【R18】蝉と少女

仙 岳美

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分冊①

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前書き
 始めましてこんにちは、私の小説の扉を、開いていただき、誠にありがとうございます。この作品は処女作品なので、至らぬ所はあると思いますが、そこを踏まえて、一つお願いします。

〈目次〉
分冊①
【序章】
【少女の章】
【少女豹変の章】


【小刀の章】
【決意の章】

③ー1
【分記・家の章】
【分記・蝉の章】
【分記・完結の章】

補填・③ー2
 【角蝉の正体の章】

④【分記・少女背徳の章】
⑤【分記・先祖伝来の章】
⑥【分記・釣りの章】
⑦【分記・人間酒製造マシーンの章】
⑧【分記・彼女嫉妬の章】
⑨【分記・女帝降臨の章】
⑩【分記・大呪文の章】
11【分記・土下座少女の章】
12【幕章】


分冊①【蝉と少女】

主人公(私)
 佐藤 章良(さとう あきら 二十九歳 旅行者
       現在無職 あだ名[さっちゃん])

【序章】

 毎年、蝉の鳴き声が聞こえてくると、あの夏の日の、夢の様な不思議な体験を今も思い出す……

 ある日の朝方時刻は五時頃だったと記憶している、飲み残しが入ったぬるい 一リットルのコーヒー牛乳のパックを片手に日課の散歩中、コンビニにより立ち読みした雑誌[神社巡り旅]で紹介されていた神社に興味が沸き、翌日、朝早く五時頃から家を出発し、夕方にも思える薄明るい山道を軽いデジャヴを感じながら下り、バス、電車を何回か乗り継ぎ、本州から離れた島へと繋がる架橋鉄道(株)が運営している海底地下鉄道に乗り、島の駅から再びバスに乗り、山の、中腹辺りの目的の神社に無事到着(バスの中にカメラと傘を忘れたり、私、一人しか乗ってない地下鉄が数回停電おこすアクシデントなどに見舞われたが)
神社の造りは派手過ぎず、なぜか神社なのに十字架の飾りや彫物がしており、どこか西洋風で品のある作りだった、昔の有名な白拍子を祀っているそうだ。
参拝が済んだ後、御守りを買い、少し境内を歩いてみた、敷地の半分は池で見たことがない虹色の蓮の花が綺麗に咲いていた、池の中央に社があり朱色の橋を渡って行く感じである。
周囲は、あちらこちらに様々な花が植えられ、咲き乱れ、良い複合的な香りが充満していたが、空気は澄んでいて何かに守られてる様な気がし、楽園のような所に思えた。

 帰りに節約と健康のため不安ではあったが駅までは歩いて行こうと思い、
案の定、迷子になってしまった!
ついでに境内に居た、人に慣れていると思われる黒猫が、何故だか私の後ろを付いて来る……。
捨てられたのだろうか?
自分を捨てた飼い主が迎いに来たと勘違いしているのか?
その猫を引き連れ、綺麗に澄んだ大空を眺めながら、適当にしばらく夏の山道を気の向くまま下っていた。
遠くに見える山の中腹には廃城が見えた……。
そのうち暑さと疲労で疲れてしまい。
フラフラしながら歩いていたら、何処か懐かしい感じがする、小さい公園に行き着き。公園の敷地内に生えていた大樹の根元辺りにできた日陰に腰を下ろすと、木の葉の隙間を通して、扇風機の様な心地が良い風が吹いてきた。周りを見渡して見ると何故か我が家にもある、お風呂で遊ぶアヒルのオモチャが浮いている小さい人工池と崩れた建物らしき土台があり、人の手で加工された、物と思われる石の残骸が、あちらこちらに転がっていた。
此処は昔の寺院跡の様にも思える、また公園に作り直したが管理もされないで放置されてる様にも思えた。
蝉の数も多いみたいで鳴き声は結構うるさい感じではあるが毎年の事なので耳が慣れてるみたいで余り気にはならなかった。

《ビッビビビ》

大樹の枝に蝉を咥えたモズが留まっていた、のどかなとこでもどこでも小さい争いは繰り広げられてる気がして逃げ場が無いような気がして少し気が滅入った……

微妙に蝉の鳴き声の中に毎年聞くものとは違う鳴き声が混ざっている気がした。
この辺の蝉は種類が多いのだろうか?
涼しいのでそこで寝転がってみた芝生も布団の様にフカフカしていて気持ち良い。
此処で昼飯にしようと思い、駅で購入した唐揚げ、シャケ、梅干しのオニギリを広げ食べる事にした。
最近のオニギリの具にはマヨネーズなどが使用された新しい物も販売されているが、自分は昔からある具が好きである。 
巻かれてる海苔もコンビニの食べる直前で巻くタイプより、あらかじめ巻いてある、米の水分を吸ってシンナリした海苔のオニギリが良い。
小学生の頃、遠足に持って行く時に親が作ってくれた、懐かしい癒しのオニギリのタイプである。
オニギリを外で食べていると遠足を思い出し心が小学生の頃に戻るようである。
小学生に戻った僕は続いて缶ビールの蓋を切る(笑)
道に迷っている途中で唯一発見した酒の自販機で買ったビールである。
ビールのオマケに缶に貼り付いていた豆菓子も良い塩梅である。
誰にも気を使う必要が無いストレスフリー の一人酒を多少だが愛着が湧いてきた黒い野良猫と楽しんでるうちに、猫の存在を頭の辺りに感じながら、いつの間にか酔っ払って寝てしまった……
猫は何か私の耳を噛んだり引っ張りしている……
(起きなきゃダメだよ……早く)

【少女の章】へ続く


【少女の章】

「もしもしー こんなとこで寝てたら身体中、蚊に刺されますよー おーい」

と声が頭の中に響いてきた、その声で目を覚ましたら大きい蝉の顔が目の前に!
いや見知らぬ少女が私の鼻先を蝉の抜け殻でツンツンしながら上から覗き込んでいた。
驚いたので衝動的に抜け殻を取り上げ、手で握って潰してしまった。
少女は
「あー私の抜け殻」と言って苦笑いした、どの位そこで昼寝してたのだろうか、腕時計で時間を確認したら時計の針は5を指していた夏なので日が伸びてるおかげでまだ明るかった……
野良猫は私が寝ているうちに豆菓子を全て平らげたら満足して私を見捨ててサクッと巣に帰ってしまったようである、やな奴だが流石である。
猫は落ち目な所から逃げる、野生の生き物としては理にかなっている。
縁が切れた猫のことを考えるのはこれくらいにして、前向きな心で家に帰らなければいけないと思い、ゴミをまとめて、駅探しを再会する事にした、
目の前の白いワンピースにスニーカー姿の女性は少女のようにも見えるが歳はおそらく二十歳前後、辺りだろうか?身長は百六十中ば位で肌が白く顔は私の好みの顔で素直に綺麗で可愛いと思った。
彼女はこの町は過疎化で公共サービスはかなり衰退していると言う、
駅に向かうバスはこの辺りは五時(十七時)にもう無いと言う、
海底地下鉄道も赤字路線で上がりも下りもハ時で終わりだそうだ、かなり早い。
数年前まで個人タクシーが三台走っていたがドライバーが高齢の為、全て廃業してしまったそうだ。
彼女は雇用主の島長(町内会長)の用事を頼まれた帰りだと言う、健康のため極力乗り物を使わず、歩くようにしているとの事。行きにフラフラ公園に入って行く私を見たらしい、で帰りに公園で倒れてる様に寝ている私を見かけ、不安になって起こしたみたいだ。
彼女が言うには昔この辺りは城塞都市で防衛の為に道が態と迷うように複雑に作られており。現在も道の構造を造り直さず9割は当時の道をそのまま直して使っているため、地元の人間でも迷う時があると言う。
彼女は私と一緒に居た野良猫の事も聞いてきた
「所でネコちゃんは?」
私はひと言
「消えた」と言った。
「あらザーンネン半分はそれ目的で寄ったのに」
半分は私に興味持ってくれたのか、ていうか野良猫と同等とは納得いかないところもあるが、まぁ良い、私みたい人間は贅沢は言えない。野良猫も少しは役に立つったのだ!
私だけなら彼女がここに来る可能性は五十%! 道に詳しい彼女は来なかったかも知れない、野良猫も豆菓子分は働いたということで納得した。
元々、豆菓子はビールに付いてきた無料のおまけだが。
彼女は駅近くまで帰るので一緒に行ってくれるという、駅の近くのT字路に置いてある十字架が掘られた大石まで私を連れ行ってくれるそうだ、お言葉に甘え、彼女の案内で駅までの旅を再開した。
従者は餌だけ目的の臭い野良猫から道に詳しい善良な綺麗でおまけに良い香りがする少女に変わったので大出世で、ウキウキである。
日曜日の朝、よく私の家に何かの宗教の勧誘で頼んでもないのに訪れる、ダラシなく肥満したおばさんに言わせれば、この様な小さい幸せも、
見た事も、話した事も無い
神様に感謝しなければいけないと言う………
なんでだ?
神様の前に自分の体に感謝してダイエットした方がといつも思う。
まぁそんな私も最近はラーメン食べ過ぎて人の事はあまり言えんが。

