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入学式からの〜オリエンテーション②

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正式名称、二年時入学新入生記念式典に出席するべく大ホールに入ったわたしと幼馴染のオリエ。

二年生のクラスは3クラス。
一年前から在学している専門履修コースの生徒が集められたAクラスとBクラス。
これは成績順になっているらしく、もちろん愛しの我が婚約者レイブンはAクラス。しかも主席だそうだ!

そしてわたしの様な、とりあえず魔法学園に在籍していたのよ~という簡単な経歴を得る為に通う卒業資格取得コースのCクラスである。

Cクラスの席であればどこに座ってもいいらしいので、わたしとオリエは前の方の椅子に座った。
オリエは嫌がったけど、式の途中で在校生代表としてレイブンが祝辞を述べる事になっているので絶対に前の席を陣取りたいと、わたしが頼み込んだ結果だ。

既に多くの生徒が集まっていて、直ぐに入学式が始まった。

まずは学園長の挨拶。
そして名誉理事を務められるクルシオ王国の王太子であらせられるジャクソン殿下の有り難いお言葉。
ジャクソン殿下はもちろんこの学校の卒業生でいらして、その縁もあって名誉理事のお一人に選ばれたのだそうだ。

そしてそして!そして!!

在校生代表として、ワード公爵家公子、レイブン=ワード様からの祝辞を賜る番となった!!

ゆっくりとした堂々たる姿で壇上へと上がって行く我が婚約者レイブン。

すらりと長身でありながら、剣術や体術により鍛え上げられた逞しい体躯を持つ。
しかも傾国の美女と謳われたお母様譲りの超美形とくりゃ~、昨日夢で会った神サマったらキャラデザインを盛り盛りに盛りまくったわね♪と言いたくなる。

三日ぶりに見る彼の姿にわたしは思わず、うっとりと呟いた。

「はぁ……男子三日会わざれば刮目して見よ、とは言うけれど……ホントね、ブンたらまた一段とステキ指数を上昇させちゃって……♡」

わたしのその呟きに隣に座るオリエが釘を刺す。

「ハイハイ、そのステキ男子が喋るわよ~ちゃんと聞いてないと後悔するわよ~」

ハッ!いけないいけない!
決して一言一句決して聞き逃すものかと、わたしは目を皿に耳を大にして全神経を壇上に立つレイブンへと向けた。

拡声魔道具マイクの調整をみて、我が婚約者が語り出す。

「ハイラント魔法学園、第二学年新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。そしてこの場には居られませんが、保護者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。また、ご来賓の皆様におかれましては、お忙しい中ご臨席を賜り、新入生の門出を共に祝って頂きますことを厚く御礼申し上げます。
さて、新入生の諸君は、本日より晴れてハイラント魔法学園の生徒となりました……」

壇上から拡声魔道具マイク越しに聞くレイブンの声もやっぱり耳に心地よく響く。

子どもの頃の変声期前の声も好きだったけど、今の大人の男性になりつつある低い落ち着いた声も大好きだ。

だけどうっとりとしながら聞いているうちに祝辞の言葉は終わってしまった。

『え?もう?一日中話しててくれてもいいのに~。アンコール!アンコール!』

と、心の中でアンコールを叫ぶわたしを他所に、ホール中に拍手が広がる。
わたしも負けじと大きな拍手を我が愛しのブンちゃんに贈った。

その一瞬、壇上のレイブンと目が合った。

「!!」

そしてレイブンはそのまま静かに壇上を降りてゆく。

わたしは感極まって隣のオリエに言った。

「み、見たっ?さっきブンと目が合って、わたしに微笑んでくれたわっ!」

「えー……?いつも通りの無表情だったと思うけど……」

「違うわ!アレは公の場にいる時のスマイルなの!」

「ハイハイ。レイブン=ワードマスターのあなたが言うのならそうなんでしょ、そういう事にしておいてあげるわよ」

「だってホントに微笑んでくれたんだもん、うふふ♡この感動を早く書にしたためたい……」

「あぁ、またあの写経モドキね」

「うふ♪書き上げたら特別にオリエにあげるね♡」

「要らないわよあんな特級呪物」

「もう☆オリエちんたら」

そんな軽口を言い合っていると、ふいにホールの中がザワついた。

司会進行役を務める学年主任の教師がその人の名を告げる。

「えー、では続きまして、本校生徒会を代表しまして、生徒会長であるケイティ第二王女殿下より祝辞を賜ります」

…………!

