【R18】師の教えと狼少年〈前章〉〜《本編》

仙 岳美

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20 『チッ!』の巻

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20『チッ!』の巻

登場人物
主人公兼語り
 滝 伯兎 (たき・はくと)小説部・部員 高一

 仙身 一馬(せみ・かずま)小説部・部長 高三
 (主人公の先輩だけど友達)

 国語の先生(仙身君の担任)小説部・顧問 二三歳


=週末の金曜日放課後=

 僕と仙身君は小説部だ、部員は2人しか居ない人気が無い部活です。
顧問の先生は形だけでたまにしか来ない……
僕としては2人っきりでしみじみ緩やかな放課後の時間を過ごしたいからそれで良い。
秋も終わりにかかり、今週も暖房の効いた放送室を借りて机を向かい合わせ、缶コーヒーを飲みながら仙身君とお互いに書いた小説の見せ合いを始めた。
『うーん』僕は唸った。
今週のはかなりデキが良い、話しも練り込まれている。
文書も極限迄無駄が削ぎ落とされスッキリと整理されている、テンポも良く、読んでて最後まで退屈しなかった、今まで見せてもらった作品の次元を超えたように感じた、鬼滅風に例えると、この作品は至高の領域近く迄、到達した物に感じる、素人同志の最高の褒め言葉『金取れるレベル」だ……憎いな~笑。
 僕が読み終えた顔をしたら、
「どう? 感想聞かせてよ、滝君」
「完璧だよ、仙身君、これ売れるよ……(以下省略)」
彼は珍しく僕が褒めちぎったので、少し顔を赤くして照れていた(可愛い)
よし! 今度は僕の小説の感想を聞いてみる、唯、彼は絶対に僕の作品を否定しない、良い所だけ褒めて、面白かったと言う、反対に僕は、彼の作品をいつもはあーだ、こーだ、ツイツイ言ってしまう……
しかし彼はヤナ顔一つしない、嫉妬ばかりしてる僕より、やはり一枚上手だ、批判も貪欲に吸収する彼の方が、上達するわけだ……
そんな自分に厳しく他には優しい彼が、好きだ、色んな意味で……
今日こそ……
「仙身君」
「ん、なんだい? 滝君」その時《ガッチャリ》
部室のドアが開き先生が顔を出した。
「じゃーん、先生です」
『チッ』
「2人共もう遅いから、帰りなさい」
時刻は18:00過ぎていた……
仙身君と一緒に校舎を出たら校門に先生がやはり待っていた……
『チッ』
先生はニッコリして
「君達、遅いから先生と一緒に帰ろう」
と言った。
という事で、僕達は先生と一緒に下校した。
『追いチッ』(まぁ、心配してくれるのは、ありがたいけど)
寒い冬の街灯が少ない暗くて寂しいあぜ道を、歩きながら何気ない会話をする。
いつも僕が先に二人と別れる。
ただ今日は何やら先生がエロいフェロモンを放っている……
胸騒ぎがして先生と仙身君の後をつけた……。
2人は駅の方に向かって行った……
オカシイ臭う……
仙君の家は駅の方では無い、方向が明らかに違う、かなり嫌なドス黒い予感がした、そしてそれは現実になってしまった!
クリスマス仕様にイルミネーションチックに飾られたエッチホテルに二人は入り口で手を組み入って行った……。

『げ! 入りやがったマジか~』


そして再び週末金曜の活動日……
 
 週末の放課後、いつも通り部室として借りてる放送室で先に待ってると
先生とセックスしてる仙身君がニコニコして入ってきた。
いつもと変わら無い笑顔が今日は妙にヤラシク感じムカついた……(スケベ)
いつも通り書いて来た小説を交換する。
嫌われたくない僕はあの事は黙っているしかない。
その怒りを小説に向けた。
そして仙身君にハッキリ言った。
「いつも『面白いだけ』じゃ僕も成長しないハッキリ言ってくれ」と
「いや、本当に面白いよ」
『うーんあー』
切れた!
「ハッキリ言ってよ! 先生とエッチしたでしょー ホテル入るの見たよー」
「え! あ、見たんだ! 内緒で頼むよ」
『あっさり認めやがった』
そんな彼がやはり好きだ……
「うん、いつから」
「最近なんだ」
「滝君、先生の事、好きだったの? 怒ってるけど」
「違うよ」
「え、じゃあなんで?」
「それはね……」
部室内は変なキワドイ空間になった……
「……」
僕は無言で仙身君を見つめた続けた……

「え、マジ、滝君、僕にその気(け)は無いよ、そもそも男同士で何ができるの?」

知らないネンネみたいだからヤリ方教えてたった……

「……」

「! そんな事、ダメダメ絶対ダメだよ! 滝君!」

……フラれた。
それ以前の問題だけど。
とりあえず始めて仙身君が僕に本心を言ってくれた様に思えた。
ある意味で彼の心の中に初めて入れた様に思った……
ここで冷静になった、嫉妬してはいけないプラスに変えるんだ……
もう性癖カミングアウトしてしまった!
ある意味もう怖くは無い!
前進あるのみだ!
後一歩は行ける!
外国では挨拶と同じ事だ(タブン)
男同士でフザけてやる事もあると思う(タブン)
ダメ元で賭けに出る事にした……
僕は一時的に自分にチンピラモードの使用を許可した。
「仙身君……言われたくなかったら、わかるよね」ニヤリ。
と僕は目を閉じボタン第二まで外し口を窄めた(つぼめた)……
「無理だよ滝君」
「してくれないなら、
ここ放送室!
全部放送しちゃってから、僕は視察(隠語)します、全部仙身君のせい」
「えー そんなー……解ったよ、唯、キスだけだよ、それ以上は無理だよ滝君」
僕は目を瞑りながら頷いた(早くして)
そして一歩前進した、やはりピンチはチャンスだ、物事嫉妬しないで良い所を取るんだ……お互いの唇が触れた瞬間のその時、 
《ガッチャ》と部室のドアが開いた!
先生だった。
慌てた仙身君は僕の目からゴミを取る素振りに切り替えた!
「2人共もう遅いから帰りなさい」
『チッ』
(だけと唇は触れちゃったもんね僕の勝ち)
次週から先生は部活に欠かさず最初から来るようになった。
どうやら僕の事を見張ってる様だ。
『チッ』
【終】21へ

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