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さわこさんと、日本世界での飲み会 その2
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「「「乾杯!」」」
みんなの声とともに、室内にジョッキやグラスが合わさる音が響きました。
そして、みんなそれを口に運んでいきます。
私は、日本酒山田錦のグラスを一気に飲み干しました。
バテアさん・リンシンさん・ラニィさん、そしてみはるの4人は生ビールを、ベルとエミリアは果汁100パーセントのオレンジジュースを、それぞれ口に運んでいます。
「へぇ、このビールっていうのも悪くないじゃない」
ジョッキを一気に空になさったバテアさんがそう言いながらジョッキへ視線を向けておられます。
「みはる、とりあえずこれのお代わりをもらえるかしら?」
「……私は、さわこと同じ日本酒」
「私も日本酒でお願いいたしますわ」
ビール追加のバテアさんに対しまして、リンシンさんとラニィさんは2杯目から日本酒に変更なさいました。
「あら? そっちの2人はビールが口にあわなかったかしら?」
そう言うみはるにリンシンさんは、
「……ん~……悪くはない。でも、日本酒の方が好き」
ニコニコ笑いながらそう言われました。
「はい、私も同じでございますわ」
その横で、ラニィさんもそう言いながら頷いておいでです。
「了解。せっかくだから何種類か頼んでおくわね」
そう言うと、みはるは受話器に向かって飲み物を追加していました。
◇◇
このお店は創作居酒屋でございます。
私といたしましては、どのような料理が出てくるのか非常に楽しみにしておりました。
私自身も常に創意工夫を心がけてはおりますが、こうして他のお店の料理にも接する事で刺激を受けることも大事だと、父も生前よく言っておりましたもの。
お通しとして出て来たのは、
キュウリのキムチ和え
山芋の短冊切り辛子味噌かけ
カリカリレンコン
以上の3種の盛り合わせでございます。
カリカリレンコンには、さりげなくすりおろした山椒が振られておりまして、3品とも口の中にピリッとした刺激を与えてくれます。
キュウリのキムチ和えはストレートに
味噌和えはマイルドに
そしてカリカリレンコンは忘れた頃に
口の中に、様々な角度から刺激が加わってまいります。
……なるほど、こういった趣向もなかなか良いものですね
私は、それぞれを口にしては大きく頷いておりました。
そこに、追加の日本酒が到着いたしました。
みはるがチョイスしてくれていたのは峰乃白梅でございました。
非常に深みのあるコクとキレが、この上なく美味しい吟醸酒を思わせる逸品でございます。
新潟三梅はどれも大好きなのですが、特にこの峰乃白梅は大好物な私でございます。
「みはるってば、いいチョイスね」
それを一口、口に含んだ私は、ほぅ……と、吐息を漏らしながら笑顔を浮かべておりました。
そんな私に、みはるは、
「伊達にあんたの友人を十何年もやってないわよ」
そう言って笑っています。
そういうみはるの手にも、新しい生ビールのジョッキがにぎられています。
リンシンさんは、届いたばかりの日本酒のグラスを嬉しそうに笑いながら眺めておいでです。
「……うふふ、綺麗」
リンシンさんがそう仰られていますグラスの中身は、山吹色が鮮やかな日本酒でございます。
……見たところ、賀茂泉の純米吟醸山吹色の酒あたりでしょうか?
長期熟成によって日本酒本来の色合いである山吹色をしているお酒でございます。
そのお酒を、リンシンさんはいつものようにまず、ゆっくり目で楽しんでおいでです。
このあと、そのグラスをくゆらせながらその匂いを満喫し、そして、ちびちびと舐めるようにして味わっていくのがいつものリンシンさんの日本酒の楽しみ方でございます。
そのような飲み方がお好きなリンシンさんですので、喉越しを楽しむ生ビールはあまり好まれないのだと思います。
ラニィさんはといいますと、
「まぁ……まるで果物のようですわ」
グラスを半分ほど飲み干した後、そう仰られておいでです。
そのお酒は、先ほどみはるが注文していたのが聞こえたのですが、川中島幻舞の大吟醸Premiumのはずです。
この日本酒は、まるでメロンを思わせるような芳醇さが口の中いっぱいに広がっていくまろやかなお酒です。
日頃からそういった果実系の味わいのお酒を好まれるラニィさんにぴったりのチョイスと言えました。
ソフトドリンクのエミリアとベルも、それを美味しそうに飲んでいます。
「にゃ、こういう飲み物大好きにゃ」
「ですね。お酒も嫌いではありませんが、果物ベースの飲み物が私にはベターだと思います」
ベルとエミリアはそんな事を口にしながら料理を口に運んでいます。
新たに運ばれて来たのは串揚げですね。
全員の前に、円状に盛り付けられた串揚げのお皿が配布されていきました。
ソースとケチャップ、そしてマヨネーズの3種類が添えられています。
「さわこ、これはどれにつけて食べたらいいの?」
「そうですね、これは好みによりますので、とりあえず一通り試して見ることをお勧めいたします」
私がそうお答えいたしますと、バテアさんは、
「なるほどね、じゃ、そうしてみましょうか」
そう言いながら、手に取った串を左のソースから順番につけては、それを口に運んでおられました。
上品に揚げられているこの串揚げですが、どれもなかなかなお味でございます。