駅迄、歩けると思ったが意外に距離がある事に後悔した、やはり心の病の治療薬の副作用でどこか判断力が鈍ってるのだろう、私は先導する彼女のお尻を眺めながら歩く原動力に替えていたダメな人間である否定はしない、彼女は歩くのは、なれてるみたいで息一つ乱れていなかった。
夏の日差しで草が茹で上がってるせいで発する草臭い匂いを嗅ぎながら三十分は歩いただろうか? 途中で私が力尽きて地面に座り込んでしまうと、彼女は水筒から注いだお茶と二粒のキャラメルを恵んでくれた、

「まだコップは口つけて無いから大丈夫キレイよ」

片掛けのポーチから折り畳みの日傘を出して日陰を作ってくれた。
お茶だと思って飲んだそれは炭酸の栄養ドリンクだった、只者では無い。

「お茶がよかったー」
と言ったら彼女は、
「子供かよ」と返してきた。
そこからしばらくしても動こかない私を見て、

「ほらほら、立って、休憩おしまい、完全に日が落ちる前に街まで辿り着かないと、この辺りは街灯が無いから真っ暗になるよ、チュパカブラと野犬が出るよ!」

チュパカブラは冗談として、私は野犬と聞いて怖くなったが動こうとしなかった、差し迫らないと動か無いのが私の短所である。また先の事を真剣に考えないダメな人間なのである。
更に人に指図されると自分が悪いと解っていても反抗する癖がある。
彼女は私を上から観下ろし目を閉じキョトンした顔をして、

「なるほどーそう言う態度に出るんだ、じゃーしょうがないわね」
と彼女は私が道で拾って杖の代わりにしていた棒切れを拾った

「な、なんだよ」
私の後ろに回り込み、腰の辺りを突っ突いた地面と私の尻を剥がそうとしている。
「ほらほら見捨てて行っちゃうよ、いいの?」飴と鞭である。
でも私は動かない彼女はムッとした後、ニヤリとして、
「勃ってー」とお尻に棒を押し込んだ

「痛てて分かった分かった穴に当たってるからー」

「ほらーズボン破って本当に穴に入っちゃうよ、早くーいいのー本当にやるよーそれともやってもらいたいのー?」

私はたまらず重い腰を上げた。私が言う事を聞いたら
「よしよし」とまた優しくなった。

「なんのプレーだよ、あービックリした、その棒返して俺のだから」
彼女は棒の両端を左右の手で持ち先端の方を手の平でポンポンとしながら満足した様な怪しい笑みを浮かべていた。サドスティクな監獄の女獄長の様に見えた。
【少女豹変の章】へ続く。


