72 / 83
第三部 最終章
約束
しおりを挟む
私はいつか鳴るかわからない電話の前で終わらない時を過ごしている。まるで底無し沼に沈み続けるように生きた心地がしない。
草井くんを助けてください……草井くんを助けてください……草井くんを……真っ暗なリビングが急に明るくなった。
「桜ちゃん、まだこんなことしてたの? 桜ちゃんも頭怪我してるんだし、取り調べとかで疲れてるんだから、ベッドで寝ないとだめよお……」
膝と手と額を床に付け、電話をまるで神仏のように崇めるような私を床から引きはがそうとする涙声のお母さん。私が全く動かないことを悟るとお母さんは私の背中にモーフをかけた。
「何か口にしないと身体に毒よ。お腹空いたらスープがあるから温めて食べなさいね」
再び部屋が暗くなると私はモーフを畳み同じ体勢に戻る。私はとんでもないことをしてしまった。
あの草井くんを育てたお母さんは、きっと優しい人なんだと思う。そんな人が私への憎悪を剥き出しにした。あの時、罵倒されて殴られた方が少しは楽だったかもしれない。
私がしたこで……私が死のうとしたことで……私以外の人が悲しみと憤りに暮れている。
草井くんの両親はもちろん私の親までも……。そして何より草井くんに……。
床には私の涙と鼻水と唾液でできた後悔という名前の沼が拡がっていった。
電話が鳴ったのは事件が起こってから二日後の朝だった。干からびた身体で私は病院へ向かった。草井くんのお父さんがロビーで待っていてくれて、草井くんの居る場所まで案内してくれた。ドアを開けると草井くんのお母さんが泣いていた。赤く腫れた目、やつれた顔が、これまでの時間を物語っていた。彼女は私に頭を下げ部屋を出ていってしまった。
そして草井くんを見た途端全身の力が抜けて膝から崩れ落ちた。そして、ごめんなさいごめんなさい、と繰り返し、まるで幼児のように泣き叫んだ。
「私があんなことさえしなければ、草井くんはこんなことに……。もう、しません……。二度とあんなことしません。どんなに苦しくても、死ぬほど辛くても全て受け止めて、草井くんが護ってくれた命で、私は生きていきます……」
「ああ、わかったよ。でも、また死のうとしたら、ひっぱたいてやる。俺のビンタは死ぬより痛いぜ!」
大きな拳を突き出した草井くんは強く笑ってみせた。私はその大きな拳を両手で掴んだ。温もり……生きているからこその、この温もり。生きてほしいと、ただただ願い続けた。あれからずっと一秒も余すことなく草井くんが生きることを願っていた。
誰にも必要とされてない……、自分が死んだって誰も悲しまない……、そんなことを思っていた私を命をかけて助けてくれた。無意味だと思っていたこの命をだ。でも草井くんが私を必要としてくれた。
自分に関わる誰かが居なくなったことを想像して、悲しい気持ちになったのなら、その相手も同じように自分のことを思ってくれてるはず。それなら辛くても苦しても生きていようと改めて思った。
私は草井くんに生きていてほしかった。そして草井くんも私に対してそう思ってくれたに違いない。
生きる意味? そんなのあるか本当はわからないけど、誰かを悲しませないためだけでも、それは存在意義なのかもしれない。
病室を出ると、草井くんのお母さんが私を待っていたて、少しだけお話できますか? と彼女は言った。
「……はい」
人気のない場所に移動した。何を言われるのだろうか。不安で仕方ない。それでも私は全てを受け止め自分の意思を伝えなければならない。
「先日は酷いこと言ってすみませんでした。息子がああいうことになって、気が動転してたんです」
「いえ、当然のことですし、謝るべきなのは私の方です。私の軽率な行動で草井くんがあんなことになってしまって、本当に申し訳ありません」
私は深く頭を下げた。
「もういいんです。うちの息子だって、あなたの顔に傷を残してしまったんですから……」
「こんな傷痕、草井くんに比べれば何でもないです」
彼女は俯いた。
「息子はあなたに何て言ってましたか?」
「詳しくは訊いてませんがリハビリすれば、すぐ退院できるだろう……って」
「そうですか……」
そして私は意を決して訊ねた。
「また明日来てもいいですか?」
彼女は私の眼を見ながら黙り込んだ。
「それは息子とあなたの問題ですよ」
ホッとして涙が溢れた。
「……ありがとうございます。私、毎日来ます」
そうですか……と言って彼女は踵を返した。その日の夜に草井くんからメールがあった。