第二王女!ケイティ!!

神サマが言っていたこの世界物語主人公ヒロイン

近い将来に、わたしからレイブンを奪うらしい(渡さないけど)主人公ヒロイン!!

わたしはそれこそ刮目して壇上に上がって行く一人の女子生徒を見た。

ピンクブロンドの髪に少しだけ日焼けした肌。
王族に相応しく清楚でありながら、長く市井で暮らした健康的な美しさを併せ持っている。

美に疎いわたしですら、麗人とは彼女の事を指すのだとわかるくらいに美しい人だった。

『さすがは主人公ヒロインなだけの事はあるわね!』

わたしは思わず「天晴れ!」と声を上げたくなった。

ケイティ王女殿下が鈴を転がすような綺麗な声で祝辞を述べる。

その言葉の一つ一つに、まるで魔法が掛かっているかのように皆が聞き惚れていた。

そして祝辞を述べ終わると、ホール中に喝采が響き渡った。

その光景に眉根を寄せながらオリエが囁く。

「……どうやら学年中のほとんどの生徒に崇拝されているという噂は本当のようね……」

「ち、イケ好かない」と貴族令嬢にあるまじき舌打ちが聞こえたような気がしたけど、まぁいいか。

ゆったりと気品ある足取りで壇上から降りようとしたケイティ殿下が階段の手前で足を止めた。

そしてスッ……と壇上下に向けて手を差し出す。

どうしたのかしら?と思っていたら、直ぐ近くの席に座っていたであろうレイブンが徐に立ち上がり、ケイティ殿下の手を取った。

王女様たるもの、階段を降りる際はエスコートが必要らしい。

無表情なレイブンに手を取られながらケイティ殿下は優雅に階段を降りられる。

その時、AクラスとBクラス、両方の生徒から感嘆の声が小さく上がる。

「やっぱりお似合いねぇ……あのお二人」

「学年の主席と次席であり、生徒会の会長と副会長、そして王女と公子……もう運命としか言い表せない組み合わせよね」

「卒業後、直ぐにでも婚約発表があるんじゃない?」

「でもワード公子様には婚約者がいるのではなかったかしら?なんでも新入生の中にいるそうよ?」

「え?そうなの?まぁ気の毒ね、絶対ケイティ様には敵わないのに」

なんて、みんな好き勝手言ってくれている。

「アイツら……」

隣のオリエから怒気を含んだオーラを感じた。

「オリエさん!淑女がおデコに青筋を立ててはいけませんことよ!」

わたしがなんとか宥めると、オリエはわたしに
「あんな雑魚どもの言う事なんて気にしなくていいからね!」
と、怒りを露わに言って来た。

まぁわたしは特に気にならないし、とりあえず「オッケー☆」と返事をしておいた。


その後も恙無く式は進み、入学式は無事に終わった。

トイレ休憩を挟んで、この後直ぐに、在校生は授業が始まり、新入生はオリエンテーションに移るという。

わたしはハッと閃き、オリエに告げる。

「オリエ……!オリエと一緒にンテーションを周れるなんて、嬉しいわ!」

ぷぷぷ…!と一人笑うわたしをオリエ様は絶対零度の冷ややかな声色でぶった切った。

「……………………くだらない」

「ぷぷ☆」


こうして学園内を周るオリエンテーションが始まる。

Cクラスの級友クラスメイト達とも初めて行動を共にするのだ。

ああ……もうワクワクが止まらないっ……!
















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