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さわこさんと、開店前の一時
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「うわぁ……こっちの世界の外はこんなに寒くなっていたのですねぇ」
久々に居酒屋さわこさんのお手伝いに来てくださったラニィさんが、外に出るなりびっくりなさっていました。
最近のラニィさんは、さわこの森にございますワノンさんの酒造工房で泊まり込みで働いておられたそうです。
この世界とは違う、異世界にあたりますさわこの森。
あちらの世界には四季はございません。
ですので、今の時期でも春先のような陽気な気候なんだそうです。
窓拭きのためにお店の外に出てくださったラニィさんは、白い息を吐き出しながら作業を続けてくださっています。
「ラニィさん、適当なところで切り上げてくださいね。今日は特に冷えますから」
「了解しましたわ。でも、もう少し……」
ラニィさんは、バケツのお湯で雑巾を絞りながら、そうお返事してくださいました。
その後、およそ20分。
ようやくラニィさんが居酒屋さわこさんの中へと戻ってこられました。
「ラニィさん。寒い中ありがとうございました」
私はそう言うと、出来たての甘酒をよそった湯飲みをお渡しいたしました。
湯飲みそのものもお湯で温めておきましたので、それを手に取るだけで暖がとれるはずです。
「はぁ……あったかい。ありがとうございますね」
「いえいえ、これくらいのことしか出来なくて申し訳ありません」
そんな会話を交わしながら、私とラニィさんはしばらく雑談を交わしていきました。
その間も、私は仕込みの手を休めてはおりません。
以前から、お客様とお話をさせていただきながら料理をすることに慣れておりますので、こういった作業も特に問題なく行う事が出来るようになっている次第です。
とはいえ……こんな芸当が最初から出来ていたわけではございません。
私が元いた世界で、居酒屋酒話で働き始めたばかりの頃……それはもうひどいものでした。
厨房で包丁を振るっている際にお客様から話しかけられると、すぐにテンパってしまい、
お話に集中してしまうと、手が止まり
料理に集中すると、すっとんきょうな返答を返してしまう。
一方、私と一緒に厨房に立っている父はといいますと……
「大将、今日も寒いねぇ」
「いや、まったくですね……あ、今日はいい魚が入ってますよ。そういえば、今日の野球は……」
常連客の皆様の趣味・趣向をほぼ完璧に記憶していて、その方のお好きな料理をお勧めし、その方が興味をもっているであろう話題をすぐに提供していた次第です。それでいて、料理の手を止めることもないのです。
その頃……そんな父の姿を見て、
『ホントにすごいなぁ……私もこんな風になりたいなぁ』
そんな風に、よく思っていたものです。
そんなこんなで、今の私はどうにか私もお話をしながら調理を続けることは出来るようになった次第です。
常連客の皆様の趣味・趣向を完璧に把握とまではいきませんが、振られた話題にお答えするくらいなら無難にこなせるようになってきた気がしております。
「さわこさわこ」
そんな私に、エンジェさんが話しかけてきました。
居酒屋酒話の頃、父がクリスマスに合わせて買ってきた小型のクリスマスツリー。
そのツリーに宿った付喪神のような存在のエンジェさんです。
天使のオーナメント姿のエンジェさんは、私の名前を呼びながら私の肩に乗ってきました。
「エンジェさん、どうかしたのですか?」
「うん、あのねさわこ。少しお父さんに似てきたね」
エンジェさんはそう言ってにっこり微笑んでくださいました。
なんでしょう……
居酒屋酒話のクリスマスの時期を、毎年見守ってくださっていたエンジェさん。
そのエンジェさんにそう言っていただけて、私は無性に嬉しくなりました。
「ありがとうございますエンジェさん」
私は、肩の上のエンジェさんに笑顔で頭をさげました。
エンジェさんも、笑顔で頭を下げ返してくださっています。
「エンジェさんというのですね……物体魂(オブジェクトスピリッツ)ははじめて拝見いたしましたわ」
ラニィさんは、私の肩にのっかっているエンジェさんを見つめながらびっくりなさっておいでです。
すると、エンジェさんは急に無口になってしまいました。
