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毎年、サンタを悩ませる、少女の願い。
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序
キラキラと光る銀世界に変わった町が眠りに着いた時分、サンタ事業を親から受け継いだ私は少年少女らにプレゼントを配るべく空を飛ぶ事ができる魔法のソリに乗り、満月を背に夜空を飛び回っていた。🌕
軽快順調に配達は進み、配るプレゼントも最後の一つになったところで、一旦ソリを空中停止させ、胸ポケットから取り出したタバコに火を着け、空から町を見渡し、その町の中央広場にある噴水前でクレープを売っている女性店員の事を思い『彼女はイブの夜は誰と過ごすのかな?』など考え、タバコの煙と同時に溜め息を吐き、雪越しのいつも何か懐かしく感じる青白い月を見上げ、他の事考える様にしたが、気は晴れない、何故ならこれからプレゼントを届ける子供は、毎年靴下の中に入れるプレゼントの要望紙に[サンタさんのソリに乗りたいです]と書いて入れて来る、物には興味がない様な子供だった。
個人的にはソリに乗せてあげたいと思うが、自分の親でもある先代サンタには、子供をソリには乗せてはいけないと言われていた、その理由は夢が壊れるから、それだけだった、なのでその子には毎年代替えに用意したソリの模型やトナカイのぬいぐるみ、スノードームなどで対処して来たが、やはりその子が真に望んでいる物事では無いのでサンタとして心は毎年毎回何かパッとしない、おまけに今年は、なんと! [ボーイフレンドが欲しい]と初めてソリ以外の願いを事を書いて来た、当然その願いもソリ同様に叶えてあげる事は難しい、なので代品に精巧な作りの男の子の人形を届ける事とした……。
ちなみに祖父の代から我が身も所属しているサンタ教会の実態は良くわからない謎の組織である……
父からサンタ事業を引き継いだ日、教会の歴史と我が家との関係を合わせて聞いたが、詳しい所は曖昧な受け答えをする、その態度からも何やら深層に関わってはイケナイ気もする……
いつ頃からか各家庭に配られている靴下のシステムも謎である……
配るプレゼントとその配達指示書はクリスマスの前日に必ず住まいの裏にある倉庫に置き届けといてくれる。🎁
問題の彼女の事は指示書の備考欄に書かれていて知った、教会はできる限りは子供の要望に付き合う姿勢らしい。
私は取り出したスキットルのウイスキーを一口飲み、心の曇りを吹っ切る様に口元のマフラーを、はらう様に締め直し、その子の家に向かった。🧣
ソリをその子の部屋である屋根裏部屋の丸い窓の前に留め、窓を押して開く、鍵はお約束でかかってはいない、そっ~と部屋の中に入る、奥のベッドでその子は寝ている、本棚横の棚には毎年自分が置いていったプレゼントが並べる様に飾ってあった。さっそく無限袋から人形の入った細長いプレゼント箱を取り出し、その棚の前に立てかけた時、後ろから、「こんばんは♪」と声をかけられた!
気付かぬふりをし帰ろうとしたら後ろから手を掴まれてしまった、やれやれと思い振り返り絶句した……目の前に立っていたのは、あのクレープを売っている憧れの女性だった!
……考えたらもう此処に十年も私は来ている、子供も大人になっていても不思議な事では無く、むしろ自然の事だった。
私は冷静に対処しようと唾を一飲みし喉を潤し、
「見られてしまったようだね、此処に来るの今年で終だよ、そういう決まりなんだ」
「私はもう18よ、おもちゃは要らないわ、その代わり前からお願いしている、そのソリに乗せてよ」
と彼女は窓外にホバリングしている私のソリを指差しをした。🛷
私はふと、父の教えを思い出し、「ソリには子供は乗せられないだ、ごめんね」
「なんで?」
「夢が壊れるからかな」
彼女はクスッとし、
「私サンタさんを夢だと思っていなかったわ、だってサンタさんが初めて家に来てくれた日から毎年来てくれる日、私し寝たふりしてたんだから、それに毎日クレープ買いに来てくれるし」
私の正体はバレていた……この子には勝てないと思い、それにもう大人だし良いかと思い。
「いいよ、ソリに乗せてあげるよ」
「えっ!、本当にやったー」
彼女はその私の言葉に歓喜し、手を叩いて喜び、飛び跳ね、終いには私に抱き付いて来た、彼女の胸の膨らみを胸に感じた……
私は彼女の手を取りソリの前まで案内した。
「あれ? トナカイさんは居ないの?」
「あれはただのビジョンだよ」
と私はソリのハンドルグリップのボタンを押した、ブーンと電気音がしソリの前方空間に光で映し出された脚を走る様に動かすトナカイの映像が浮かび上がる。
彼女は目をキラキラさせ、
「すっごーい、このソリどこで売ってるの?」
「これは、じいちゃんの持ち物だったから詳しい事はわからないんだ」
「ふーん」
と彼女は言い、興味深々にソリの計器類を覗き込む様に観察していた。
「……ソロソロ行こうか、後で運転もさせてあげるよ」
「え、本当にー、私サンタさんより運転上手いかもよ」
「それは是非楽しみにしているよ」
ソリは窓側から離れると暖房システムが起動し円形のバリアに包まれた。
こうして私は彼女を後ろに乗せ夜の遊覧浪漫飛行に飛び立った……今年彼女の願いは初めて叶える事ができた、それも二つ……おっと誤解の内容に言っとが、彼女と私の関係は、あくまで今のところフレンドである。それにたまぁには、私がプレゼントを受け取る側になっても良いではないか……メリークリスマス! 私と君達!🌲
幕
夜空には、二人の待望をまとったソリの残光が、ベルの音と重なり合い、共鳴するかの様に一閃の光と成り走った……🔔
