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第一章
婚約者になんかなりません!
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「えぇ!?一緒に帰れないって……、それは一体どういう事だ!?」
ジュリの父、ランバード辺境伯が娘の帰れない宣言に仰天した。
「ごめんなさいお父さま。今わたしがアルジノン様を見捨てると、世界の存亡の鍵が掴めなくなってしまうの」
「王太子殿下の?存亡?鍵?なんなんだそれは!?」
「聞かないでお父さま。これ以上は機密漏洩になってしまうわ」
「お、おう……予言絡みか……それにしたってどうしてジュリが」
「乗りかかった船と言うか、あまりにもアルジノン様が残念で、今はとても見捨ててはいけないの。でも大丈夫よ。鍛錬や勉強の習慣が癖付いて、わたしが居なくても大丈夫と判断したらすぐに領地に帰るわ」
「ジュリィィ……それなら俺ももう少し王都にいるよ」
父が眉を八の字にして情けない顔で言う。
「あらダメよお父さまは。お父さまがいなければ誰が国境を守るの?」
「それは屈強な正騎士たちが守るさ。俺は有事の際に責任を取るためにいるだけだからな」
「そんな事はないでしょう。とにかくわたしも直ぐに帰りますから、お父さまは一足先に帰っていてくださいね。それではご機嫌よ~う!」
「ジュリィィ!」
王太子アルジノンを立派な運命の王子にするべく、ジュリは王宮に滞在する事にした。
朝から晩までのスケジュールを管理し、座学、鍛錬、そして価値観の意識改革を行った。
故郷の領地では弟たち二人の面倒を見てきたジュリにとっては、まぁ朝飯前の事であった。
……王太子の教育なのに……。
アルジノンの両親も、城の者たちも、我儘三昧に育ってしまっていたアルジノンにどう対応してよいのかわからなくなっていたのだ。
一応の教師陣は揃っていたが、皆アルジノンの我儘な傍若無人ぶりに手を焼いていた。
そんな中、熱血体育教師ばりのジュリが彗星の如く現れ、皆は両手を上げて喜んだ。
俺様王子が素直に従う唯一の存在……。
ジュリの立ち位置は今やイグリードの予言持ちというよりはアルジノン専属の教育係といったものになっていた。
朝6時に起床。
体を目覚めさせ柔らかくするためのストレッチをする。
朝食後は各教師陣の座学。
これはアルジノンの希望によりジュリも参加している。
かなり高度な授業だが、無料で受けれると思ったら勿体なくて辞退できない。
その後近衛騎士による剣技の指導。
残念ながらジュリはランバード辺境伯よりお預かりした大切な令嬢だから…と、一緒に受けさせては貰えなかった。
昼食後は
マナーやダンスレッスンなど。
アルジノンの希望でもちろんジュリも一緒に。
お茶の時間を挟んで、その後がジュリの本格的な出番だ。
国境騎士団式筋力トレーニングと
国境騎士団式地獄のロードワークだ。
初日のトレーニングはかなり手加減したのにも関わらず、アルジノンはその後、三日間寝込んだ。
ち、軟弱乙女め……とは思ったが、
今まで一斎運動なんてして来なかったのだから無理もないかと考えを改め、
かなり優しめに手を抜いた。
それでもヒィヒィ言っていたが、
ひと月もするとかなりマシになっていた。
驚いたのがあんなに傲慢で我儘で自分に甘いアルジノンが、ジュリの決めたメニューを逃げ出す事もなく、もくもくと熟しているのだ。
やらせておいて何なんだと言われそうだが不思議に思ったジュリは、ある日アルジノンに聞いてみた。
「正直に言って、ジノン様がこんなに頑張ると思ってませんでした。やれば出来る子でしたね、でもどういう心境の変化ですか?」
ジュリがそう言うと、アルジノンは俯いて小さな声で答えた。
「……だって、俺を鍛えるという目的があるうちはお前は王宮にいるんだろう……?」
「へ?」
「だったら、俺が頑張ってるウチはお前が側にいてくれるという事だ、そうだろ?」
「そう……かな?」
そうなるか?
「……でも、俺の面倒を見終えたら、やはり……帰るのだよな」
「そりゃあ帰りますよ」
「ジュリがいなくなったら俺はまた友達ひとりいない寂しいヤツだ」
「そこまではいかないでしょう」
「そんな事はない。みんな俺を怖がる。俺の顔色ばかり伺って、作り笑いするヤツばかりだ」
「……ジノン様、それはジノン様が周りにそうさせてるんですよ」
「……わかってる。でもそれにより更に腫れモノのように扱われて、俺も更に腹が立って……」
それで腹いせに傲慢な態度で威張り散らすのか。
「ジノン様、あなたはやれば出来る子です。周りが変わるように頑張ってみませんか?」
「どうやって?」
「そうですね……、
うーん…人を変えるより自分が変わる方が簡単だと思うんです。まずはジノン様が人に優しくする事から初めてみませんか?
そうすればいつの間にか周りの人もジノン様に優しく接するようになるのではないでしょうか?そうすれば友達も沢山できると思います。だったらもう寂しくないでしょう?」
「……友達が沢山できても、ジュリが一番近くにいてくれるか?」
「ふふ、いいですよ。一番の友達です」
「………。」
「………ジノン様?」
「もしジュリが領地に帰ったとして、次に会えるのはいつだ?」
「?わたしの役目は8年後ですね。王都とウチの領地は馬車で一週間もかかりますから、それまでは来ないと思います」
「8年後!?」
「はい。でも手紙を沢山書きますよ」
「……ジュリ」
「はい」
「俺は決めたぞ」
「はい?何がですか?」
「……お前を、俺の婚約者にする」
「…………………………は?」
「そうだ。最初からそうしておけば良かったんだ、婚約者なら王妃教育の為に王宮に住むことも認められる!ずっとジュリと一緒にいられるじゃないか!」
「ちょっ……ちょっと待って、」
「早速、両陛下とランバード伯に婚約の許しを得よう!」
「ジノン様!!お待ちください!!」
国王夫妻の住む太陽宮目掛けてアルジノンが走って行こうとするのを、ジュリは必死になって止めた。
「何故だ?ジュリは俺との婚約に不服でもあるのか?」
「大アリです!」
「贅沢をさせてやるぞ。ドレスでも宝石でもなんでも買ってやる。何不自由なく暮らさせてやるぞ」
「そんな事は望んでいません。
……ジノン様、聞いてください。ジノン様にはちゃんと運命の人がいるんです。その人こそ、わたしが予言を呈する人で、ジノン様の将来に深く関わる人なのです」
「……は?」
「だからわたしはジノン様の婚約者にはなれません。なぜなら、ジノン様の運命の人はわたしではないからです」
「………。」
「ご理解いただけましたか?」
「……いやだ」
「え?」
「そんな事言われて、 はいそうですかと引き下がれるくらいなら、最初から婚約者に望んだりなんかしない」
「ジノン様!」
わからずやの頬をジュリは両手で包み込んた。
目と目を合わせてアルジノンに訴えかける。
「ジノン様の一時の気まぐれで、未来のわたしを傷モノにするつもりですか!?」
「どうして傷モノになるんだ」
「婚約者がこの国の王太子で、その人に捨てられた女が、傷ものにならないわけないでしょう!もうまともな婚姻なんて望めませんよ!」
「それなら問題ない。俺がお前を捨てるなんて有り得ない。だから傷モノになんかならない、良かったな」
「良くない!良くないです!」
「何を言おうと無駄だ。俺は決めた。俺は欲しいと思ったものは手に入れないと気が済まない性質なんだ」
「なんて身勝手な!!」
「わははは!身勝手上等!必ずこの婚約は押し通す!!」
アルジノンがモヤシっ子とは思えないダッシュを見せる。
ジュリはその後ろ姿に悲鳴に似た声を掛ける事しか出来なかった。
「もう!アルジノン様っ!!」
アルジノンがジュリとの婚約を希望する事を国王夫妻に告げると、夫妻は大喜びで承認した。
ジュリはイグリードの予言持ちで辺境伯令嬢だ。
家格の釣り合いも問題無しとし、あっという間にランバード家に婚約の打診をした。
まさか王家からの婚約の申し出を断れる筈もなく、父のランバード辺境伯はただ、
「謹んでお受けいたします……」と
王宮からの使者に返事をしたという。
