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ご承知おきくださいませ
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「……ぜ、前世?前世ってあの…今の生を受ける前に生きた人生の事だよな?どうして突然そんなことを?それになぜ急に職業婦人を目指そうと考えたんだ?キミはあと一年もすれば俺の妻になる予定なんだけど?」
前世の記憶を取り戻したという私のいきなりのカミングアウト。
ルベルト様からは予想通りの反応が返ってきた。
まぁ直ぐに無条件で受け入れてくれたジネット先生の反応の方が珍しいのよね。
前世の記憶が蘇ったなんて突然言われても、普通は彼のような反応になるはずだわ。
これが逆の立場なら、私だって怒るか呆れるかのどちらかだと思うもの。
「寝惚けているの?寝言は寝てからおっしゃって?」とか相手に言うでしょうね。
でもルベルト様ったら“妻になる予定”だなんてよくもそんなことが軽々しく言えたものだわ。
私はムキーッとなる感情を抑えて、ルベルト様にこう言ってやった。
「あら、人生とは何が起こるかわからないものでしょう?挙式の準備に取り掛かる直前になって別の人と結婚したくなるとか……、ね?そう言えばルベルト様にはわかるんじゃないかしら?」
既に出会ってるんでしょう?
“真に愛する”女性に。
アラベラ・マルソーさんに。
「……なに?キミには俺ではなく、他に結婚したい奴がいると言うのか?」
「私ではなくあなたによ!」
他の人が好きになったから私と結婚するとこは出来ないと言ったのはそちらなのに、私に瑕疵があるような言い方はやめてもらいたいわ。
それとも私から言質を取っていかに優位に婚約解消出来るかを狙っているの?冗談じゃない。
そうはさせるものかと憤然としてルベルト様を睨みつけるも、彼といえばポカンとした顔で私を見ていた。
「お、俺に!?一体なにを言っているんだ?キミという婚約者がありながら、他に結婚したいと思う相手なんているわけがないだろう」
「惚けてもダメよ。まぁそれを婚約者の前で認めるわけにはいかないわよね。でもお生憎さま、私はすでに一度経験済みなの。あなたには他に愛する女性がいて、私に婚約解消の申し出をするという未来をね。それがさっき蘇ったと言った前世の記憶なのよ」
私はそう言い置いてから、
私が再び私として生を受けて二度目の人生を送っている事と、そしていずれルベルト様が私に婚約解消を告げて他の女性を選ぶ未来が訪れることを語って聞かせた。
……だけど、婚約解消により私が自暴自棄になって自死を選んだことは敢えて伝えなかった。
だって、今さら謝罪も贖罪も要らないもの。
そんなものをここで受けても何の意味もない。
そしてその事実を伝えたことによりルベルト様が自責の念に縛られて、アラベラさんではなく私を選ぶんなんて嫌だったから。
同情や罪滅ぼしのために心を殺して無理やり結婚して貰っても嬉しくもなんともない。
そんなのお互い不幸なだけよ。
ルベルト様に依存していた前世の私ならそれでもいいと思っただろうけど、今世の私は真っ平ご免だわ。
わけがわからないといった様子で訝しみながら黙って私の話を聞いていたルベルト様だけど、やがて私が話終えると抑揚のない静かな声で訊いてきた。
「…………その、キミが思い出した前世の記憶が本当だとして、婚約を解消してまで俺が結ばれたいと言った相手は誰なんだ……?」
「貴方がお勤めになっている魔法律事務所の事務員であるアラベラ・マルソーさんよ。彼女、未亡人なんですってね」
「………………え?マルソーさん?か、彼女が?」
「何よその間は!ホラやっぱりすでに彼女に心を寄せているんでしょうっ?」
「コラコラ、今のは何故キミが彼女を知っているのかと驚いた間だよ。変に勘繰るのはやめなさい」
「勘繰るもなにもそれが事実でしょう。なによ!いくらお相手がお色気ムンムンの大人の女性だからって!ひどいわ……!」
「リル、お願いだちょっと待ってくれ。これはさすがに俄には信じられないよ……」
「そうおっしゃると思っていたわ。転んだせいで私の頭が可笑しくなったとでも思っているのでしょう?」
「いやそんなことは思っていないよ。たとえキミが白猫を黒猫だと言ったとしても、俺はそれを受け入れる。だけどいくらなんでもこれは……」
「でも紛れもない、将来起こる事実なの」
「それを信じる確たる何かが欲しい」
「それもおっしゃると思ったわ。だから私、記憶を色々と手繰り寄せて丁度よいものを見つけましたの」
「それは……なに?」
「半年後の、オーヴェン伯爵夫人…あなたのお母様のお誕生日プレゼントに、アデリオールフォレストキャットの子猫を贈ろうと考えているでしょう?そして密かにブリーダーのジャンさんと連絡を取るのでしょう?」
私がそう告げるとルベルト様は、
「な、なぜそれを……?猫好きな母上のためにと昨日思いついたばかりの贈り物だというのに……それに、ジャンという名のブリーダーには明日アポを取ろうと考えていたんだが……」
「だって半年後のお誕生日パーティーで貴方が小母様に贈っている姿をこの目で見たのだもの。その少し前にルベルト様から贈り物が猫だと聞いたのよ。どう?これで少しは信じて貰えたかしら?」
密かに計画し始めていることを私が言い当てて、ルベルト様は分かりやすいくらいに狼狽えている。
私の言葉が妄言ではないと理解して貰えたようね。
「いや、でもっ……え?俺が彼女を……?マルソーさんを好きになるって?……え?まさかそんな、ありえない……だって……」
あら?もしかして、ルベルト様がアラベラ・マルソーさんを異性として意識するきっかけを与えてしまったのかしら?
他ならぬ私自身がルベルト様と彼女の赤い糸を繋げてしまったのかしら……。
で、でもどうせルベルト様が彼女を好きになる運命は変わらないのだからどうでいいわ。
ふん、ルベルト様のバカ。スケベ。オタンコナス。
私はつきん、とした胸の痛みから目を逸らし、心の中でルベルト様に悪態を吐きまくる。
そして居住まいを正して困惑の表情を浮かべる彼を見据えた。
「……そういうことですので、私はこれから婚約解消後の人生のために動き出す所存です」
「ま、待て待て待て!だからといってこんなの納得出来るわけが無いだろう」
慌てた様子でそう言うルベルト様。
まぁ聞かされた側としてはそう思うわよね。
「それもそうね、あなたがそう言うのも理解できるわ。でもそれはあなたの都合よね?私の話が信じられず納得できないならしなくても結構です。だけど私は私のためにさっさと行動させていただくということをご承知おきくださいませ。そしてくれぐれも私の邪魔はしないでね?私も貴方の恋路の邪魔はしないんだから……ふん!」
ツンとしてそうルベルト様に言い放つと、彼は自身のこめかみを指でぐりぐりと押した。
どうやら頭痛がしてきたらしい。
「その恋路……とやらなんだけど、俺はもう既に恋路というやつを現在進行形で爆走中なんだがな」
その言葉を耳にした私は思わずカッとして彼に言い募った。
「まぁほらやっぱり!もうすでに彼女といい仲なんじゃない!よくもまだ婚約者である私に向かってそんなことが言えるわね!」
「いやそうじゃないだろ。その相手が自分だとどうして思わないんだ?」
「……ダレが相手ですって?」
「キミが、だよ」
「……何の?」
「だから俺の恋のお相手、という奴だよ。俺は十六の年に婚約者として引き合わされた時からキミに恋をしているんだが?」
「……?(ちょっと何を言っているのかわからない)」
「うわぁ、普段ならそんな小首を傾げる仕草も可愛いと思うんだけどな。でも今は微塵も俺の言葉が伝わっていないんだと思うと無性に腹が立つ」
「だって私には前世の記憶があるんだもの」
「…………まぁいい。いやよくはないが、はっきり言って俺は全然信じられていないが、それはこれから対応していくとして……とりあえず明日はどうする?」
なんだか疲れたご様子のルベルト様。
だけど私は彼が何を確認しているのかが分からなくて、逆に訊ねた。
「え?明日って?」
「おいおい、前世とやらは思い出しても明日の約束の事は忘れてしまったのか?前々から映画に行く約束をしていただろう」
「あぁそうだったわね。どうせ明日は貴方のお仕事の都合でキャンセルになるから行けないものと、自分の中で終わらせていたわ」
「仕事で……キャンセル?」
「ええ。前世でも私たち、明日は映画に行く約束をしていたの。だけど明日、あなたは急な仕事が入って行けなくなるのよ。なんでも?術式の特許を争っているクライアントさんに不測の事態が起こったとかで?今後の裁判に関わるような事態だから早急に対応しなくてはいけないとかなんとか。それで貴方は休日出勤になってしまい、映画に行けなくなったの」
「……確かに俺は今、特許問題を抱えているが……それをキミに話したことがあったかな?」
「いいえ。守秘義務があるものね。前世でも貴方はお仕事の内容はおっしゃらなかったわ。随分後になって何かの拍子にわかったことだったのよ。それが何だったかは忘れてしまったけれど」
「それも前世とやらの記憶の一つ?」
ルベルト様が眉根を寄せてそう言った。
私は頷いて彼を真っ直ぐに見る。
「そうよ。これで少しは私の言っていることが本当だという信憑性が出たかしら」
「うーーーん………」
その時点ではまだルベルト様は半信半疑どころから半分以上私の話を信じていなかったようだけど、
実際に次の日にクライアントのトラブルにより休日出勤になった。
そしてルベルト様は仕事が終わった後に真っ青な顔色をして再び我が家に飛んできたのだった。
──────────────────
どうやらルベルトに前の記憶はないようです。
前の彼に何が起きたかは、これからもう少し後にわかるでしょう。
前世の記憶を取り戻したという私のいきなりのカミングアウト。
ルベルト様からは予想通りの反応が返ってきた。
まぁ直ぐに無条件で受け入れてくれたジネット先生の反応の方が珍しいのよね。
前世の記憶が蘇ったなんて突然言われても、普通は彼のような反応になるはずだわ。
これが逆の立場なら、私だって怒るか呆れるかのどちらかだと思うもの。
「寝惚けているの?寝言は寝てからおっしゃって?」とか相手に言うでしょうね。
でもルベルト様ったら“妻になる予定”だなんてよくもそんなことが軽々しく言えたものだわ。
私はムキーッとなる感情を抑えて、ルベルト様にこう言ってやった。
「あら、人生とは何が起こるかわからないものでしょう?挙式の準備に取り掛かる直前になって別の人と結婚したくなるとか……、ね?そう言えばルベルト様にはわかるんじゃないかしら?」
既に出会ってるんでしょう?
