19 / 26
ミルルの大好きな手で
しおりを挟む
「あら?ミルルちゃんじゃない?」
就職斡旋所からの帰り道で、夫ハルジオの元恋人であるリッカ=ロナルドから声をかけられたミルル。
「え?リッカ先輩?」
今日もメイクもヘアスタイルも踏まれたら痛そうなピンヒールも、何もかも完璧な美しさのリッカを見て、ミルルは胸を撫で下ろしていた。
先日の結婚式で彼女の涙を目の当たりにしてから心配していたのだ。
食事も喉を通らないほど涙に明け暮れる日々を過ごしているのではないかと。
でもアイメイクバッチリのリッカを見て、涙を流してないのは一目瞭然。
ミルルは心の底から安堵していた。
「ミルルちゃん一人でお出かけだったの?」
「えぇそうなんです。ちょっと野暮用がありまして」
まさかハルジオとの離婚後の為に就職斡旋所に行ったとは言えないミルルはそう答えておいた。
ーーリッカ先輩に気を遣わせてはいけないものね。
リッカは微笑みをたたえながらミルルに言った。
「足の方はもうすっかり平気なようね」
「はいおかげさまで。飛んだり跳ねたり走ったりは出来ませんが日常生活ではもう困る事はありません」
「そう。それは良かったわ。でもハルジオったら本当にお人好しよね?大怪我を負った後輩に同情して人生まで面倒を見ようなんて。でもミルルちゃんも助かったんじゃない?経済的にも社会的にもハルジオに援助して貰って。ハルジオはとても責任感の強い人間だもの、きっとミルルちゃんを見捨てられなくて結婚したのよ。彼って昔から優しい性格だったから……」
「そう、ですよね……」
リッカはミルルの足にちらりと視線を向けて続けた。
「その足じゃあ社会復帰も時間がかかったでしょうし、ハルジオはそれを鑑みて貴女と籍を入れたのね。本当に律儀というか面倒見がいいというか、自分の事を犠牲にして結婚するなんて、義務感が強過ぎるわよね~善人過ぎるわよ」
リッカは、ハルジオはあくまでも同情心や義務感でミルルと結婚したのだという事を強調した。
そしてそれをするハルジオの人の良さを主張したのだ。
ミルルがそれを利用して今の生活を送っているのだと認めさせたいようだ。
「ね?ミルルちゃんも本当はそう思っているのでしょう?」
リッカはこれ見よがしにミルルに同意を求めた。
ミルルはリッカの話を黙って聞いていた。
ーーフン、現実を突きつけられて何も言い返せないようね。
さて、更に言葉を重ねてハルジオの側に居られないようにしてやろうと思ったその時、ミルルがいきなりリッカの両手を握ってきた。
それはもう力強くガッシリと、そして目をキラキラさせて激しく頷きながらミルルはリッカに同意した。
「そうなんです!!ハルさんは本当に責任感が強くて面倒見がよくて、真面目で律儀で優しい人なんですっ!!」
「………は?」
「さすがはリッカ先輩!ハルさんの元彼女さんなだけはありますね~。ハルさんの素晴らしいところを分かっていらっしゃいますっ、リッカ先輩の仰る通りです!ハルさんは様々な事に真摯に対応できる人で、困ってる人や弱ってる人にも優しく手を差し伸べられる善人オブ善人、まさに完璧な人なんですよね!!」
「…………え、えぇ……そう、ね……?」
突然のハイテンションでハルジオを褒めちぎるミルルに気圧されたリッカが引いているのに気付き、ミルルは慌てて握りしめていた手を離した。
「あ……ご、ごめんなさい、わたしったら……つい熱くなってしまって…でもハルさんの素晴らしさをリッカ先輩と一緒に語り合えるなんて幸せですっ。でもどうしましょう、ハルさんの事を語るには一晩では足らないと思うんです。リッカ先輩はまだお仕事中ですか?よろしければ夕食でもご一緒して、素敵なハルさんを語り合いま……ふがっ!?」
ミルルが最後まで言葉を告げる事は出来なかった。
ハルジオの素晴らしさを語り尽くしたいミルルの止まらない口を、後ろから優しく塞ぐ手があったからだ。
ミルルが大好きな大きく温かな手。
「ど、どうして貴方がこ、ここに……?」
リッカがその手の主を見上げて狼狽える。
「ふぁひゅひゃん!」(ハルさん!)
