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第一章
そして忘れられない出会いとなった
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謁見の間の大きな扉が滑るように開けられた。
すると一斉に予言者を一目見ようと謁見の間に集まった人達が首を垂れる。
そこに優雅な仕草で歩く国王夫妻と、ずかずかと大きな歩幅で現れた一人の少年。
〈あれが王子……〉
ジュリはカーテシーをしながらも
視界の端に捉えた王子の姿を反芻した。
ダークブラウンの艶やかな髪に
宝石のような青い瞳。
意志の強そうな眼差しはとても印象深く、整い過ぎた顔立ちと相まってとても冷たそうな雰囲気を醸し出している。
洗練されたスタイルに自信に溢れた立ち姿。
辺境のど田舎では絶対にお目にかかれない部類の美少年だった。
「よい、皆の者、面を上げよ」
玉座に着座した王が告げる。
そしてジュリの姿に目を止めると、
優しげな声で言った、
「そなたがランバード辺境伯令嬢だな。
イグリードの予言者だと聞いたが、間違いないか」
ジュリは父の方をそっと見た。
父が小さく頷くのを見て再びカーテシーをしながら挨拶をする。
「お初にお目にかかります。ローガン=ランバードが娘、シュ・ジュリ=ランバードにございます。たしかに大賢者イグリードより予言を賜りました。これがその証にございます」
ジュリがそう言って右手の甲のアザのような紋章を掲げると、一様に響めきが聞こえた。
「あれは、まさしくイグリードの紋章……!」
「殿下には生まれた時から刻まれておられたんだよな」
「確か予言者は殿下と同じ年に生まれた者だと」
それぞれ響めきの中で噂する声が聞こえる。
「うむ、間違いなかろう。それにしても伯よ、なんとも愛らしい娘ではないか。儚げで嫋やかで、まるで妖精のようだ」
「……おそれいります」
頭を下げる父の声が棒読みだった。
「して、どのような予言を授かったのだ?国に関する重要な事か?」
国王が問うとジュリは端的に答えた。
「予言の内容について、他の者に語る事をイグリードに禁止されていますのでお話出来ません。どうかご理解くださいませ」
ジュリが答えると、
国王は残念そうに「そうか…相分かった」と、ジュリの言い分を受け入れた。
その時である、
「ふん!!最初の予言者というから、どんなヤツかと思ったが、ただの田舎臭い小娘ではないかっ!!」
王太子アルジノンが腕を組んで居丈高に壇上からジュリを
見下ろした。
「なんだ、そのダサいドレスは。ひと昔もふた昔も前に流行したデザインではないか。ははっ!まぁ肥やし臭い田舎ではそれが最新のファッションなのだろうがな」
……始まった……。
王子を見慣れた者は皆そう思った。
王子お得意の、
[初対面だぜマウント合戦、勝利は全て俺のもの]
が始まったのだ。
可哀想に。
あんな幼い娘が初めての謁見にもかかわらずあんな大きな声で貶められて、震えているではないか……
と、謁見の間にいる皆が思った……。
ジュリは震えながら父を見る。
「お父さま……」
「ジュリ、拳を握って掲げるのはやめなさい。せめて左にしなさい」
よく見るとジュリの握られた右手拳には青スジが浮かんでいる。
〈なんなのこの王子は〉
ジュリはしげしげとアルジノンを見た。
それをジュリが怯えてると見たアルジノンが更に声を荒げて口撃をしてくる。
「なんだ?田舎者は喋れないのか?あぁそうか、訛りが恥ずかしくて喋れないのか!わーはっはっは!」
ちょっと待ってイグリード、
こんなのが運命の王子なの?
こんなのが世界の存亡の鍵を握ってるの?
