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ミニ番外編
波乱の入学式 〜ミシェル〜
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アデリオール魔術学園の入学式。
在校する親族としてポレットの同伴者を務めるルシアン。
デイビッドの洗礼を受けた後、ルシアンはポレットを新入生の集合場所である講堂前の広場へと連れて行った。
そこにはこれから始まる学園生活に胸を躍らせる新入生たちで溢れかえっていた。
その中で一際目立つ存在。
ルシアンはすぐにその姿を見つけた。
どこにいようと、たとえ大勢の群衆の中に紛れていようとすぐに見つけ出せる自信がある。
初恋を自覚してからずっと大切に想いを育んでいる相手。
彼女も今日からこの魔術学園の生徒だ。
「ミシェル!」
妹のポレットもその姿に気づき、嬉しそうに彼女の名を呼んだ。
「ポレット!」
名を呼ばれ艶やかな黒髪をポニーテールにしたミシェルが振り返り、駆け寄って来たポレットと手に手を取り合った。
その瞬間、周りが騒然となる。
美少女と美少女が喜びあい、お手手繋いでキャッキャしているのだ。
これはザワつかないわけにはいかないだろう。
ポレットが美少女なのは変わらない。
しかしミシェルは蝶が蛹の中で完全変態し羽化して飛び立つが如く、その容貌を劇的に変化させていたのだ。
きっかけは初潮を迎えた事ではないかと思われる。
思春期に突入し、父親であるファビアンのゴリラ遺伝子を抑え母親ランツェの妖精遺伝子が勝利した。
そんなミシェルの細胞たちは彼女を美少女へと作り変えたのである。
しかし姿形が変わってもミシェルはやはりミシェルであった。
優しく思いやりがあり謙虚。
運動神経が抜群の剣術大好きっ子。
ルシアンの大切な女の子だ。
ルシアンはミシェルとポレットの元へと歩いて行った。
ポレットがミシェルに言う。
「事前に送られたクラス表を見た?私たち、同じクラスね!」
「うんびっくりしたけどポレットが一緒で嬉しい!あ、ルシアン様ごきげんよう。今日から後輩としてもよろしくお願いします!」
ミシェルがポレットに返しながらも側に来たルシアンに挨拶をした。
ルシアンは優しく微笑んだ。
「入学おめでとうミシェル。制服がとても良く似合ってるね」
「本当ですか?嬉しいです」
少し恥ずかしそう笑うミシェルを見てポレットが言う。
「同じ制服でも髪色が違うだけで印象が変わるのね。ミシェルの制服姿はとっても清楚で素敵だわ」
妹よ、激しく同感だ。とルシアンは思った。
「あ、ありがとう……」
はにかみながらミシェルがそう小さな声で言ったのを聞き、
ルシアンは先ほどデイビッドが「破壊力が半端ないと」言っていたのを思い出した。
そして少しだけその気持ちがわかったのだった。
「伯父さまはミシェルの制服姿をご覧になったの?」
ポレットがそう訊ねるとミシェルは頷いた。
「制服が届いたその日に。着て見てせ欲しいと言われて」
「伯父さん、泣いただろう」
「どうしてわかったのですか?」
ルシアンの言葉にミシェルは驚いた顔をした。
「ファビアン伯父さんは僕の制服姿を見ても泣いたんだ。娘のミシェルなら尚更だろうなと思って」
「まぁお父さまったら本当に泣き虫なんだから……」
「ふふふ」
ポレットがころころと笑った。
事実、ルシアンの入学時にたまたま王都にいたファビアンに制服姿を見せたとき、
ファビアンは『ルシアンっ……!大きくなったな!』と言って感涙していたのだ。
娘の制服姿ともなればきっと滂沱の涙を流したに違いない。
ミシェルは今日はロードリック辺境伯の屋敷から魔道具転移魔法で学園入りをした。
そして今夜からは学園に通いやすいワイズ伯爵家で生活することが決まっている。
正直、ミシェルと一つ屋根の下共に暮らすとなると心中穏やかではいられない気もするルシアンだが、
騎士科は朝練と放課後の鍛錬があって帰宅も遅いため生活のリズムが少し違うかもしれないなと思った。
残念なようなホッとしたような……複雑な心境のルシアン十七歳の秋であった。
(魔術学園は秋に新学期を迎える二学期制)
その後、定刻通りに入学式は始まり、ルシアンは在校生の席からその様子を見守った。
デイビッドの祝辞はそれはそれは素晴らしく、もの怖じしない堂々とした話し方でその場にいた者全てを魅了していた。
(とくに女子生徒たちを……)
しかしチラリチラリと時折ポレットの方に向かって視線を送っていたのをルシアンは見逃さなかった。
きっとここに父がいたらデイビッドが壇上からポレットを見る度に「チ、」と舌打ちをするのが聞こえただろうなぁと思い、祝辞の最中吹き出しそうになってしまった。
そしてポレットもミシェルも新入生らしい初々しい表情でデイビッドや来賓客の祝辞を熱心に聞いているのが可愛いなとも思ったルシアンであった。
こうしてポレットとミシェルは無事に入学式を終え、晴れてアデリオール魔術学園の生徒となった。
そしてあともう二人……
生徒ではないがこの秋から魔術学園に赴任してきた者がいる。
そのうちの一人。
薬剤師の白衣をはためかせ特注のピンヒールで学内を闊歩するオネェの姿を発見。
