ゴーストスロッター

クランキー

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【第2章】

■第23話 : 下準備

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『ある気づき』から1日。
早速、朝一から『シルバー』へ向かう優司。

(まずは、狙うシマを絞らないとな)

『シルバー』は等価交換で、1・2・3階まではオーソドックスなラインナップ、4階には新台と旧台が設置されている。
ここでいう旧台とは、ハナビやサンダーなどの一世代前の機種のこと。

夜10時の設定発表時、1・2・3階までは、台の新旧を問わず約10台に1台の割合で設定6が発表されるが、4階だけは発表台の割合が違う。

新台40台、旧台40台で構成される4階フロア。
このうち、新台からは10台に2台の割合で設定6が発表されるが、旧台は20台に1台の割合でしか発表されない。

もちろん設定6の札が刺さった台に関しては、本当に設定6なのかを確認したければいつでも設定を確認できる。

そして、発表台以外に設定6が置かれることはない。
これは、このあたりの地区にあるホールにおける共通事項だ。

優司は、自分の中で『シルバー』がどういう店なのかを今一度まとめてみた。

以下は、優司のスロノートに記されている『シルバー』についての内容の一部。

=============

■1・2・3階フロア
設定6の割合は10台に1台。
適当に座った場合、6に座れる可能性は10%。
中間設定もちらほら使っていそうな感じ。

■4階フロア(新台コーナー)
設定6の割合は10台に2台。
適当に座った場合、6に座れる可能性は20%。
中間設定も多用。

■4階フロア(旧台コーナー)
設定6の割合は20台に1台。
適当に座った場合、6に座れる可能性は5%。
設定6以外の台はオール1っぽい。

《その他判明していること》
■新台に関しては、ハジ台に6を置いてくることが少ない。
どうやら、ただでさえ稼働率の良いハジ台はあえて避けている模様。

■比較的6を据え置く可能性は低い。

=============

自分のまとめたノートを見つつ、狙うべきシマを考察していく優司。

(普通なら4階フロアの新台狙いだよな。
 適当に座っても、5回に1回、つまり20%で設定6をツモれるわけだし。
 しかも、ハジ台にあんまし設定6を置いてこないことを考えると、もうちょっとツモれる確率も上がるしな)

当然優司は、この程度のことならば以前からわかっていた。

しかし、「日常の立ち回り」としてはこれくらいの情報でも大分使えるが、「一度きりの勝負」においては全然物足りない。
とても、こんな確率に身を委ねるわけにはいかなかった。

今の優司の状況から考えると、少なくとも80%~90%くらいの確率は欲しいところ。

(とにかく、狙いは4階フロアの新台か旧台のどっちかだな。
 ……よし、4階を中心に『アレ』を検証していこう)

『アレ』とは、先日の『ある気づき』のこと。

閃いた戦略が使い物になるかどうか、まずはそこをしっかりと検証していかなくてはならない。

(慎重にやらないと……
 これが失敗したら、もう完全にお手上げだ……)



◇◇◇◇◇◇



検証作業に入って3日が経過。
つまり、この日は勝負前日。

『シルバー』の開店直後、目的のシマを確認した優司は、自分の戦略への自信を深めていた。

(いける……! これなら、確実に使い物になる!
 もちろん100%なんてのは無理だけど、100%に近い確率で設定6をツモれるはずだ)

今の優司に、数日前までの絶望感はすでになかった。

パチスロにおいて、たった1日の勝負で確実に勝てる戦略などというものはない。
出玉勝負でも設定読み勝負でも。

セット打法を使ったり、店の人間から直接設定を聞いたりしない限り、1日勝負で100%勝てる戦略など存在しえないのだ。

しかし、勝つ為の確率を上げる戦略ならば多々ある。

(狙うのは、やっぱりこのシマで決まりだな。このシマ以外にはありえない。
 ……勝負は明日か。不測の事態さえ起こらなければ勝てる! 勝てるはずなんだ……)

本当にそう思っているのか、ただ自分を鼓舞しているだけなのか。
それは優司本人にもわからなかった。

(あとは、夜にやるべきことをやった後、おとなしく明日を待とう。これ以上の策はないはずなんだ)

優司は、誰かに訴えかけるように呟いた。
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