“真に愛する”女性に。
アラベラ・マルソーさんに。
「……なに?キミには俺ではなく、他に結婚したい奴がいると言うのか?」
「私ではなくあなたによ!」
他の人が好きになったから私と結婚するとこは出来ないと言ったのはそちらなのに、私に瑕疵があるような言い方はやめてもらいたいわ。
それとも私から言質を取っていかに優位に婚約解消出来るかを狙っているの?冗談じゃない。
そうはさせるものかと憤然としてルベルト様を睨みつけるも、彼といえばポカンとした顔で私を見ていた。
「お、俺に!?一体なにを言っているんだ?キミという婚約者がありながら、他に結婚したいと思う相手なんているわけがないだろう」
「惚けてもダメよ。まぁそれを婚約者の前で認めるわけにはいかないわよね。でもお生憎さま、私はすでに一度経験済みなの。あなたには他に愛する女性がいて、私に婚約解消の申し出をするという未来をね。それがさっき蘇ったと言った前世の記憶なのよ」
私はそう言い置いてから、
私が再び私として生を受けて二度目の人生を送っている事と、そしていずれルベルト様が私に婚約解消を告げて他の女性を選ぶ未来が訪れることを語って聞かせた。
……だけど、婚約解消により私が自暴自棄になって自死を選んだことは敢えて伝えなかった。
だって、今さら謝罪も贖罪も要らないもの。
そんなものをここで受けても何の意味もない。
そしてその事実を伝えたことによりルベルト様が自責の念に縛られて、アラベラさんではなく私を選ぶんなんて嫌だったから。
同情や罪滅ぼしのために心を殺して無理やり結婚して貰っても嬉しくもなんともない。
そんなのお互い不幸なだけよ。
ルベルト様に依存していた前世の私ならそれでもいいと思っただろうけど、今世の私は真っ平ご免だわ。
わけがわからないといった様子で訝しみながら黙って私の話を聞いていたルベルト様だけど、やがて私が話終えると抑揚のない静かな声で訊いてきた。
「…………その、キミが思い出した前世の記憶が本当だとして、婚約を解消してまで俺が結ばれたいと言った相手は誰なんだ……?」
「貴方がお勤めになっている魔法律事務所の事務員であるアラベラ・マルソーさんよ。彼女、未亡人なんですってね」
「………………え?マルソーさん?か、彼女が?」
「何よその間は!ホラやっぱりすでに彼女に心を寄せているんでしょうっ?」
「コラコラ、今のは何故キミが彼女を知っているのかと驚いた間だよ。変に勘繰るのはやめなさい」
「勘繰るもなにもそれが事実でしょう。なによ!いくらお相手がお色気ムンムンの大人の女性だからって!ひどいわ……!」
「リル、お願いだちょっと待ってくれ。これはさすがに俄には信じられないよ……」
「そうおっしゃると思っていたわ。転んだせいで私の頭が可笑しくなったとでも思っているのでしょう?」
「いやそんなことは思っていないよ。たとえキミが白猫を黒猫だと言ったとしても、俺はそれを受け入れる。だけどいくらなんでもこれは……」
「でも紛れもない、将来起こる事実なの」
「それを信じる確たる何かが欲しい」
「それもおっしゃると思ったわ。だから私、記憶を色々と手繰り寄せて丁度よいものを見つけましたの」
「それは……なに?」
「半年後の、オーヴェン伯爵夫人…あなたのお母様のお誕生日プレゼントに、アデリオールフォレストキャットの子猫を贈ろうと考えているでしょう?そして密かにブリーダーのジャンさんと連絡を取るのでしょう?」
私がそう告げるとルベルト様は、
「な、なぜそれを……?猫好きな母上のためにと昨日思いついたばかりの贈り物だというのに……それに、ジャンという名のブリーダーには明日アポを取ろうと考えていたんだが……」
「だって半年後のお誕生日パーティーで貴方が小母様に贈っている姿をこの目で見たのだもの。その少し前にルベルト様から贈り物が猫だと聞いたのよ。どう?これで少しは信じて貰えたかしら?」
密かに計画し始めていることを私が言い当てて、ルベルト様は分かりやすいくらいに狼狽えている。
私の言葉が妄言ではないと理解して貰えたようね。
「いや、でもっ……え?俺が彼女を……?マルソーさんを好きになるって?……え?まさかそんな、ありえない……だって……」
あら?もしかして、ルベルト様がアラベラ・マルソーさんを異性として意識するきっかけを与えてしまったのかしら?
他ならぬ私自身がルベルト様と彼女の赤い糸を繋げてしまったのかしら……。
で、でもどうせルベルト様が彼女を好きになる運命は変わらないのだからどうでいいわ。
ふん、ルベルト様のバカ。スケベ。オタンコナス。
私はつきん、とした胸の痛みから目を逸らし、心の中でルベルト様に悪態を吐きまくる。
そして居住まいを正して困惑の表情を浮かべる彼を見据えた。
「……そういうことですので、私はこれから婚約解消後の人生のために動き出す所存です」
「ま、待て待て待て!だからといってこんなの納得出来るわけが無いだろう」
慌てた様子でそう言うルベルト様。
まぁ聞かされた側としてはそう思うわよね。
「それもそうね、あなたがそう言うのも理解できるわ。でもそれはあなたの都合よね?私の話が信じられず納得できないならしなくても結構です。だけど私は私のためにさっさと行動させていただくということをご承知おきくださいませ。そしてくれぐれも私の邪魔はしないでね?私も貴方の恋路の邪魔はしないんだから……ふん!」
ツンとしてそうルベルト様に言い放つと、彼は自身のこめかみを指でぐりぐりと押した。
どうやら頭痛がしてきたらしい。
「その恋路……とやらなんだけど、俺はもう既に恋路というやつを現在進行形で爆走中なんだがな」
その言葉を耳にした私は思わずカッとして彼に言い募った。
「まぁほらやっぱり!もうすでに彼女といい仲なんじゃない!よくもまだ婚約者である私に向かってそんなことが言えるわね!」
「いやそうじゃないだろ。その相手が自分だとどうして思わないんだ?」
「……ダレが相手ですって?」
「キミが、だよ」
「……何の?」
「だから俺の恋のお相手、という奴だよ。俺は十六の年に婚約者として引き合わされた時からキミに恋をしているんだが?」
「……?(ちょっと何を言っているのかわからない)」
「うわぁ、普段ならそんな小首を傾げる仕草も可愛いと思うんだけどな。でも今は微塵も俺の言葉が伝わっていないんだと思うと無性に腹が立つ」
「だって私には前世の記憶があるんだもの」
「…………まぁいい。いやよくはないが、はっきり言って俺は全然信じられていないが、それはこれから対応していくとして……とりあえず明日はどうする?」
なんだか疲れたご様子のルベルト様。
だけど私は彼が何を確認しているのかが分からなくて、逆に訊ねた。
「え?明日って?」
「おいおい、前世とやらは思い出しても明日の約束の事は忘れてしまったのか?前々から映画に行く約束をしていただろう」
「あぁそうだったわね。どうせ明日は貴方のお仕事の都合でキャンセルになるから行けないものと、自分の中で終わらせていたわ」
「仕事で……キャンセル?」
「ええ。前世でも私たち、明日は映画に行く約束をしていたの。だけど明日、あなたは急な仕事が入って行けなくなるのよ。なんでも?術式の特許を争っているクライアントさんに不測の事態が起こったとかで?今後の裁判に関わるような事態だから早急に対応しなくてはいけないとかなんとか。それで貴方は休日出勤になってしまい、映画に行けなくなったの」
「……確かに俺は今、特許問題を抱えているが……それをキミに話したことがあったかな?」
「いいえ。守秘義務があるものね。前世でも貴方はお仕事の内容はおっしゃらなかったわ。随分後になって何かの拍子にわかったことだったのよ。それが何だったかは忘れてしまったけれど」
「それも前世とやらの記憶の一つ?」
ルベルト様が眉根を寄せてそう言った。
私は頷いて彼を真っ直ぐに見る。
「そうよ。これで少しは私の言っていることが本当だという信憑性が出たかしら」
「うーーーん………」
その時点ではまだルベルト様は半信半疑どころから半分以上私の話を信じていなかったようだけど、
実際に次の日にクライアントのトラブルにより休日出勤になった。
そしてルベルト様は仕事が終わった後に真っ青な顔色をして再び我が家に飛んできたのだった。
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どうやらルベルトに前の記憶はないようです。
前の彼に何が起きたかは、これからもう少し後にわかるでしょう。
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