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ちょっと待って
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魔力や魔術を売買する闇組織の捜査の為に
報告書等の情報の開示をモーガン公爵に求められ、わたしはワルターを連れて文書保管室へと来ていた。
魔力や魔術の売買は、
魔法省が把握しているだけでも44件にも上る。
そのうちのどれも捕縛されたのは
魔力や魔術を売った側。
それらを買う立場であった組織の者は
誰一人として捕まっていない。
売った側がどうやって組織の人間と接触したのかは定かではない。
ギルドで声をかけられた者、
銀行で声をかけられた者、
仕事先の客に声をかけられた者、
皆それぞれ金の工面に困っているところに
絶妙なタイミングで声をかけられたという。
そして魔力や魔術を売った者が共通して言うのは、
「背の高い女に声をかけられた」である。
魔力や魔術の買い取り(古道具屋さんみたい)には別の者が来るのだが、
どの事例も必ず最初にこの背の高い女に
声をかけられているのだ。
この女が一体何者なのか。
それがこの組織壊滅の糸口になるのではないかと
わたしは思っている。
魔力、魔術売買の報告書が纏められた
ファイルを次々に出してゆく。
その作業を行いながら
わたしはワルターに気になった事を尋ねた。
「ねぇワルター、潜入捜査なんて危険な任務なんじゃないの?あなたは特に目立つ容貌だし、身元が
バレてしまう危険性の方が高いんじゃないかしら」
「そこは大丈夫なはずだよ。
変身して潜り込むからね」
「変身?」
「そう。王宮魔術師によって、性別も年齢も声色まで全て変えて潜り込む」
「えっ?凄い……でもやっぱり危険だわ」
「……心配してくれるの?」
「そりゃあ、まあ……」
う、なんだか気恥ずかしい。
わたしは手元の作業に集中しているフリをした。
するとワルターがわたしが抜き出したファイルを
受け取りながら言った。
「……リス、今晩ちょっと話したい事があるんだ。少しだけ時間もらっていい?」
「いいけど……」
どうして?という言葉はわたしの口からは出て来なかった。
だってワルターがあまりにも真剣な眼差しを
向けてくるから。
「じゃあ仕事が終わったら迎えに行くよ。外で一緒に食事をしよう、店はシリスのもう一つの行きつけのお店でいい?」
「あ、あそこね。いいわよ、丁度マスターの
オムレツが食べたいなって思っていた、の……
って、わたしその店の事話した事あったかしら?」
「えっ」
「え?」
ワルターはなんだか“しまった”というような顔をして、目が泳ぎ始めた。
「……ワルター?」
「………」
「ねぇ、ちょっと…「おーい、お二人さんどこ?」
わたしがワルターに詰め寄ろうとしたその時、
誰かの声をが聞こえた。
ワルターは助かったとばかりに
その声の主に話しかける。
「ここだ、アレン」
アレンと呼ばれたその人が書架の間から
ひょこっと顔を出した。
この人も先ほど公爵が言っていた潜入捜査をする
騎士の一人だ。
「まだか?閣下も局長もお待ちだぞ」
「あ、ごめんなさい。もう戻ります」
わたしが言うと、アレンなる人物が
わたしの事を繁々と見つめて来た。
な、何?
不信に思っていると目の前に
ワルターの背中が見えた。
「人の婚約者をあまり不躾に見るな」
ちょっと不機嫌そうなワルターに
アレンさんは応えた。
「いや悪い、失礼した。だって人の噂なんて当てにならないもんだなぁと思って……」
「噂?噂ってなんですか?」
わたしが尋ねると、
アレンさんはちょっと気まずそうに言った。
「いや、ね、ワルター=ブライスの婚約者は
地味でガリ勉で可愛げがないってよくご令嬢方が
言っていたから……」
“地味でガリ勉”は知ってるけど
“可愛げがない”まで増えてる!!
むむむむむ……
いやちょっと待って、
この人の声って聞いた事がある。
あ、いつだったか再婚約についてワルターの真意を
確かめようと騎士団の詰め所に行った時に
ワルターと話し込んでた人の声だわ。
あの時もこの人、わたしの事を
地味な女って言ってたわね……。
「でも今日、初めてお会いして、噂が出鱈目だったってわかったよ。真に受けてバカだった。こんなにキレイな人だとは思わなかったよ」
「だからジロジロ見るな」
ワルターがわたしを背に隠す。
「なんだよ、いいじゃないか減るもんじゃないし。余裕のない男ってイヤだねぇ」
「うるさい」
……なんだコレ。
なんだか恥ずかしい。居た堪れない。
そうだ、塩。
今日のわたしは塩味シリスだったわ。
「じゃあ男手が二つになったので、ここのファイルを二人で持って来てくれます?」
わたしが無表情で言うと、
ワルターとアレンさんが声を揃えて返事をした。
「「あ、はい……」」
その後は
ファイルを持って応接室に戻り、
今後の打ち合わせやお互い情報は共有する事の
確認やらなんやらとして、魔法大臣と法務局長の
初対談は拍子抜けするほどすんなり終わった。
それでもシュザンヌ様は
「……疲れたわ……」と言ってフラフラと
局長室へと戻って行かれた。
お疲れ様です、シュザンヌ様。
その日の業務を終え
鞄を持って玄関ロビーに降りると、
もう既にワルターが待っていた。
なんか二人組の女性に声をかけられているが、
手で遮るようにして何やら言っている。
わたしがその様子を見ながらゆっくり降りて
行くと、わたしに気付いたワルターが笑みを
浮かべて駆け寄って来た。
「リス」
「早かったのね、随分待たせたんじゃない?」
わたしがそう言うとワルターはなんでもないように言った。
「リスが魔法省を出るタイミングはよくわかってるから、それを見計らって来たから待ってないよ」
「そうなんだ」
ん?
ちょっと待って、
なんだろう……何か引っかかる。
なんだかモヤっとしたけど、
ワルターに手を引かれ瞬間にそれは吹き飛んだ。
「ほら、行こう」
ちょっ……さらっと手を繋がれた!
しかもこれって世に言う恋人繋ぎなるものでは……?
……繋いだ手が温かい。
ワルターがどういうつもりなのかがホントに
わからない。
罪滅ぼしの婚約だけど、わたしの事を
好きになろうと努力してくれてるって事?
それとも少しはわたしの事を想ってくれてるって事なの?
そんな事を考えてるわたしに、
ワルターが言った。
「……食事の前に話があるんだ。店で話すには
ちょっと気まずいし、公園にでも行こうか」
「え……う、うん……」
わたしは言われるがままに返事をして、
そしてワルターにまた手を引かれて歩き出す。
店で出来ないような話って何?
やっぱりもう再婚約は取りやめようとかいう話?
なんだろう。
何故だか動揺しているわたしがいる。
なんか……落ち着かない。
そうこう考えてるうちに
公園の人気のない所に来た。
噴水の前で、昼間なら人々が憩い賑わう場所だ。
でも日が暮れて夕闇に包まれると
馴染みの場所が途端に見知らぬ顔をする。
わたしが不安を感じているからだろうか、
なんだか噴水の水音が酷く大きな音を
立てているように感じる。
「ワルター……?」
ワルターはさっきから表情が固い。
何か思い詰めたような顔をしている。
「……リス……」
ワルターが絞り出すような小さな声で
わたしの名を呼ぶ。
ワルター……どうしたの?
何故そんな……辛そうな……
わたしは恐る恐るワルターの方へ手を伸ばす。
青白い顔をしてわずかに震えるワルターに
少しでも体温を分けてあげたくなったから。
もう少しでワルターの頬にわたしの指が
触れようとした時、
ふいにワルターが目の前から消えた。
ワルターへと伸ばしたわたしの手が、
行き場をなくして空を切る。
え……?
と思って足元を見ると、
土下座をして平伏しているワルターの姿があった。
報告書等の情報の開示をモーガン公爵に求められ、わたしはワルターを連れて文書保管室へと来ていた。
魔力や魔術の売買は、
魔法省が把握しているだけでも44件にも上る。
そのうちのどれも捕縛されたのは
魔力や魔術を売った側。
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銀行で声をかけられた者、
仕事先の客に声をかけられた者、
皆それぞれ金の工面に困っているところに
絶妙なタイミングで声をかけられたという。
そして魔力や魔術を売った者が共通して言うのは、
「背の高い女に声をかけられた」である。
魔力や魔術の買い取り(古道具屋さんみたい)には別の者が来るのだが、
どの事例も必ず最初にこの背の高い女に
声をかけられているのだ。
この女が一体何者なのか。
それがこの組織壊滅の糸口になるのではないかと
わたしは思っている。
魔力、魔術売買の報告書が纏められた
ファイルを次々に出してゆく。
その作業を行いながら
わたしはワルターに気になった事を尋ねた。
「ねぇワルター、潜入捜査なんて危険な任務なんじゃないの?あなたは特に目立つ容貌だし、身元が
バレてしまう危険性の方が高いんじゃないかしら」
「そこは大丈夫なはずだよ。
変身して潜り込むからね」
「変身?」
「そう。王宮魔術師によって、性別も年齢も声色まで全て変えて潜り込む」
「えっ?凄い……でもやっぱり危険だわ」
「……心配してくれるの?」
「そりゃあ、まあ……」
う、なんだか気恥ずかしい。
わたしは手元の作業に集中しているフリをした。
するとワルターがわたしが抜き出したファイルを
受け取りながら言った。
「……リス、今晩ちょっと話したい事があるんだ。少しだけ時間もらっていい?」
「いいけど……」
どうして?という言葉はわたしの口からは出て来なかった。
だってワルターがあまりにも真剣な眼差しを
向けてくるから。
「じゃあ仕事が終わったら迎えに行くよ。外で一緒に食事をしよう、店はシリスのもう一つの行きつけのお店でいい?」
「あ、あそこね。いいわよ、丁度マスターの
オムレツが食べたいなって思っていた、の……
って、わたしその店の事話した事あったかしら?」
「えっ」
「え?」
ワルターはなんだか“しまった”というような顔をして、目が泳ぎ始めた。
「……ワルター?」
「………」
「ねぇ、ちょっと…「おーい、お二人さんどこ?」
わたしがワルターに詰め寄ろうとしたその時、
誰かの声をが聞こえた。
ワルターは助かったとばかりに
その声の主に話しかける。
「ここだ、アレン」
アレンと呼ばれたその人が書架の間から
ひょこっと顔を出した。
この人も先ほど公爵が言っていた潜入捜査をする
騎士の一人だ。
「まだか?閣下も局長もお待ちだぞ」
「あ、ごめんなさい。もう戻ります」
わたしが言うと、アレンなる人物が
わたしの事を繁々と見つめて来た。
な、何?
不信に思っていると目の前に
ワルターの背中が見えた。
「人の婚約者をあまり不躾に見るな」
ちょっと不機嫌そうなワルターに
アレンさんは応えた。
「いや悪い、失礼した。だって人の噂なんて当てにならないもんだなぁと思って……」
「噂?噂ってなんですか?」
わたしが尋ねると、
アレンさんはちょっと気まずそうに言った。
「いや、ね、ワルター=ブライスの婚約者は
地味でガリ勉で可愛げがないってよくご令嬢方が
言っていたから……」
“地味でガリ勉”は知ってるけど
“可愛げがない”まで増えてる!!
むむむむむ……
いやちょっと待って、
この人の声って聞いた事がある。
あ、いつだったか再婚約についてワルターの真意を
確かめようと騎士団の詰め所に行った時に
ワルターと話し込んでた人の声だわ。
あの時もこの人、わたしの事を
地味な女って言ってたわね……。
「でも今日、初めてお会いして、噂が出鱈目だったってわかったよ。真に受けてバカだった。こんなにキレイな人だとは思わなかったよ」
「だからジロジロ見るな」
ワルターがわたしを背に隠す。
「なんだよ、いいじゃないか減るもんじゃないし。余裕のない男ってイヤだねぇ」
「うるさい」
……なんだコレ。
なんだか恥ずかしい。居た堪れない。
そうだ、塩。
今日のわたしは塩味シリスだったわ。
「じゃあ男手が二つになったので、ここのファイルを二人で持って来てくれます?」
わたしが無表情で言うと、
ワルターとアレンさんが声を揃えて返事をした。
「「あ、はい……」」
その後は
ファイルを持って応接室に戻り、
今後の打ち合わせやお互い情報は共有する事の
確認やらなんやらとして、魔法大臣と法務局長の
初対談は拍子抜けするほどすんなり終わった。
それでもシュザンヌ様は
「……疲れたわ……」と言ってフラフラと
局長室へと戻って行かれた。
お疲れ様です、シュザンヌ様。
その日の業務を終え
鞄を持って玄関ロビーに降りると、
もう既にワルターが待っていた。
なんか二人組の女性に声をかけられているが、
手で遮るようにして何やら言っている。
わたしがその様子を見ながらゆっくり降りて
行くと、わたしに気付いたワルターが笑みを
浮かべて駆け寄って来た。
「リス」
「早かったのね、随分待たせたんじゃない?」
わたしがそう言うとワルターはなんでもないように言った。
「リスが魔法省を出るタイミングはよくわかってるから、それを見計らって来たから待ってないよ」
「そうなんだ」
ん?
ちょっと待って、
なんだろう……何か引っかかる。
なんだかモヤっとしたけど、
ワルターに手を引かれ瞬間にそれは吹き飛んだ。
「ほら、行こう」
ちょっ……さらっと手を繋がれた!
しかもこれって世に言う恋人繋ぎなるものでは……?
……繋いだ手が温かい。
ワルターがどういうつもりなのかがホントに
わからない。
罪滅ぼしの婚約だけど、わたしの事を
好きになろうと努力してくれてるって事?
それとも少しはわたしの事を想ってくれてるって事なの?
そんな事を考えてるわたしに、
ワルターが言った。
「……食事の前に話があるんだ。店で話すには
ちょっと気まずいし、公園にでも行こうか」
「え……う、うん……」
わたしは言われるがままに返事をして、
そしてワルターにまた手を引かれて歩き出す。
店で出来ないような話って何?
やっぱりもう再婚約は取りやめようとかいう話?
なんだろう。
何故だか動揺しているわたしがいる。
なんか……落ち着かない。
そうこう考えてるうちに
公園の人気のない所に来た。
噴水の前で、昼間なら人々が憩い賑わう場所だ。
でも日が暮れて夕闇に包まれると
馴染みの場所が途端に見知らぬ顔をする。
わたしが不安を感じているからだろうか、
なんだか噴水の水音が酷く大きな音を
立てているように感じる。
「ワルター……?」
ワルターはさっきから表情が固い。
何か思い詰めたような顔をしている。
「……リス……」
ワルターが絞り出すような小さな声で
わたしの名を呼ぶ。
ワルター……どうしたの?
何故そんな……辛そうな……
わたしは恐る恐るワルターの方へ手を伸ばす。
青白い顔をしてわずかに震えるワルターに
少しでも体温を分けてあげたくなったから。
もう少しでワルターの頬にわたしの指が
触れようとした時、
ふいにワルターが目の前から消えた。
ワルターへと伸ばしたわたしの手が、
行き場をなくして空を切る。
え……?
と思って足元を見ると、
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