ミルルが身動いで顔を少しずらして自分の口を塞ぐ人物を見る。
そこにはやはり、今まさに褒めまくっていたハルジオの姿があった。
「偶然だねミルル。こんな所で可愛い奥さんに会えるとは思わなかったな。でも会えて嬉しいよ」
ハルジオに手を離して貰い、彼に向き合いながらミルルは嬉しそうに答えた。
「本当にすごい偶然ね!リッカ先輩だけでなくハルさんにも会えるなんて嬉しいわ!今ね、リッカ先輩と二人でハルさんの素晴らしさを語り合っていたのよ」
「へぇそうなんだ、それは光栄だな。でも魔法省から離れたこんな場所でわざわざ出くわすなんて、凄い偶然だよねぇ?」
ハルジオはそう言ってリッカに視線を向けた。
「……!」
ハルジオは笑みを浮かべているが目は笑ってはいなかった。
口元は緩く弧を描いているというのに、目は冷たく、殺気を纏って光っていたのだ。
それを目の当たりにしてリッカの目が大きく見開く。
今のハルジオの表情も、今までリッカが見た事もないようなものであった。
ただ目が笑っていないだけで何故こんな言い様もない恐怖を感じるのか、リッカは背中に冷たい汗が伝うのを感じた。
ミルルがハルジオに尋ねた。
「ハルさんはまだお仕事中なの?」
すると今度は本当の笑みを浮かべてハルジオが答えた。
「今日はもう上がりにしたんだ。明日に回せる仕事は明日に回したから一緒に帰ろう」
「そうなのね。ふふ、嬉しい。じゃあ帰りに市場に寄ってもいい?お買い物をして帰りたいの」
「もちろん。荷物持ちでもなんでもしますよ、可愛い奥さん」
「ふふ。……あ、でもリッカ先輩……」
ミルルはリッカの前でまた夫婦のやり取りを見せつけてしまった事に気付き、そして焦った。
それをハルジオがなんでもない事のように言う。
「ミスロナルド、キミはまだ仕事なんだよね?」
「っ……!え、えぇ……そうよ……」
否定する事は許さない、そんな冷たい気配がハルジオから漂っている事を気取ったリッカが、顔色を悪くして答えた。
秘密裏に復縁を迫っている相手に他人行儀な呼称で呼ばれた事よりも、殺意を乗せた視線を向けられている事のショックが大きかった。
陰でコソコソと動き、ミルルに接触した事をこの男が静かに激怒している事を肌に感じ、リッカは内心、酷く怯えた。
そんなリッカにハルジオは表面上は穏やかな声で告げる。
「じゃあ俺達はこれで失礼するよ。行こうか、ミルル」
「……え、で、でも……」
ハルジオに肩を抱かれて歩き出しながらも、ミルルは後ろ髪を引かれる思いでリッカを振り返る。
俯いて一人何かに耐えるように立ち尽くすリッカに、ミルルは堪らない気持ちになる。
ーーまただ。またわたしはリッカ先輩に辛い思いを……きっとハルさんだって……
だけど乱暴なところは何一つ無いとしても珍しく有無を言わせないハルジオの雰囲気に呑まれ、ミルルは従うしかなかった。
ーーリッカ先輩、ごめんなさい……
そしてリッカを残し、その場を立ち去った。
ハルジオとミルル。
しばらく互いに黙って歩く。
ミルルはハルジオの様子がいつもと違うような気がしてならなかった。
それはやはりリッカとの間にミルルが居続けるからだろう。
それから少しして、隣を歩くハルジオが言った。
「ミルル、そうじゃないから」
「え?」
「今、キミが何を考えてるか俺には分かるよ。ミルル、キミは考え違いをしている」
「考え違い……?」
ミルルはハルジオを見上げた。
ハルジオはミルルと向かい合い、その華奢な両肩を手で掴んだ。
「キミが考えている事を、俺は望んではいない」
「ハルさん……?」
ーーわたしが今考えている事って……
その時………近くで騒ぎが起こった。
「大変だっ!!魔道具が暴発するぞっ!!」
就職斡旋所からの帰り道で、夫ハルジオの元恋人であるリッカ=ロナルドから声をかけられたミルル。
「え?リッカ先輩?」