「フフ♡どいつもコイツもカワイイわネ♡若者ってイイワ~♡頭から丸呑みしたくなっちゃう♡」
在校する親族としてポレットの同伴者を務めるルシアン。
デイビッドの洗礼を受けた後、ルシアンはポレットを新入生の集合場所である講堂前の広場へと連れて行った。
そこにはこれから始まる学園生活に胸を躍らせる新入生たちで溢れかえっていた。
その中で一際目立つ存在。
ルシアンはすぐにその姿を見つけた。
どこにいようと、たとえ大勢の群衆の中に紛れていようとすぐに見つけ出せる自信がある。
初恋を自覚してからずっと大切に想いを育んでいる相手。
彼女も今日からこの魔術学園の生徒だ。
「ミシェル!」
妹のポレットもその姿に気づき、嬉しそうに彼女の名を呼んだ。
「ポレット!」
名を呼ばれ艶やかな黒髪をポニーテールにしたミシェルが振り返り、駆け寄って来たポレットと手に手を取り合った。
その瞬間、周りが騒然となる。
美少女と美少女が喜びあい、お手手繋いでキャッキャしているのだ。
これはザワつかないわけにはいかないだろう。
ポレットが美少女なのは変わらない。
しかしミシェルは蝶が蛹の中で完全変態し羽化して飛び立つが如く、その容貌を劇的に変化させていたのだ。
きっかけは初潮を迎えた事ではないかと思われる。
思春期に突入し、父親であるファビアンのゴリラ遺伝子を抑え母親ランツェの妖精遺伝子が勝利した。
そんなミシェルの細胞たちは彼女を美少女へと作り変えたのである。
しかし姿形が変わってもミシェルはやはりミシェルであった。
優しく思いやりがあり謙虚。
運動神経が抜群の剣術大好きっ子。
ルシアンの大切な女の子だ。
ルシアンはミシェルとポレットの元へと歩いて行った。
ポレットがミシェルに言う。
「事前に送られたクラス表を見た?私たち、同じクラスね!」
「うんびっくりしたけどポレットが一緒で嬉しい!あ、ルシアン様ごきげんよう。今日から後輩としてもよろしくお願いします!」
ミシェルがポレットに返しながらも側に来たルシアンに挨拶をした。
ルシアンは優しく微笑んだ。
「入学おめでとうミシェル。制服がとても良く似合ってるね」
「本当ですか?嬉しいです」
少し恥ずかしそう笑うミシェルを見てポレットが言う。
「同じ制服でも髪色が違うだけで印象が変わるのね。ミシェルの制服姿はとっても清楚で素敵だわ」
妹よ、激しく同感だ。とルシアンは思った。
「あ、ありがとう……」
はにかみながらミシェルがそう小さな声で言ったのを聞き、
ルシアンは先ほどデイビッドが「破壊力が半端ないと」言っていたのを思い出した。
そして少しだけその気持ちがわかったのだった。
「伯父さまはミシェルの制服姿をご覧になったの?」
ポレットがそう訊ねるとミシェルは頷いた。
「制服が届いたその日に。着て見てせ欲しいと言われて」
「伯父さん、泣いただろう」
「どうしてわかったのですか?」
ルシアンの言葉にミシェルは驚いた顔をした。
「ファビアン伯父さんは僕の制服姿を見ても泣いたんだ。娘のミシェルなら尚更だろうなと思って」
「まぁお父さまったら本当に泣き虫なんだから……」
「ふふふ」
ポレットがころころと笑った。
事実、ルシアンの入学時にたまたま王都にいたファビアンに制服姿を見せたとき、
ファビアンは『ルシアンっ……!大きくなったな!』と言って感涙していたのだ。
娘の制服姿ともなればきっと滂沱の涙を流したに違いない。
ミシェルは今日はロードリック辺境伯の屋敷から魔道具転移魔法で学園入りをした。
そして今夜からは学園に通いやすいワイズ伯爵家で生活することが決まっている。
正直、ミシェルと一つ屋根の下共に暮らすとなると心中穏やかではいられない気もするルシアンだが、
騎士科は朝練と放課後の鍛錬があって帰宅も遅いため生活のリズムが少し違うかもしれないなと思った。
残念なようなホッとしたような……複雑な心境のルシアン十七歳の秋であった。
(魔術学園は秋に新学期を迎える二学期制)
その後、定刻通りに入学式は始まり、ルシアンは在校生の席からその様子を見守った。
デイビッドの祝辞はそれはそれは素晴らしく、もの怖じしない堂々とした話し方でその場にいた者全てを魅了していた。
(とくに女子生徒たちを……)
しかしチラリチラリと時折ポレットの方に向かって視線を送っていたのをルシアンは見逃さなかった。
きっとここに父がいたらデイビッドが壇上からポレットを見る度に「チ、」と舌打ちをするのが聞こえただろうなぁと思い、祝辞の最中吹き出しそうになってしまった。
そしてポレットもミシェルも新入生らしい初々しい表情でデイビッドや来賓客の祝辞を熱心に聞いているのが可愛いなとも思ったルシアンであった。
こうしてポレットとミシェルは無事に入学式を終え、晴れてアデリオール魔術学園の生徒となった。
そしてあともう二人……
生徒ではないがこの秋から魔術学園に赴任してきた者がいる。
そのうちの一人。
薬剤師の白衣をはためかせ特注のピンヒールで学内を闊歩するオネェの姿を発見。
「フフ♡どいつもコイツもカワイイわネ♡若者ってイイワ~♡頭から丸呑みしたくなっちゃう♡」
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