45 / 138
【第3章】
■第45話 : 陰謀渦巻く勝負ルール②
しおりを挟む
「おい! いきなり絡むような真似はよせよな!」
挑発的な八尾の言葉に反応し、日高が怒鳴りつけた。
日高と八尾の間に、険悪な空気が流れる。
慌てて優司が割って入った。
「日高、落ち着こうよ!
ここで揉めてもしょうがないって。
おい八尾、ちょっとは気をつけてくれよな!
いきなりそんなバカにするようなこと言われりゃ、誰だって気分悪いだろ?」
それまで険しい表情で日高を睨み続けていた八尾だが、ここで急に視線をはずし、表情を崩しながら喋りだした。
「……ふっ。わりいわりい。冗談だよ冗談!
大体、バカになんてしてねぇって。ヌルいホールを掴むのも技術のうちだしな。
そんなことより、早速だけどルールの説明に入っていいか?」
喋りながら、優司の席の前に座る八尾。
信次は、日高の正面に座った。
優司が八尾に話を促す。
「さっさと説明に入ってくれよ」
「ああ。
まず、概要はこの紙にまとめてきた。
一応2部持ってきたよ。こっちで保管する用とそっちに渡す用。
内容は同じだから。
とりあえず一読してみてくれ」
2枚の紙を取り出した八尾は、そのうちの1枚を優司たちに渡す。
そこには、以下のような内容が記されていた。
===========
■最終的に、より負債が多い方が勝ちとなる逆出玉勝負。
つまり、設定1を積極的に狙いに行く勝負になる。
■勝負ホールは東口の『ベガス』(等価交換、持ちコインでの台移動・出玉共有可能)
■台移動は1日3回まで。
ストック機で薄いゾーンだけを渡り歩く、といったような行動を防ぐため。
薄いゾーンを見つけたモン勝ち、みたいになるのを避ける。
■トータルで5000G以上回すこと。
5000G未満の場合、その時点で負け。
■相手がいくら投資したか、どれだけ稼動したかをカウントする監視員を一人つける。
■プレイ中、明らかに損をする行為はNG。
例えば、ストック機でのボーナス後0Gヤメや、天井間近でヤメる、といった行為など。
これは、機種情報について知らなかった時でも反則となる。
よって、自分が打つ機種についてはしっかりと把握しておくこと。
この反則を犯した時は、ペナルティとして1回につき+3000円とする。
(負債が多い方が勝ちとなるルールなので)
===========
一読後、日高が小声で優司に耳打ちする。
「夏目、ちょっと席をはずそうぜ。こいつらのいないところで話したい」
優司は静かにうなづき、八尾にそのことを伝える。
「わるい、ちょっと俺ら席をはずすよ。このルールについて吟味したいからさ」
「ああ、わかった。
……ったく、ここでやりゃいいのに」
八尾のボヤキを無視して席を立つ二人。
そのまま店の外へと出た。
外へ出るなり、日高が口を開く。
「夏目、この最後の項目が厄介そうだぞ」
「え? この『ペナルティ+3000円』ってやつ?」
「ああ。
ストック機でのボーナス後0Gヤメはダメとか書いてあるけど、例えば吉宗の場合どうする?」
少し考え込む優司。
そして、直後に何か気付く。
「……あッ! そうか、1G連があった場合……」
「そうだ。このペナルティを利用した方が得になる。
本来等価なら14000円のプラスになっちまうBIGの1G連だけど、たった3000円のプラスに抑えられるんだ。
台移動は3回までってなってるけど、それでも威力はかなりのモンだぜ」
「なるほどね……
俺みたいなヒキ弱じゃ吉宗の1G連なんてそうそう拝めないから、実質八尾のメリットがでかいわけだ」
「……ヒキうんぬんについて語るのは抵抗があるけど、実際に夏目が1G連してるとこなんか見たことないしな。
となると、やっぱ不利にはなるんじゃないかと思ってさ」
「だね!
いやぁ、よく一瞬で気づいたなぁ。さすが日高だよ」
「バカ! お前ももうちょっと気を張り詰めろ!
ちょっと緩んでんじゃねぇのか?
本来のお前ならすぐに気付いたはずだぞ」
「だ、大丈夫だよ。緩んでなんかいないって」
軽く動揺する優司。
言われてみればその通りだ。
同じくらいのスロ力を持つ者同士なのに、当事者の自分が気付かなくて部外者に近いような日高が真っ先にトラップに気付く。
散漫な部分があったことは否めない。
「問題は、今みたいな理由をつけてこのルールを無効にするか、それとも黙認してこっちもこのルールを利用するかだな。うまいこと考えりゃ逆手にとれるかもしれないし。
どうすんだ夏目? ここは、勝負するお前が決めるところだぜ」
「うーん……
これは、あっちから仕掛けてきた小細工だし、既に相応の戦略を練ってると思うんだよね」
「ああ。何企んでるかわかったもんじゃないな」
「やっぱそうだよね。
……よし、これは却下で!
で、他のルールは大体OKっぽいね」
「ああ。まあこんなもんだろ」
「よし、じゃあこれで決まりだね!