~THE・END~
*スマホ絵文字使用
キラキラと光る銀世界に変わった町が眠りに着いた時分、サンタ事業を親から受け継いだ私は少年少女らにプレゼントを配るべく空を飛ぶ事ができる魔法のソリに乗り、満月を背に夜空を飛び回っていた。🌕
軽快順調に配達は進み、配るプレゼントも最後の一つになったところで、一旦ソリを空中停止させ、胸ポケットから取り出したタバコに火を着け、空から町を見渡し、その町の中央広場にある噴水前でクレープを売っている女性店員の事を思い『彼女はイブの夜は誰と過ごすのかな?』など考え、タバコの煙と同時に溜め息を吐き、雪越しのいつも何か懐かしく感じる青白い月を見上げ、他の事考える様にしたが、気は晴れない、何故ならこれからプレゼントを届ける子供は、毎年靴下の中に入れるプレゼントの要望紙に[サンタさんのソリに乗りたいです]と書いて入れて来る、物には興味がない様な子供だった。
個人的にはソリに乗せてあげたいと思うが、自分の親でもある先代サンタには、子供をソリには乗せてはいけないと言われていた、その理由は夢が壊れるから、それだけだった、なのでその子には毎年代替えに用意したソリの模型やトナカイのぬいぐるみ、スノードームなどで対処して来たが、やはりその子が真に望んでいる物事では無いのでサンタとして心は毎年毎回何かパッとしない、おまけに今年は、なんと! [ボーイフレンドが欲しい]と初めてソリ以外の願いを事を書いて来た、当然その願いもソリ同様に叶えてあげる事は難しい、なので代品に精巧な作りの男の子の人形を届ける事とした……。
ちなみに祖父の代から我が身も所属しているサンタ教会の実態は良くわからない謎の組織である……
父からサンタ事業を引き継いだ日、教会の歴史と我が家との関係を合わせて聞いたが、詳しい所は曖昧な受け答えをする、その態度からも何やら深層に関わってはイケナイ気もする……
いつ頃からか各家庭に配られている靴下のシステムも謎である……
配るプレゼントとその配達指示書はクリスマスの前日に必ず住まいの裏にある倉庫に置き届けといてくれる。🎁
問題の彼女の事は指示書の備考欄に書かれていて知った、教会はできる限りは子供の要望に付き合う姿勢らしい。
私は取り出したスキットルのウイスキーを一口飲み、心の曇りを吹っ切る様に口元のマフラーを、はらう様に締め直し、その子の家に向かった。🧣
ソリをその子の部屋である屋根裏部屋の丸い窓の前に留め、窓を押して開く、鍵はお約束でかかってはいない、そっ~と部屋の中に入る、奥のベッドでその子は寝ている、本棚横の棚には毎年自分が置いていったプレゼントが並べる様に飾ってあった。さっそく無限袋から人形の入った細長いプレゼント箱を取り出し、その棚の前に立てかけた時、後ろから、「こんばんは♪」と声をかけられた!
気付かぬふりをし帰ろうとしたら後ろから手を掴まれてしまった、やれやれと思い振り返り絶句した……目の前に立っていたのは、あのクレープを売っている憧れの女性だった!
……考えたらもう此処に十年も私は来ている、子供も大人になっていても不思議な事では無く、むしろ自然の事だった。
私は冷静に対処しようと唾を一飲みし喉を潤し、
「見られてしまったようだね、此処に来るの今年で終だよ、そういう決まりなんだ」
「私はもう18よ、おもちゃは要らないわ、その代わり前からお願いしている、そのソリに乗せてよ」
と彼女は窓外にホバリングしている私のソリを指差しをした。🛷
私はふと、父の教えを思い出し、「ソリには子供は乗せられないだ、ごめんね」
「なんで?」
「夢が壊れるからかな」
彼女はクスッとし、
「私サンタさんを夢だと思っていなかったわ、だってサンタさんが初めて家に来てくれた日から毎年来てくれる日、私し寝たふりしてたんだから、それに毎日クレープ買いに来てくれるし」
私の正体はバレていた……この子には勝てないと思い、それにもう大人だし良いかと思い。
「いいよ、ソリに乗せてあげるよ」
「えっ!、本当にやったー」
彼女はその私の言葉に歓喜し、手を叩いて喜び、飛び跳ね、終いには私に抱き付いて来た、彼女の胸の膨らみを胸に感じた……
私は彼女の手を取りソリの前まで案内した。
「あれ? トナカイさんは居ないの?」
「あれはただのビジョンだよ」
と私はソリのハンドルグリップのボタンを押した、ブーンと電気音がしソリの前方空間に光で映し出された脚を走る様に動かすトナカイの映像が浮かび上がる。
彼女は目をキラキラさせ、
「すっごーい、このソリどこで売ってるの?」
「これは、じいちゃんの持ち物だったから詳しい事はわからないんだ」
「ふーん」
と彼女は言い、興味深々にソリの計器類を覗き込む様に観察していた。
「……ソロソロ行こうか、後で運転もさせてあげるよ」
「え、本当にー、私サンタさんより運転上手いかもよ」
「それは是非楽しみにしているよ」
ソリは窓側から離れると暖房システムが起動し円形のバリアに包まれた。
こうして私は彼女を後ろに乗せ夜の遊覧浪漫飛行に飛び立った……今年彼女の願いは初めて叶える事ができた、それも二つ……おっと誤解の内容に言っとが、彼女と私の関係は、あくまで今のところフレンドである。それにたまぁには、私がプレゼントを受け取る側になっても良いではないか……メリークリスマス! 私と君達!🌲
幕
夜空には、二人の待望をまとったソリの残光が、ベルの音と重なり合い、共鳴するかの様に一閃の光と成り走った……🔔
~THE・END~
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