いやダメでしょう。
こんなのに世界の大事なコト、任せちゃダメ。
ジュリは信じられない気持ちでいっぱいになった。
そして同時に怒りが込み上げてくる。
しかしジュリは怒れば怒るほど微笑みを浮かべる質だった。
「にへらにへらと気持ちの悪い笑みを浮かべおって。これだから田舎者は。まぁ人間より野生動物の方が多い土地で暮らせば、人らしい振る舞いなど、出来るはずもないであろうがな!!」
「……です」
「は?」
「田舎ではありません、ど田舎です」
「はぁ?」
ジュリはアルジノンを無視して国王に願い出た。
「畏れながら国王陛下、予言について王子と大切な話をしなくてはなりません、どうか二人だけでお話をさせて戴いてもよろしいでしょうか?」
「……ジュリ?」
父が訝しげな顔をしてジュリを見る。
眉間にはシワが刻まれていた。
「大丈夫です、お父さま、わたしは今、使命に燃えております」
「使命?燃える?……ジュリ、俺は今、不安しかないのだが」
「お任せください、お父さま」
「ジュリィィ……!」
情けなそうな父の声を他所に、王が膝を叩いて快諾した。
「おぉ…!そうか早速か!よいぞよいぞ、誰か、この二人を落ち着いて話が出来る部屋へ」
王が近くにいた侍従に告げると、たちまち二人は別室へと案内された。
着いて来ていた侍従と近衛騎士が、
「部屋の外で待機しておりますので、何か有ればお呼び下さい」
と言って扉を閉めた。
先程の喧騒が信じられないくらい、静かである。
部屋に二人きり。
まだ10歳といえど、普通は密室に未婚の男女を二人きりになどしない。
しかし予言者同士、予言が絡めば許されるようだ。
王子は二人きりの気まずさからか、更に悪態を吐く。
「このような所に呼び出しおって。何が目的だ、予言ならさっさと寄越すがいい。お前なんかと違って、俺は忙しいんだ」
「わたしの授けられた予言は殿下の為のものですが、殿下に呈するものではありません、あしからず」
「な!?生意気な奴め!礼儀というものがなってない!これだから田舎者は!!」
「それ、うるさい」
「は?」
一瞬、何を言われたか理解出来ずに聞き返すアルジノンの胸倉をジュリはグイっと掴んで引き上げた。
「っ……!?」
アルジノンがこれ以上ないくらい大きく目を見開く。
目の前には輝く大きなエメラルドの瞳。
ジュリの瞳だ。
ランバード家特有のエメラルドアイズ。
自分と同い年の、
一見純朴そうな娘が、
王族である自分の、
胸倉を……つ、掴んでいるだと……?
「なっ……なっ……なっ……」
アルジノンは狼狽え過ぎて言葉が出てこない。
ジュリはそんな事お構いなしで口を開いた。
「よろしいですか殿下ァ、イグリードが言う事にはァ、貴方はァ、世界の存亡のォ鍵を握っておられるそうなんですよォ、
そんな重大な運命を持っている貴方がァ、こんな訳の分からないマウントを取って喜んでいるだけのォ、小物では困るんですよォ」
どこから出て来るんだと問いたくても問えない、低くてドスの効いた声でジュリが言う。
「そこんところォ、正しく理解しておられやがりますかァ!」
同じくらいの身長であるはずなのに、巨熊と対峙しているような、この凄まじい威圧感はなんだ!?
絶対的な恐怖を感じるのは何故だ!?
「わたしが授かった予言をあなたの運命の相手に告げるまであと8年。 その時までに、何がなんっでも、世界の命運をお任せ出来るような、立派な王太子になって戴きます!!よろしいですか!?」
「っ……!?!?」
ジュリのまさかの言動にアルジノンの理解が追いつかない。
今まで蝶よ花よと育てられ、決して反撃になど遭った事のないアルジノンの
許容範囲の振り幅が振り切れた。
ばたーーんっ
と、派手な音を立ててアルジノンが気を失う。
真っ青な顔をして、額に大量の汗を滲ませて。
真っ白な唇が憂いを湛えている。
ジュリはそれを信じられないような目で見た。
「このくらいで……?乙女か!」
これが予言持ちジュリと、
予言と運命の王子アルジノンの
忘れられない出会いとなった。
すると一斉に予言者を一目見ようと謁見の間に集まった人達が首を垂れる。
そこに優雅な仕草で歩く国王夫妻と、ずかずかと大きな歩幅で現れた一人の少年。
〈あれが王子……〉
ジュリはカーテシーをしながらも
視界の端に捉えた王子の姿を反芻した。
ダークブラウンの艶やかな髪に
宝石のような青い瞳。
意志の強そうな眼差しはとても印象深く、整い過ぎた顔立ちと相まってとても冷たそうな雰囲気を醸し出している。
洗練されたスタイルに自信に溢れた立ち姿。
辺境のど田舎では絶対にお目にかかれない部類の美少年だった。
「よい、皆の者、面を上げよ」
玉座に着座した王が告げる。
そしてジュリの姿に目を止めると、
優しげな声で言った、
「そなたがランバード辺境伯令嬢だな。
イグリードの予言者だと聞いたが、間違いないか」
ジュリは父の方をそっと見た。
父が小さく頷くのを見て再びカーテシーをしながら挨拶をする。
「お初にお目にかかります。ローガン=ランバードが娘、シュ・ジュリ=ランバードにございます。たしかに大賢者イグリードより予言を賜りました。これがその証にございます」
ジュリがそう言って右手の甲のアザのような紋章を掲げると、一様に響めきが聞こえた。
「あれは、まさしくイグリードの紋章……!」
「殿下には生まれた時から刻まれておられたんだよな」
「確か予言者は殿下と同じ年に生まれた者だと」
それぞれ響めきの中で噂する声が聞こえる。
「うむ、間違いなかろう。それにしても伯よ、なんとも愛らしい娘ではないか。儚げで嫋やかで、まるで妖精のようだ」
「……おそれいります」
頭を下げる父の声が棒読みだった。
「して、どのような予言を授かったのだ?国に関する重要な事か?」
国王が問うとジュリは端的に答えた。
「予言の内容について、他の者に語る事をイグリードに禁止されていますのでお話出来ません。どうかご理解くださいませ」
ジュリが答えると、
国王は残念そうに「そうか…相分かった」と、ジュリの言い分を受け入れた。
その時である、
「ふん!!最初の予言者というから、どんなヤツかと思ったが、ただの田舎臭い小娘ではないかっ!!」
王太子アルジノンが腕を組んで居丈高に壇上からジュリを
見下ろした。
「なんだ、そのダサいドレスは。ひと昔もふた昔も前に流行したデザインではないか。ははっ!まぁ肥やし臭い田舎ではそれが最新のファッションなのだろうがな」
……始まった……。
王子を見慣れた者は皆そう思った。
王子お得意の、
[初対面だぜマウント合戦、勝利は全て俺のもの]
が始まったのだ。
可哀想に。
あんな幼い娘が初めての謁見にもかかわらずあんな大きな声で貶められて、震えているではないか……
と、謁見の間にいる皆が思った……。
ジュリは震えながら父を見る。
「お父さま……」
「ジュリ、拳を握って掲げるのはやめなさい。せめて左にしなさい」
よく見るとジュリの握られた右手拳には青スジが浮かんでいる。
〈なんなのこの王子は〉
ジュリはしげしげとアルジノンを見た。
それをジュリが怯えてると見たアルジノンが更に声を荒げて口撃をしてくる。
「なんだ?田舎者は喋れないのか?あぁそうか、訛りが恥ずかしくて喋れないのか!わーはっはっは!」
ちょっと待ってイグリード、
こんなのが運命の王子なの?
こんなのが世界の存亡の鍵を握ってるの?