今日もメイクもヘアスタイルも踏まれたら痛そうなピンヒールも、何もかも完璧な美しさのリッカを見て、ミルルは胸を撫で下ろしていた。
先日の結婚式で彼女の涙を目の当たりにしてから心配していたのだ。
食事も喉を通らないほど涙に明け暮れる日々を過ごしているのではないかと。
でもアイメイクバッチリのリッカを見て、涙を流してないのは一目瞭然。
ミルルは心の底から安堵していた。
「ミルルちゃん一人でお出かけだったの?」
「えぇそうなんです。ちょっと野暮用がありまして」
まさかハルジオとの離婚後の為に就職斡旋所に行ったとは言えないミルルはそう答えておいた。
ーーリッカ先輩に気を遣わせてはいけないものね。
リッカは微笑みをたたえながらミルルに言った。
「足の方はもうすっかり平気なようね」
「はいおかげさまで。飛んだり跳ねたり走ったりは出来ませんが日常生活ではもう困る事はありません」
「そう。それは良かったわ。でもハルジオったら本当にお人好しよね?大怪我を負った後輩に同情して人生まで面倒を見ようなんて。でもミルルちゃんも助かったんじゃない?経済的にも社会的にもハルジオに援助して貰って。ハルジオはとても責任感の強い人間だもの、きっとミルルちゃんを見捨てられなくて結婚したのよ。彼って昔から優しい性格だったから……」
「そう、ですよね……」
リッカはミルルの足にちらりと視線を向けて続けた。
「その足じゃあ社会復帰も時間がかかったでしょうし、ハルジオはそれを鑑みて貴女と籍を入れたのね。本当に律儀というか面倒見がいいというか、自分の事を犠牲にして結婚するなんて、義務感が強過ぎるわよね~善人過ぎるわよ」
リッカは、ハルジオはあくまでも同情心や義務感でミルルと結婚したのだという事を強調した。
そしてそれをするハルジオの人の良さを主張したのだ。
ミルルがそれを利用して今の生活を送っているのだと認めさせたいようだ。
「ね?ミルルちゃんも本当はそう思っているのでしょう?」
リッカはこれ見よがしにミルルに同意を求めた。
ミルルはリッカの話を黙って聞いていた。
ーーフン、現実を突きつけられて何も言い返せないようね。
さて、更に言葉を重ねてハルジオの側に居られないようにしてやろうと思ったその時、ミルルがいきなりリッカの両手を握ってきた。
それはもう力強くガッシリと、そして目をキラキラさせて激しく頷きながらミルルはリッカに同意した。
「そうなんです!!ハルさんは本当に責任感が強くて面倒見がよくて、真面目で律儀で優しい人なんですっ!!」
「………は?」
「さすがはリッカ先輩!ハルさんの元彼女さんなだけはありますね~。ハルさんの素晴らしいところを分かっていらっしゃいますっ、リッカ先輩の仰る通りです!ハルさんは様々な事に真摯に対応できる人で、困ってる人や弱ってる人にも優しく手を差し伸べられる善人オブ善人、まさに完璧な人なんですよね!!」
「…………え、えぇ……そう、ね……?」
突然のハイテンションでハルジオを褒めちぎるミルルに気圧されたリッカが引いているのに気付き、ミルルは慌てて握りしめていた手を離した。
「あ……ご、ごめんなさい、わたしったら……つい熱くなってしまって…でもハルさんの素晴らしさをリッカ先輩と一緒に語り合えるなんて幸せですっ。でもどうしましょう、ハルさんの事を語るには一晩では足らないと思うんです。リッカ先輩はまだお仕事中ですか?よろしければ夕食でもご一緒して、素敵なハルさんを語り合いま……ふがっ!?」
ミルルが最後まで言葉を告げる事は出来なかった。
ハルジオの素晴らしさを語り尽くしたいミルルの止まらない口を、後ろから優しく塞ぐ手があったからだ。
ミルルが大好きな大きく温かな手。
「ど、どうして貴方がこ、ここに……?」
リッカがその手の主を見上げて狼狽える。
「ふぁひゅひゃん!」(ハルさん!)
ミルルが身動いで顔を少しずらして自分の口を塞ぐ人物を見る。
そこにはやはり、今まさに褒めまくっていたハルジオの姿があった。
「偶然だねミルル。こんな所で可愛い奥さんに会えるとは思わなかったな。でも会えて嬉しいよ」
ハルジオに手を離して貰い、彼に向き合いながらミルルは嬉しそうに答えた。
「本当にすごい偶然ね!リッカ先輩だけでなくハルさんにも会えるなんて嬉しいわ!今ね、リッカ先輩と二人でハルさんの素晴らしさを語り合っていたのよ」
「へぇそうなんだ、それは光栄だな。でも魔法省から離れたこんな場所でわざわざ出くわすなんて、凄い偶然だよねぇ?」
ハルジオはそう言ってリッカに視線を向けた。
「……!」
ハルジオは笑みを浮かべているが目は笑ってはいなかった。
口元は緩く弧を描いているというのに、目は冷たく、殺気を纏って光っていたのだ。
それを目の当たりにしてリッカの目が大きく見開く。
今のハルジオの表情も、今までリッカが見た事もないようなものであった。
ただ目が笑っていないだけで何故こんな言い様もない恐怖を感じるのか、リッカは背中に冷たい汗が伝うのを感じた。
ミルルがハルジオに尋ねた。
「ハルさんはまだお仕事中なの?」
すると今度は本当の笑みを浮かべてハルジオが答えた。
「今日はもう上がりにしたんだ。明日に回せる仕事は明日に回したから一緒に帰ろう」
「そうなのね。ふふ、嬉しい。じゃあ帰りに市場に寄ってもいい?お買い物をして帰りたいの」
「もちろん。荷物持ちでもなんでもしますよ、可愛い奥さん」
「ふふ。……あ、でもリッカ先輩……」
ミルルはリッカの前でまた夫婦のやり取りを見せつけてしまった事に気付き、そして焦った。
それをハルジオがなんでもない事のように言う。
「ミスロナルド、キミはまだ仕事なんだよね?」
「っ……!え、えぇ……そうよ……」
否定する事は許さない、そんな冷たい気配がハルジオから漂っている事を気取ったリッカが、顔色を悪くして答えた。
秘密裏に復縁を迫っている相手に他人行儀な呼称で呼ばれた事よりも、殺意を乗せた視線を向けられている事のショックが大きかった。
陰でコソコソと動き、ミルルに接触した事をこの男が静かに激怒している事を肌に感じ、リッカは内心、酷く怯えた。
そんなリッカにハルジオは表面上は穏やかな声で告げる。
「じゃあ俺達はこれで失礼するよ。行こうか、ミルル」
「……え、で、でも……」
ハルジオに肩を抱かれて歩き出しながらも、ミルルは後ろ髪を引かれる思いでリッカを振り返る。
俯いて一人何かに耐えるように立ち尽くすリッカに、ミルルは堪らない気持ちになる。
ーーまただ。またわたしはリッカ先輩に辛い思いを……きっとハルさんだって……
だけど乱暴なところは何一つ無いとしても珍しく有無を言わせないハルジオの雰囲気に呑まれ、ミルルは従うしかなかった。
ーーリッカ先輩、ごめんなさい……
そしてリッカを残し、その場を立ち去った。
ハルジオとミルル。
しばらく互いに黙って歩く。
ミルルはハルジオの様子がいつもと違うような気がしてならなかった。
それはやはりリッカとの間にミルルが居続けるからだろう。
それから少しして、隣を歩くハルジオが言った。
「ミルル、そうじゃないから」
「え?」
「今、キミが何を考えてるか俺には分かるよ。ミルル、キミは考え違いをしている」
「考え違い……?」
ミルルはハルジオを見上げた。
ハルジオはミルルと向かい合い、その華奢な両肩を手で掴んだ。
「キミが考えている事を、俺は望んではいない」
「ハルさん……?」
ーーわたしが今考えている事って……
その時………近くで騒ぎが起こった。
「大変だっ!!魔道具が暴発するぞっ!!」
121
お気に入りに追加
3,788
あなたにおすすめの小説
麗しのラシェール
真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」
わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。
ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる?
これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。
…………………………………………………………………………………………
短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。
すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…
アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。
婚約者には役目がある。
例え、私との時間が取れなくても、
例え、一人で夜会に行く事になっても、
例え、貴方が彼女を愛していても、
私は貴方を愛してる。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 女性視点、男性視点があります。
❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。
彼の過ちと彼女の選択
浅海 景
恋愛
伯爵令嬢として育てられていたアンナだが、両親の死によって伯爵家を継いだ伯父家族に虐げられる日々を送っていた。義兄となったクロードはかつて優しい従兄だったが、アンナに対して冷淡な態度を取るようになる。
そんな中16歳の誕生日を迎えたアンナには縁談の話が持ち上がると、クロードは突然アンナとの婚約を宣言する。何を考えているか分からないクロードの言動に不安を募らせるアンナは、クロードのある一言をきっかけにパニックに陥りベランダから転落。
一方、トラックに衝突したはずの杏奈が目を覚ますと見知らぬ男性が傍にいた。同じ名前の少女と中身が入れ替わってしまったと悟る。正直に話せば追い出されるか病院行きだと考えた杏奈は記憶喪失の振りをするが……。
家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
婚約破棄でみんな幸せ!~嫌われ令嬢の円満婚約解消術~
春野こもも
恋愛
わたくしの名前はエルザ=フォーゲル、16才でございます。
6才の時に初めて顔をあわせた婚約者のレオンハルト殿下に「こんな醜女と結婚するなんて嫌だ! 僕は大きくなったら好きな人と結婚したい!」と言われてしまいました。そんな殿下に憤慨する家族と使用人。
14歳の春、学園に転入してきた男爵令嬢と2人で、人目もはばからず仲良く歩くレオンハルト殿下。再び憤慨するわたくしの愛する家族や使用人の心の安寧のために、エルザは円満な婚約解消を目指します。そのために作成したのは「婚約破棄承諾書」。殿下と男爵令嬢、お二人に愛を育んでいただくためにも、後はレオンハルト殿下の署名さえいただければみんな幸せ婚約破棄が成立します!
前編・後編の全2話です。残酷描写は保険です。
【小説家になろうデイリーランキング1位いただきました――2019/6/17】
最悪なお見合いと、執念の再会
当麻月菜
恋愛
伯爵令嬢のリシャーナ・エデュスは学生時代に、隣国の第七王子ガルドシア・フェ・エデュアーレから告白された。
しかし彼は留学期間限定の火遊び相手を求めていただけ。つまり、真剣に悩んだあの頃の自分は黒歴史。抹消したい過去だった。
それから一年後。リシャーナはお見合いをすることになった。
相手はエルディック・アラド。侯爵家の嫡男であり、かつてリシャーナに告白をしたクズ王子のお目付け役で、黒歴史を知るただ一人の人。
最低最悪なお見合い。でも、もう片方は執念の再会ーーの始まり始まり。
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる