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ミニ番外編
書籍発売御礼番外編 幼い頃の写真
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今回はいつも読んで下さる皆さんのおかげで書籍が10月末に発売される事への御礼としまして、番外編をお届けします。
時間的にはハノンとフェリックスが入籍して王都で暮らし始めた頃です。
久々のるちあんをどうぞ♡
───────────────────────
王都の一等地にあるワイズ侯爵家のタウンハウスに、ハノンとフェリックスはルシアンを連れて遊びに来ていた。
義母のアメリアがルシアンの赤ん坊の頃の写真が見たいと言ったので、アルバムを持参したのだ。
「まぁーー♡やっぱりルシちゃんは生まれた時から可愛いかったのねーー♡」
「生まれてすぐなのに猿ではなくすでに天使とは……!さすがは私の孫だっ」
友人のメロディが写真好きで、魔力念写魔道具を持っていたためにルシアンは生まれてすぐからの写真が豊富にある。
それをまとめたアルバムを見て、アルドンもアメリアも目尻を下げて蕩けている。
仕方ない事とはいえ、ワイズ家の家族が実物の赤ん坊ルシアンを見れなかったのはとても残念に思う。
だからせめて写真がたくさんあって良かった。
また一つ、メロディに感謝することが増えたなともハノンは思った。
するとルシアンが写真立てを一つ持って、ハノンに見せてきた。
「まま、これぼく?」
「え?」
ハノンはルシアンが持っていた写真立てを手に取りまじまじと見つめた。
写真に写っているのは間違いなくルシアンだと思うのだが何かが違う気がする。
髪型も目の色も顔立ちも全てが一緒なのに何かが違うのだ。
母親だからこそわかるごく僅かな違いを感じる。
するとその写真を見てアメリアが言った。
「あら、それはフェリックスの幼い頃の写真ね。保存魔法を掛けてあるから少しも劣化していないでしょう?このサンルームのライティングビューローに家族の写真を並べているのを見つけたのね」
「なるほど、フェリックスでしたか……ふふ、どうりでそっくりだと思いました」
こうやって見るとルシアンが父親似なのだと言う事が本当によくわかる。
幼いフェリックスは今のルシアンと激似であった。
───あ、考えてみれば反対ね。ルシアンがフェリックスに激似なのね。
ハノンは心の中でそう思い、微笑ましげに写真を見つめた。
そんなハノンをフェリックスが凝視する。
ハノンはその視線が気になってフェリックスに訊いた。
「なに?わたしの顔に何か付いてる?」
ハノンの言葉にフェリックスは真剣な顔で答えた。
「いや……ハノンの幼い頃はどんな感じだったのだろうと思って」
「え?わたし?」
「写真はないのか?」
「ルーセル子爵家にカメラなんて高価なものは無かったから恥ずかしいくらいに少ないの」
「ゼロではないんだな?」
フェリックスが食いつき気味に訊いてくるのでハノンはたじろぎつつも頷いた。
「え、ええ……お兄さまが持ってると思うわ……わたしは逆にお兄さまの子供の頃の写真を持ってるもの……」
「まぁ、互いに互いのを持ち合うなんて素敵ね、本当に仲の良い兄妹なのね」
アメリアが感心しながら言うのを尻目に、フェリックスが徐に立ち上がった。
「フェリックス?」
ハノンが訝しげな顔を向けるとフェリックスはハッキリとした口調で告げる。
「今から北方に行って義兄さんに写真を見せて貰ってくる。父さん、転移魔法増幅魔道具を貸して欲しい」
(説明しよう。転移魔法増幅魔道具とは、元々転移魔法を使える術者の能力を増幅させて転移の距離を伸ばすものなのだ。もんの凄く高価な魔道具らしいぞ)
「ええっ?ちょっと……本気なのっ?」
ハノンが慌てて問いただすと、フェリックスは大真面目に頷いた。
「もちろん本気に決まってる。ルシー行くぞ、伯父さんに会いに行こう」
「おぢたん!」
嬉しそうに言うルシアンを抱き上げて、フェリックスは足早に部屋を出て行った。
ハノンはその姿を唖然として見送るしかなかった。
