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22・外伝記・帝国ソルジャーの章
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22【蝉と少女】外伝記・帝国ソルジャーの章
※本編とは特に繋がりは無い物語です。
※ウクライナとロシアの戦争が長引くと感じた時になんとなく書いた物語です、良ければお読み下さい。22・10・16
=序章=
黒煙が立ち上がる下界の戦場を青い小鳥が飛行しながら険しい目で見下ろしている……
雨が降り、蒸れた火薬臭い土煙に包まれ、まだ残り火が斑目に飛び散って見える戦場の焼け丘陵の上を1人の若い敗走兵が走っていた……
その若者は身なりや装備品から帝国兵と思われる。
身も心もヘトヘトで漆黒の軍服もボロ泥で負け戦の退却の最中であると思われる。
『今回の戦争は元々侵略戦争であり大義なんか無い、兵の指揮は元々低かった、こんな戦争を始める帝国はもう腐っている、馬鹿げている!』
必死に家族の顔を思い浮かべながら、夜も寝ないで休まず走って敵から逃げ続け、流石に疲れてきた、おまけに幼い少女を背中に背負っている。
途中で見かけた戦争孤児である。
今は背で寝てはいるが疲れた僕にはそれなりに負担だった、退却途中に足を掴まれて怯えた目で見つめられてしまい見捨てる事ができなくなってしまった。
侵略者としての引け目もあった……
負け戦の時点で心の闘魂は燃え尽きて仏になってしまったのである。
与えられたブラックガンブレードも電池が切れてビーム砲や様々な有効な機能は使えない(泣)
この天気じゃソーラ充電もできない、ブレードを軽く感じさせる、アシストシステムも稼働しないので重たい、余りに重たいので中のバッテリーだけ外して捨てた。
気づいたらもう周りには仲間も見当たらなくなっていた……
兎に角、焼け焦げて雨でぬかるんだ丘陵を登りは降りてを繰り返して滑りながら逃げる、そんな僕の前に残党狩りの敵兵と至近距離で鉢合わせてしまった! それも3人……
敵もそれなりに訓練された兵である。
厳しい訓練を潜り抜けてきた僕でも3人以上は同時にかかってこられると対応できない。
それに子供を背負ってる背中に斬撃か銃弾を受けたら一大事である。
どうにか巻いて逃げるしかなかった。
なんとか森の中に飛び込み、草木に隠れる様にして逃げるのを心見たが、敵兵はシツコイ追いかけ来る、奴らを振り切るの諦めて殺す事にした! 今いる山道は道の両茂みは深く一本道で間違いなく追っての兵が後から通るのを打算しら、道の真ん中にガンブレードを囮として置き、ガンブレードの自爆システムの安全装置を解除し起動させた、
ピロリ~♪と起動する音がした。
『よし!』
予備電池の残量はまだ少し残っていたので起動してくれた。
大木の後ろに隠れて敵兵が来るのを待った……
程なくして敵兵が現れた、敵兵のリーダーらしき兵士がガンブレードを拾い、3人で満足そうに見ていた、背中に背負っている子供を前に抱え直しその両耳抑え、心の中でクレテヤルと呟き、地に伏せ、遠隔リモコンの起動スイッチを押した!
《ブッワガーン》と青い稲妻を発してガンブレードは爆発して敵兵3人は粉々になり肉片に変わり果てていた。
これが戦争であり僕が国から請け負った仕事だ。
その爆音で胸に抱え込んでいた子供がやはり目を覚ましてしまった、震えていた、頭を撫でて落ち着かせていたら、僕の心も落ち着いて来たと同時に強い疲労感を感じ心が折れそうになった……
ピッピッチッチ♪
鳥の鳴き声が聞こえ、振り向いたら、木に溜まる小鳥の下、草の茂みにバイクのハンドルが見えた!
駆け寄り確認したらそれは軍用のオフロードバイクだった、有難い事にほぼ無傷で燃料も満タンだった!
近くで敵の兵隊が頭から血を流して絶命していた……このバイクの運転手だろうか?
その兵の遺体に十字を切り手を合わせ、神に感謝し、そのバイクに跨った。
そらからバイクの機動力の助けもあって楽に本陣まで辿り着く事ができた。
陣営には戦線から戻ってきた、兵士の治療やらなんやらで慌ただしかった。
子供を女性兵士に任せ、司令官に会う為に本営テントに向かった。
司令官に前線状況を報告し指示を仰ぐ、
司令官は僕を見るなり、
「君は帰国」
え! 何故と? 思いながら「は!」と敬礼して(帰れるんだ)と思って緊張が解けた瞬間、気を失った……
気づいたら病院のベッドだった……
起きようとしたら太腿に激痛が走った!
