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零時は終わりと始まりの時
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到着した釣り場は釣具屋から少し離れた埠頭に隣接する公園の裏側だった。
「ここトイレも近いし、夜釣りには良いのよね、防犯的にも暗すぎないし」
と言いながら彼女は背負っている竿入れから、先に友人が買った物とほぼ同じ竿ともう一セット、観るからに安価な物ではない、赤い色をした竿とリールを取り出した。その竿には月下美人と名が表記がされていた。
彼女が友人と僕の糸先に丸いオモリと一体になった針とその針の先にカプセルトイの様な蛍光のミミズの餌を取り付けてくれた、そのミミズは生きてなく作り物である、本当にこんな物で魚が釣れるのかと思ったけど、彼女にリールの使い方を習い、オモリを海面に落とすとすぐにブルっと引く感じが手に伝わって来た!
横から彼女が「ほら! もう来たよ! リール引いて引いて」と言うので慌てて引いたらあけっなく魚が釣れてしまった。
その後もドンドン釣れ、ハッキリ言って師である彼女より友人より自分が多く釣っていた、釣りの名人になった気までして来た、僕のあまりの勢いに友人が竿を交換してと言って来たので交換したら、何故か少し釣れるペースが落ちた様に気がした。反対に今度は友人の方が釣れ出した。同じ竿なのに不思議に感じた、体感的には彼女のリールの方がチューニングアップされているのか回転がスムーズに感じるだけだった。僕は少し離れた場所で釣りをしている彼女の方に行き、
「おねいさんに借りた竿の方が良く釣れるんですが何故ですかね」
彼女はクッスリとし、
「うーん、よくわからないかな、竿に私の念が籠ってるのかも、初心の頃、釣れろ釣れろと、君に貸した竿に念じでたからかな」
「今の竿はどうですか」
「気にってるけど普通かな、今日は君達に負けちゃってるみたいだし」
彼女の足元のビニール袋には僕らの半分くらいの数のメバルがしか入っていなかった、僕らにいい場所を譲ってくれたんだなと感じた。
それからバケツいっぱいに釣れたメバルを公園の水道で軽く濯ぎ、捌いて塩胡椒を振った後、片栗粉をまぶしたらガスコンロで揚げ、お礼も兼ねて彼女も誘い、公園の少し丘になっている芝生の上で食べ始めた。
「君達歳はいくつなの?」
「僕たちですか、僕が23で隣が24です、ちなみにフリーターでーす」
「そうなんだ、喉乾いたでしょ少し待ってて」
と、彼女はチャリに跨り、数分してカゴに入れた数本のビールの缶をカランゴロンさせながら戻って来た。
「付き合ってよ」
僕と友人は普段からビールは苦いだけの不味い物と思っていたけど色々教えてくれた彼女に断るのも悪い気がし飲んで見たら、ひしぶりのビールは上手く感じた、特にメバルのフライを口に含んだ後、飲むとさらに美味しく感じる。
そんな感じで夜はふけて行き、時計を見たら0時を過ぎている事に気付き、フライも食べ尽くすした事だし、帰ろうと思い、月に向かって背伸びをしたら、寝ている友人を起こし、彼女に、
「今日はありがとうございました」と2人で挨拶をした。
「いえいえ、こちらこそご馳走様」と彼女は笑ってくれた。
ついでに聞いてみた、
「なんでこんなに親切にしてくれたんですか」
彼女は人差し指を下唇に当て、首を少し傾け、
「そうね~ なんでだろ、よくわからない、私の癖かな」
それから釣りに興味を持った僕は昼間に同じ釣具屋に入った時、カウンターには彼女が立っていた。『店員さんだったのか』……でも僕は信じている、あの夜の彼女の行為は仕事ではなく、親切心でやってくれたと言う事を、それに僕の師が彼女だと言う事には、なんらかわりはない。
彼女と僕達の時間は、まだ始まったばかりだ。[完結]
「ここトイレも近いし、夜釣りには良いのよね、防犯的にも暗すぎないし」
と言いながら彼女は背負っている竿入れから、先に友人が買った物とほぼ同じ竿ともう一セット、観るからに安価な物ではない、赤い色をした竿とリールを取り出した。その竿には月下美人と名が表記がされていた。
彼女が友人と僕の糸先に丸いオモリと一体になった針とその針の先にカプセルトイの様な蛍光のミミズの餌を取り付けてくれた、そのミミズは生きてなく作り物である、本当にこんな物で魚が釣れるのかと思ったけど、彼女にリールの使い方を習い、オモリを海面に落とすとすぐにブルっと引く感じが手に伝わって来た!
横から彼女が「ほら! もう来たよ! リール引いて引いて」と言うので慌てて引いたらあけっなく魚が釣れてしまった。
その後もドンドン釣れ、ハッキリ言って師である彼女より友人より自分が多く釣っていた、釣りの名人になった気までして来た、僕のあまりの勢いに友人が竿を交換してと言って来たので交換したら、何故か少し釣れるペースが落ちた様に気がした。反対に今度は友人の方が釣れ出した。同じ竿なのに不思議に感じた、体感的には彼女のリールの方がチューニングアップされているのか回転がスムーズに感じるだけだった。僕は少し離れた場所で釣りをしている彼女の方に行き、
「おねいさんに借りた竿の方が良く釣れるんですが何故ですかね」
彼女はクッスリとし、
「うーん、よくわからないかな、竿に私の念が籠ってるのかも、初心の頃、釣れろ釣れろと、君に貸した竿に念じでたからかな」
「今の竿はどうですか」
「気にってるけど普通かな、今日は君達に負けちゃってるみたいだし」
彼女の足元のビニール袋には僕らの半分くらいの数のメバルがしか入っていなかった、僕らにいい場所を譲ってくれたんだなと感じた。
それからバケツいっぱいに釣れたメバルを公園の水道で軽く濯ぎ、捌いて塩胡椒を振った後、片栗粉をまぶしたらガスコンロで揚げ、お礼も兼ねて彼女も誘い、公園の少し丘になっている芝生の上で食べ始めた。
「君達歳はいくつなの?」
「僕たちですか、僕が23で隣が24です、ちなみにフリーターでーす」
「そうなんだ、喉乾いたでしょ少し待ってて」
と、彼女はチャリに跨り、数分してカゴに入れた数本のビールの缶をカランゴロンさせながら戻って来た。
「付き合ってよ」
僕と友人は普段からビールは苦いだけの不味い物と思っていたけど色々教えてくれた彼女に断るのも悪い気がし飲んで見たら、ひしぶりのビールは上手く感じた、特にメバルのフライを口に含んだ後、飲むとさらに美味しく感じる。
そんな感じで夜はふけて行き、時計を見たら0時を過ぎている事に気付き、フライも食べ尽くすした事だし、帰ろうと思い、月に向かって背伸びをしたら、寝ている友人を起こし、彼女に、
「今日はありがとうございました」と2人で挨拶をした。
「いえいえ、こちらこそご馳走様」と彼女は笑ってくれた。
ついでに聞いてみた、
「なんでこんなに親切にしてくれたんですか」
彼女は人差し指を下唇に当て、首を少し傾け、
「そうね~ なんでだろ、よくわからない、私の癖かな」
それから釣りに興味を持った僕は昼間に同じ釣具屋に入った時、カウンターには彼女が立っていた。『店員さんだったのか』……でも僕は信じている、あの夜の彼女の行為は仕事ではなく、親切心でやってくれたと言う事を、それに僕の師が彼女だと言う事には、なんらかわりはない。
彼女と僕達の時間は、まだ始まったばかりだ。[完結]
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