尊き君と永遠に

仙 岳美

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生きてる意味……それを考えると昔の事を思い出す……

……二十時、いつもの彼女の部屋、その少し古いタイプの傘型な蛍光照明灯の下……
《ゴロロロ》
雷鳴が轟きも動じず何故か胸にサラシを巻いた姿の彼女は、
「はい、ドッカーン、鬼の手を入れての五光」(※ローカルルール)
「鬼六(鬼六光)か~ 僕は残りのカスクズ」
役を揃えた彼女は満足気に先刻に出前で取った炒飯のスープを盃で酒を飲む様に飲み干した。
(二十点➖一点で僕が百九十円の負け)
僕は負けた者のルールとして胡座をかいた彼女の膝脇に置かれた、ノートを取り、スコアを付け、切り出した。
「そろそろ、お金精算する?」
「まだいいよ」
「そう、なんかそのままだと気持ち悪いな」
「君から金を取る気はないよ」
「え、じゃなんで勝ち負けの点数付けてるの?」
「意味だよ」
「意味?」
「そう、意味、ただの勝った負かしたの言葉だけじゃ、お互いもう喜ぶ歳じゃないだろ、君も私も」
「でも形式的な物じゃ、お金かけて無いと同じ事じゃないかな?」
「全然、違うよ」
「そうかな」
「そうだよ、ねんでも意味が必要なのさ」
「意味、なら花札はお金かける為にやってるのかな」
「お金は賭けるのは、意味のスイッチみたいな物かな」
「スイッチ?」
「そう、根底にあるのは、生存本能さ」
「なるほど、お金があれば助かるもんね」
「そうさ、ただそれだけじゃないよ」
「それだけじゃない? それはなにかな?」
「君と遊ぶ理由さ」
「僕と遊ぶ理由」
「花札を通して少しコミ障の君とコミュニュケーションが、取れるじゃないか」
「それも生存本能を満たす為かな」
「根底の核は、そうだろうね」
と彼女は少し寂しい顔し、視線を部屋の明かりが届いていない台所の方に向け。

「さて、この辺でおひらきにして、私は器でも洗っとくかね、あそこなかなか容器取りに来てくれないからさ」

と僕と自分の分の八角皿とお椀を回収し重ね持ち、台所の方に行ってしまった。
《ザー》彼女が蛇口開くと、それに共鳴するかの様に雨が降って来て、湿っぽい匂いがし、
「傘貸してくれ……」
そう言いかけた時、僕は、花札遊びからは、大袈裟には思いつつ、何か生きる意味を知った様な気がし、
「雨降って来たし、もう少しやろうよ!」
「ほいほいさー」
と、彼女は洗い物をしながら反応してくれた、こうしてその夜は、いつもより少し遅く迄、部屋に札の弾く音が響いていた。
[未完]

題材・賭け事
 それは魂に薪を焚べる行為なのかも知れない、やり過ぎると取り返しのつかない事態に陥る事はただただある……。

題材・切り札
 本来それは存在すらしてはならない物なのかも知れない。
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