リハビリするために転院することになったとの事だった。私が転院先を訊ねると、かなり遠い場所としか教えてもらえず、さらに理由を訊ねると、見舞に来れるような距離じゃないし、教えたら無理してでも私が見舞に来るだろうと懸念していた。すぐ元通りになって戻ってくるから……。そんなやり取りを繰り返し、私が渋々納得した形になった。
私は退学になった。両親は私が面倒を起こすことを嫌い、編入手続きもしなかった。マスコミが取り上げるような事件だったので仕方ないのかもしれない。
しばらくすると草井くんと連絡がとれなくなった。病院に訊いても誰に訊いてもわからない。私は草井くんを信じて待つしかないのだろうか。ふと刑事からもらった名刺に目が留まる。刑事なら何か知っているかもしれない。すぐに電話をかけてみると、あの事務的な口調が私を出迎えた。
「清野ですが、お伺いしたいことがあってお電話しました」
「清野さん……? ああっ、高校の『飛び降り』の件ですね。それで、どうしました?」
『飛び降り』と称されたことが腹立たしかった。でも事実であることが情けなくて悔しくて、こんなことの為に草井くんを身代わりにしてしまったことを猛烈に悔いた。
「……草井くんの転院先をご存知でしょうか?」
「クサイ……クサイ……。ええと確か被害者の方ですよね? でもあの事件は既に私共の手から離れてますからね。そういった情報は入ってこないんですよね」
名前すらろくに覚えちゃいない。一刑事にとって片付けた数ある内の一つにすぎないのだろう。
「でも、あの病院は医療レベルも低くないのに、どうして転院を?」
「リハビリをするとかで……」
「えっ、リハビリ? あれだけの重傷で、すぐリハビリのために転院なんて……」
私は電話を切り慌てて家を飛び出した。
向かった先は病院だ。到着すると一度訪れた病室に飛び込んだ。
「どうして……? なんで此処にいるの?」
私は乱れた呼吸を整える間もなく声を荒らげた。
「……え? どうして桜さんが?」
「ずっと心配してるのに! 私と関わりたくないなら、ちゃんと言ってよ! 草井くんがそれを望むなら私は二度と草井くんの前に現れないから」
「違う! そうじゃない!」
草井くんは眉を八の字にして切実に訴えかけた。
「……ねえ、私、ずっと前から草井くんのことが好きよ」
「俺も桜さんのことが好きだよ。好きだからこそ迷惑とか心配かけたくないんだ」
「迷惑とか心配とか、そんなのどうでもいい。私、退学になっちゃって暇人なの。だから毎日遊びに来てもいいかな?」
草井くんは俯いて黙り込んだ。何を考えているのだろうか。
「一つだけ約束してくれないか?」
草井くんが意味ありげに言うので私は身構えた。
「……うん……何?」
「今日みたいに急に来たりしないで、来る前に必ず連絡してから来てくれないか?」
「……は? それだけ?」
「……ああ、それだけ」
私は拍子抜けして笑った。
「そんなこと普通にするよ」
私がそう言うと、それならいいんだ……と彼は苦笑した。それから私は約束と呼ぶに及ばないような約束を守り、毎日草井くんに会いに行った。
草井くんのお母さんに会うことはなかった。私は彼女に心底憎まれているのかもしれない。もしかしてこれが約束の理由なのかもしれない。
いつものように草井くんと時間を過ごした後、家路の途中、ケータイを忘れたことに気がついたので取りに戻ることにした。ケータイが無いので草井くんに伝える術がない。
病室を出て30分ぐらい経った。今から戻ると草井くんのお母さんが来ていてもおかしくない。できるだけ会わないようにした方がいい。今さっき通った道をとぼとぼと引き返す。病院に入ると緊張感が高まる。病室の前で足を止めたのは話し声は聴こえない。
私はドアを指一本分開けて、中を覗いた。それと同時に息を呑んだ。私はその光景をしばらく見ていた。そしてその光景を理解するまでに、もうしばらく時間を要した。そして私は息を殺したままそっとその場を後にした。
草井くんを助けてください……草井くんを助けてください……草井くんを……真っ暗なリビングが急に明るくなった。
「桜ちゃん、まだこんなことしてたの? 桜ちゃんも頭怪我してるんだし、取り調べとかで疲れてるんだから、ベッドで寝ないとだめよお……」
膝と手と額を床に付け、電話をまるで神仏のように崇めるような私を床から引きはがそうとする涙声のお母さん。私が全く動かないことを悟るとお母さんは私の背中にモーフをかけた。
「何か口にしないと身体に毒よ。お腹空いたらスープがあるから温めて食べなさいね」
再び部屋が暗くなると私はモーフを畳み同じ体勢に戻る。私はとんでもないことをしてしまった。
あの草井くんを育てたお母さんは、きっと優しい人なんだと思う。そんな人が私への憎悪を剥き出しにした。あの時、罵倒されて殴られた方が少しは楽だったかもしれない。
私がしたこで……私が死のうとしたことで……私以外の人が悲しみと憤りに暮れている。
草井くんの両親はもちろん私の親までも……。そして何より草井くんに……。
床には私の涙と鼻水と唾液でできた後悔という名前の沼が拡がっていった。
電話が鳴ったのは事件が起こってから二日後の朝だった。干からびた身体で私は病院へ向かった。草井くんのお父さんがロビーで待っていてくれて、草井くんの居る場所まで案内してくれた。ドアを開けると草井くんのお母さんが泣いていた。赤く腫れた目、やつれた顔が、これまでの時間を物語っていた。彼女は私に頭を下げ部屋を出ていってしまった。
そして草井くんを見た途端全身の力が抜けて膝から崩れ落ちた。そして、ごめんなさいごめんなさい、と繰り返し、まるで幼児のように泣き叫んだ。
「私があんなことさえしなければ、草井くんはこんなことに……。もう、しません……。二度とあんなことしません。どんなに苦しくても、死ぬほど辛くても全て受け止めて、草井くんが護ってくれた命で、私は生きていきます……」
「ああ、わかったよ。でも、また死のうとしたら、ひっぱたいてやる。俺のビンタは死ぬより痛いぜ!」
大きな拳を突き出した草井くんは強く笑ってみせた。私はその大きな拳を両手で掴んだ。温もり……生きているからこその、この温もり。生きてほしいと、ただただ願い続けた。あれからずっと一秒も余すことなく草井くんが生きることを願っていた。
誰にも必要とされてない……、自分が死んだって誰も悲しまない……、そんなことを思っていた私を命をかけて助けてくれた。無意味だと思っていたこの命をだ。でも草井くんが私を必要としてくれた。
自分に関わる誰かが居なくなったことを想像して、悲しい気持ちになったのなら、その相手も同じように自分のことを思ってくれてるはず。それなら辛くても苦しても生きていようと改めて思った。
私は草井くんに生きていてほしかった。そして草井くんも私に対してそう思ってくれたに違いない。
生きる意味? そんなのあるか本当はわからないけど、誰かを悲しませないためだけでも、それは存在意義なのかもしれない。
病室を出ると、草井くんのお母さんが私を待っていたて、少しだけお話できますか? と彼女は言った。
「……はい」
人気のない場所に移動した。何を言われるのだろうか。不安で仕方ない。それでも私は全てを受け止め自分の意思を伝えなければならない。
「先日は酷いこと言ってすみませんでした。息子がああいうことになって、気が動転してたんです」
「いえ、当然のことですし、謝るべきなのは私の方です。私の軽率な行動で草井くんがあんなことになってしまって、本当に申し訳ありません」
私は深く頭を下げた。
「もういいんです。うちの息子だって、あなたの顔に傷を残してしまったんですから……」
「こんな傷痕、草井くんに比べれば何でもないです」
彼女は俯いた。
「息子はあなたに何て言ってましたか?」
「詳しくは訊いてませんがリハビリすれば、すぐ退院できるだろう……って」
「そうですか……」
そして私は意を決して訊ねた。
「また明日来てもいいですか?」
彼女は私の眼を見ながら黙り込んだ。
「それは息子とあなたの問題ですよ」
ホッとして涙が溢れた。
「……ありがとうございます。私、毎日来ます」
そうですか……と言って彼女は踵を返した。その日の夜に草井くんからメールがあった。
リハビリするために転院することになったとの事だった。私が転院先を訊ねると、かなり遠い場所としか教えてもらえず、さらに理由を訊ねると、見舞に来れるような距離じゃないし、教えたら無理してでも私が見舞に来るだろうと懸念していた。すぐ元通りになって戻ってくるから……。そんなやり取りを繰り返し、私が渋々納得した形になった。
私は退学になった。両親は私が面倒を起こすことを嫌い、編入手続きもしなかった。マスコミが取り上げるような事件だったので仕方ないのかもしれない。
しばらくすると草井くんと連絡がとれなくなった。病院に訊いても誰に訊いてもわからない。私は草井くんを信じて待つしかないのだろうか。ふと刑事からもらった名刺に目が留まる。刑事なら何か知っているかもしれない。すぐに電話をかけてみると、あの事務的な口調が私を出迎えた。
「清野ですが、お伺いしたいことがあってお電話しました」
「清野さん……? ああっ、高校の『飛び降り』の件ですね。それで、どうしました?」
『飛び降り』と称されたことが腹立たしかった。でも事実であることが情けなくて悔しくて、こんなことの為に草井くんを身代わりにしてしまったことを猛烈に悔いた。
