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第一章 火蓋の迷宮
第十四話 猿はゴミ箱に
しおりを挟む一体どれほどの時間がたったのだろうか。
そう時間が経っていないと信じたい。
俺は気絶する前にこの十階層のボスのゴーランスを全身全霊で倒したのだが、それで魔力切れになった所を下の階層にいるであろう猿共に戦利品を持っていかれたのである。
もはや猿を皆殺しにしないと気がすまない。
よりにもよって強い物が大い階層のボスドロップを全部持っていくなんて。
「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」
口から呪詛を垂れ流しながらレベルは上がったのか確認する。
名前 賀斗生牙
種族 鬼人
23Lv
筋:118耐:131魔:91敏:89
技
《バースト》《正拳突き》
スキル
《捕食2》《鑑定2》《武術2》
《拳術1》《鈍舌1》《鉄の胃袋1》
種族スキル
《鬼の血》
なんだか結構なステータスの上がりかたをしているな。
あとそれにいつの間にか俺人間じゃなくなってるし。
なんだよ鬼人って。
鬼なのか人なのかはっきりしろよ。
そしてそれに伴って新たなスキルが登場している。
種族スキル《鬼の血》?
いや、純粋な日本人何ですが鬼の血って何処から来たんだろうか。
まあ考えてもわからないからいいか。
取り敢えず《鬼の血》を鑑定しようか。
《鬼の血》
多数との戦闘や強者との戦闘の際に、血の温度が上がり、ステータスが上昇して気分が高揚する。
ほう。
一体どれ程の上がるのかはわからないけれどかなり強そうなスキルだな。
しかしまだ三桁に突入したばかり、火竜は筋力が五百を越えていたので、まだまだだろう。
さて、準備も終わったことだし、「猿狩り」を始めようか。
戦利品を全部回収して猿を皆殺しにするのが次の階層での目標だ。
猿といっても多少の知能はあるだろうし、下の階層のモンスターなんだ、きっと強いと思うが何としても取り返さなくては。
そう決意して十一階層への扉に手をかけた。
扉が開かれるとそこは、今までの遺跡のような迷宮ではなく、鬱蒼とした森が広がっていた。
明らかに天井が高すぎる事に驚きつつも魔法か、と納得する。
この森は静寂とは真反対の所にあって、常に何処かから猿や他の動物の声が聞こえてきていた。
というか殆どの声が猿。
マジでうざい。コロス。
一瞬頭のなかが真っ黒になったが、それを振り払い、猿の声が一番大きく聞こえる方向に向かっていく。
すると木の上で三匹程の猿が止まっていた。
取り敢えずどれくらいの強さなのかと鑑定する。
名前 ウッキー
類人種
筋:67耐:71魔:52敏:88
よし勝てる。
大きさも地球の猿よりはでかいが、それほど大きな差はない。
というかウッキーって名前適当過ぎないか?
ゴブリンは醜悪すぎて思わなかったが、猿のようにかなり人間に近い生物を殺すことに若干の抵抗があるが、それは今までの戦いと猿への怒りで殆ど打ち消されていた。
そっと猿の止まっている木の後ろがわに移動して足に力を込めて跳躍する。
猿は俺が地面を蹴った音に反応して後ろを見るが、もう遅い。
ラリアットで三匹纏めて地面に叩き落として、さらに上から『バースト』で止めを刺す。
ふぅ。
少しスッキリしたな。
ウッキーのステータスはそこまで低くは無いのだが、レベルアップであがった筋力と魔力、それと怒りの一撃の前には無力なようだ。
ウッキー共が溶けたあとには皮が落ちていた。
名前 鳶猿の皮
説明 伸縮性と耐久性に長けている。
おお、なんかまともな物が手に入ったんだが、荷物をいれる袋がないんだよな。
一度上までいって探した方がいいのだろうか。
いや、でもあれ結局オークの金玉袋だしな。
なんだゴミかいらんな。
しかしそうは言っても荷物を入れるものがないのも確かだ。
ひょっとしたら猿といっても知能はあるだろうし、モンスターで普通の猿よりも知能が高いかも知れないからウッキーの寝床を襲ったら何かあるかもな。
猿も倒せて一石二鳥だ。
少し探すとまたウッキーを見つけたのでそいつの後ろを付けてウッキーの寝床を探る。
幸いウッキーはこちらに気づいていないらしくするすると木の間を跳んで移動していく。
地面は木の根やなんやらで走りにくくて油断すると見失ってしまいそうだ。
というか、ステータスなら俺の方が高いのだから、ウッキーと同じように木の上を跳んで移動していけばいいんじゃないか?
よし、そうと決まればさっさと登って追い付こう。
そう思い木に登ってウッキーのように木の上を跳んで移動していく。
悪くないなこの移動方法、普通に楽しいしそして速い。
ウッキーとは身体の構造が違うから無理かと思っていたが、案外余裕そうだ。
そうやって考えていると、案の定足が滑り地面に落ちる。
お早いフラグ回収だった。
うん。地面を走ろうか、慣れないことはするもんじゃないな。
あれだけ騒がしくしたのにウッキーはこちらに気付くこともなく寝床に着く。
大丈夫なのかこれ、野生として。
上手く行きすぎて罠かとも思ったが、そこまで脳がなさそうなのでその考えを捨てる。
というか、寝床がでけぇ。
ウッキー達の寝床は大きいなんて話ではなく、周りの木と比べて何倍も大きな木を寝床にしているようだ。
実を言うと木の上を跳んでいた時にちらっと見えていたのだが、めんどくさそうで目をそらしていた。
それに、ぱっと見て下の階層への階段が見当たらない事から多分この木の何処かにあるんだろうなとも薄々思っていたが、全階層これなのなら、必然的にウッキー共を一掃しないと行けなくなるが、まあそれはどうせ予定の内だから別にいいだろう。
よし、準備はできた。
後は大きく息を吸って、
「猿狩りじゃああああああああ!!!!」
さあ!狩り尽くすぞ!
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