316 / 343
連載
さわこさんと、いつもの朝
しおりを挟む
「……ん」
朝、目を覚ました私。
不思議なもので、こちらの世界にやってきてからというもの、目覚ましなしでも夜明け過ぎには目が覚めるようになっています。
それというのも、さわこの森で働いてくださっている皆さんや、契約していただいている冒険者の皆様の朝ご飯を作るからなんですよね。
準備のほとんどは昨夜、閉店前に済ませておいて魔法袋の中に保存してあるのですが、お味噌汁とご飯だけは出来たてを食べて頂きたいと思っているものですからなんです。
バテアさんは、
「夜のうちに準備しちゃっておけばいいじゃない。出来たてと変わらないんだからさ」
と言われるのですが……これはもう気持ちの問題としか言いようがありません。
ダブルベッドの上では、バテアさんとベル、エンジェさんとロッサさんが寝息を立てています。
みんなを起こしてしまわないように気を付けながら、そっとベッドを降りる私なのですが……足元も気を付けないといけません。
床の上では、リンシンさんとシロ、そしてミリーネアさんがお布団を敷いて寝ておられますので。
特に、ミリーネアさんは、モフモフの髪の毛がすごく広がっているものですから、気を付けて間を通らないと踏んでしまいそうになってしまうんです。
まだ夜が開けたばかりで薄暗い部屋の中ですが……
「……よ……ほ……」
どうにか、今朝も、お布団の間を通り抜けることに成功いたしました。
◇◇
一階に降りた私は、早速ご飯とお味噌汁の準備に取りかかりました。
土鍋ご飯に、豆腐とお揚げのお味噌汁。
おかずは、肉じゃがと焼き魚です。
魔石コンロと炭火コンロに火をつけまして、魔石コンロで肉じゃがを入れているお鍋を温め、炭火コンロでお魚を焼いていきます。
こうして朝から調理をしていると、少し肌寒く感じるようになってきました。
「……もう、秋ですねぇ」
ここ、辺境都市トツノコンベはこの世界の北の方にございます。
そのため、秋の深まりが早いんです。
今年の初めもすごい雪でしたけど、また雪が降り始めるのもそんなに遠くないかもしれません。
「まただるまストーブを出さないといけませんね」
倉庫にしまってあるストーブのことを思い出しながら、私は包丁を振るっていきました。
そうこうしていると、階段を降りてくる足音が聞こえてきました。
「……おはよ、さわこ」
「はい、おはようございますリンシンさん」
はい、今朝も一番に降りてこられたのはリンシンさんでした。
冒険者のリンシンさんは、居酒屋さわこさんと契約してくださっている冒険者さんの1人です。
他の冒険者の方々と一緒に狩りに行くだけでなく、夜のうちに罠をしかけておいて、その様子を朝早くに確認にいかれたりなさっているんです。
すでに準備万端な様子のリンシンさん。
その後方からは、シロがついてきています。
白銀狐のシロも、リンシンさんと一緒に森に行くのが日課になっています。
ただ、まだ子供なものですから少し眠たそうですね、今も目をこすりながらあくびをしています。
でも、前を歩いているリンシンさんの手をしっかりと握っているのを見ていると、なんだかほっこりしてしまいます。
「いつもご苦労様です。はい、これ」
私は、炊き上がったばかりの土鍋ご飯で作った握り飯弁当を2人分、リンシンさんにお渡しいたしました。
「……ん、ありがと、さわこ」
リンシンさんは、それを受け取るとバテアさんの魔法道具のお店の倉庫においてある籠を背負って、外に出ていかれました。
握り飯弁当はあくまでもお腹の足しといいますか、本当の朝ご飯はいつも帰ってきてから食べられるんです。
その時、白銀狐のみんなのご飯もお出しするのがいつもなんです。
今も、リンシンさんが外に出られると、白銀狐の皆さんが大挙して待っておられたのですが、毎朝リンシンさんと一緒に山に出かけていって、山菜などを収穫してきてくださるんです。
そのお礼として、私が白銀狐の皆さんにご飯を振る舞わせて頂いているんですよね。
この生活がもうずいぶん長く続いているものですから、白銀狐の皆さんもすっかり家族みたいに思えている次第です。
◇◇
リンシンさんが出かけられてしばらくして、朝日が昇った頃合いになりますとバテアさんが常設してくださっている転移ドアをくぐって、さわこの森で働いておられる方々が居酒屋さわこさんの店内へとやってこられます。
「さわこ、おはよ~」
「和音おはよう。いいお酒出来てる?」
「うん、もうばっちりよ! 来週には完成するから味見よろしくね~」
「うん、ぜひ!」
私と楽しそうに話をしているのは、和音です。
私の親友でして、私と同じくこちらの世界へやってきた日本人なんです。
お酒造りが大好きな和音だったのですが、日本で勤務していた酒造り工房で働けなくなって途方に暮れていたのですが、こちらの世界で酒造り工房を経営なさっていたワオンさんと意気投合して、さわこの森の中にあるワオンさんの酒造り工房に住み込みで働いているんです。
ですので、毎朝こうして顔を合わせているわけなんですけど……今日、和音が来ているシャツには『酒は百薬の長』と手書きされていまして……それを、ワオンさんも着ておられまして……なんと言いますか、昔から当たり前のように自作のシャツを着ていた和音は今もそれを続けていまして……ワオンさんもそのシャツをいつも嬉しそうに着ておられるのですが……ま、まぁ、嫌々ではなさそうですので、まぁ、いいの……かなぁ?
そんな会話を交わしながら、みなさんにご飯やお味噌汁をよそってお渡ししていきます。
さすがに私一人で数十人の皆様にスムーズにお渡しすることは出来ません。
なので、いつもお店を手伝ってくれているエミリアと、元上級酒場組合の酒場を経営なさっていたラニィさんの2人が配膳を手伝ってくれています。
ラニィさんも時々居酒屋さわこさんの接客を手伝ってくださっているのですが、最近はさわこの森で行われている農場の管理が忙しいこともあって、そちらで多くの時間を過ごされています。
そして、こうしてさわこの森で働いておられる皆様が居酒屋さわこさんの店内でご飯を食べておられると、お店の扉が開きます。
「さわこ、おはよう!」
「クニャスさん、それにみなさんもおはようございます」
居酒屋さわこさんの店内に入ってこられたのは、クニャスさんをはじめとした居酒屋さわこさんと契約してくださっている冒険者の皆様です。
この皆様が、居酒屋さわこさんで提供しているクッカドウゥドルをはじめとした魔獣を狩ってきてくださっているんです。
辺境都市ナカンコンベで購入してきたりもしているのですが、毎日となりますとどうしても不足してしまいますので、こうして冒険者の皆様と契約させていただいて、専属で魔獣を狩ってきて頂いているわけです。
「リンシンはまだ戻ってきてないの?」
「はい。ですが、もう少ししたらお戻りになると思いますので、まずはご飯を食べながらお待ちくださいな」
「そうね、じゃあそうさせてもらうわ」
笑顔でそう言いながら、いつものテーブル席へ移動していくクニャスさん達。
その一角は、冒険者の皆様がお座りになりますので、さわこの森からやってきこられている皆様も開けてくださっているんです。
さて、冒険者の皆様がこられたと言うことは、そろそろバテアさんやベル達も起きてくる頃かと……
「おあよ~わさこ……」
そんな事を思っている私を、わさこと呼ぶバテアさんの声が聞こえてきました。
寝ぼけている時のバテアさんは、私を「さわこ」ではなく「わさこ」と呼ばれるのですが……この状態はやばいんです……
階段の方へ視線を向けると……予想通り、バテアさんは寝間着姿のまま階段を降りてこられています。
……はい、バテアさんの寝間着って、下着が透けて見えるスケスケの……
「バテアさん! 一度二階に戻りましょう!」
大慌てで階段へと駆け寄った私は、大あくびをなさっているバテアさんを階段の上に押し上げていきました。
これも、いつもの朝の光景といいますか……はい、いつもの朝がはじまったなぁ、と、実感出来る時でもあるんですよね。
ーつづく
********************************
9/21 アルファポリス様より書籍版発売になります
それにともない、今回よりアルファポリスサイトのみでの連載になります
これからもよろしくお願いいたします
朝、目を覚ました私。
不思議なもので、こちらの世界にやってきてからというもの、目覚ましなしでも夜明け過ぎには目が覚めるようになっています。
それというのも、さわこの森で働いてくださっている皆さんや、契約していただいている冒険者の皆様の朝ご飯を作るからなんですよね。
準備のほとんどは昨夜、閉店前に済ませておいて魔法袋の中に保存してあるのですが、お味噌汁とご飯だけは出来たてを食べて頂きたいと思っているものですからなんです。
バテアさんは、
「夜のうちに準備しちゃっておけばいいじゃない。出来たてと変わらないんだからさ」
と言われるのですが……これはもう気持ちの問題としか言いようがありません。
ダブルベッドの上では、バテアさんとベル、エンジェさんとロッサさんが寝息を立てています。
みんなを起こしてしまわないように気を付けながら、そっとベッドを降りる私なのですが……足元も気を付けないといけません。
床の上では、リンシンさんとシロ、そしてミリーネアさんがお布団を敷いて寝ておられますので。
特に、ミリーネアさんは、モフモフの髪の毛がすごく広がっているものですから、気を付けて間を通らないと踏んでしまいそうになってしまうんです。
まだ夜が開けたばかりで薄暗い部屋の中ですが……
「……よ……ほ……」
どうにか、今朝も、お布団の間を通り抜けることに成功いたしました。
◇◇
一階に降りた私は、早速ご飯とお味噌汁の準備に取りかかりました。
土鍋ご飯に、豆腐とお揚げのお味噌汁。
おかずは、肉じゃがと焼き魚です。
魔石コンロと炭火コンロに火をつけまして、魔石コンロで肉じゃがを入れているお鍋を温め、炭火コンロでお魚を焼いていきます。
こうして朝から調理をしていると、少し肌寒く感じるようになってきました。
「……もう、秋ですねぇ」
ここ、辺境都市トツノコンベはこの世界の北の方にございます。
そのため、秋の深まりが早いんです。
今年の初めもすごい雪でしたけど、また雪が降り始めるのもそんなに遠くないかもしれません。
「まただるまストーブを出さないといけませんね」
倉庫にしまってあるストーブのことを思い出しながら、私は包丁を振るっていきました。
そうこうしていると、階段を降りてくる足音が聞こえてきました。
「……おはよ、さわこ」
「はい、おはようございますリンシンさん」
はい、今朝も一番に降りてこられたのはリンシンさんでした。
冒険者のリンシンさんは、居酒屋さわこさんと契約してくださっている冒険者さんの1人です。
他の冒険者の方々と一緒に狩りに行くだけでなく、夜のうちに罠をしかけておいて、その様子を朝早くに確認にいかれたりなさっているんです。
すでに準備万端な様子のリンシンさん。
その後方からは、シロがついてきています。
白銀狐のシロも、リンシンさんと一緒に森に行くのが日課になっています。
ただ、まだ子供なものですから少し眠たそうですね、今も目をこすりながらあくびをしています。
でも、前を歩いているリンシンさんの手をしっかりと握っているのを見ていると、なんだかほっこりしてしまいます。
「いつもご苦労様です。はい、これ」
私は、炊き上がったばかりの土鍋ご飯で作った握り飯弁当を2人分、リンシンさんにお渡しいたしました。
「……ん、ありがと、さわこ」
リンシンさんは、それを受け取るとバテアさんの魔法道具のお店の倉庫においてある籠を背負って、外に出ていかれました。
握り飯弁当はあくまでもお腹の足しといいますか、本当の朝ご飯はいつも帰ってきてから食べられるんです。
その時、白銀狐のみんなのご飯もお出しするのがいつもなんです。
今も、リンシンさんが外に出られると、白銀狐の皆さんが大挙して待っておられたのですが、毎朝リンシンさんと一緒に山に出かけていって、山菜などを収穫してきてくださるんです。
そのお礼として、私が白銀狐の皆さんにご飯を振る舞わせて頂いているんですよね。
この生活がもうずいぶん長く続いているものですから、白銀狐の皆さんもすっかり家族みたいに思えている次第です。
◇◇
リンシンさんが出かけられてしばらくして、朝日が昇った頃合いになりますとバテアさんが常設してくださっている転移ドアをくぐって、さわこの森で働いておられる方々が居酒屋さわこさんの店内へとやってこられます。
「さわこ、おはよ~」
「和音おはよう。いいお酒出来てる?」
「うん、もうばっちりよ! 来週には完成するから味見よろしくね~」
「うん、ぜひ!」
私と楽しそうに話をしているのは、和音です。
私の親友でして、私と同じくこちらの世界へやってきた日本人なんです。
お酒造りが大好きな和音だったのですが、日本で勤務していた酒造り工房で働けなくなって途方に暮れていたのですが、こちらの世界で酒造り工房を経営なさっていたワオンさんと意気投合して、さわこの森の中にあるワオンさんの酒造り工房に住み込みで働いているんです。
ですので、毎朝こうして顔を合わせているわけなんですけど……今日、和音が来ているシャツには『酒は百薬の長』と手書きされていまして……それを、ワオンさんも着ておられまして……なんと言いますか、昔から当たり前のように自作のシャツを着ていた和音は今もそれを続けていまして……ワオンさんもそのシャツをいつも嬉しそうに着ておられるのですが……ま、まぁ、嫌々ではなさそうですので、まぁ、いいの……かなぁ?
そんな会話を交わしながら、みなさんにご飯やお味噌汁をよそってお渡ししていきます。
さすがに私一人で数十人の皆様にスムーズにお渡しすることは出来ません。
なので、いつもお店を手伝ってくれているエミリアと、元上級酒場組合の酒場を経営なさっていたラニィさんの2人が配膳を手伝ってくれています。
ラニィさんも時々居酒屋さわこさんの接客を手伝ってくださっているのですが、最近はさわこの森で行われている農場の管理が忙しいこともあって、そちらで多くの時間を過ごされています。
そして、こうしてさわこの森で働いておられる皆様が居酒屋さわこさんの店内でご飯を食べておられると、お店の扉が開きます。
「さわこ、おはよう!」
「クニャスさん、それにみなさんもおはようございます」
居酒屋さわこさんの店内に入ってこられたのは、クニャスさんをはじめとした居酒屋さわこさんと契約してくださっている冒険者の皆様です。
この皆様が、居酒屋さわこさんで提供しているクッカドウゥドルをはじめとした魔獣を狩ってきてくださっているんです。
辺境都市ナカンコンベで購入してきたりもしているのですが、毎日となりますとどうしても不足してしまいますので、こうして冒険者の皆様と契約させていただいて、専属で魔獣を狩ってきて頂いているわけです。
「リンシンはまだ戻ってきてないの?」
「はい。ですが、もう少ししたらお戻りになると思いますので、まずはご飯を食べながらお待ちくださいな」
「そうね、じゃあそうさせてもらうわ」
笑顔でそう言いながら、いつものテーブル席へ移動していくクニャスさん達。
その一角は、冒険者の皆様がお座りになりますので、さわこの森からやってきこられている皆様も開けてくださっているんです。
さて、冒険者の皆様がこられたと言うことは、そろそろバテアさんやベル達も起きてくる頃かと……
「おあよ~わさこ……」
そんな事を思っている私を、わさこと呼ぶバテアさんの声が聞こえてきました。
寝ぼけている時のバテアさんは、私を「さわこ」ではなく「わさこ」と呼ばれるのですが……この状態はやばいんです……
階段の方へ視線を向けると……予想通り、バテアさんは寝間着姿のまま階段を降りてこられています。
……はい、バテアさんの寝間着って、下着が透けて見えるスケスケの……
「バテアさん! 一度二階に戻りましょう!」
大慌てで階段へと駆け寄った私は、大あくびをなさっているバテアさんを階段の上に押し上げていきました。
これも、いつもの朝の光景といいますか……はい、いつもの朝がはじまったなぁ、と、実感出来る時でもあるんですよね。
ーつづく
********************************
9/21 アルファポリス様より書籍版発売になります
それにともない、今回よりアルファポリスサイトのみでの連載になります
これからもよろしくお願いいたします
12
お気に入りに追加
3,681
あなたにおすすめの小説
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
Sランク冒険者の受付嬢
おすし
ファンタジー
王都の中心街にある冒険者ギルド《ラウト・ハーヴ》は、王国最大のギルドで登録冒険者数も依頼数もNo.1と実績のあるギルドだ。
だがそんなギルドには1つの噂があった。それは、『あのギルドにはとてつもなく強い受付嬢』がいる、と。
そんな噂を耳にしてギルドに行けば、受付には1人の綺麗な銀髪をもつ受付嬢がいてー。
「こんにちは、ご用件は何でしょうか?」
その受付嬢は、今日もギルドで静かに仕事をこなしているようです。
これは、最強冒険者でもあるギルドの受付嬢の物語。
※ほのぼので、日常:バトル=2:1くらいにするつもりです。
※前のやつの改訂版です
※一章あたり約10話です。文字数は1話につき1500〜2500くらい。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。