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第三部 最終章
再会
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お母さんに訊いても、きっと舞に会うことを反対するだろうから刑事から住所を教えてもらっていた。両親は舞が家を出てから一切彼女のことは口にしなかった。もちろん私も舞のことを訊ねたことはないのだから、何がどうということもないが、私自身の舞への関心や謝罪する気持ちを忘れていたことに嫌悪感が増幅し、昨日はまったく眠れず吐き気がとまらない。
舞の住む最寄り駅。舞が生活している町。舞が普段見ている景色。舞が呼吸している空気。私と同じ顔がこの群れの中にあるかもしれないと思うと途端に自分の足元しか見れなくなってしまった。
挙動不審になりながら駅を出て、舞の住むアパートに辿りつくと動悸がはやくなる。アパートから自然と遠ざかってしまう。やっぱり無理かもしれない。
自販機でミネラルウォーターを買い、近くの公園のベンチに腰を落とした。渇ききった口の中に水を含み一気に飲み込む。変わらず気持ちは落ち着かない。心が圧迫されているようで息苦しい。
ダメだ。やっぱり今日は帰ろう。また次の休みの日に来よう。逃げるわけじゃない。また別の日に出直すだけだ。ペットボトルを勢いよく傾けガバガバと水を流し込む。
帰ると決めたせいか、少し気が楽になった。
ベンチからスッと立ち上がったが、そこから少しも動けなくなってしまった。
私と同じ顔がこちらを見ていた。いや、睨まれていた。血の気が引いて心臓が暴れ回る。
もうダメだ。……殺される。彼女は乗っていた自転車から降りて公園の中に入ってくる。圧倒的恐怖が迫り来る。距離は二、三十メートルある。今なら逃げられる。走って逃げて、運よくタクシーをつかまえれば大丈夫かもしれない。うまく呼吸ができない。吸って吐く、のリズムとバランスが不規則で不均等だ。
彼女は私から一切視線を外さずに歩みを進めてくる。逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ……今すぐ逃げろ! 危険信号が眼球の裏側で猛烈に点滅している。脚が動かない。動けない。脚が濡れている。失禁だ。失禁してしまった。
いや、違う。ペットボトルの水が流れ落ちている。キャップを閉めず、傾けてしまっていただけのようだ。
強烈な恐怖と不安の中、些細な安堵を手に入れたのも束の間、再び顔を上げると彼女が目前に迫っていた。もうダメだ。逃げられない。死ぬ死ぬ。殺される。
私はペットボトルを投げ捨て、濡れた地面に額を擦りつけた。そして繰り返し唱えた。呪文のように唱えた。
ゴメンナサイモウシマセンユルシテクダサイゴメンナサイモウシマセンユルシテクダサイゴメンナサイモウシマセンユルシテクダサイ……と。
足音が傍までやってきて、威圧的な彼女の気配が縮み上がる私を丸呑みした。頭を踏み付けられるかもしれない。奥歯をきつく噛み締め、身体中にある全ての筋肉をギッと固める。けれど足音は呆気なく私を通り過ぎた。尻を蹴飛ばされるかもしれない。恐怖は続く。
「いつまで、そんなことしてるつもり?」
後ろから聴こえる声。顔を上げた途端、顔面を蹴られるのだろうか。
顔を上げず腋の下から後方を覗くと、彼女はベンチに座っていた。顔を上げると、彼女以外の公園にいた人たちも私を見ていた。
座れば……と彼女は言った。私は膝についた砂利は掃わずにベンチのできるだけ端に腰かけた。
恐怖を拭いきれないまま私は自分の足許だけをじっと見た。沈黙が心をどんどん重くする。
「何しにきたんだよ」
「……あの……その……」
なんて言えばいい。言葉が出てこない。
「何もないなら行くから」
彼女は立ち上がってそう言うとスタスタと歩き出した。
「待って!」私は慌てて立ち上がった。「ごめんなさい! ずっと謝りたかった。酷いことして本当にごめんなさい!」
彼女はこちらに向き直り、フッと笑った。