【少女豹変の章】
 あれから少し歩いたらもう一杯栄養ドリンクを貰って結局の彼女の分まで飲んでしまった。更に道中彼女から借りた日傘と棒切れを手に三十分程歩いたら、ポツポツだが住宅が視界に入るようになってきた。
再び空腹感とまた喉の渇きを感じた頃に私は砂漠のオアシスの映像ばかり頭に浮かんでいた調度よく道の途中によろず屋があった。
砂漠のオアシスである。懐かしい感じがする錆びた古い縦看板には、
ま!まさしく
『オワシス』と記してあった、字が一文字違っていたが希望していた物が手に入ったので、たまには神様も信じなければいけないのかなーと思った。
人間危機を脱すると信仰心が芽生えてくる物なんだろう。
いや騙されてはいけない全て偶然だ、そもそも普段神様信じてない私を神様が本当にいたとして、信じてる人は全世界に沢山いるのだ、さぞ忙しいことだろ、神様が千人いたとしても、わざわざ私を助けるはずが無い、宝くじ買わない人が当たるわけが無いと同じである、助ける、としたら今日、参拝した古の白拍子だろう、そもそも、なんで私が神社に興味なんか持ったのか、そもそも神社に行ったから、このザマに成ってるのではないのか。
うーん、自分は気の病を患い人生に行き詰まりを感じてたんで無意識に神社に助けを求めに行ったのだろうか?
人間祈る様になったら終わりと言うがまさしく私である。
文句ばかり言ってるな私は……冷静に考えたら、
はっきり言って今回の事はしっかり予定を立てず遠くの土地まで旅に来た、自分が悪い認める!
もう訳が解らなく成って来た、疲れているんだろう。
その神様が施してくれた小さい幸福の小さい商店でカレーパンと私の好きなコーヒー牛乳を買った彼女にもパンと飲み物を薦めてみたら、もうすぐ夕食なので飲み物だけで良いと言う、気は強そうだが育ちが良い子みたいで持参したステレスのマイストロー使って紙パックのトマトジュースをぷっくりした赤い唇で静かに音をたてないように飲んでいた、地球にも優しそうである。
ここでもう少し休憩していかないかと、彼女に提案したら
「そうねここまで来れば街はもう目の前だからいいわよ」
彼女はワガママな愚痴る私をここまで引っ張ってきたのだ結構疲れてるのだろう。
という事で休憩のため商店の前に設置してある青色の横長いベンチに座り、少し話などした、彼女は勤め先が倒産して実家のあるこの町にニ週間程前に戻って来たらしい。
彼女は最近失恋した私の話しを聞いてくれて、彼女が言うには
『人生の道は木の枝のようにいくらでも折れない限り無限に繋がっているという、また幹にも戻れる』
という例え話しで励ましてもくれた、確かに自分の心は自分で折らない限り折れない物である、ダメならまた元に戻り、やり直せば良いのである形は変わっていても道自体は残っている。
なるほどと思った。
彼女はオートバイや日本史・中国の歴史に詳しくまた女性には珍しくプラモデルもよく作るみたいだ、
その他にも、キャンプ、釣り、麻雀、料理、登山の話しもした、詳細はここに書くとかなり長い話になってしまうので控えるが中々の冒険家の博識である、遊びの軍師だと思った。
男から見た良い女とは男っぽい女の事かも知れない。
私がパンを食べ終わると彼女はいきなり
「柿食べる? 心の疲れに効くよ柿は」と言って薦めてきた、断る理由もないのでデザート代わりに頂く事にした、彼女は肩から下げてる可愛いポーチからなんと!
柿と折りたたみの小刀を取り出しベンチの真向かいに設置してある水道で軽く小刀と柿を洗い、器用に柿をクルクルと剥いて、手の平に乗っけた剥き柿を丸ごと私の口の前にキョトンとした顔で差し出した。
「ほら! 男ならガブっとイっちゃえ」と言った彼女の目は妖艶に一瞬光ったように感じた、その時ビリッと空間がズレる感じがし目の前にお姫様の手を取り跪き謁見する貴公子の映像が見えたような気がした……何か精神が曖昧になり、私も疲れて思考が鈍っていたのか柿を手に取らず、そのまま命令に従う下僕の様に剥けて水分が滴る柿にかぶりついた、彼女の指先も唇に当たってしまった。
「え! くすぐったーい」と笑った、私も自分の変な行動に気づいて、
『あれ?』自分は何をやってるんだと思い柿を手に取ろうとしたら、彼女は
「いいよ私の手をお皿がわりにして、だけど犬みたいだよ」と予想外の事を言った。
なにやら彼女の術にハマってる感じがした、私は獣に成り下がって柿を平らげたら彼女は手を差し出したまま
「美味しかった? 汁も舐める?」