直ぐに看護婦が駆けつけてきた、
「まだ起きないで下さい! 足の傷が開きますよ!」
自分では気づいてはいなかった方が、足に大怪我をしていた。
軍服のズボンは黒色だったので大量の出血に気づけなかった……
看護婦さんは若かった、僕と同じくらいでおそらく20代前半だと思う……
何やら戦場から生還すると男は性欲が高まるらしく看護婦さんを誘ってみた。
「ねー 僕とさ、デート前提で、ご飯行かない?」
看護婦さん目を開きクッスと笑った。
「その足じゃ、ダメでしょ!」
「じゃー 治ったら良い?
「考えておくわ」
「やったー 約束ですよ」
「はいはい」
と看護婦さんは花瓶の花を交換した。
その日から看護婦さんと、たわいも無い話しをし数週間が過ぎた。
僕は上級士官なので個室が与えられ、部屋に他の患者はいなかった。
数日後、退却中に助けた子供も遊びに来た。看護婦さんに遊んでもらっているその姿を見て安心し、やはり助けて良かったと感じた、戦地でこの子を、あのまま見捨てていたら僕は一生、心に罪悪感を引きずっていた事だろう……
天気の良い日、静かな病室の窓辺に小鳥が留まり、光が差し込んでくる、その光を見ていたら中庭まで出たくなった。
看護婦さんを呼び、
「中庭に行ってくるよ」
「立てるの?」
「ああ、感じ的に大丈夫な気がするよ」
立つには立てたが、足に少し痛みが走り慌ててベッドに腰掛けた、
「あー痛っ」
「肩、貸します」
「すみません、頼みます」
どうにか松葉杖と看護婦さんの助けで白壁に囲まれた中庭に辿り着きベンチに腰掛けた。
一息付き、
「ところでデートの話しだけど」
「まだ無理よ」
看護婦さんは悲しい顔をしていた。
ベンチで病室から持ってきたリンゴを剥いてもらって食べた……
その後は会話は特にしなかった。
それから数週間して足の痛みは引いたが膝は前より可能範囲が半分程になってしまって、ビッコを引くようなってしまった……
軍医にも、前みたいには歩けないと言われた……
僕は独身だけど小さい妹と母親が居た。これでは家族を養うために厳しい訓練に耐え、兵士になった意味がない、それどころか家族のお荷物になってしまった、先の事を考えたら愕然としてしまった。
その後リハビリは兵士の訓練から見たら楽で足の具合も普通に歩くけるくらい迄には機能を取り戻せた。
退院して家に帰る日、
病院の前で看護婦に頭を掻きながら、
「は~ この足じゃデート無理だね、うん!中止で、残念です、勝手だけどそういう事で看護婦さん」
と退院祝いに貰った花束から一本花を抜いて看護婦さんに渡した。
彼女は目を瞑り俯き、顔上げ目を開き、
「何言ってるのよ、デートは走らなくてもできるでしょ」
「え! 僕もう兵士じゃないよ、給料も事務員になるみたいだから半分だよ、少し傷病者年金は受け取れるけど……」
「私し兵士の人とは付き合わないわよ、死なれたら立ち直れないと思うし、お金は私も働いてるから心配しないで大丈夫よ」
「でもこの足じゃカッコ悪いだろ、一緒にいて君も……」
「丁度いいわよ、その足なら浮気できないし、君は子供も好きみたいだし、退却する時に子供背負って逃げる、兵士なんか普通いないわ、、自分が殺されるそうなのに馬鹿みたいよ、……でもその馬鹿っぷり気にいったわ、私と同じ、どの道そんな優しい人に兵士は無理よ、続けたら早く死ぬわよ、怪我の巧妙として私で手を打ちなさいよ、あの子も引き取って私も君の家族に入れてよ、一緒に暮らさせて」
「良いのかい? 苦労かけるよ」
彼女は覚悟をした表情をし首を縦に振った。
「じゃあ、迎えに行くよ」
「待ってるわ、必ずよ」
久しぶりに心から安心し笑えた。
こうして僕の戦争だけは終わった[終]
23へ続く。
※本編とは特に繋がりは無い物語です。
※ウクライナとロシアの戦争が長引くと感じた時になんとなく書いた物語です、良ければお読み下さい。22・10・16
=序章=
