ホラー短編集

拾って……

　ある登山道の途中に小さい野池があった、その池辺りで休憩がてら弁当を広げる登山者は何故か必ず手がもつれ、箸を池へ落としてしまう。ただ例外もあり、プラスチック製の箸は不思議と落とす事は無いと言う。
地元登山者達の間では有名な場所であった…
そうあった…
今その池は存在しない、何故なら数年前の大地震の影響でその池の水は全て抜けてしまったから。
そして露わになった池底跡には多量の箸と持ち手がプラスチック製の小さいフォークが一本転がっていった……［終］

あとがき
　怪異の原因は？　忘れさられたフォークの九十九神か？　それとも池の精霊、もしくは山ノ神か？　その答えは読んだ人それぞれが思えた事が原因と言う事で委ねたいと思います。


付喪神（九十九）［題材］
　長く使われた物に宿る霊、基本良くない霊。