ジュリがどれだけ誰に何を言おうとも、
王宮の人間もみんなジュリを暴君アルジノンのストッパーとしてを歓待していたので、誰も意を唱える者もなくあれよあれよと二人の婚約は結ばれてしまったのだった。
「む、惨い…あんまりだ……」
こうなったらもう、
アルジノンの運命の相手が現れるまでに
婚約の解消をして貰わねばならない。
この時
シュ・ジュリ=ランバード10歳。
イグリードとの約束の日まで
あと8年であった。
ジュリの父、ランバード辺境伯が娘の帰れない宣言に仰天した。
「ごめんなさいお父さま。今わたしがアルジノン様を見捨てると、世界の存亡の鍵が掴めなくなってしまうの」
「王太子殿下の?存亡?鍵?なんなんだそれは!?」
「聞かないでお父さま。これ以上は機密漏洩になってしまうわ」
「お、おう……予言絡みか……それにしたってどうしてジュリが」
「乗りかかった船と言うか、あまりにもアルジノン様が残念で、今はとても見捨ててはいけないの。でも大丈夫よ。鍛錬や勉強の習慣が癖付いて、わたしが居なくても大丈夫と判断したらすぐに領地に帰るわ」
「ジュリィィ……それなら俺ももう少し王都にいるよ」
父が眉を八の字にして情けない顔で言う。
「あらダメよお父さまは。お父さまがいなければ誰が国境を守るの?」
「それは屈強な正騎士たちが守るさ。俺は有事の際に責任を取るためにいるだけだからな」
「そんな事はないでしょう。とにかくわたしも直ぐに帰りますから、お父さまは一足先に帰っていてくださいね。それではご機嫌よ~う!」
「ジュリィィ!」
王太子アルジノンを立派な運命の王子にするべく、ジュリは王宮に滞在する事にした。
朝から晩までのスケジュールを管理し、座学、鍛錬、そして価値観の意識改革を行った。
故郷の領地では弟たち二人の面倒を見てきたジュリにとっては、まぁ朝飯前の事であった。
……王太子の教育なのに……。
アルジノンの両親も、城の者たちも、我儘三昧に育ってしまっていたアルジノンにどう対応してよいのかわからなくなっていたのだ。
一応の教師陣は揃っていたが、皆アルジノンの我儘な傍若無人ぶりに手を焼いていた。
そんな中、熱血体育教師ばりのジュリが彗星の如く現れ、皆は両手を上げて喜んだ。
俺様王子が素直に従う唯一の存在……。
ジュリの立ち位置は今やイグリードの予言持ちというよりはアルジノン専属の教育係といったものになっていた。
朝6時に起床。
体を目覚めさせ柔らかくするためのストレッチをする。
朝食後は各教師陣の座学。
これはアルジノンの希望によりジュリも参加している。
かなり高度な授業だが、無料で受けれると思ったら勿体なくて辞退できない。
その後近衛騎士による剣技の指導。
残念ながらジュリはランバード辺境伯よりお預かりした大切な令嬢だから…と、一緒に受けさせては貰えなかった。
昼食後は
マナーやダンスレッスンなど。
アルジノンの希望でもちろんジュリも一緒に。
お茶の時間を挟んで、その後がジュリの本格的な出番だ。
国境騎士団式筋力トレーニングと
国境騎士団式地獄のロードワークだ。
初日のトレーニングはかなり手加減したのにも関わらず、アルジノンはその後、三日間寝込んだ。
ち、軟弱乙女め……とは思ったが、
今まで一斎運動なんてして来なかったのだから無理もないかと考えを改め、
かなり優しめに手を抜いた。
それでもヒィヒィ言っていたが、
ひと月もするとかなりマシになっていた。
驚いたのがあんなに傲慢で我儘で自分に甘いアルジノンが、ジュリの決めたメニューを逃げ出す事もなく、もくもくと熟しているのだ。
やらせておいて何なんだと言われそうだが不思議に思ったジュリは、ある日アルジノンに聞いてみた。
「正直に言って、ジノン様がこんなに頑張ると思ってませんでした。やれば出来る子でしたね、でもどういう心境の変化ですか?」
ジュリがそう言うと、アルジノンは俯いて小さな声で答えた。
「……だって、俺を鍛えるという目的があるうちはお前は王宮にいるんだろう……?」
「へ?」
「だったら、俺が頑張ってるウチはお前が側にいてくれるという事だ、そうだろ?」
「そう……かな?」
そうなるか?
「……でも、俺の面倒を見終えたら、やはり……帰るのだよな」
「そりゃあ帰りますよ」
「ジュリがいなくなったら俺はまた友達ひとりいない寂しいヤツだ」
「そこまではいかないでしょう」
「そんな事はない。みんな俺を怖がる。俺の顔色ばかり伺って、作り笑いするヤツばかりだ」
「……ジノン様、それはジノン様が周りにそうさせてるんですよ」
「……わかってる。でもそれにより更に腫れモノのように扱われて、俺も更に腹が立って……」
それで腹いせに傲慢な態度で威張り散らすのか。
「ジノン様、あなたはやれば出来る子です。周りが変わるように頑張ってみませんか?」
「どうやって?」
「そうですね……、
うーん…人を変えるより自分が変わる方が簡単だと思うんです。まずはジノン様が人に優しくする事から初めてみませんか?
そうすればいつの間にか周りの人もジノン様に優しく接するようになるのではないでしょうか?そうすれば友達も沢山できると思います。だったらもう寂しくないでしょう?」
「……友達が沢山できても、ジュリが一番近くにいてくれるか?」
「ふふ、いいですよ。一番の友達です」
「………。」
「………ジノン様?」
「もしジュリが領地に帰ったとして、次に会えるのはいつだ?」
「?わたしの役目は8年後ですね。王都とウチの領地は馬車で一週間もかかりますから、それまでは来ないと思います」
「8年後!?」
「はい。でも手紙を沢山書きますよ」
「……ジュリ」
「はい」
「俺は決めたぞ」
「はい?何がですか?」
「……お前を、俺の婚約者にする」
「…………………………は?」
「そうだ。最初からそうしておけば良かったんだ、婚約者なら王妃教育の為に王宮に住むことも認められる!ずっとジュリと一緒にいられるじゃないか!」
「ちょっ……ちょっと待って、」
「早速、両陛下とランバード伯に婚約の許しを得よう!」
「ジノン様!!お待ちください!!」
国王夫妻の住む太陽宮目掛けてアルジノンが走って行こうとするのを、ジュリは必死になって止めた。
「何故だ?ジュリは俺との婚約に不服でもあるのか?」
「大アリです!」
「贅沢をさせてやるぞ。ドレスでも宝石でもなんでも買ってやる。何不自由なく暮らさせてやるぞ」
「そんな事は望んでいません。
……ジノン様、聞いてください。ジノン様にはちゃんと運命の人がいるんです。その人こそ、わたしが予言を呈する人で、ジノン様の将来に深く関わる人なのです」
「……は?」
「だからわたしはジノン様の婚約者にはなれません。なぜなら、ジノン様の運命の人はわたしではないからです」
「………。」
「ご理解いただけましたか?」
「……いやだ」
「え?」
「そんな事言われて、 はいそうですかと引き下がれるくらいなら、最初から婚約者に望んだりなんかしない」
「ジノン様!」
わからずやの頬をジュリは両手で包み込んた。
目と目を合わせてアルジノンに訴えかける。
「ジノン様の一時の気まぐれで、未来のわたしを傷モノにするつもりですか!?」
「どうして傷モノになるんだ」
「婚約者がこの国の王太子で、その人に捨てられた女が、傷ものにならないわけないでしょう!もうまともな婚姻なんて望めませんよ!」
「それなら問題ない。俺がお前を捨てるなんて有り得ない。だから傷モノになんかならない、良かったな」
「良くない!良くないです!」
「何を言おうと無駄だ。俺は決めた。俺は欲しいと思ったものは手に入れないと気が済まない性質なんだ」
「なんて身勝手な!!」
「わははは!身勝手上等!必ずこの婚約は押し通す!!」
アルジノンがモヤシっ子とは思えないダッシュを見せる。
ジュリはその後ろ姿に悲鳴に似た声を掛ける事しか出来なかった。
「もう!アルジノン様っ!!」
アルジノンがジュリとの婚約を希望する事を国王夫妻に告げると、夫妻は大喜びで承認した。
ジュリはイグリードの予言持ちで辺境伯令嬢だ。
家格の釣り合いも問題無しとし、あっという間にランバード家に婚約の打診をした。
まさか王家からの婚約の申し出を断れる筈もなく、父のランバード辺境伯はただ、
「謹んでお受けいたします……」と
王宮からの使者に返事をしたという。
ジュリがどれだけ誰に何を言おうとも、
王宮の人間もみんなジュリを暴君アルジノンのストッパーとしてを歓待していたので、誰も意を唱える者もなくあれよあれよと二人の婚約は結ばれてしまったのだった。
「む、惨い…あんまりだ……」
こうなったらもう、
アルジノンの運命の相手が現れるまでに
婚約の解消をして貰わねばならない。
この時
シュ・ジュリ=ランバード10歳。
イグリードとの約束の日まで
あと8年であった。
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