まるで本物の天使のオーナメントのように、微動だにしないまま、私の肩の上にのっかっているのです。
……ここしばらくのエンジェさんの行動を見ていて気がついたのですが……エンジェさんってすごく人見知りな感じなんですよ。
長年ご一緒させていただいています私や、この家で暮らしていて比較的一緒にいる時間が長いバテアさん・リンシンさん・エミリア・ベルの前では比較的普通に行動していらっしゃるのですが、ラニィさんのように久しぶりにお店にこられた方の前だと、今のようにピクリともしなくなってしまうのです。
「エンジェさん、この方は時折お店の手伝いに来てくださっている方ですよ。朝ご飯も毎日食べにこられていますし……」
私がそう話しかけても、エンジェさんはピクリともいたしません。
……これはもう、エンジェさんがラニィさんに慣れるまで待つしかなさそうですね。
私がそんな事を考えておりますと、
「うにゃあ……」
大きなあくびをしながらベルがお店に降りてきました。
牙猫姿のままゆっくり店内を移動していくと、カウンターの端にございます座布団の上で丸くなっていきました。
この座布団ですが、だるまストーブに近すぎず遠すぎず、割と絶妙な位置にございます。
なので、常にベルにとって適温を保っている次第なんです。
一見、猫なベルですが、その正体は古代怪獣族の中の牙猫種という魔獣に近い存在です。
私の世界で例えますと、は虫類に近い存在でして自分で体温調整が出来ないそうなんです。
ですから、常に暖かくしておかないと冬眠してしまいかねないそうなんですよ。
事実、
『去年の今頃はいっぱい食べて、洞窟の中でず~っと寝ていたニャ』
ベルもそう言っていましたしね。
冬眠しないためか、ベルはいつも暖かい場所を求めて一日中さまよっている感じです。
そんなベルが座布団の上で丸くなりますと、エンジェさんが私の肩からふわりと舞い上がりまして、ベルの横にちょこんと座っていきました。
最近のエンジェさんは、その位置……ベルの横が定位置になっている気がいたします。
エンジェさんも、暖かいのがいいみたいですね。
「ベルさんは暖かい場所を見つける達人なのかもしれませんね」
私のお話を聞かれたラニィさんは、そう言って笑われました。
「そうですね、寝るときは私に抱きつくようにして寝ていますし」
そんなラニィさんに、私も笑顔でお答えいたしました。
「さわこ、そろそろこっちをクローズするわよ」
居酒屋さわこさんとつながっている、バテアさんの魔法道具のお店からエミリアの声が聞こえてきました。
「あら、もうそんな時間なんですね」
私はそう言うと、仕込みの手を一度止めて2階へ上がっていきました。
バテアさんの魔法道具のお店が閉店すると、入れ替わるようにして私の居酒屋さわこさんの営業が始まりますので、その準備をしないといけません。
いつもの薄い黄色の着物に袖を通した私は、姿見の前で着こなし具合をチェックしていきます。
私の後方では、ラニィさんとリンシンさんが着替えをはじめておいでです。
お2人とも着物をご自分で着付けることが出来ませんので、私がお手伝いさせていただかないといけません。
そうこうしていると、バテアさんと、魔法道具のお店を片付け終わったエミリアも2階にあがってまいりました。
こうなりますと、2階のリビングはしばらくの間着物の品評会の様相を呈していきます。
居酒屋酒話の時代から着物でお店に立っていた私は、それなりの数の着物を所有しております。
……そんなに高い物はないんですけどね。
「そうね、今日はこれを来てみようかしら」
バテアさんは着物チェストタンスの中を確認しながら、その中の1つを手にとられました。
……バテアさんの場合、いつも素っ裸になられてから着物を探し始められますので、周囲の私達も少々ドギマギしてしまうことこの上ありません。
「じゃ、さわこ、着付けお願いね」
「はい、わかりました」
リンシンさんの着付けを終えた私は、バテアさんの元へと移動していきました。
すでに着付けを終えているラニィさんとエミリアは居酒屋さわこさんへ移動しています。
エミリアは、すでに自分で着物を着れるまでになっているんです。
私が帯をしめておりますと、
「さ、今日もがんばりましょうか」
バテアさんはそう言うと、帯をポンと叩かれました。
「はい、よろしくお願いします」