いやダメでしょう。
こんなのに世界の大事なコト、任せちゃダメ。
ジュリは信じられない気持ちでいっぱいになった。
そして同時に怒りが込み上げてくる。
しかしジュリは怒れば怒るほど微笑みを浮かべる質だった。
「にへらにへらと気持ちの悪い笑みを浮かべおって。これだから田舎者は。まぁ人間より野生動物の方が多い土地で暮らせば、人らしい振る舞いなど、出来るはずもないであろうがな!!」
「……です」
「は?」
「田舎ではありません、ど田舎です」
「はぁ?」
ジュリはアルジノンを無視して国王に願い出た。
「畏れながら国王陛下、予言について王子と大切な話をしなくてはなりません、どうか二人だけでお話をさせて戴いてもよろしいでしょうか?」
「……ジュリ?」
父が訝しげな顔をしてジュリを見る。
眉間にはシワが刻まれていた。
「大丈夫です、お父さま、わたしは今、使命に燃えております」
「使命?燃える?……ジュリ、俺は今、不安しかないのだが」
「お任せください、お父さま」
「ジュリィィ……!」
情けなそうな父の声を他所に、王が膝を叩いて快諾した。
「おぉ…!そうか早速か!よいぞよいぞ、誰か、この二人を落ち着いて話が出来る部屋へ」
王が近くにいた侍従に告げると、たちまち二人は別室へと案内された。
着いて来ていた侍従と近衛騎士が、
「部屋の外で待機しておりますので、何か有ればお呼び下さい」
と言って扉を閉めた。
先程の喧騒が信じられないくらい、静かである。
部屋に二人きり。
まだ10歳といえど、普通は密室に未婚の男女を二人きりになどしない。
しかし予言者同士、予言が絡めば許されるようだ。
王子は二人きりの気まずさからか、更に悪態を吐く。
「このような所に呼び出しおって。何が目的だ、予言ならさっさと寄越すがいい。お前なんかと違って、俺は忙しいんだ」
「わたしの授けられた予言は殿下の為のものですが、殿下に呈するものではありません、あしからず」
「な!?生意気な奴め!礼儀というものがなってない!これだから田舎者は!!」
「それ、うるさい」
「は?」
一瞬、何を言われたか理解出来ずに聞き返すアルジノンの胸倉をジュリはグイっと掴んで引き上げた。
「っ……!?」
アルジノンがこれ以上ないくらい大きく目を見開く。
目の前には輝く大きなエメラルドの瞳。
ジュリの瞳だ。
ランバード家特有のエメラルドアイズ。
自分と同い年の、
一見純朴そうな娘が、
王族である自分の、
胸倉を……つ、掴んでいるだと……?
「なっ……なっ……なっ……」
アルジノンは狼狽え過ぎて言葉が出てこない。
ジュリはそんな事お構いなしで口を開いた。
「よろしいですか殿下ァ、イグリードが言う事にはァ、貴方はァ、世界の存亡のォ鍵を握っておられるそうなんですよォ、
そんな重大な運命を持っている貴方がァ、こんな訳の分からないマウントを取って喜んでいるだけのォ、小物では困るんですよォ」
どこから出て来るんだと問いたくても問えない、低くてドスの効いた声でジュリが言う。
「そこんところォ、正しく理解しておられやがりますかァ!」
同じくらいの身長であるはずなのに、巨熊と対峙しているような、この凄まじい威圧感はなんだ!?
絶対的な恐怖を感じるのは何故だ!?
「わたしが授かった予言をあなたの運命の相手に告げるまであと8年。 その時までに、何がなんっでも、世界の命運をお任せ出来るような、立派な王太子になって戴きます!!よろしいですか!?」
「っ……!?!?」
ジュリのまさかの言動にアルジノンの理解が追いつかない。
今まで蝶よ花よと育てられ、決して反撃になど遭った事のないアルジノンの
許容範囲の振り幅が振り切れた。
ばたーーんっ
と、派手な音を立ててアルジノンが気を失う。
真っ青な顔をして、額に大量の汗を滲ませて。
真っ白な唇が憂いを湛えている。
ジュリはそれを信じられないような目で見た。
「このくらいで……?乙女か!」
これが予言持ちジュリと、
予言と運命の王子アルジノンの
忘れられない出会いとなった。
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