黒煙が立ち上がる下界の戦場を青い小鳥が飛行しながら険しい目で見下ろしている……
雨が降り、蒸れた火薬臭い土煙に包まれ、まだ残り火が斑目に飛び散って見える戦場の焼け丘陵の上を1人の若い敗走兵が走っていた……
その若者は身なりや装備品から帝国兵と思われる。
身も心もヘトヘトで漆黒の軍服もボロ泥で負け戦の退却の最中であると思われる。
『今回の戦争は元々侵略戦争であり大義なんか無い、兵の指揮は元々低かった、こんな戦争を始める帝国はもう腐っている、馬鹿げている!』
必死に家族の顔を思い浮かべながら、夜も寝ないで休まず走って敵から逃げ続け、流石に疲れてきた、おまけに幼い少女を背中に背負っている。
途中で見かけた戦争孤児である。
今は背で寝てはいるが疲れた僕にはそれなりに負担だった、退却途中に足を掴まれて怯えた目で見つめられてしまい見捨てる事ができなくなってしまった。
侵略者としての引け目もあった……
負け戦の時点で心の闘魂は燃え尽きて仏になってしまったのである。
与えられたブラックガンブレードも電池が切れてビーム砲や様々な有効な機能は使えない(泣)
この天気じゃソーラ充電もできない、ブレードを軽く感じさせる、アシストシステムも稼働しないので重たい、余りに重たいので中のバッテリーだけ外して捨てた。
気づいたらもう周りには仲間も見当たらなくなっていた……
兎に角、焼け焦げて雨でぬかるんだ丘陵を登りは降りてを繰り返して滑りながら逃げる、そんな僕の前に残党狩りの敵兵と至近距離で鉢合わせてしまった! それも3人……
敵もそれなりに訓練された兵である。
厳しい訓練を潜り抜けてきた僕でも3人以上は同時にかかってこられると対応できない。
それに子供を背負ってる背中に斬撃か銃弾を受けたら一大事である。
どうにか巻いて逃げるしかなかった。
なんとか森の中に飛び込み、草木に隠れる様にして逃げるのを心見たが、敵兵はシツコイ追いかけ来る、奴らを振り切るの諦めて殺す事にした! 今いる山道は道の両茂みは深く一本道で間違いなく追っての兵が後から通るのを打算しら、道の真ん中にガンブレードを囮として置き、ガンブレードの自爆システムの安全装置を解除し起動させた、
ピロリ~♪と起動する音がした。
『よし!』
予備電池の残量はまだ少し残っていたので起動してくれた。
大木の後ろに隠れて敵兵が来るのを待った……
程なくして敵兵が現れた、敵兵のリーダーらしき兵士がガンブレードを拾い、3人で満足そうに見ていた、背中に背負っている子供を前に抱え直しその両耳抑え、心の中でクレテヤルと呟き、地に伏せ、遠隔リモコンの起動スイッチを押した!
《ブッワガーン》と青い稲妻を発してガンブレードは爆発して敵兵3人は粉々になり肉片に変わり果てていた。
これが戦争であり僕が国から請け負った仕事だ。
その爆音で胸に抱え込んでいた子供がやはり目を覚ましてしまった、震えていた、頭を撫でて落ち着かせていたら、僕の心も落ち着いて来たと同時に強い疲労感を感じ心が折れそうになった……
ピッピッチッチ♪
鳥の鳴き声が聞こえ、振り向いたら、木に溜まる小鳥の下、草の茂みにバイクのハンドルが見えた!
駆け寄り確認したらそれは軍用のオフロードバイクだった、有難い事にほぼ無傷で燃料も満タンだった!
近くで敵の兵隊が頭から血を流して絶命していた……このバイクの運転手だろうか?
その兵の遺体に十字を切り手を合わせ、神に感謝し、そのバイクに跨った。
そらからバイクの機動力の助けもあって楽に本陣まで辿り着く事ができた。
陣営には戦線から戻ってきた、兵士の治療やらなんやらで慌ただしかった。
子供を女性兵士に任せ、司令官に会う為に本営テントに向かった。
司令官に前線状況を報告し指示を仰ぐ、
司令官は僕を見るなり、
「君は帰国」
え! 何故と? 思いながら「は!」と敬礼して(帰れるんだ)と思って緊張が解けた瞬間、気を失った……
気づいたら病院のベッドだった……
起きようとしたら太腿に激痛が走った!
直ぐに看護婦が駆けつけてきた、
「まだ起きないで下さい! 足の傷が開きますよ!」
自分では気づいてはいなかった方が、足に大怪我をしていた。
軍服のズボンは黒色だったので大量の出血に気づけなかった……
看護婦さんは若かった、僕と同じくらいでおそらく20代前半だと思う……
何やら戦場から生還すると男は性欲が高まるらしく看護婦さんを誘ってみた。
「ねー 僕とさ、デート前提で、ご飯行かない?」
看護婦さん目を開きクッスと笑った。
「その足じゃ、ダメでしょ!」
「じゃー 治ったら良い?
「考えておくわ」
「やったー 約束ですよ」
「はいはい」
と看護婦さんは花瓶の花を交換した。
その日から看護婦さんと、たわいも無い話しをし数週間が過ぎた。
僕は上級士官なので個室が与えられ、部屋に他の患者はいなかった。
数日後、退却中に助けた子供も遊びに来た。看護婦さんに遊んでもらっているその姿を見て安心し、やはり助けて良かったと感じた、戦地でこの子を、あのまま見捨てていたら僕は一生、心に罪悪感を引きずっていた事だろう……
天気の良い日、静かな病室の窓辺に小鳥が留まり、光が差し込んでくる、その光を見ていたら中庭まで出たくなった。
看護婦さんを呼び、
「中庭に行ってくるよ」
「立てるの?」
「ああ、感じ的に大丈夫な気がするよ」
立つには立てたが、足に少し痛みが走り慌ててベッドに腰掛けた、
「あー痛っ」
「肩、貸します」
「すみません、頼みます」
どうにか松葉杖と看護婦さんの助けで白壁に囲まれた中庭に辿り着きベンチに腰掛けた。
一息付き、
「ところでデートの話しだけど」
「まだ無理よ」
看護婦さんは悲しい顔をしていた。
ベンチで病室から持ってきたリンゴを剥いてもらって食べた……
その後は会話は特にしなかった。
それから数週間して足の痛みは引いたが膝は前より可能範囲が半分程になってしまって、ビッコを引くようなってしまった……
軍医にも、前みたいには歩けないと言われた……
僕は独身だけど小さい妹と母親が居た。これでは家族を養うために厳しい訓練に耐え、兵士になった意味がない、それどころか家族のお荷物になってしまった、先の事を考えたら愕然としてしまった。
その後リハビリは兵士の訓練から見たら楽で足の具合も普通に歩くけるくらい迄には機能を取り戻せた。
退院して家に帰る日、
病院の前で看護婦に頭を掻きながら、
「は~ この足じゃデート無理だね、うん!中止で、残念です、勝手だけどそういう事で看護婦さん」
と退院祝いに貰った花束から一本花を抜いて看護婦さんに渡した。
彼女は目を瞑り俯き、顔上げ目を開き、
「何言ってるのよ、デートは走らなくてもできるでしょ」
「え! 僕もう兵士じゃないよ、給料も事務員になるみたいだから半分だよ、少し傷病者年金は受け取れるけど……」
「私し兵士の人とは付き合わないわよ、死なれたら立ち直れないと思うし、お金は私も働いてるから心配しないで大丈夫よ」
「でもこの足じゃカッコ悪いだろ、一緒にいて君も……」
「丁度いいわよ、その足なら浮気できないし、君は子供も好きみたいだし、退却する時に子供背負って逃げる、兵士なんか普通いないわ、、自分が殺されるそうなのに馬鹿みたいよ、……でもその馬鹿っぷり気にいったわ、私と同じ、どの道そんな優しい人に兵士は無理よ、続けたら早く死ぬわよ、怪我の巧妙として私で手を打ちなさいよ、あの子も引き取って私も君の家族に入れてよ、一緒に暮らさせて」
「良いのかい? 苦労かけるよ」
彼女は覚悟をした表情をし首を縦に振った。
「じゃあ、迎えに行くよ」
「待ってるわ、必ずよ」
久しぶりに心から安心し笑えた。
こうして僕の戦争だけは終わった[終]
23へ続く。
応援ありがとうございます!
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