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彼女はカタツムリ
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彼女はいつも片目を閉じていた。
そのわけは聞く必要もないから聞かなかった。
僕から告白した。
彼女は首を傾げ言った。
「いいの?」
「うん」
目を閉じた方から見る彼女の横顔が好きだった。
性交の時は必ず蒼レースの下着の様な眼帯をしていた。
でもある日、庭で目が開いていた。「あっ」と僕が声を出すと
彼女はゆっくり僕の方を振り向いた。
僕はハッとした。
その目は、今まで見てた目にも負けずに凄く綺麗な目だった、両目になった彼女の器量は、明らかに上がった気がした。
僕は、思わず声を洩らした。
「綺麗な目……」
彼女は言った。
「でも、私じゃないよ」
僕は、こう返した。
「君の器があるからその目も生きるんだよ」
「そう」
と、彼女は言うとしゃが見込んだ、僕も一緒にしゃがんだ、彼女は紫陽花の葉に着いたカタツムリを手に取り、その目をつかもうとしていた、が中々掴む事はできなかった……
そして彼女は、カタツムリを葉に戻し、立ち上がり、僕を見下ろした、その片目は再び封印するかの様に閉じ閉ざされていた。
顔は少し怒っている様にも思えた。
僕は、その表情にゾクリとし、先刻に見た目は、秘め事の中のさらに中を不意に垣間見てしまった、一回切りの一瞬の幻に感じ、やはり最初に好きになった彼女の方が良いと思った……でもあえてそれは言わない事とした。
[Fin]
そのわけは聞く必要もないから聞かなかった。
僕から告白した。
彼女は首を傾げ言った。
「いいの?」
「うん」
目を閉じた方から見る彼女の横顔が好きだった。
性交の時は必ず蒼レースの下着の様な眼帯をしていた。
でもある日、庭で目が開いていた。「あっ」と僕が声を出すと
彼女はゆっくり僕の方を振り向いた。
僕はハッとした。
その目は、今まで見てた目にも負けずに凄く綺麗な目だった、両目になった彼女の器量は、明らかに上がった気がした。
僕は、思わず声を洩らした。
「綺麗な目……」
彼女は言った。
「でも、私じゃないよ」
僕は、こう返した。
「君の器があるからその目も生きるんだよ」
「そう」
と、彼女は言うとしゃが見込んだ、僕も一緒にしゃがんだ、彼女は紫陽花の葉に着いたカタツムリを手に取り、その目をつかもうとしていた、が中々掴む事はできなかった……
そして彼女は、カタツムリを葉に戻し、立ち上がり、僕を見下ろした、その片目は再び封印するかの様に閉じ閉ざされていた。
顔は少し怒っている様にも思えた。
僕は、その表情にゾクリとし、先刻に見た目は、秘め事の中のさらに中を不意に垣間見てしまった、一回切りの一瞬の幻に感じ、やはり最初に好きになった彼女の方が良いと思った……でもあえてそれは言わない事とした。
[Fin]
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