サンキュー、日高!」
そして、二人は再び店内に戻っていった。
挑発的な八尾の言葉に反応し、日高が怒鳴りつけた。
日高と八尾の間に、険悪な空気が流れる。
慌てて優司が割って入った。
「日高、落ち着こうよ!
ここで揉めてもしょうがないって。
おい八尾、ちょっとは気をつけてくれよな!
いきなりそんなバカにするようなこと言われりゃ、誰だって気分悪いだろ?」
それまで険しい表情で日高を睨み続けていた八尾だが、ここで急に視線をはずし、表情を崩しながら喋りだした。
「……ふっ。わりいわりい。冗談だよ冗談!
大体、バカになんてしてねぇって。ヌルいホールを掴むのも技術のうちだしな。
そんなことより、早速だけどルールの説明に入っていいか?」
喋りながら、優司の席の前に座る八尾。
信次は、日高の正面に座った。
優司が八尾に話を促す。
「さっさと説明に入ってくれよ」
「ああ。
まず、概要はこの紙にまとめてきた。
一応2部持ってきたよ。こっちで保管する用とそっちに渡す用。
内容は同じだから。
とりあえず一読してみてくれ」
2枚の紙を取り出した八尾は、そのうちの1枚を優司たちに渡す。
そこには、以下のような内容が記されていた。
===========
■最終的に、より負債が多い方が勝ちとなる逆出玉勝負。
つまり、設定1を積極的に狙いに行く勝負になる。
■勝負ホールは東口の『ベガス』(等価交換、持ちコインでの台移動・出玉共有可能)
■台移動は1日3回まで。
ストック機で薄いゾーンだけを渡り歩く、といったような行動を防ぐため。
薄いゾーンを見つけたモン勝ち、みたいになるのを避ける。
■トータルで5000G以上回すこと。
5000G未満の場合、その時点で負け。
■相手がいくら投資したか、どれだけ稼動したかをカウントする監視員を一人つける。
■プレイ中、明らかに損をする行為はNG。
例えば、ストック機でのボーナス後0Gヤメや、天井間近でヤメる、といった行為など。
これは、機種情報について知らなかった時でも反則となる。
よって、自分が打つ機種についてはしっかりと把握しておくこと。
この反則を犯した時は、ペナルティとして1回につき+3000円とする。
(負債が多い方が勝ちとなるルールなので)
===========
一読後、日高が小声で優司に耳打ちする。
「夏目、ちょっと席をはずそうぜ。こいつらのいないところで話したい」
優司は静かにうなづき、八尾にそのことを伝える。
「わるい、ちょっと俺ら席をはずすよ。このルールについて吟味したいからさ」
「ああ、わかった。
……ったく、ここでやりゃいいのに」
八尾のボヤキを無視して席を立つ二人。
そのまま店の外へと出た。
外へ出るなり、日高が口を開く。
「夏目、この最後の項目が厄介そうだぞ」
「え? この『ペナルティ+3000円』ってやつ?」
「ああ。
ストック機でのボーナス後0Gヤメはダメとか書いてあるけど、例えば吉宗の場合どうする?」
少し考え込む優司。
そして、直後に何か気付く。
「……あッ! そうか、1G連があった場合……」
「そうだ。このペナルティを利用した方が得になる。
本来等価なら14000円のプラスになっちまうBIGの1G連だけど、たった3000円のプラスに抑えられるんだ。
台移動は3回までってなってるけど、それでも威力はかなりのモンだぜ」
「なるほどね……
俺みたいなヒキ弱じゃ吉宗の1G連なんてそうそう拝めないから、実質八尾のメリットがでかいわけだ」
「……ヒキうんぬんについて語るのは抵抗があるけど、実際に夏目が1G連してるとこなんか見たことないしな。
となると、やっぱ不利にはなるんじゃないかと思ってさ」
「だね!
いやぁ、よく一瞬で気づいたなぁ。さすが日高だよ」
「バカ! お前ももうちょっと気を張り詰めろ!
ちょっと緩んでんじゃねぇのか?
本来のお前ならすぐに気付いたはずだぞ」
「だ、大丈夫だよ。緩んでなんかいないって」
軽く動揺する優司。
言われてみればその通りだ。
同じくらいのスロ力を持つ者同士なのに、当事者の自分が気付かなくて部外者に近いような日高が真っ先にトラップに気付く。
散漫な部分があったことは否めない。
「問題は、今みたいな理由をつけてこのルールを無効にするか、それとも黙認してこっちもこのルールを利用するかだな。うまいこと考えりゃ逆手にとれるかもしれないし。
どうすんだ夏目? ここは、勝負するお前が決めるところだぜ」
「うーん……
これは、あっちから仕掛けてきた小細工だし、既に相応の戦略を練ってると思うんだよね」
「ああ。何企んでるかわかったもんじゃないな」
「やっぱそうだよね。
……よし、これは却下で!
で、他のルールは大体OKっぽいね」
「ああ。まあこんなもんだろ」
「よし、じゃあこれで決まりだね!
サンキュー、日高!」
そして、二人は再び店内に戻っていった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる