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005章 ドリタニア世界
5章004ー ビナスブートキャンプ
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翌朝……
新ドリタニア城の郊外にある小高い丘の上に魔王その1からその3までが集合していた。
無論、ビナスが集合させたわけだ。
で、魔王達なんだけど……ビナスが指定したらしい白いランニングシャツに短パンという、子供達が学校で体育の授業でも受けるのか?みたいな格好をしている。
そんな3魔王の前にビナスが立っているんだけど、ビナスはいつものようにニコニコ微笑んではいるものの……その右手にはでっかいハリセン、左手にはトゲのついた鞭を持っている。
あのハリセンってば、オリハルコン製だな……で、鞭のトゲにはドラゴンの牙が使われてるし……
そんな物騒な代物を両手に抱えているビナスは、3魔王を一瞥すると、
「では、皆様の能力向上特訓を開始いたしますわ。あの小娘勇者にこれ以上馬鹿にされないよう、しっかり鍛えるのですよぉ」
そう、高らかに宣言していった。
で、それを受けた3魔王はというと、昨日魔王その1がビナスの小指デコピンであっさり敗北したのを知っているもんだからか、皆おとなしく従っていた。
そんな3魔王の周り……丘の周囲には3魔王の配下らしい魔族や魔獣達が集合していて、
「魔王様しっかり~!」
「頑張ってください~」
みたいな歓声をあげまくっている。
で、俺はそんな魔族達をビナスの後方から眺めているんだけど……
やべぇ……こいつら超弱ぇ……
思わず眉をしかめた。
何しろそこに集合している魔獣達って、図体のでかいのはまだしも、人種と同じサイズの奴らなんて人種の平均的な騎士にもあっさり負けるだろ、っていうくらい弱い能力しか持っていないやつしかいない。
これは魔王が脆弱だってことの現れでもあるわけだ。
この魔族や魔獣達を作り出しているのはビナスの前でストレッチを行っている3魔王ってことになる。
で、作り出された魔獣達はその創造主より強くなることはありえない。
つまり、こいつらがここまで弱いのは、それだけ魔王が脆弱だってことの現れでもあるわけだ。
……こんなに弱い魔王に対して、なんであんな強大な勇者を誕生させたんだ、この世界の女神は?
俺はそんなことを考えながらため息をついていった。
そんな俺の前で、ビナスによる3魔王強化特訓が始まった。
◇◇
……で、開始からまだ10分もたってないんだけど……3魔王は地面に倒れ込んでいる。
苦しそうなうめき声を上げながら、ピクリとも動かない。
「じゃあまずは軽い組み手から……ミラッパさんお相手をよろしくお願いしますわ」
「ぱぁ!」
というわけで、まずはミラッパによる組み手からスタートした魔王強化特訓なんだけど、
「ミラッパぱ~~~~~~~~~~~~~んち!」
「ひでぶぅ」
「ダブルミラッパぱ~~~~~~~~~~~~~んち!!」
「あべしぃ」
「大車輪ミラッパぱ~~~~~~~~~~~~~んち!!」
「たわばぁ」
……とまぁ、3魔王全員ミラッパのパンチ一発でぶっとんだわけです。
1度は気合いで立ち上がった3魔王ですが、
「ミラッパあぱかっと!」
「ひでぶぅ」
あぁ、もう後はわかるよね。
3魔王とも再びミラッパのパンチ一発で吹っ飛ばされて、そして今にいたるわけだ。
まぁ、確かにミラッパが強すぎるのも理由のひとつではある。
ミラッパは、魔王としてはまだまだ未成熟だけど、その格闘センスとスピード、そしてパワーに限って言えばすごい物を持っている。
その3点だけで勝負した場合、俺でも五分の勝負が出来たら良い方だろう。
あ、誤解がないように言っておくが、さっきのはあくまでも俺が素手でミラッパの相手をした場合の話であって、俺が宝剣や魔法を使えば話は別だ。
俺は宝剣を使うことを得手にしている勇者だからね、能力をフルに使えば魔王未満のミラッパ相手に後れを取ることはない。
……しかし、だ。
今ミラッパの前でぶっ倒れているのは全員魔王だ。
少なくともミラッパより劣っているのが当たり前なんだが……ほんっとあいつら弱いんだな。
で、ビナスはその結果をある程度予期していたらしく、
「さ、次にいきますわよ」
そう言うと、鞭で地面をビシッと叩いていった。
……その後は、地獄が展開されていった。
城10個分の重量がある魔石を抱えてのマラソン
1000倍の重力磁場の中でのスクワット
背に山を1つ乗せた上での腕立て伏せ
とまぁ、すごいメニューがどんどん続いていったわけだ。
そのあまりにも壮絶な特訓メニューの数々を前にして応援団も徐々に声を失っていった。
……ただ、応援団が声を失ったのにはもうひとつ理由がある。
3魔王と一緒に
「腹ごなしっぱ」
といって特訓に飛び入り参加していたミラッパが、3魔王の誰一人としてまともにこなせていないこれらのメニューを全て軽々とこなしていたからに他ならない。
「……おいおい、あの女の子、何者なんだ?」
「確か、魔王の娘とか言ってなかった?」
「あ、あれで魔王じゃないのか、おい……」
と、まぁ、そんな感じでほとんどメニューをこなせていない3魔王の横で、
「あはは、た~のし~っぱぁ」
と、笑顔を絶やさないミラッパの姿に、恐怖すら感じている……そんな感じかな、うん。
俺はビナスによる特訓をそんなギャラリーに混じって観戦していたんだけど、そんな俺の脳内に不意に思念波通信が入ってきた。
『……ちょっとあなた、今お時間いいかしら?』
「……その声、勇者ライアナか?」
『えぇ、そうよ……で、どうかな? 今少し会えたりする?」
と、そんな感じで勇者ライアナに呼び出された俺はギャラリーを離れると、飛行魔法を駆使して一路ドリタニア城へと向かっていった。
魔法壁が展開されているけど、俺の魔法ならこれくらいどうということはない。
魔法壁を部分解除して中へ入り、俺は勇者ライアナが住んでいるというドリタニア城へとたどり着いた。
指定された玉座の間へ移動していくと、そこには勇者ライアナがいた。
玉座に座っていた勇者ライアナは、俺が到着したことに気がつくと慌てて立ち上がり、
「き、急に呼び出してごめんなさいね」
そう言いながら俺の側へ小走りで近寄って来た。
で、今日の勇者ライアナなんだけど、昨日とは様子が違っていた。
軽装とは言え戦闘しやすい服装をしていた昨日とは違い、今日の勇者ライアナは薄手の白いワンピースを着て白い羽帽子を被っている。
気のせいか、うっすらと化粧をしているように見えなくもない。
「私服なのか? 昨日とは随分様子が違うけど……」
「う、うるさいわね……いいでしょ別に私が何を着たって」
「あぁ、まぁそうだけど……うん、似合ってるぞ」
「う、うぇ!?」
俺が一言服を褒めると、なんか勇者ライアナのヤツってば、顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
昨日の俺様な態度しか見てなかったもんだから、なんか勇者ライアナのこんな反応って意外だな。
「で、要件はなんなんだ? 急に呼び出したりして」
俺がそう言うと、勇者ライアナはハッとしながら顔をあげ、一度大きな咳払いをしていった。
「そ、その……い、一応謝罪をしておこうと思ったのよ」
「謝罪?」
「ほ……ほら……き、昨日……その、あ、あなたの……は、裸見ちゃったじゃない……その……ご、ごめんなさい……」
へぇ……なんか律儀なとこもあるんだな、勇者ライアナって。
この件に関しては、勇者ライアナの俺様な性格からしたら「昨日はよくも変な物を見せたわね」とか言い出すんじゃないかと思ってたんだけど……
「あぁ、そんなことか。別にいいよ、見られて恥ずかしい体はしてないつもりだし」
そんなわけで、俺は冗談交じりでそう返答していった……んだけど……そんな俺の前で、勇者ライアナはなんかさらに真っ赤になっていた。
「……えぇ……その、大変お美しゅうございました」
真っ赤になったままそんな言葉を口にする勇者ライアナ。
俺はそんな勇者ライアナの様子を前にして思わず目が点になっていった。
ーつづく
新ドリタニア城の郊外にある小高い丘の上に魔王その1からその3までが集合していた。
無論、ビナスが集合させたわけだ。
で、魔王達なんだけど……ビナスが指定したらしい白いランニングシャツに短パンという、子供達が学校で体育の授業でも受けるのか?みたいな格好をしている。
そんな3魔王の前にビナスが立っているんだけど、ビナスはいつものようにニコニコ微笑んではいるものの……その右手にはでっかいハリセン、左手にはトゲのついた鞭を持っている。
あのハリセンってば、オリハルコン製だな……で、鞭のトゲにはドラゴンの牙が使われてるし……
そんな物騒な代物を両手に抱えているビナスは、3魔王を一瞥すると、
「では、皆様の能力向上特訓を開始いたしますわ。あの小娘勇者にこれ以上馬鹿にされないよう、しっかり鍛えるのですよぉ」
そう、高らかに宣言していった。
で、それを受けた3魔王はというと、昨日魔王その1がビナスの小指デコピンであっさり敗北したのを知っているもんだからか、皆おとなしく従っていた。
そんな3魔王の周り……丘の周囲には3魔王の配下らしい魔族や魔獣達が集合していて、
「魔王様しっかり~!」
「頑張ってください~」
みたいな歓声をあげまくっている。
で、俺はそんな魔族達をビナスの後方から眺めているんだけど……
やべぇ……こいつら超弱ぇ……
思わず眉をしかめた。
何しろそこに集合している魔獣達って、図体のでかいのはまだしも、人種と同じサイズの奴らなんて人種の平均的な騎士にもあっさり負けるだろ、っていうくらい弱い能力しか持っていないやつしかいない。
これは魔王が脆弱だってことの現れでもあるわけだ。
この魔族や魔獣達を作り出しているのはビナスの前でストレッチを行っている3魔王ってことになる。
で、作り出された魔獣達はその創造主より強くなることはありえない。
つまり、こいつらがここまで弱いのは、それだけ魔王が脆弱だってことの現れでもあるわけだ。
……こんなに弱い魔王に対して、なんであんな強大な勇者を誕生させたんだ、この世界の女神は?
俺はそんなことを考えながらため息をついていった。
そんな俺の前で、ビナスによる3魔王強化特訓が始まった。
◇◇
……で、開始からまだ10分もたってないんだけど……3魔王は地面に倒れ込んでいる。
苦しそうなうめき声を上げながら、ピクリとも動かない。
「じゃあまずは軽い組み手から……ミラッパさんお相手をよろしくお願いしますわ」
「ぱぁ!」
というわけで、まずはミラッパによる組み手からスタートした魔王強化特訓なんだけど、
「ミラッパぱ~~~~~~~~~~~~~んち!」
「ひでぶぅ」
「ダブルミラッパぱ~~~~~~~~~~~~~んち!!」
「あべしぃ」
「大車輪ミラッパぱ~~~~~~~~~~~~~んち!!」
「たわばぁ」
……とまぁ、3魔王全員ミラッパのパンチ一発でぶっとんだわけです。
1度は気合いで立ち上がった3魔王ですが、
「ミラッパあぱかっと!」
「ひでぶぅ」
あぁ、もう後はわかるよね。
3魔王とも再びミラッパのパンチ一発で吹っ飛ばされて、そして今にいたるわけだ。
まぁ、確かにミラッパが強すぎるのも理由のひとつではある。
ミラッパは、魔王としてはまだまだ未成熟だけど、その格闘センスとスピード、そしてパワーに限って言えばすごい物を持っている。
その3点だけで勝負した場合、俺でも五分の勝負が出来たら良い方だろう。
あ、誤解がないように言っておくが、さっきのはあくまでも俺が素手でミラッパの相手をした場合の話であって、俺が宝剣や魔法を使えば話は別だ。
俺は宝剣を使うことを得手にしている勇者だからね、能力をフルに使えば魔王未満のミラッパ相手に後れを取ることはない。
……しかし、だ。
今ミラッパの前でぶっ倒れているのは全員魔王だ。
少なくともミラッパより劣っているのが当たり前なんだが……ほんっとあいつら弱いんだな。
で、ビナスはその結果をある程度予期していたらしく、
「さ、次にいきますわよ」
そう言うと、鞭で地面をビシッと叩いていった。
……その後は、地獄が展開されていった。
城10個分の重量がある魔石を抱えてのマラソン
1000倍の重力磁場の中でのスクワット
背に山を1つ乗せた上での腕立て伏せ
とまぁ、すごいメニューがどんどん続いていったわけだ。
そのあまりにも壮絶な特訓メニューの数々を前にして応援団も徐々に声を失っていった。
……ただ、応援団が声を失ったのにはもうひとつ理由がある。
3魔王と一緒に
「腹ごなしっぱ」
といって特訓に飛び入り参加していたミラッパが、3魔王の誰一人としてまともにこなせていないこれらのメニューを全て軽々とこなしていたからに他ならない。
「……おいおい、あの女の子、何者なんだ?」
「確か、魔王の娘とか言ってなかった?」
「あ、あれで魔王じゃないのか、おい……」
と、まぁ、そんな感じでほとんどメニューをこなせていない3魔王の横で、
「あはは、た~のし~っぱぁ」
と、笑顔を絶やさないミラッパの姿に、恐怖すら感じている……そんな感じかな、うん。
俺はビナスによる特訓をそんなギャラリーに混じって観戦していたんだけど、そんな俺の脳内に不意に思念波通信が入ってきた。
『……ちょっとあなた、今お時間いいかしら?』
「……その声、勇者ライアナか?」
『えぇ、そうよ……で、どうかな? 今少し会えたりする?」
と、そんな感じで勇者ライアナに呼び出された俺はギャラリーを離れると、飛行魔法を駆使して一路ドリタニア城へと向かっていった。
魔法壁が展開されているけど、俺の魔法ならこれくらいどうということはない。
魔法壁を部分解除して中へ入り、俺は勇者ライアナが住んでいるというドリタニア城へとたどり着いた。
指定された玉座の間へ移動していくと、そこには勇者ライアナがいた。
玉座に座っていた勇者ライアナは、俺が到着したことに気がつくと慌てて立ち上がり、
「き、急に呼び出してごめんなさいね」
そう言いながら俺の側へ小走りで近寄って来た。
で、今日の勇者ライアナなんだけど、昨日とは様子が違っていた。
軽装とは言え戦闘しやすい服装をしていた昨日とは違い、今日の勇者ライアナは薄手の白いワンピースを着て白い羽帽子を被っている。
気のせいか、うっすらと化粧をしているように見えなくもない。
「私服なのか? 昨日とは随分様子が違うけど……」
「う、うるさいわね……いいでしょ別に私が何を着たって」
「あぁ、まぁそうだけど……うん、似合ってるぞ」
「う、うぇ!?」
俺が一言服を褒めると、なんか勇者ライアナのヤツってば、顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
昨日の俺様な態度しか見てなかったもんだから、なんか勇者ライアナのこんな反応って意外だな。
「で、要件はなんなんだ? 急に呼び出したりして」
俺がそう言うと、勇者ライアナはハッとしながら顔をあげ、一度大きな咳払いをしていった。
「そ、その……い、一応謝罪をしておこうと思ったのよ」
「謝罪?」
「ほ……ほら……き、昨日……その、あ、あなたの……は、裸見ちゃったじゃない……その……ご、ごめんなさい……」
へぇ……なんか律儀なとこもあるんだな、勇者ライアナって。
この件に関しては、勇者ライアナの俺様な性格からしたら「昨日はよくも変な物を見せたわね」とか言い出すんじゃないかと思ってたんだけど……
「あぁ、そんなことか。別にいいよ、見られて恥ずかしい体はしてないつもりだし」
そんなわけで、俺は冗談交じりでそう返答していった……んだけど……そんな俺の前で、勇者ライアナはなんかさらに真っ赤になっていた。
「……えぇ……その、大変お美しゅうございました」
真っ赤になったままそんな言葉を口にする勇者ライアナ。
俺はそんな勇者ライアナの様子を前にして思わず目が点になっていった。
ーつづく
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