だから言ったのに! 〜婚約者は予言持ち〜

キムラましゅろう

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第一章

プロローグ

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ほらね、だから言ったのに。


わたしは少し離れた建物の窓から
優しげな瞳で彼女を見る彼を見ていた。



だから言ったのに。

わたしは運命の人じゃないって。

だから言ったのに。

婚約者になんかなりたくないって。


どうせ捨てられるとわかっていて、誰が進んで婚約なんて結ぶものですか。

それなのに無理やりわたしを婚約者にしたのはあなたなのよ。


予言なんて覆してみせる。

俺は自分の心を信じる。

なんてバカなことを言って!


絆されたわたしも悪かったけど、やはり予言は偉大だった。

ホラ、やっぱりわたしは捨てられる。

……それならせめて
ちゃんと務めを果たさねば。

わたしが授かった予言をちゃんと伝えなくては。

でも

これだけは言ってやりたい。

わたしの言うことを聞かなかったあいつに。


もーーーー!



「だから言ったのに!」






  ~まずははじめに~



大賢者にして預言者、

バルク=イグリードはよわい500歳。

精霊に愛され、朽ちない体を与えられたイグリードは

これから生まれる王子と
その王子を導くであろう3人に
それぞれ予言を授ける事にした。

この予言に導かれそれぞれがどのような選択をするか、

それを見届ける事にした。

もしかしたら

自らの思惑のために予言を呈する事をしない者がいるかもしれない。

予言の内容を偽り、運命を曲げてしまう者がいるかもしれない。

もしくは己を律し、自らの役目を忠実に果たし予言を正しく呈する者がいるかもしれない。

イグリードは待つことにした。

今から18年後、
授けた予言によってどうなるのかを。


この朽ちない体で見つめ続けることにした。






この国、ハイラム王国には

ハイラム=オ=ジル=アルジノンという王太子がいる。

国王夫妻の唯一の子にして唯一の後継。

当然、蝶よ花よと育てられ

あれよあれよと傲慢な我儘王子に成長した。

ただでさえ唯一の後継として下にも置かない立場だというのに

さらにこの王子がイグリードの予言を持って生まれてきたとなると、

それこそまさに国宝のように王子を扱ったのだ。


おかげで今日も俺様王子は我が道をゆく。

お前のものは俺のもの
俺のものは俺のもの、ついでにみんな俺のもの……というまさに手のつけられない状態。

そんな王子に振り回される王宮に

ある日突然、報せが届く。

「王子への予言を持つ、一人目が見つかった」と。










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