「こっちはオマエのことなんか完全に忘れてたのに、私が双子であることすら忘れてたのに今更何なんだよ。私がこんな時に何なんだよ。オマエの顔を見て私が喜ぶとでも思ったか? オマエの謝罪なんて私にとって何の意味もない。ほんと、どうでもいいって感じ。じゃあね、バイバイ、もう二度と会うことないと思うけど、お元気で……。消えろ」
そう吐き捨てた彼女は最後の最後に私を睨みつけた。それが全てを物語っている気がした。私は立ち上がることもできず、歩みとともに躍る彼女の茶色い髪をずっと見ていた。
彼女がいなくなって、濡れた前髪が乾いても、私はそのベンチから動けなかった。
ペットボトルが地面に横たわっている。中に水が残っている。色がない。生まれたての人間は水のように無色透明だ。最初はきっと誰もが透明だ。
その透明に色が落とされていく。たくさんの色が混じり合うことで見たこともない綺麗な色が生まれることもあるだろうが、私と舞は違う。
私は小学生の頃、舞に墨汁をかけたことがある。それも頭から。一度、黒色が入ってしまったら、どんなに綺麗な色でも暗い色になってしまう。私は舞に黒色を注ぎ過ぎてしまったのかもしれない。
そんな無意味のような思考を延々と巡らせているうちに日が暮れてしまっていた。
これでいいのだろうか。私が謝罪したところで何がどうなるというのだろう。私はただ自分の謝罪したいというエゴを舞にぶつけたに過ぎない。
舞の子供は未だ意識不明の昏睡状態だと聞いている。草井くんが昏睡状態の時、私はどうだっただろう……。ただただ祈っていた。草井くんが回復することを。そんな心境の時にムカつく奴が現れたら私ならどうしただろうか……。
深い溜め息が漏れた。わからなかった。何一つわからなかった。私はどうすべきなのか。どうあるべきなのか。無力だ。無力というよりも、私の存在は、この世界にとってマイナス要因なのかもしれない。少なくとも舞にとってはそうに違いない。
夜が闇をつくりだしコバルトの空が急に泣き出した。太くて冷たい雨粒が容赦なく私を打ち付け一瞬で不快な冷たさが全身を被った。
一分もすれば不快さが諦めに変わるほどずぶ濡れになってしまった。空を仰げば無数の針が私を目掛けて落ちてくるようだ。これが現実なら私は死んでるな……。
私が何者で、何のために此処に居て、何という生物で……もう思考能力すら失いたかった。だからそのまま動かなかった。動けなかった。そのまま眠るように気を失った。
舞の住む最寄り駅。舞が生活している町。舞が普段見ている景色。舞が呼吸している空気。私と同じ顔がこの群れの中にあるかもしれないと思うと途端に自分の足元しか見れなくなってしまった。
挙動不審になりながら駅を出て、舞の住むアパートに辿りつくと動悸がはやくなる。アパートから自然と遠ざかってしまう。やっぱり無理かもしれない。
自販機でミネラルウォーターを買い、近くの公園のベンチに腰を落とした。渇ききった口の中に水を含み一気に飲み込む。変わらず気持ちは落ち着かない。心が圧迫されているようで息苦しい。
ダメだ。やっぱり今日は帰ろう。また次の休みの日に来よう。逃げるわけじゃない。また別の日に出直すだけだ。ペットボトルを勢いよく傾けガバガバと水を流し込む。
帰ると決めたせいか、少し気が楽になった。
ベンチからスッと立ち上がったが、そこから少しも動けなくなってしまった。
私と同じ顔がこちらを見ていた。いや、睨まれていた。血の気が引いて心臓が暴れ回る。
もうダメだ。……殺される。彼女は乗っていた自転車から降りて公園の中に入ってくる。圧倒的恐怖が迫り来る。距離は二、三十メートルある。今なら逃げられる。走って逃げて、運よくタクシーをつかまえれば大丈夫かもしれない。うまく呼吸ができない。吸って吐く、のリズムとバランスが不規則で不均等だ。
彼女は私から一切視線を外さずに歩みを進めてくる。逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ……今すぐ逃げろ! 危険信号が眼球の裏側で猛烈に点滅している。脚が動かない。動けない。脚が濡れている。失禁だ。失禁してしまった。
いや、違う。ペットボトルの水が流れ落ちている。キャップを閉めず、傾けてしまっていただけのようだ。