私が口にいたしましたのは、ししとうと椎茸の2種類の串揚でございました。
私はあえて何もつけずに、そのまま口にしたのですが、素材の旨みが衣と相まって非常によい味になっておりました。
こういった上品な食べ方も嫌いではないのですが……
そうですね、大阪の屋台街にございます串揚げも嫌いではありません。
ソースにじゃぶっとつけて、それを口に運んでいく。
油で疲れた口休めとして、ざく切りにしたキャベツを口に運んでは、また串揚げを……
あの、味わいもなかなか捨てがたいものがございます。
以前親友のなちこに連れられて出向いたお千代保稲荷で食べた土手焼きもなかなか捨てがたく……
ふふ……串揚げを口に運びながら、いろんな料理を口にした思い出が蘇ってまいります。
そんな思い出に浸りながら頂く料理も、また良いものですね。
私は、自分のお皿の串焼きを次々に口にしていきました。
「うにゃ……ベルはこの衣は苦手にゃ」
そんな私の横で、ベルが顔をしかめていました。
そうでした。
牙猫のベルは、あまり油の衣類を好まないのでした。
「ごめんねベル、忘れていました」
私は、ベルの串揚げのお皿を手に取ると、串揚げの衣を外していきました。
「はい、これでどうかしら」
「にゃ!」
すべての衣が取り払われた串揚げを、ベルはようやく嬉しそうに口にしていきました。
◇◇
その後、運ばれてきたのは、
ローストビーフのサラダ和え
鳥の唐揚げざく切り野菜添え
たっぷりお野菜のタジン鍋
どの料理にも、この季節のお野菜がしっかり使用されています。
こうしてたくさんお野菜を取ることが出来る料理というのも、健康的でなかなかいいものですね。
お肉類がお好きなバテアさんも、
「うん、どれも美味しいわ」
そう言いながら、お野菜も残すことなくお召し上がりになられています。
その大柄なお体に似合わず、量はあまりお食べになられないリンシンさんは、5杯目の日本酒を口になさっておいでです。
リンシンさんにしては、ややペースが速い感じですね。
ラニィさんも、楽しげにグラスのお酒を口に運ばれては
「始めて体験する料理は多いのですが、どれも美味しいですわ」
そう言いながら笑顔を浮かべておいでです。
私達のおります部屋は、そんな感じで終始笑顔が充満しておりました。
ーつづく
みんなの声とともに、室内にジョッキやグラスが合わさる音が響きました。
そして、みんなそれを口に運んでいきます。
私は、日本酒山田錦のグラスを一気に飲み干しました。
バテアさん・リンシンさん・ラニィさん、そしてみはるの4人は生ビールを、ベルとエミリアは果汁100パーセントのオレンジジュースを、それぞれ口に運んでいます。
「へぇ、このビールっていうのも悪くないじゃない」
ジョッキを一気に空になさったバテアさんがそう言いながらジョッキへ視線を向けておられます。
「みはる、とりあえずこれのお代わりをもらえるかしら?」
「……私は、さわこと同じ日本酒」
「私も日本酒でお願いいたしますわ」
ビール追加のバテアさんに対しまして、リンシンさんとラニィさんは2杯目から日本酒に変更なさいました。
「あら? そっちの2人はビールが口にあわなかったかしら?」
そう言うみはるにリンシンさんは、
「……ん~……悪くはない。でも、日本酒の方が好き」
ニコニコ笑いながらそう言われました。
「はい、私も同じでございますわ」
その横で、ラニィさんもそう言いながら頷いておいでです。
「了解。せっかくだから何種類か頼んでおくわね」
そう言うと、みはるは受話器に向かって飲み物を追加していました。
◇◇
このお店は創作居酒屋でございます。
私といたしましては、どのような料理が出てくるのか非常に楽しみにしておりました。
私自身も常に創意工夫を心がけてはおりますが、こうして他のお店の料理にも接する事で刺激を受けることも大事だと、父も生前よく言っておりましたもの。
お通しとして出て来たのは、
キュウリのキムチ和え
山芋の短冊切り辛子味噌かけ
カリカリレンコン
以上の3種の盛り合わせでございます。
カリカリレンコンには、さりげなくすりおろした山椒が振られておりまして、3品とも口の中にピリッとした刺激を与えてくれます。
キュウリのキムチ和えはストレートに
味噌和えはマイルドに
そしてカリカリレンコンは忘れた頃に
口の中に、様々な角度から刺激が加わってまいります。
……なるほど、こういった趣向もなかなか良いものですね
私は、それぞれを口にしては大きく頷いておりました。
そこに、追加の日本酒が到着いたしました。
みはるがチョイスしてくれていたのは峰乃白梅でございました。
非常に深みのあるコクとキレが、この上なく美味しい吟醸酒を思わせる逸品でございます。
新潟三梅はどれも大好きなのですが、特にこの峰乃白梅は大好物な私でございます。
「みはるってば、いいチョイスね」
それを一口、口に含んだ私は、ほぅ……と、吐息を漏らしながら笑顔を浮かべておりました。
そんな私に、みはるは、
「伊達にあんたの友人を十何年もやってないわよ」
そう言って笑っています。
そういうみはるの手にも、新しい生ビールのジョッキがにぎられています。
リンシンさんは、届いたばかりの日本酒のグラスを嬉しそうに笑いながら眺めておいでです。
「……うふふ、綺麗」
リンシンさんがそう仰られていますグラスの中身は、山吹色が鮮やかな日本酒でございます。
……見たところ、賀茂泉の純米吟醸山吹色の酒あたりでしょうか?