「わざわざ北まで見にいかなくても……」
こうしてフェリックスは転移魔法にて北方のオルブレイ辺境伯領へと飛び、ファビアンにハノンの幼い頃の写真を見せて貰ったのであった。
そして可愛い幼い頃のハノンの写真を見て、
「是非この写真を焼き増しさせてください!」
と真剣な顔でファビアンに頼んだ。
もちろんファビアンはそれを快諾し、その時一緒に写真を見ていた婚約を結んだばかりのランツェがこう言った。
「では是非ファビアンさまがチビゴリラちゃんだった頃のお写真も焼き増ししていただきたいですわ~!」
それからフェリックスとランツェはその複製した写真を引き伸ばしてポスターにしようとか、逆に小さく出力してロケットペンダントに入れたいとか写真を元に画家に絵を描いて貰ってもいいなとか、その絵を元に刺繍や織物にしてタペストリーにしよう、などど大いに盛り上がったのであった。
その側でルシアンは伯父の膝の上に乗り、幼い頃の母の写真をくりくりのお目目で見つめていた。
「まま、かわいー!」
チャンチャン☆
•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆
オマケ
●幼いハノンの写真を見た瞬間のフェリックス。
フェ)「これはっ……妖精かっ……?いや間違いなく妖精だな、俺の妻は幼い頃は妖精だったのか……!」
ル)「まま、かわいー!」
ファ)「そうだろう、そうだろう!ハノンは本っ当に愛らしい幼子だったんだ!」(ドヤァ)
フェ)「お義兄さん、これはヤバイですね。実物を見たかったです」
ルシ)「まま、かわいー!」
ファ)「そう思うよな!しかしそれが叶わず残念だ……」
ラン)「あら、ハノン様がお嬢様をお産みになった、もしかしたら再現、という形でご覧になれるかもしれませんわよ?」
フェ)「ハッ……!(娘もいいな……)」
ファ)「ハッ……!(姪もいいな……)」
ル)「まま、かわいー!」
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
今日は少し感想の返信が遅れると思います。
ごめりんこです(❁ᴗ͈ˬᴗ͈))ペコリンチョ
時間的にはハノンとフェリックスが入籍して王都で暮らし始めた頃です。
久々のるちあんをどうぞ♡
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王都の一等地にあるワイズ侯爵家のタウンハウスに、ハノンとフェリックスはルシアンを連れて遊びに来ていた。
義母のアメリアがルシアンの赤ん坊の頃の写真が見たいと言ったので、アルバムを持参したのだ。
「まぁーー♡やっぱりルシちゃんは生まれた時から可愛いかったのねーー♡」
「生まれてすぐなのに猿ではなくすでに天使とは……!さすがは私の孫だっ」
友人のメロディが写真好きで、魔力念写魔道具を持っていたためにルシアンは生まれてすぐからの写真が豊富にある。
それをまとめたアルバムを見て、アルドンもアメリアも目尻を下げて蕩けている。
仕方ない事とはいえ、ワイズ家の家族が実物の赤ん坊ルシアンを見れなかったのはとても残念に思う。
だからせめて写真がたくさんあって良かった。
また一つ、メロディに感謝することが増えたなともハノンは思った。
するとルシアンが写真立てを一つ持って、ハノンに見せてきた。
「まま、これぼく?」
「え?」
ハノンはルシアンが持っていた写真立てを手に取りまじまじと見つめた。
写真に写っているのは間違いなくルシアンだと思うのだが何かが違う気がする。
髪型も目の色も顔立ちも全てが一緒なのに何かが違うのだ。
母親だからこそわかるごく僅かな違いを感じる。
するとその写真を見てアメリアが言った。
「あら、それはフェリックスの幼い頃の写真ね。保存魔法を掛けてあるから少しも劣化していないでしょう?このサンルームのライティングビューローに家族の写真を並べているのを見つけたのね」
「なるほど、フェリックスでしたか……ふふ、どうりでそっくりだと思いました」
こうやって見るとルシアンが父親似なのだと言う事が本当によくわかる。