強烈な恐怖と不安の中、些細な安堵を手に入れたのも束の間、再び顔を上げると彼女が目前に迫っていた。もうダメだ。逃げられない。死ぬ死ぬ。殺される。
私はペットボトルを投げ捨て、濡れた地面に額を擦りつけた。そして繰り返し唱えた。呪文のように唱えた。
ゴメンナサイモウシマセンユルシテクダサイゴメンナサイモウシマセンユルシテクダサイゴメンナサイモウシマセンユルシテクダサイ……と。
足音が傍までやってきて、威圧的な彼女の気配が縮み上がる私を丸呑みした。頭を踏み付けられるかもしれない。奥歯をきつく噛み締め、身体中にある全ての筋肉をギッと固める。けれど足音は呆気なく私を通り過ぎた。尻を蹴飛ばされるかもしれない。恐怖は続く。
「いつまで、そんなことしてるつもり?」
後ろから聴こえる声。顔を上げた途端、顔面を蹴られるのだろうか。
顔を上げず腋の下から後方を覗くと、彼女はベンチに座っていた。顔を上げると、彼女以外の公園にいた人たちも私を見ていた。
座れば……と彼女は言った。私は膝についた砂利は掃わずにベンチのできるだけ端に腰かけた。
恐怖を拭いきれないまま私は自分の足許だけをじっと見た。沈黙が心をどんどん重くする。
「何しにきたんだよ」
「……あの……その……」
なんて言えばいい。言葉が出てこない。
「何もないなら行くから」
彼女は立ち上がってそう言うとスタスタと歩き出した。
「待って!」私は慌てて立ち上がった。「ごめんなさい! ずっと謝りたかった。酷いことして本当にごめんなさい!」
彼女はこちらに向き直り、フッと笑った。
「こっちはオマエのことなんか完全に忘れてたのに、私が双子であることすら忘れてたのに今更何なんだよ。私がこんな時に何なんだよ。オマエの顔を見て私が喜ぶとでも思ったか? オマエの謝罪なんて私にとって何の意味もない。ほんと、どうでもいいって感じ。じゃあね、バイバイ、もう二度と会うことないと思うけど、お元気で……。消えろ」
そう吐き捨てた彼女は最後の最後に私を睨みつけた。それが全てを物語っている気がした。私は立ち上がることもできず、歩みとともに躍る彼女の茶色い髪をずっと見ていた。
彼女がいなくなって、濡れた前髪が乾いても、私はそのベンチから動けなかった。
ペットボトルが地面に横たわっている。中に水が残っている。色がない。生まれたての人間は水のように無色透明だ。最初はきっと誰もが透明だ。
その透明に色が落とされていく。たくさんの色が混じり合うことで見たこともない綺麗な色が生まれることもあるだろうが、私と舞は違う。
私は小学生の頃、舞に墨汁をかけたことがある。それも頭から。一度、黒色が入ってしまったら、どんなに綺麗な色でも暗い色になってしまう。私は舞に黒色を注ぎ過ぎてしまったのかもしれない。
そんな無意味のような思考を延々と巡らせているうちに日が暮れてしまっていた。
これでいいのだろうか。私が謝罪したところで何がどうなるというのだろう。私はただ自分の謝罪したいというエゴを舞にぶつけたに過ぎない。
舞の子供は未だ意識不明の昏睡状態だと聞いている。草井くんが昏睡状態の時、私はどうだっただろう……。ただただ祈っていた。草井くんが回復することを。そんな心境の時にムカつく奴が現れたら私ならどうしただろうか……。
深い溜め息が漏れた。わからなかった。何一つわからなかった。私はどうすべきなのか。どうあるべきなのか。無力だ。無力というよりも、私の存在は、この世界にとってマイナス要因なのかもしれない。少なくとも舞にとってはそうに違いない。
夜が闇をつくりだしコバルトの空が急に泣き出した。太くて冷たい雨粒が容赦なく私を打ち付け一瞬で不快な冷たさが全身を被った。
一分もすれば不快さが諦めに変わるほどずぶ濡れになってしまった。空を仰げば無数の針が私を目掛けて落ちてくるようだ。これが現実なら私は死んでるな……。
私が何者で、何のために此処に居て、何という生物で……もう思考能力すら失いたかった。だからそのまま動かなかった。動けなかった。そのまま眠るように気を失った。
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