長期熟成によって日本酒本来の色合いである山吹色をしているお酒でございます。
そのお酒を、リンシンさんはいつものようにまず、ゆっくり目で楽しんでおいでです。
このあと、そのグラスをくゆらせながらその匂いを満喫し、そして、ちびちびと舐めるようにして味わっていくのがいつものリンシンさんの日本酒の楽しみ方でございます。
そのような飲み方がお好きなリンシンさんですので、喉越しを楽しむ生ビールはあまり好まれないのだと思います。
ラニィさんはといいますと、
「まぁ……まるで果物のようですわ」
グラスを半分ほど飲み干した後、そう仰られておいでです。
そのお酒は、先ほどみはるが注文していたのが聞こえたのですが、川中島幻舞の大吟醸Premiumのはずです。
この日本酒は、まるでメロンを思わせるような芳醇さが口の中いっぱいに広がっていくまろやかなお酒です。
日頃からそういった果実系の味わいのお酒を好まれるラニィさんにぴったりのチョイスと言えました。
ソフトドリンクのエミリアとベルも、それを美味しそうに飲んでいます。
「にゃ、こういう飲み物大好きにゃ」
「ですね。お酒も嫌いではありませんが、果物ベースの飲み物が私にはベターだと思います」
ベルとエミリアはそんな事を口にしながら料理を口に運んでいます。
新たに運ばれて来たのは串揚げですね。
全員の前に、円状に盛り付けられた串揚げのお皿が配布されていきました。
ソースとケチャップ、そしてマヨネーズの3種類が添えられています。
「さわこ、これはどれにつけて食べたらいいの?」
「そうですね、これは好みによりますので、とりあえず一通り試して見ることをお勧めいたします」
私がそうお答えいたしますと、バテアさんは、
「なるほどね、じゃ、そうしてみましょうか」
そう言いながら、手に取った串を左のソースから順番につけては、それを口に運んでおられました。
上品に揚げられているこの串揚げですが、どれもなかなかなお味でございます。
私が口にいたしましたのは、ししとうと椎茸の2種類の串揚でございました。
私はあえて何もつけずに、そのまま口にしたのですが、素材の旨みが衣と相まって非常によい味になっておりました。
こういった上品な食べ方も嫌いではないのですが……
そうですね、大阪の屋台街にございます串揚げも嫌いではありません。
ソースにじゃぶっとつけて、それを口に運んでいく。
油で疲れた口休めとして、ざく切りにしたキャベツを口に運んでは、また串揚げを……
あの、味わいもなかなか捨てがたいものがございます。
以前親友のなちこに連れられて出向いたお千代保稲荷で食べた土手焼きもなかなか捨てがたく……
ふふ……串揚げを口に運びながら、いろんな料理を口にした思い出が蘇ってまいります。
そんな思い出に浸りながら頂く料理も、また良いものですね。
私は、自分のお皿の串焼きを次々に口にしていきました。
「うにゃ……ベルはこの衣は苦手にゃ」
そんな私の横で、ベルが顔をしかめていました。
そうでした。
牙猫のベルは、あまり油の衣類を好まないのでした。
「ごめんねベル、忘れていました」
私は、ベルの串揚げのお皿を手に取ると、串揚げの衣を外していきました。
「はい、これでどうかしら」
「にゃ!」
すべての衣が取り払われた串揚げを、ベルはようやく嬉しそうに口にしていきました。
◇◇
その後、運ばれてきたのは、
ローストビーフのサラダ和え
鳥の唐揚げざく切り野菜添え
たっぷりお野菜のタジン鍋
どの料理にも、この季節のお野菜がしっかり使用されています。
こうしてたくさんお野菜を取ることが出来る料理というのも、健康的でなかなかいいものですね。
お肉類がお好きなバテアさんも、
「うん、どれも美味しいわ」
そう言いながら、お野菜も残すことなくお召し上がりになられています。
その大柄なお体に似合わず、量はあまりお食べになられないリンシンさんは、5杯目の日本酒を口になさっておいでです。
リンシンさんにしては、ややペースが速い感じですね。
ラニィさんも、楽しげにグラスのお酒を口に運ばれては
「始めて体験する料理は多いのですが、どれも美味しいですわ」
そう言いながら笑顔を浮かべておいでです。
私達のおります部屋は、そんな感じで終始笑顔が充満しておりました。
ーつづく
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