幼いフェリックスは今のルシアンと激似であった。
───あ、考えてみれば反対ね。ルシアンがフェリックスに激似なのね。
ハノンは心の中でそう思い、微笑ましげに写真を見つめた。
そんなハノンをフェリックスが凝視する。
ハノンはその視線が気になってフェリックスに訊いた。
「なに?わたしの顔に何か付いてる?」
ハノンの言葉にフェリックスは真剣な顔で答えた。
「いや……ハノンの幼い頃はどんな感じだったのだろうと思って」
「え?わたし?」
「写真はないのか?」
「ルーセル子爵家にカメラなんて高価なものは無かったから恥ずかしいくらいに少ないの」
「ゼロではないんだな?」
フェリックスが食いつき気味に訊いてくるのでハノンはたじろぎつつも頷いた。
「え、ええ……お兄さまが持ってると思うわ……わたしは逆にお兄さまの子供の頃の写真を持ってるもの……」
「まぁ、互いに互いのを持ち合うなんて素敵ね、本当に仲の良い兄妹なのね」
アメリアが感心しながら言うのを尻目に、フェリックスが徐に立ち上がった。
「フェリックス?」
ハノンが訝しげな顔を向けるとフェリックスはハッキリとした口調で告げる。
「今から北方に行って義兄さんに写真を見せて貰ってくる。父さん、転移魔法増幅魔道具を貸して欲しい」
(説明しよう。転移魔法増幅魔道具とは、元々転移魔法を使える術者の能力を増幅させて転移の距離を伸ばすものなのだ。もんの凄く高価な魔道具らしいぞ)
「ええっ?ちょっと……本気なのっ?」
ハノンが慌てて問いただすと、フェリックスは大真面目に頷いた。
「もちろん本気に決まってる。ルシー行くぞ、伯父さんに会いに行こう」
「おぢたん!」
嬉しそうに言うルシアンを抱き上げて、フェリックスは足早に部屋を出て行った。
ハノンはその姿を唖然として見送るしかなかった。
「わざわざ北まで見にいかなくても……」
こうしてフェリックスは転移魔法にて北方のオルブレイ辺境伯領へと飛び、ファビアンにハノンの幼い頃の写真を見せて貰ったのであった。
そして可愛い幼い頃のハノンの写真を見て、
「是非この写真を焼き増しさせてください!」
と真剣な顔でファビアンに頼んだ。
もちろんファビアンはそれを快諾し、その時一緒に写真を見ていた婚約を結んだばかりのランツェがこう言った。
「では是非ファビアンさまがチビゴリラちゃんだった頃のお写真も焼き増ししていただきたいですわ~!」
それからフェリックスとランツェはその複製した写真を引き伸ばしてポスターにしようとか、逆に小さく出力してロケットペンダントに入れたいとか写真を元に画家に絵を描いて貰ってもいいなとか、その絵を元に刺繍や織物にしてタペストリーにしよう、などど大いに盛り上がったのであった。
その側でルシアンは伯父の膝の上に乗り、幼い頃の母の写真をくりくりのお目目で見つめていた。
「まま、かわいー!」
チャンチャン☆
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オマケ
●幼いハノンの写真を見た瞬間のフェリックス。
フェ)「これはっ……妖精かっ……?いや間違いなく妖精だな、俺の妻は幼い頃は妖精だったのか……!」
ル)「まま、かわいー!」
ファ)「そうだろう、そうだろう!ハノンは本っ当に愛らしい幼子だったんだ!」(ドヤァ)
フェ)「お義兄さん、これはヤバイですね。実物を見たかったです」
ルシ)「まま、かわいー!」
ファ)「そう思うよな!しかしそれが叶わず残念だ……」
ラン)「あら、ハノン様がお嬢様をお産みになった、もしかしたら再現、という形でご覧になれるかもしれませんわよ?」
フェ)「ハッ……!(娘もいいな……)」
ファ)「ハッ……!(姪もいいな……)」
ル)「まま、かわいー!」
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
今日は少し感想の返信が遅れると思います。
ごめりんこです(❁ᴗ͈ˬᴗ͈))ペコリンチョ
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