私は、笑顔でお返事いたしました。
さ、間もなく居酒屋さわこさんの本日の営業がはじまります。
ーつづく
久々に居酒屋さわこさんのお手伝いに来てくださったラニィさんが、外に出るなりびっくりなさっていました。
最近のラニィさんは、さわこの森にございますワノンさんの酒造工房で泊まり込みで働いておられたそうです。
この世界とは違う、異世界にあたりますさわこの森。
あちらの世界には四季はございません。
ですので、今の時期でも春先のような陽気な気候なんだそうです。
窓拭きのためにお店の外に出てくださったラニィさんは、白い息を吐き出しながら作業を続けてくださっています。
「ラニィさん、適当なところで切り上げてくださいね。今日は特に冷えますから」
「了解しましたわ。でも、もう少し……」
ラニィさんは、バケツのお湯で雑巾を絞りながら、そうお返事してくださいました。
その後、およそ20分。
ようやくラニィさんが居酒屋さわこさんの中へと戻ってこられました。
「ラニィさん。寒い中ありがとうございました」
私はそう言うと、出来たての甘酒をよそった湯飲みをお渡しいたしました。
湯飲みそのものもお湯で温めておきましたので、それを手に取るだけで暖がとれるはずです。
「はぁ……あったかい。ありがとうございますね」
「いえいえ、これくらいのことしか出来なくて申し訳ありません」
そんな会話を交わしながら、私とラニィさんはしばらく雑談を交わしていきました。
その間も、私は仕込みの手を休めてはおりません。
以前から、お客様とお話をさせていただきながら料理をすることに慣れておりますので、こういった作業も特に問題なく行う事が出来るようになっている次第です。
とはいえ……こんな芸当が最初から出来ていたわけではございません。
私が元いた世界で、居酒屋酒話で働き始めたばかりの頃……それはもうひどいものでした。
厨房で包丁を振るっている際にお客様から話しかけられると、すぐにテンパってしまい、
お話に集中してしまうと、手が止まり
料理に集中すると、すっとんきょうな返答を返してしまう。
一方、私と一緒に厨房に立っている父はといいますと……
「大将、今日も寒いねぇ」
「いや、まったくですね……あ、今日はいい魚が入ってますよ。そういえば、今日の野球は……」
常連客の皆様の趣味・趣向をほぼ完璧に記憶していて、その方のお好きな料理をお勧めし、その方が興味をもっているであろう話題をすぐに提供していた次第です。それでいて、料理の手を止めることもないのです。
その頃……そんな父の姿を見て、
『ホントにすごいなぁ……私もこんな風になりたいなぁ』
そんな風に、よく思っていたものです。
そんなこんなで、今の私はどうにか私もお話をしながら調理を続けることは出来るようになった次第です。
常連客の皆様の趣味・趣向を完璧に把握とまではいきませんが、振られた話題にお答えするくらいなら無難にこなせるようになってきた気がしております。
「さわこさわこ」
そんな私に、エンジェさんが話しかけてきました。
居酒屋酒話の頃、父がクリスマスに合わせて買ってきた小型のクリスマスツリー。
そのツリーに宿った付喪神のような存在のエンジェさんです。
天使のオーナメント姿のエンジェさんは、私の名前を呼びながら私の肩に乗ってきました。
「エンジェさん、どうかしたのですか?」
「うん、あのねさわこ。少しお父さんに似てきたね」
エンジェさんはそう言ってにっこり微笑んでくださいました。
なんでしょう……
居酒屋酒話のクリスマスの時期を、毎年見守ってくださっていたエンジェさん。
そのエンジェさんにそう言っていただけて、私は無性に嬉しくなりました。
「ありがとうございますエンジェさん」
私は、肩の上のエンジェさんに笑顔で頭をさげました。
エンジェさんも、笑顔で頭を下げ返してくださっています。
「エンジェさんというのですね……物体魂(オブジェクトスピリッツ)ははじめて拝見いたしましたわ」
ラニィさんは、私の肩にのっかっているエンジェさんを見つめながらびっくりなさっておいでです。
すると、エンジェさんは急に無口になってしまいました。
まるで本物の天使のオーナメントのように、微動だにしないまま、私の肩の上にのっかっているのです。
……ここしばらくのエンジェさんの行動を見ていて気がついたのですが……エンジェさんってすごく人見知りな感じなんですよ。
長年ご一緒させていただいています私や、この家で暮らしていて比較的一緒にいる時間が長いバテアさん・リンシンさん・エミリア・ベルの前では比較的普通に行動していらっしゃるのですが、ラニィさんのように久しぶりにお店にこられた方の前だと、今のようにピクリともしなくなってしまうのです。
「エンジェさん、この方は時折お店の手伝いに来てくださっている方ですよ。朝ご飯も毎日食べにこられていますし……」
私がそう話しかけても、エンジェさんはピクリともいたしません。
……これはもう、エンジェさんがラニィさんに慣れるまで待つしかなさそうですね。
私がそんな事を考えておりますと、
「うにゃあ……」
大きなあくびをしながらベルがお店に降りてきました。
牙猫姿のままゆっくり店内を移動していくと、カウンターの端にございます座布団の上で丸くなっていきました。
この座布団ですが、だるまストーブに近すぎず遠すぎず、割と絶妙な位置にございます。
なので、常にベルにとって適温を保っている次第なんです。
一見、猫なベルですが、その正体は古代怪獣族の中の牙猫種という魔獣に近い存在です。
私の世界で例えますと、は虫類に近い存在でして自分で体温調整が出来ないそうなんです。
ですから、常に暖かくしておかないと冬眠してしまいかねないそうなんですよ。
事実、
『去年の今頃はいっぱい食べて、洞窟の中でず~っと寝ていたニャ』
ベルもそう言っていましたしね。
冬眠しないためか、ベルはいつも暖かい場所を求めて一日中さまよっている感じです。
そんなベルが座布団の上で丸くなりますと、エンジェさんが私の肩からふわりと舞い上がりまして、ベルの横にちょこんと座っていきました。
最近のエンジェさんは、その位置……ベルの横が定位置になっている気がいたします。
エンジェさんも、暖かいのがいいみたいですね。
「ベルさんは暖かい場所を見つける達人なのかもしれませんね」
私のお話を聞かれたラニィさんは、そう言って笑われました。
「そうですね、寝るときは私に抱きつくようにして寝ていますし」
そんなラニィさんに、私も笑顔でお答えいたしました。
「さわこ、そろそろこっちをクローズするわよ」
居酒屋さわこさんとつながっている、バテアさんの魔法道具のお店からエミリアの声が聞こえてきました。
「あら、もうそんな時間なんですね」
私はそう言うと、仕込みの手を一度止めて2階へ上がっていきました。
バテアさんの魔法道具のお店が閉店すると、入れ替わるようにして私の居酒屋さわこさんの営業が始まりますので、その準備をしないといけません。
いつもの薄い黄色の着物に袖を通した私は、姿見の前で着こなし具合をチェックしていきます。
私の後方では、ラニィさんとリンシンさんが着替えをはじめておいでです。
お2人とも着物をご自分で着付けることが出来ませんので、私がお手伝いさせていただかないといけません。
そうこうしていると、バテアさんと、魔法道具のお店を片付け終わったエミリアも2階にあがってまいりました。
こうなりますと、2階のリビングはしばらくの間着物の品評会の様相を呈していきます。
居酒屋酒話の時代から着物でお店に立っていた私は、それなりの数の着物を所有しております。
……そんなに高い物はないんですけどね。
「そうね、今日はこれを来てみようかしら」
バテアさんは着物チェストタンスの中を確認しながら、その中の1つを手にとられました。
……バテアさんの場合、いつも素っ裸になられてから着物を探し始められますので、周囲の私達も少々ドギマギしてしまうことこの上ありません。
「じゃ、さわこ、着付けお願いね」
「はい、わかりました」
リンシンさんの着付けを終えた私は、バテアさんの元へと移動していきました。
すでに着付けを終えているラニィさんとエミリアは居酒屋さわこさんへ移動しています。
エミリアは、すでに自分で着物を着れるまでになっているんです。
私が帯をしめておりますと、
「さ、今日もがんばりましょうか」
バテアさんはそう言うと、帯をポンと叩かれました。
「はい、よろしくお願いします」
私は、笑顔でお返事いたしました。
さ、間もなく居酒屋さわこさんの本日の営業がはじまります。
ーつづく
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