「……草井くんの転院先をご存知でしょうか?」
「クサイ……クサイ……。ええと確か被害者の方ですよね? でもあの事件は既に私共の手から離れてますからね。そういった情報は入ってこないんですよね」
名前すらろくに覚えちゃいない。一刑事にとって片付けた数ある内の一つにすぎないのだろう。
「でも、あの病院は医療レベルも低くないのに、どうして転院を?」
「リハビリをするとかで……」
「えっ、リハビリ? あれだけの重傷で、すぐリハビリのために転院なんて……」
私は電話を切り慌てて家を飛び出した。
向かった先は病院だ。到着すると一度訪れた病室に飛び込んだ。
「どうして……? なんで此処にいるの?」
私は乱れた呼吸を整える間もなく声を荒らげた。
「……え? どうして桜さんが?」
「ずっと心配してるのに! 私と関わりたくないなら、ちゃんと言ってよ! 草井くんがそれを望むなら私は二度と草井くんの前に現れないから」
「違う! そうじゃない!」
草井くんは眉を八の字にして切実に訴えかけた。
「……ねえ、私、ずっと前から草井くんのことが好きよ」
「俺も桜さんのことが好きだよ。好きだからこそ迷惑とか心配かけたくないんだ」
「迷惑とか心配とか、そんなのどうでもいい。私、退学になっちゃって暇人なの。だから毎日遊びに来てもいいかな?」
草井くんは俯いて黙り込んだ。何を考えているのだろうか。
「一つだけ約束してくれないか?」
草井くんが意味ありげに言うので私は身構えた。
「……うん……何?」
「今日みたいに急に来たりしないで、来る前に必ず連絡してから来てくれないか?」
「……は? それだけ?」
「……ああ、それだけ」
私は拍子抜けして笑った。
「そんなこと普通にするよ」
私がそう言うと、それならいいんだ……と彼は苦笑した。それから私は約束と呼ぶに及ばないような約束を守り、毎日草井くんに会いに行った。
草井くんのお母さんに会うことはなかった。私は彼女に心底憎まれているのかもしれない。もしかしてこれが約束の理由なのかもしれない。
いつものように草井くんと時間を過ごした後、家路の途中、ケータイを忘れたことに気がついたので取りに戻ることにした。ケータイが無いので草井くんに伝える術がない。
病室を出て30分ぐらい経った。今から戻ると草井くんのお母さんが来ていてもおかしくない。できるだけ会わないようにした方がいい。今さっき通った道をとぼとぼと引き返す。病院に入ると緊張感が高まる。病室の前で足を止めたのは話し声は聴こえない。
私はドアを指一本分開けて、中を覗いた。それと同時に息を呑んだ。私はその光景をしばらく見ていた。そしてその光景を理解するまでに、もうしばらく時間を要した。そして私は息を殺したままそっとその場を後にした。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
さよなら私の愛しい人
ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。
※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます!
※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
別れてくれない夫は、私を愛していない
abang
恋愛
「私と別れて下さい」
「嫌だ、君と別れる気はない」
誕生パーティー、結婚記念日、大切な約束の日まで……
彼の大切な幼馴染の「セレン」はいつも彼を連れ去ってしまう。
「ごめん、セレンが怪我をしたらしい」
「セレンが熱が出たと……」
そんなに大切ならば、彼女を妻にすれば良かったのでは?
ふと過ぎったその考えに私の妻としての限界に気付いた。
その日から始まる、私を愛さない夫と愛してるからこそ限界な妻の離婚攻防戦。
「あなた、お願いだから別れて頂戴」
「絶対に、別れない」
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
【完結】貴方の望み通りに・・・
kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも
どんなに貴方を見つめても
どんなに貴方を思っても
だから、
もう貴方を望まない
もう貴方を見つめない
もう貴方のことは忘れる
さようなら
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる