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中華弁
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夜八時 ワオーンー
「ふぅー」
閉店間際の中華弁当屋の店主は一息ついた。
そして思った。
『今日は、週末か、あの人が来るな……あ!、あの白いの切らしてるわ、まいったな……』
そう思い、左右が電柱街灯に照らされる薄明る一本道をレジスターから眺めていると……
遠くに周囲を警戒するかの様に左右の電柱にジグザグに隠れながら、こちらに近づいて来る白い人影が見え……
やがて……
《シュガーレスさ、これならママもオッケーさ…ブツブツ》
などのひとりごとをつぶやく声が聞こえて来る。
そして、店頭に、身体のわりには、小さいポーチとミニスマホ、それに二色のスケルトンボールペン、それらを肩や首からぶら下げた、癖っ毛の長い赤髪の白いワンピースを着た女性が立つ。
週末の常連である。
ただ店主としては、この女性にじくじたる思いがある。
『今日こそは』
その客はいつも一応、そう一応は、人差し指を唇に当て、上下のメニュー写真を眺める……。
ズッゴッゴゴゴ
店主は、先に切り出した。
「毎度、チンジャオロースが、お勧めだよ」
「……」
「あ、麻婆豆腐も美味しいよ」
「……うーん、じゃー、チンチンチンジャオを一つ、キャー言わされちゃった」
「……」
元某有名中華飯店の料理長だった店主は、思った。
『……細かい事は置いといて、勝った……遂に、この客に中華弁当を買わせる事ができた……屈辱は晴らされた』
「あとー、いつもの、海苔弁とポテサラ超盛りもねー」
「ごめんねー、ポテラサラ終わっちゃたんだ」『!……二つも食うんかい!』
[終]
「ふぅー」
閉店間際の中華弁当屋の店主は一息ついた。
そして思った。
『今日は、週末か、あの人が来るな……あ!、あの白いの切らしてるわ、まいったな……』
そう思い、左右が電柱街灯に照らされる薄明る一本道をレジスターから眺めていると……
遠くに周囲を警戒するかの様に左右の電柱にジグザグに隠れながら、こちらに近づいて来る白い人影が見え……
やがて……
《シュガーレスさ、これならママもオッケーさ…ブツブツ》
などのひとりごとをつぶやく声が聞こえて来る。
そして、店頭に、身体のわりには、小さいポーチとミニスマホ、それに二色のスケルトンボールペン、それらを肩や首からぶら下げた、癖っ毛の長い赤髪の白いワンピースを着た女性が立つ。
週末の常連である。
ただ店主としては、この女性にじくじたる思いがある。
『今日こそは』
その客はいつも一応、そう一応は、人差し指を唇に当て、上下のメニュー写真を眺める……。
ズッゴッゴゴゴ
店主は、先に切り出した。
「毎度、チンジャオロースが、お勧めだよ」
「……」
「あ、麻婆豆腐も美味しいよ」
「……うーん、じゃー、チンチンチンジャオを一つ、キャー言わされちゃった」
「……」
元某有名中華飯店の料理長だった店主は、思った。
『……細かい事は置いといて、勝った……遂に、この客に中華弁当を買わせる事ができた……屈辱は晴らされた』
「あとー、いつもの、海苔弁とポテサラ超盛りもねー」
「ごめんねー、ポテラサラ終わっちゃたんだ」『!……二つも食うんかい!』
[終]
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