40 / 44
番外編 未婚の男女にまつわるすれ違い、または溺愛を描く短編集
お詫び投稿 Twitter投稿分 ユニカの本棚
しおりを挟む今回はお休みを頂いたので、お詫びとしまして以前Twitterの方に投稿した、
『懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい』の番外編をお届けします。
もうTwitterの方で見た~という方は申し訳ないです。
あ、補足ですが、作中に出てくるGGLとは、爺✖️爺ラブの略で、その名の通り渋いイケてるお爺様(攻め)とカワイイ純朴なお爺様(受け)が主役の、人生の終焉を前にして熱く燃え上がる恋のお話を描いたものです。関節が軋むような、腰痛が悪化するような、入れ歯が飛んでいくような熱くて激しい情交の描写がたまらない……と、異世界で人気の新ジャンルなのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一度目の人生はお腹の子と共に命を奪われてしまったロレイン公爵夫人のユニカ。
王族である夫セドリックの能力、“王家の秘宝”にて時を巻き戻されて今生では無事に母親になる事が出来た。
ユニカは息子アルヴィンに自らの乳をやり、乳母は置いていない。
昼夜問わず授乳に追われるも、毎日楽しそうに子育てをしていた。
今はたっぷりとお乳を飲んでご満悦で眠る息子の隣で一緒に眠り込んでいる。
執務の合間に様子を見に来たセドリックは、すやすやと眠る妻子を幸せそうに見つめていた。
ふと、寝室に置いてある本棚の背表紙が目につく。
ベビーベッドで眠るアルヴィンの側で読書が出来るように、ユニカが小さな本棚を設置したのだ。
居並ぶ本は勿論、GGL本ばかりである。
ーー相変わらずGGLにハマっているな……そんなに面白いのか?
セドリックは『シワの数だけ抱きしめて』というタイトルの本を一冊手に取り、中身を確認してみた。
「………………」
頭の中には大量の「?」が湧くだけで、これのどこが面白いのかさっぱり理解できなかった。
手に取った本を本棚に戻す時に、隣にある本のタイトルが目に入る。
ーー『余命一ヶ月の老人』か、なんだか切なそうだな。
そしてその隣の本も。セドリックは本棚に並べてある順に本のタイトルを何の気なしに読み上げていった。
ーー『サンズリバーを渡って』サンズリバー?
東方の国の“三途の川”の事か?
いや渡っちゃダメだろう。逝くのか?戻るのか?
その隣の本は……
ーー『いま、迎えにゆきます』
「………!!」
そこでセドリックはある事に気付く。
今まで読み上げた本はGGL作家のシシーが執筆したものと他の作家の書いたものとで別々に出版されたものだ。
それなのにユニカは……
ーータ、タイトルを繋げて遊んでいるっ!?……だと……?
まぁ『シワの数だけ抱きしめて』は置いとくとして、
『余命一ヶ月の老人』を、
『サンズリバーを渡って』、
『いま、迎えにゆきます』!
「いや怖いだろうっ!!」
セドリックは思わずツッコミを入れてしまっていた。
大きな声を出して妻子を起こしてしまったのではないかと慌てて振り返る。
しかしユニカもアルヴィンもよく眠ったままだった。
ほっとして再び本に視線を戻す。
そして最後の一冊を読み上げる。
ーー『白き眼で見つめてほしい』
「白内障だろそれっ!!しかももう繋がってないし!」
と、結局また大声でツッコんで、
妻と子を起こしてしまうセドリックであった。
読んでも並べても楽しいユニカの本棚。
次はどんなGGL本が並ぶのやら……☆
おわり
30
お気に入りに追加
3,554
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【完結】やさしい嘘のその先に
鷹槻れん
恋愛
妊娠初期でつわり真っ只中の永田美千花(ながたみちか・24歳)は、街で偶然夫の律顕(りつあき・28歳)が、会社の元先輩で律顕の同期の女性・西園稀更(にしぞのきさら・28歳)と仲睦まじくデートしている姿を見かけてしまい。
妊娠してから律顕に冷たくあたっていた自覚があった美千花は、自分に優しく接してくれる律顕に真相を問う事ができなくて、一人悶々と悩みを抱えてしまう。
※30,000字程度で完結します。
(執筆期間:2022/05/03〜05/24)
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます!
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
---------------------
○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。
(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
○雪さま
(Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21
(pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274
---------------------
夫が私以外を愛しているとうるさいので、夫の愛した存在を抹殺してみた~これぞ平和な解決方法~
荷居人(にいと)
恋愛
「ああ、マリア……!愛してるよ………!」
マリア、それは妻の私ではない名前。
「なんて可愛いんだ!」
夫は堂々と家の中で愛を叫び、可愛いと私以外に言う。寧ろ外では決してしない。
私は夫だけを愛しているのに………あまりにうるさく、腹が立った私はあらゆる権力を使ってその存在を抹殺することに決めた。
「ミスティー!それだけは………それだけはやめてくれ!」
「やっと名前を呼んでくれたのね。でももう遅いわ」
これはその存在の首を私が折るまでのお話。
あらすじこそこんなんですが、全然グロテスクじゃないことは保証します。あくまでラブコメディ。何がどうしてそうなる?とタイトルに釣られた読者様方、是非謎を解明してください。謎と言うほどではありませんが。
すっと始まってすっと終わります。暇潰しにどうぞ。
俺の妖精すぎるおっとり妻から離縁を求められ、戦場でも止まらなかった心臓が止まるかと思った。何を言われても別れたくはないんだが?
イセヤ レキ
恋愛
「離縁致しましょう」
私の幸せな世界は、妻の言い放ったたった一言で、凍りついたのを感じた──。
最愛の妻から離縁を突きつけられ、最終的に無事に回避することが出来た、英雄の独白。
全6話、完結済。
リクエストにお応えした作品です。
単体でも読めると思いますが、
①【私の愛しい娘が、自分は悪役令嬢だと言っております。私の呪詛を恋敵に使って断罪されるらしいのですが、同じ失敗を犯すつもりはございませんよ?】
母主人公
※ノベルアンソロジー掲載の為、アルファポリス様からは引き下げております。
②【私は、お母様の能力を使って人の恋路を邪魔する悪役令嬢のようです。けれども断罪回避を目指すので、ヒーローに近付くつもりは微塵もございませんよ?】
娘主人公
を先にお読み頂くと世界観に理解が深まるかと思います。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる