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愛しい日々をあなたに 〜魔法省特務課の事件簿〜
お花ちゃんとカワイコチャン
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「いらっしゃいませ。いつも主人がお世話になっております。レガルドの妻の菫です」
「っ!?はわっ…はわわわわわわわっ……!」
ハルジオの妻ミルルが初めて訪れたリー家の玄関で菫の姿を見た瞬間、彼女は壊れたオモチャのようになってしまった。
「ミルル?」
ハルジオがそんなミルルの顔を覗き込む。
「は、は、は、は、はるさんっ……!」
ミルルはハルジオの服を縋るようにそっと掴み、そしてこう言った。
「花の天女さまがいるわっ……!」
「「え?」」(菫とハルジオ)
「花の天女っ!まさにっ!ミルルちゃん至言っ!!」
菫の美しさに我を忘れたミルルが発した言葉にレガルドが激しく同意する。
初対面で、ミルルは菫たんインパクトを体験した。
◇◇◇◇◇
「ト…トリミダシテ、ゴメンナサイ……」
落ち着きを取り戻し、次に恥ずかしさで居た堪れなくなったミルルにハルジオが言った。
「大丈夫だよミルル、スミレさんはそんな事で気を悪くするような人ではないからね」
ハルジオのその言葉に大いに頷きながらレガルドも言う。
「そうだよミルルちゃん、菫は菩薩のような女性だから。それに褒めてくれたのに気を悪くする訳がないよ」
「そうそう。スミレさんはお前のような無茶苦茶な旦那でもいつも広い心で全てを許し包み込んでくれる懐深い女性だからな」
「なにおぅ」
「ふふふ。ミルルさん、ありがとうございます。花の天女だなんて光栄です」
菫がお茶を差し出しながらミルルにそう告げた。
「や、優しい……!」
菫の言葉に感激するミルルにハルジオが言った。
「ミルル?目がハートになってない?」
「ぷっ……ハルジ、お前を見つめる時よりもミルルちゃんの目がハートになってるぞ」
「うるさい。今のスミレさんの表情も、お前を見ている時よりも優しげだぞ」
「え、菫ちゃん?」
「ぷ、ふふふ」「ふふふ」
夫たちのやり取りを、菫とミルルは可笑しげに笑う。
そしてテーブルの椅子に座るミルルが居ずまいを正して菫に告げた。
「改めまして菫さん、はじめましてミルル=バイスです。いつもレガルドさんには本当にお世話になっております」
「こちらこそ。私もハルジオさんには本当にお世話になったの。でもふふ、ハルジオさんが懸命に守ろうとされるのも頷けるわ。ミルルさんは本当に可愛らしい方だもの」
「ハルおじさま、おかおがあかいわ」
菫のお手伝いで焼き菓子をテーブルに置く蕾がハルジオの顔を見て言った。
「蕾、ハル小父さんはな、お腹の中は真っ黒だがたまにお顔が赤くなる事もあるんだぞ」
「お前の顔色は青褪めさせてやろうか?」
「なにおぅ!」
「めっ!なかよち!」
レガルドの膝の上に乗っていた楓が歪み合う父親とハルジオに仲良くしろと叱った。
それを見たミルルがまたまた壊れる。
「きゃ、きゃわわわわわわっ……!つ、蕾ちゃんも楓くんも、お話に聞いていたよりずっと可愛いわっ……きゃわわわ♡…あ!ワタシッタラマタ…ゴメンナサイ…」
ミルルの忙しいそのテンションが微笑ましく、みんなでまた笑ったのだった。
せっかくなので、という事でレガルドはハルジオと共に子ども達を連れて公園へと行き、
菫とミルルはゆっくりとお茶を飲みながらお喋りを楽しむ事が出来た。
「でも本当に会えて嬉しいわミルルさん」
「私もです。ふふ、お会い出来るようにレガルドさんにお願いして良かった」
「旦那様たちよりも仲良しになりましょうね」
「もちろん!ハルさんたちに負けていられません」
「ええ」
その後は東和の話になったり夫たちの話になったり……
菫とミルルは初めて会ったとは思えないほどすぐに打ち解けて楽しいお喋りに花を咲かせた。
