃったのね」
「え!」
……まぁそうなるか、そうだな~と思った。
「仙身君、その話もういいわよ、飽きたわよ」
「あ、すみません」
横に居る先生を見たら目を閉じて口を少し窄めて閉じ、顎を上げて僕の方を向いていた。
とりあえず口を合わせた……
先生は僕にしがみついてきた、僕も強く抱きしめてみた……
「仙身君、行きましょうか」
「はい、えーっと先生の家でしますか」
(この頃はもう麻美は大陸に越して島には居ない)
「ううん」
横に首を振った先生の人差し指は海岸沿いの道、岬の先端に建つホテルを指した。
初めて行く、そのホテルに向かった。
この島はラブホテルが多い事に今気づいた、デートスポットになりつつある。
先生は途中、駅前のスーパーに買い物に寄った、最近、タチの悪い風邪が世界的に流行ってきている、その予防の為、先生は僕をスーパーの外で待たせた。ガラス越しに見える店の中は外から見ても混雑していた、スーパーの中で先生はマスクをしていた。
買い物を済ませ、スーパーから出てきた先生は、僕と道路を挟んだ歩道で何処にスマホで電話をしている。
先生が下げているスーパーの袋を見るとワインとツマミを買ったみたいだった、ホテルでご馳走様してくれるみたいだ。
『予約した部屋、今から使用します、頼んだ道具、部屋の隅にでも置いといて下さい、あ、はいはい、ではこれで』
「?」
島国の夕方の駅前は晩御飯の食材の買い出しや大陸から勤めで帰ってきた人達で人が多くなってきた、電話中の先生も、左右から歩いて来た、人の波に飲まれていった……
僕は先生を二度と見失わない様に見続けた、先生以外の人が残像の様にボヤてゆき視界が何やらスローモーションに感じた、電話を終えた先生は僕をジーと少し見つめた後、髪をかき上げニッコリした……先生は両手を口に添え、僕の方に声が届くように少し大きめの声で、
「電話終わったよー 仙君ー 先生と行こうー」
と声をかけてきた、その時、心が現実感に戻り、安心した。
今日、僕は20歳の誕生日だった、責任は自分で取る年齢になった、それは先生も知っている。
日はすぐに暮れ、夜になった……
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