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本筋に大いに関係ある挿話 あの日のフェリシティ
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フェリシアとの婚約が解消となったと聞いて、ウィリアム王子は突然倒れた。
いきなり、私の目の前で意識がブラックアウトする感じでしたわ。
哀れな……もちろん自業自得という気持ちが大幅に占めているけれど、
幼い頃から知っている甥のこういう姿は出来れば見たくなかったわね。
ウィリアム王子が自室に運ばれると、
私は王太子アルバートに申し出ましたの。
「さて、王太子殿下はこの娘をどうなさるおつもり?」
そう言いながら、
私は小娘の後ろ襟を掴んで引き上げました。
「どうなさるも何も、牢に入れて裁判にかけます」
「魅了魔法を用いるような危険人物よ」
「もちろん、魔力封じの手錠をかけますよ。あれをすると手錠が魔力を吸い取り、魔法が使えなくなる」
「……ねぇ、お願いがございますの」
「なんですか?……怖いですね」
「この小娘、私に預からせて貰えないかしら?」
「なんですって?何故そんな事を?」
「可愛い娘とアホでも可愛い甥がお世話になったのですもの。お預かりして、丁重におもてなしがしたいわ」
「………で?本当のところは?」
「可愛くないわね、裁判の手続きを待つ間、裁判中、判決後の刑の執行までの日々、遊ばせておくには勿体ないわよね」
「法に触れるような事は許可出来ません」
「いやね、そんな事するはずありませんわ。私の立場をわかってらっしゃる?王妹であり、侯爵夫人ですのよ。小娘が持ってる力を、正しく世の為に活かすだけですわ」
「……………………。」
「熟考ね」
「……わかりました。いいでしょう」
「ありがとう、それからもう一つ」
「まだあるのですか?」
「いいじゃないの、お国のために働いたのだから、このくらい我儘聞いてもらってもバチは当たりませんわ」
「内容によります」
「……王太子殿下、貴方はそう遠くない将来、この国の王となる覚悟はありますか?」
「!……そう遠くない将来とはどの位ですか?」
「少なくとも2年以内には」
「…………。」
「現国王には退位していただきます。もうこれ以上、政治に無関心な王を頂きに据え続けるわけにはいきません。以前までなら『時期尚早』とかなんとか言って教会が横槍を入れてきたと思うのだけど、もうそれも無くなった。アルバート、あなたにこの国の全てを背負ってゆく覚悟はありますか?我が身が八つ裂きになろうとも、国民のために血の涙を流し続ける覚悟はありますか?」
「無論のこと」
「わかりました。では私はお兄様のお見舞いにでも行きましょう。ふふ、久しぶりに兄妹水入らずで楽しい時間を過ごして参りますわね」
「………お手柔らかに」
「ふふふ」
「本当にですよ?」
「ふふふふふ」
「叔母上?」
こうして私は
お兄様を見舞うために国王の自室へと向かいましたの。
お兄様が即位されて早いもので20年。
音楽や芸術など
文化面にばかり力を注ぎ、
難しい政には無関心であったお兄様。
何度お諌めしても
聞いてはくださらなかった。
今や内政も外交も全て王太子任せ。
その後継者も育った今、
いつまでも玉座に座らせておくわけには参りませんわ。
まぁきっと、
もう楽が出来ると喜んで玉座を引き渡すでしょうけれど。
教会関係者と癒着していた分は、しっかりお仕置きをせねばなりませんわね。
さぁお兄様、お覚悟を。
それから数日後、
現国王が退位し、
王太子アルバートが新国王に就く事が
正式に発表された。
いきなり、私の目の前で意識がブラックアウトする感じでしたわ。
哀れな……もちろん自業自得という気持ちが大幅に占めているけれど、
幼い頃から知っている甥のこういう姿は出来れば見たくなかったわね。
ウィリアム王子が自室に運ばれると、
私は王太子アルバートに申し出ましたの。
「さて、王太子殿下はこの娘をどうなさるおつもり?」
そう言いながら、
私は小娘の後ろ襟を掴んで引き上げました。
「どうなさるも何も、牢に入れて裁判にかけます」
「魅了魔法を用いるような危険人物よ」
「もちろん、魔力封じの手錠をかけますよ。あれをすると手錠が魔力を吸い取り、魔法が使えなくなる」
「……ねぇ、お願いがございますの」
「なんですか?……怖いですね」
「この小娘、私に預からせて貰えないかしら?」
「なんですって?何故そんな事を?」
「可愛い娘とアホでも可愛い甥がお世話になったのですもの。お預かりして、丁重におもてなしがしたいわ」
「………で?本当のところは?」
「可愛くないわね、裁判の手続きを待つ間、裁判中、判決後の刑の執行までの日々、遊ばせておくには勿体ないわよね」
「法に触れるような事は許可出来ません」
「いやね、そんな事するはずありませんわ。私の立場をわかってらっしゃる?王妹であり、侯爵夫人ですのよ。小娘が持ってる力を、正しく世の為に活かすだけですわ」
「……………………。」
「熟考ね」
「……わかりました。いいでしょう」
「ありがとう、それからもう一つ」
「まだあるのですか?」
「いいじゃないの、お国のために働いたのだから、このくらい我儘聞いてもらってもバチは当たりませんわ」
「内容によります」
「……王太子殿下、貴方はそう遠くない将来、この国の王となる覚悟はありますか?」
「!……そう遠くない将来とはどの位ですか?」
「少なくとも2年以内には」
「…………。」
「現国王には退位していただきます。もうこれ以上、政治に無関心な王を頂きに据え続けるわけにはいきません。以前までなら『時期尚早』とかなんとか言って教会が横槍を入れてきたと思うのだけど、もうそれも無くなった。アルバート、あなたにこの国の全てを背負ってゆく覚悟はありますか?我が身が八つ裂きになろうとも、国民のために血の涙を流し続ける覚悟はありますか?」
「無論のこと」
「わかりました。では私はお兄様のお見舞いにでも行きましょう。ふふ、久しぶりに兄妹水入らずで楽しい時間を過ごして参りますわね」
「………お手柔らかに」
「ふふふ」
「本当にですよ?」
「ふふふふふ」
「叔母上?」
こうして私は
お兄様を見舞うために国王の自室へと向かいましたの。
お兄様が即位されて早いもので20年。
音楽や芸術など
文化面にばかり力を注ぎ、
難しい政には無関心であったお兄様。
何度お諌めしても
聞いてはくださらなかった。
今や内政も外交も全て王太子任せ。
その後継者も育った今、
いつまでも玉座に座らせておくわけには参りませんわ。
まぁきっと、
もう楽が出来ると喜んで玉座を引き渡すでしょうけれど。
教会関係者と癒着していた分は、しっかりお仕置きをせねばなりませんわね。
さぁお兄様、お覚悟を。
それから数日後、
現国王が退位し、
王太子アルバートが新国王に就く事が
正式に発表された。
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