「いやそこまではなんか一線越えた禁断の行為の気がするので」と断ったら彼女はキョトンとした顔で
「え、まだ一線超えて無いと思ってるの? もう君も私もお互いに一線超えちゃったと思うよ、我慢できないで、いきなり私の手を犬コロみたいに舐め回しちゃってーもう獣だね。私も初めてこんな事されて気持ち良くなっちゃったよ、私を半分は強引に開拓したんだから責任とってよね」
私は焦って
「え、え、えー お、俺は凄い事したのー?」と自業自得だが情けないオロオロした声を発してしまった。
「うん、普通こんな事頼まれてもやる人いないよー 君やっちゃったねー 凄い恥ずかしい事だよー これからどう生きてくの?私に秘密を握られちゃって」と彼女は私を観てクスと笑た……
私は呆然と黄昏てしまった。
「ふふふ冗談よ可愛い」と残った人差し指に垂れる付いた柿汁を一口、私を見つめながら舐めた
「濃くて甘いわね」と口元をニヤリとさせた。
その後、彼女はハンカチで私の口周りを拭いてくれた。
ハンカチからはミントの香りがした。
何がボーとして更に私は咀嚼した時に少し柿汁が彼女の服に跳ねてしまった!
彼女の胸と太腿の当たりに視線が行ってしまい、付着した柿汁が白いワンピースに染みて黒い下着が透けて見えてる事に気づいた、思わず凝視して見つめてしまった、イケナイと思い顔上げたら彼女はいつの間にか立ち上がっていた私の顔を心の中を見透かしたような征服するような眼差しで上から眺めていた、色っぽい口調で
「オバカ・スケベ、まだ凝りて無いみたいね、本当にお仕置きだわ」と言って軽く私の頬を叩いてそのまま手を頬に留めて頬を撫でたゾックとした。
彼女の唇は赤黒くなり口元が上がり半開きで犬歯が見え、目は目尻と目頭が尖り、目の全体の淵は黒く染まり眼球は充血していた総じて凄い凶悪な色気を帯びていた視線だけで湯が湧きどんな獣も地に服従させ、口からは火が吹きそうな熱い吐息が溢れていた、私の顔は焼けそうである。
彼女は、
「跪けそのまま口を開けろ」と私を地の底に沈める様な重量か地球の3倍位あるドス黒い声で私に命令した……私は地面に膝を付き口を開けた……時が数秒経ったと思う、いきなり彼女は舌を出しニヤッとした、プレー中の顔から少女の顔に戻って、目も唇も声質もさっき迄とは別人である。
と同時に私を囲む狂気の異空間が閉じ、ひぐらしが聞こえる夏の夕方に戻った。全身から変な汗が噴き出たようだ。

「どうだった? 私が考えた遊び面白かったでしょ? 一回やってみたかったんだー 付き合わせてごめんね、君が柿を変な食べ方したから私も変なゾーンに入っちゃたんだよ、もう口は閉じた方が良いと思うよ、遊び終わりだから続き無いから、君はマゾの素質が有ると思うから深入りすると本当に元に戻れなくなるよ……」

彼女は少し私を見つめ私の顔の表情を読み取る様に見た後、目線を伏せがちにし
「だけど君次第では、この先、何かあるかも知れないかな……テンテン天道虫なんてね」
と言って彼女は私に背を向け蛇口を捻った……
私は最後の方は聞こえないフリをした。
口の中にまだ柿の甘い味が残っていた……

分冊②【小刀の章】に続く。
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