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EX02 パルマ世界での通常の日々
EX02ー003 とある休日 その3
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今日の俺は近くの森へ狩りに出かけていた。
この街の冒険者組合に顔を出して見たところ、害獣の被害が発生しているらしく、その駆除の依頼が出ていたからだ。
目撃情報からして熊系統の害獣らしい。
「腕がなるっぱねぇ」
と、俺よりもミラッパの方がやる気満々で、腕をブンブン振り回している。
今日の狩りには
俺とミラッパ、ロステータとプリアの計4人が出かけている。
ロミネスカスは例によって魔法書を扱っている本屋に入り浸っているんだが……前回の討伐から戻って以降、ほぼ毎日通っているなぁ、と、思わず苦笑してしまう。
とはいえ、朝食後に出かけて夕食前にきっちり帰ってくる。
さすがロミネスカスというべきか、ホント、きっちりしている。
さて、森に入っていきながら索敵魔法を展開。
……ふむ、反応が7つか……群れが侵入しているらしく、害獣らしい反応はある程度固まって存在している。
とはいえ
勇者である俺とロステータ、元魔王の娘であり魔王並みのパワーを持っているミラッパの3人がいるわけだし、まぁ、後れをとることはないだろう。
「敵はこの先に固まってる。プリアは後方に下がって自衛を。あとの2人はプリアに敵が向かっていかないように俺の左右に展開してくれ」
「わかりました」
「了解です」
「ぱぁ!」
3人はそれぞれ俺に返事を返すと、俺の指示通りに展開していく。
俺達の中で狙われたらやばいのはプリアだけど、
まぁ彼女は彼女で、それなりに攻撃力もあるし、結界魔法も得意といているからある程度ほっておいても大丈夫だろう。
ただ、ロステータにしろミラッパにしろ、攻撃に集中し始めると他のことに意識が向かなくなる傾向が強い……まぁ、そんだけ戦闘に余裕がないってことなんだけど……だから、プリアの存在を忘れてしまう可能性が高いため、そこは俺が気をつけておかねばならないと思っている。
少し進むと、索敵結果どおりに敵の姿が見え始めた。
ロミネスカスが例の本屋で買ってきていた書物に『パルマの害獣百科事典』というのがあった。
んで、俺はこれを読んで覚えた……っていえば格好いいんだけど、実際は魔法で内容を覚え、それを俺の脳内にある魔獣類データベースってととこに追加しておいたんだ。
この魔獣類データベースは、俺が戦った相手や、書物で得た魔獣類のデータを自動で保存し記録してくれる魔法で以前から非常に重宝している。ドロップアイテムの有無や、食用の可否・毒などの特殊攻撃の有無も事前に教えてもらえるんでね。
で、その魔獣類データベースで検索をかけてみたところ……ヒット1
『斬壊熊……危険度S 手の爪を刀のように使用し一瞬で切り刻む上、その腕力もその腕を振ることで発生する竜巻を組み合わせた複合攻撃は厄介である』
ふむ……なかなかな相手のようだな。
まぁ、俺としてはありがたい限りだが。
俺はロミネスカスとミラッパを交互にみながら
「敵は爪を刀のようにして切り刻みにくる。竜巻を複合して攻めてくることもあるから注意しろ」
そう声をかけつつ、腰の魔法袋から剣を取り出していく。
疾風迅雷の宝剣
自らに高速移動を付与し、剣速を神の領域にまで高めた逸品だ。
「よし、いくぞ」
俺の言葉を合図に、皆一斉に飛び出した。
◇◇
戦闘は……まぁ、はっきりいって一方的だった。
時間にして1分弱
俺が瞬時に3頭を切り裂き、
ロステータが2頭を腰の辺りで両断、
そしてミラッパが2頭をぶん殴って地面にめりこませた。
ミラッパのヤツが、ニコニコしながら俺に向かってピースサイをしている。
相変わらずぶん殴り一辺倒のミラッパだが、こいつのこの戦い方、嫌いじゃない。
「お疲れ」
俺がそう言ってミラッパの頭をポンと叩くと、ミラッパは嬉しそうに微笑みながら俺にすり寄ってくる。
あ、いかん。
顔を赤くして……というか、どこかとろ~んとしているミラッパ。
戦いで興奮しすぎて、欲望が暴走してるわ、こりゃ。
魔法で抑制しようにも、この系統の魔法はロミネスカスでないと使えないんだよなぁ
うん、だから仕方ないんだ(棒読み
「悪い、ちょっとミラッパが気分悪いみたいなんで休ませてくる。
獣を回収して適当に休んでてくれるか?」
俺は、ロステータ達にそう告げると、ミラッパを抱きかかえて近くに見つけた洞窟へと移動していく。
その振動だけで、すでにミラッパは嬌声を上げ始めているんだが
「だいたいお前、あの程度の敵相手なら感情を抑制出来ただろう? なんで全開にしてんだよ」
俺はそう言いながら腕の中のミラッパへ声をかける。
そうなんだ
ミラッパは自分の感情をそのまま拳に乗せて敵にぶつけることによって通常以上の腕力を発揮する事が出来る。
だが、この方法で相手をぶん殴ると猛烈な快感を生じることになるらしく、結果今のミラッパのようになってしまうらしい。
ある意味、いちかばちかか、一撃必殺でないと使うべきでないやり方なんだが、ミラッパはしょっちゅうこれをぶっ放してこうなってしまうんだ……
そんな俺を見上げながら、ミラッパ。
「……この拳は、鍛えれば鍛えるだけ強くなるっぱ……だから、ダーリンのために、ミラッパはもっともっと強くなるっぱ……」
そう言い、にっこり笑うと、俺に抱きついてきた。
そして、その口を俺の耳に寄せると
「……それに、今日はロミネスカスいないっぱ」
そう言うと、ねっとりした舌を俺の耳にねじ込んでくる。
どう考えても、後者が本音のようにしか聞こえないんだけど、
ミラッパとしては前者も本音なんだろう。
俺は、ミラッパを無理矢理俺の方に向け、強引に舌をねじ込みながら洞窟の地面の上、俺がマントを敷いた場所へと降ろしていく。
こうして、魔王の娘であり、魔王の力を持っているミラッパと肌を重ねるようになって思うことがある。
魔王って、一体なんなんだろうなって。
今までの俺は、勇者として魔王は倒すべき存在であり、絶対悪の象徴だと思っていた。
それは、俺の世界でもそうだったし、他の世界でもそれは一緒のはず……そう思っていた。
だが
ミラッパはどうだ?
父親である魔王が死んで、本来なら魔王となってもおかしくなかったにも関わらず、その座を捨て、俺の隷属化に止まることを選び、そして俺にこうして抱かれることを喜びとしている。
最初の頃は色々思った。
実はこれが全部演技で、
俺の子種を元に、子を成したら、そいつを強靱な魔王に育て上げ、全世界を我が手に治めようとしてんじゃないのか、とか……
もしそうなら、魔王受胎の儀なる秘術を施してから俺と交わらないと無理だ。
だが、ミラッパはそれをしようとしない。
最初はただ知らないだけかとも思ったんだが、ミラッパは言った。
「ダーリンとの子供は、普通の子供がいいっぱ」
と。
「魔王とか、勇者とか……そんなしがらみに制約されずに、自由に育ててあげたいっぱ」
そう言って、俺に寵愛をせがむミラッパ。
……なんでこいつが魔王の娘だったのか、ホント理解出来ない
でもまぁ
わからないことは、もう考えないことにする。
俺はミラッパを仲間として大事に思っているし、こいつとの間になら子供が出来ても別にいいかと思い始めている。
まぁ、それはロミネスカスに対しても同じなんだが……ロミネスカスの場合、早くしないと高齢出産だしなぁ……なんてことを考えてると
俺の下のミラッパが、いきなり俺の顔をむんずと掴み
「今、他の女のことを考えてたっぱ」
そう言いながら拗ねたような表情をしている。
ホント、女の直感ってのは……
俺は、
「悪かった」
そう言いながら、ミラッパを抱きしめていった。
◇◇
一時間ちょっとで戻って見ると、なんかいきなりロステータとプリアの2人が、ばばっと左右に分かれていった。
「お、お、思ったより、は、は、早かったですね」
と、ロステータ……気のせいか、なんか焦ってないか?
「あ、あ、あの、ミラッパさんは、大丈夫ですか?」
と、プリアなんだが……なんか一生懸命服を直してないか?
ま、いいか
俺は、元気満々になったミラッパを連れて皆で街へと戻っていった。
途中、ロステータとプリアの2人が異常に歩きにくそうにしながら、しきりと服を直そうとしていたんだが……
どうやらこの2人、漏れてきた俺とミラッパのいたしている声にあてられて、服を着たままでいたしている最中だった……ってのに気がついたのは、まおあ、ちょっと経ってからだったわけで……
……なんていうか……すまん、鈍感で
◇◇
その日、退治した害獣を冒険者組合へ提出すると、早期退治特典とかで、報酬を2割アップしてもらえた。
俺達は喜び勇んで馴染みの店へと買い物にいくと、いつものシャルンエッセンスさんが、笑顔で
「あら、ウインダさん、いらっしゃいませ」
と、挨拶してくれた。
店長さん、俺の名前も覚えてくれたんだ、と、嬉しく思っていると、
「ダーリン?」
と言いながらミラッパが俺の後方で怖い気配を発してきたわけで……
ってか、ミラッパさん
俺もさ、首を絞められるとマジやばいから、ちょっと勘弁してくれないかなぁ……
と、まぁ、スアビールとタクラ酒を購入制限の1人5本、4人で合計20本ずつ購入して帰宅。
ついでに弁当とかも買って帰ったら、
「お帰りなさい」
と、ロミネスカスがきっちり帰宅し、リビングで本を読んでいた。
一緒に狩りに行ったのもあるし、ロステータとプリアも一緒に俺達の部屋で夕食を食べることにした。
「今日みたいな依頼がちょくちょくあると嬉しいんだがなぁ」
そう言う俺。
まぁ、街のみんな的には冗談じゃないって話になるだろうけど、俺達的には結構な臨時収入になってので、ありがたいわけだ。
そんな話をしながら、皆で楽しくスアビールを飲んでいると、不意にロミネスカスが俺の耳元に口を寄せ
「ねぇ、ウインダ……今日の昼間にね、私に対して失礼なことを考えなかった?」
「は?」
「高齢出産がどうとか……」
俺はその言葉に、思わず酔いも冷めて固まった。
……これだから、女の直感ってのは……
ーつづく
この街の冒険者組合に顔を出して見たところ、害獣の被害が発生しているらしく、その駆除の依頼が出ていたからだ。
目撃情報からして熊系統の害獣らしい。
「腕がなるっぱねぇ」
と、俺よりもミラッパの方がやる気満々で、腕をブンブン振り回している。
今日の狩りには
俺とミラッパ、ロステータとプリアの計4人が出かけている。
ロミネスカスは例によって魔法書を扱っている本屋に入り浸っているんだが……前回の討伐から戻って以降、ほぼ毎日通っているなぁ、と、思わず苦笑してしまう。
とはいえ、朝食後に出かけて夕食前にきっちり帰ってくる。
さすがロミネスカスというべきか、ホント、きっちりしている。
さて、森に入っていきながら索敵魔法を展開。
……ふむ、反応が7つか……群れが侵入しているらしく、害獣らしい反応はある程度固まって存在している。
とはいえ
勇者である俺とロステータ、元魔王の娘であり魔王並みのパワーを持っているミラッパの3人がいるわけだし、まぁ、後れをとることはないだろう。
「敵はこの先に固まってる。プリアは後方に下がって自衛を。あとの2人はプリアに敵が向かっていかないように俺の左右に展開してくれ」
「わかりました」
「了解です」
「ぱぁ!」
3人はそれぞれ俺に返事を返すと、俺の指示通りに展開していく。
俺達の中で狙われたらやばいのはプリアだけど、
まぁ彼女は彼女で、それなりに攻撃力もあるし、結界魔法も得意といているからある程度ほっておいても大丈夫だろう。
ただ、ロステータにしろミラッパにしろ、攻撃に集中し始めると他のことに意識が向かなくなる傾向が強い……まぁ、そんだけ戦闘に余裕がないってことなんだけど……だから、プリアの存在を忘れてしまう可能性が高いため、そこは俺が気をつけておかねばならないと思っている。
少し進むと、索敵結果どおりに敵の姿が見え始めた。
ロミネスカスが例の本屋で買ってきていた書物に『パルマの害獣百科事典』というのがあった。