そしてその後、公園から戻ってきたハルジオが皆に告げる。
三ヶ月後に本省に移動となり、このアパートメントポワンフルに戻って来るという事を。
「っ!?はわっ…はわわわわわわわっ……!」
ハルジオの妻ミルルが初めて訪れたリー家の玄関で菫の姿を見た瞬間、彼女は壊れたオモチャのようになってしまった。
「ミルル?」
ハルジオがそんなミルルの顔を覗き込む。
「は、は、は、は、はるさんっ……!」
ミルルはハルジオの服を縋るようにそっと掴み、そしてこう言った。
「花の天女さまがいるわっ……!」
「「え?」」(菫とハルジオ)
「花の天女っ!まさにっ!ミルルちゃん至言っ!!」
菫の美しさに我を忘れたミルルが発した言葉にレガルドが激しく同意する。
初対面で、ミルルは菫たんインパクトを体験した。
◇◇◇◇◇
「ト…トリミダシテ、ゴメンナサイ……」
落ち着きを取り戻し、次に恥ずかしさで居た堪れなくなったミルルにハルジオが言った。
「大丈夫だよミルル、スミレさんはそんな事で気を悪くするような人ではないからね」
ハルジオのその言葉に大いに頷きながらレガルドも言う。
「そうだよミルルちゃん、菫は菩薩のような女性だから。それに褒めてくれたのに気を悪くする訳がないよ」
「そうそう。スミレさんはお前のような無茶苦茶な旦那でもいつも広い心で全てを許し包み込んでくれる懐深い女性だからな」
「なにおぅ」
「ふふふ。ミルルさん、ありがとうございます。花の天女だなんて光栄です」
菫がお茶を差し出しながらミルルにそう告げた。
「や、優しい……!」
菫の言葉に感激するミルルにハルジオが言った。
「ミルル?目がハートになってない?」
「ぷっ……ハルジ、お前を見つめる時よりもミルルちゃんの目がハートになってるぞ」
「うるさい。今のスミレさんの表情も、お前を見ている時よりも優しげだぞ」
「え、菫ちゃん?」
「ぷ、ふふふ」「ふふふ」
夫たちのやり取りを、菫とミルルは可笑しげに笑う。
そしてテーブルの椅子に座るミルルが居ずまいを正して菫に告げた。
「改めまして菫さん、はじめましてミルル=バイスです。いつもレガルドさんには本当にお世話になっております」
「こちらこそ。私もハルジオさんには本当にお世話になったの。でもふふ、ハルジオさんが懸命に守ろうとされるのも頷けるわ。ミルルさんは本当に可愛らしい方だもの」
「ハルおじさま、おかおがあかいわ」
菫のお手伝いで焼き菓子をテーブルに置く蕾がハルジオの顔を見て言った。
「蕾、ハル小父さんはな、お腹の中は真っ黒だがたまにお顔が赤くなる事もあるんだぞ」
「お前の顔色は青褪めさせてやろうか?」
「なにおぅ!」
「めっ!なかよち!」
レガルドの膝の上に乗っていた楓が歪み合う父親とハルジオに仲良くしろと叱った。
それを見たミルルがまたまた壊れる。
「きゃ、きゃわわわわわわっ……!つ、蕾ちゃんも楓くんも、お話に聞いていたよりずっと可愛いわっ……きゃわわわ♡…あ!ワタシッタラマタ…ゴメンナサイ…」
ミルルの忙しいそのテンションが微笑ましく、みんなでまた笑ったのだった。
せっかくなので、という事でレガルドはハルジオと共に子ども達を連れて公園へと行き、
菫とミルルはゆっくりとお茶を飲みながらお喋りを楽しむ事が出来た。
「でも本当に会えて嬉しいわミルルさん」
「私もです。ふふ、お会い出来るようにレガルドさんにお願いして良かった」
「旦那様たちよりも仲良しになりましょうね」
「もちろん!ハルさんたちに負けていられません」
「ええ」
その後は東和の話になったり夫たちの話になったり……
菫とミルルは初めて会ったとは思えないほどすぐに打ち解けて楽しいお喋りに花を咲かせた。
そしてその後、公園から戻ってきたハルジオが皆に告げる。
三ヶ月後に本省に移動となり、このアパートメントポワンフルに戻って来るという事を。
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