んで、俺はこれを読んで覚えた……っていえば格好いいんだけど、実際は魔法で内容を覚え、それを俺の脳内にある魔獣類データベースってととこに追加しておいたんだ。
この魔獣類データベースは、俺が戦った相手や、書物で得た魔獣類のデータを自動で保存し記録してくれる魔法で以前から非常に重宝している。ドロップアイテムの有無や、食用の可否・毒などの特殊攻撃の有無も事前に教えてもらえるんでね。
で、その魔獣類データベースで検索をかけてみたところ……ヒット1
『斬壊熊……危険度S 手の爪を刀のように使用し一瞬で切り刻む上、その腕力もその腕を振ることで発生する竜巻を組み合わせた複合攻撃は厄介である』
ふむ……なかなかな相手のようだな。
まぁ、俺としてはありがたい限りだが。
俺はロミネスカスとミラッパを交互にみながら
「敵は爪を刀のようにして切り刻みにくる。竜巻を複合して攻めてくることもあるから注意しろ」
そう声をかけつつ、腰の魔法袋から剣を取り出していく。
疾風迅雷の宝剣
自らに高速移動を付与し、剣速を神の領域にまで高めた逸品だ。
「よし、いくぞ」
俺の言葉を合図に、皆一斉に飛び出した。
◇◇
戦闘は……まぁ、はっきりいって一方的だった。
時間にして1分弱
俺が瞬時に3頭を切り裂き、
ロステータが2頭を腰の辺りで両断、
そしてミラッパが2頭をぶん殴って地面にめりこませた。
ミラッパのヤツが、ニコニコしながら俺に向かってピースサイをしている。
相変わらずぶん殴り一辺倒のミラッパだが、こいつのこの戦い方、嫌いじゃない。
「お疲れ」
俺がそう言ってミラッパの頭をポンと叩くと、ミラッパは嬉しそうに微笑みながら俺にすり寄ってくる。
あ、いかん。
顔を赤くして……というか、どこかとろ~んとしているミラッパ。
戦いで興奮しすぎて、欲望が暴走してるわ、こりゃ。
魔法で抑制しようにも、この系統の魔法はロミネスカスでないと使えないんだよなぁ
うん、だから仕方ないんだ(棒読み
「悪い、ちょっとミラッパが気分悪いみたいなんで休ませてくる。
獣を回収して適当に休んでてくれるか?」
俺は、ロステータ達にそう告げると、ミラッパを抱きかかえて近くに見つけた洞窟へと移動していく。
その振動だけで、すでにミラッパは嬌声を上げ始めているんだが
「だいたいお前、あの程度の敵相手なら感情を抑制出来ただろう? なんで全開にしてんだよ」
俺はそう言いながら腕の中のミラッパへ声をかける。
そうなんだ
ミラッパは自分の感情をそのまま拳に乗せて敵にぶつけることによって通常以上の腕力を発揮する事が出来る。
だが、この方法で相手をぶん殴ると猛烈な快感を生じることになるらしく、結果今のミラッパのようになってしまうらしい。
ある意味、いちかばちかか、一撃必殺でないと使うべきでないやり方なんだが、ミラッパはしょっちゅうこれをぶっ放してこうなってしまうんだ……
そんな俺を見上げながら、ミラッパ。
「……この拳は、鍛えれば鍛えるだけ強くなるっぱ……だから、ダーリンのために、ミラッパはもっともっと強くなるっぱ……」
そう言い、にっこり笑うと、俺に抱きついてきた。
そして、その口を俺の耳に寄せると
「……それに、今日はロミネスカスいないっぱ」
そう言うと、ねっとりした舌を俺の耳にねじ込んでくる。
どう考えても、後者が本音のようにしか聞こえないんだけど、
ミラッパとしては前者も本音なんだろう。
俺は、ミラッパを無理矢理俺の方に向け、強引に舌をねじ込みながら洞窟の地面の上、俺がマントを敷いた場所へと降ろしていく。
こうして、魔王の娘であり、魔王の力を持っているミラッパと肌を重ねるようになって思うことがある。
魔王って、一体なんなんだろうなって。
今までの俺は、勇者として魔王は倒すべき存在であり、絶対悪の象徴だと思っていた。
それは、俺の世界でもそうだったし、他の世界でもそれは一緒のはず……そう思っていた。
だが
ミラッパはどうだ?
父親である魔王が死んで、本来なら魔王となってもおかしくなかったにも関わらず、その座を捨て、俺の隷属化に止まることを選び、そして俺にこうして抱かれることを喜びとしている。
最初の頃は色々思った。
実はこれが全部演技で、
俺の子種を元に、子を成したら、そいつを強靱な魔王に育て上げ、全世界を我が手に治めようとしてんじゃないのか、とか……
もしそうなら、魔王受胎の儀なる秘術を施してから俺と交わらないと無理だ。
だが、ミラッパはそれをしようとしない。
最初はただ知らないだけかとも思ったんだが、ミラッパは言った。
「ダーリンとの子供は、普通の子供がいいっぱ」
と。
「魔王とか、勇者とか……そんなしがらみに制約されずに、自由に育ててあげたいっぱ」
そう言って、俺に寵愛をせがむミラッパ。
……なんでこいつが魔王の娘だったのか、ホント理解出来ない
でもまぁ
わからないことは、もう考えないことにする。
俺はミラッパを仲間として大事に思っているし、こいつとの間になら子供が出来ても別にいいかと思い始めている。
まぁ、それはロミネスカスに対しても同じなんだが……ロミネスカスの場合、早くしないと高齢出産だしなぁ……なんてことを考えてると
俺の下のミラッパが、いきなり俺の顔をむんずと掴み
「今、他の女のことを考えてたっぱ」
そう言いながら拗ねたような表情をしている。
ホント、女の直感ってのは……
俺は、
「悪かった」
そう言いながら、ミラッパを抱きしめていった。
◇◇
一時間ちょっとで戻って見ると、なんかいきなりロステータとプリアの2人が、ばばっと左右に分かれていった。
「お、お、思ったより、は、は、早かったですね」
と、ロステータ……気のせいか、なんか焦ってないか?
「あ、あ、あの、ミラッパさんは、大丈夫ですか?」
と、プリアなんだが……なんか一生懸命服を直してないか?
ま、いいか
俺は、元気満々になったミラッパを連れて皆で街へと戻っていった。
途中、ロステータとプリアの2人が異常に歩きにくそうにしながら、しきりと服を直そうとしていたんだが……
どうやらこの2人、漏れてきた俺とミラッパのいたしている声にあてられて、服を着たままでいたしている最中だった……ってのに気がついたのは、まおあ、ちょっと経ってからだったわけで……
……なんていうか……すまん、鈍感で
◇◇
その日、退治した害獣を冒険者組合へ提出すると、早期退治特典とかで、報酬を2割アップしてもらえた。
俺達は喜び勇んで馴染みの店へと買い物にいくと、いつものシャルンエッセンスさんが、笑顔で
「あら、ウインダさん、いらっしゃいませ」
と、挨拶してくれた。
店長さん、俺の名前も覚えてくれたんだ、と、嬉しく思っていると、
「ダーリン?」
と言いながらミラッパが俺の後方で怖い気配を発してきたわけで……
ってか、ミラッパさん
俺もさ、首を絞められるとマジやばいから、ちょっと勘弁してくれないかなぁ……
と、まぁ、スアビールとタクラ酒を購入制限の1人5本、4人で合計20本ずつ購入して帰宅。
ついでに弁当とかも買って帰ったら、
「お帰りなさい」
と、ロミネスカスがきっちり帰宅し、リビングで本を読んでいた。
一緒に狩りに行ったのもあるし、ロステータとプリアも一緒に俺達の部屋で夕食を食べることにした。
「今日みたいな依頼がちょくちょくあると嬉しいんだがなぁ」
そう言う俺。
まぁ、街のみんな的には冗談じゃないって話になるだろうけど、俺達的には結構な臨時収入になってので、ありがたいわけだ。
そんな話をしながら、皆で楽しくスアビールを飲んでいると、不意にロミネスカスが俺の耳元に口を寄せ
「ねぇ、ウインダ……今日の昼間にね、私に対して失礼なことを考えなかった?」
「は?」
「高齢出産がどうとか……」
俺はその言葉に、思わず酔いも冷めて固まった。
……これだから、女の直感ってのは……
ーつづく
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